※この作品はR-18です。

ブルアカ短編集   作:モノクロさん

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登場人物
・河和 シズコ
・不良生徒
リクエスト作品です。
河和 シズコがニャン天丸の復讐の為に雇われた不良生徒達によって酷い目に遭う話です。
※スカトロ注意


【リクエスト作品】百夜名物看板娘

 百鬼夜行連合学院。

 

 グルメや温泉。お祭りといった観光業が盛んな学園。

 

 観光業が盛ん故に多くの観光客が訪れて賑わう自治区は、一度の祭りで多額の資金が動いている。

 

 観光業は商売だ。それは、この学園でも例外ではない。

 

 上手くやれば莫大な資金を手中に収める事が出来る。

 

 そう、祭り行事の運営を取り仕切る事が出来れば、それが可能だったのだ。

 

『百夜ノ春ノ桜花祭』の主導権と資金を握っていたお祭り運営委員会。その委員長である河和 シズコがいなければ……。

 

 

 

 

―百鬼夜行 廃墟―

 かつて、百夜ノ春ノ桜花祭を中止に追いやろうと、魑魅一座・路上竜流の生徒達との密談に利用していた廃墟に、百鬼夜行連合学院に所属する商店街の会長、ニャン天丸と不良の生徒達が集まっていた。

 

「……それで、そのシズコってガキに目に物言わせたくて私達に依頼したと」

 

「あぁ、その通りだ。あいつめ、桜花際の件もそうだが、儂とのフランチャイルズ契約すらも一蹴しおって……商売のなんたるかを理解せず、金儲けの何たるかを解せず、ただ観光客に媚を売るだけの商売など、商売の風上にも置けんわ」

 

「……ふぅん、そういうもんですかねぇ」

 

 憤慨するニャン天丸を他所に、不良生徒は興味なさげに呟く。

 

 事前の情報として、河和 シズコの人となりはそれなりに把握している。

 

 依頼されれば学園の内外を問わず、イベントの計画・準備・設営・運営から後処理までこなすプロフェッショナルであり、その名声はキヴォトス中に知れ渡っている。彼女達の存在は、イベント行事においてある種のブランド力を有するとすら言われているのだ。

 

 そんな委員会の長を務める彼女に、逆恨みに等しい理由で報復を企む依頼主の醜態に、不良生徒は内心溜息を洩らしつつも、依頼の額が額の為、此処は仕事と割り切る事にした。

 

 何よりも、河和 シズコというブランドは、ある意味では『副業』においても無視できないブランドではあるのだから。

 

「それで、私達に依頼するという事は、私達の『副業』の件も理解していると考えてもいいのか?」

 

「無論だ。儂はその手の趣味はないが、趣味趣向は人それぞれだからな。儂の依頼の片手間であれば構わん。河和 シズコの奴に『現実』を教えてやってくれ」

 

「あいよ、了解した。当然、『副業』に関しては私達の商売だ。『本業』をメインに。その片手間で『副業』だ。商売に関しちゃ、あんたも思う所はあるんじゃないか?」

 

「思わんよ。あんな悪趣味」

 

「そうかい。それならその悪趣味、折角だから『ある物』を提供してほしいって言ったらどうする?」

 

「な!? そ、それは……」

 

 不良生徒の言葉にニャン天丸が露骨に狼狽する。それを見た不良生徒は内心でほくそ笑んだ。

 

 彼は『商売』に関わる情報に詳しい。彼女達の『副業』に関しても、当然把握していた。

 

 彼女達が『副業』で何をやっているのか、そして、その商品をどういったルートで取引しているのかも。

 

「見たいんだろ? シズコってガキが酷い目に遭う姿を」

 

「う、うむ……しかし、それは」

 

 不良生徒の言葉にニャン天丸は口籠る。その反応に不良生徒は内心ほくそ笑みつつ、更に畳みかける。

 

「まぁ、私達の商売は『本業』に差し支えない程度にってのがモットーだ。それに、あんたからじゃなくても手に入れる手段は沢山あるんだ。無理強いはしないさ」

 

「む……」

 

 不良生徒の言葉にニャン天丸が逡巡する。ニャン天丸は悩む。そして、結論を出した。

 

「よかろう……後日、貴様に提供しよう」

 

 その返答に不良生徒はニンマリと笑うと依頼内容の確認を行うのであった。

 

 

 

 

 祭りの準備で賑わう百鬼夜行の街中を、ニャン天丸の依頼を受けた不良生徒が標的を探して歩き回る。

 

 皆が皆、もうすぐ始まるお祭りの準備に勤しみ、祭りを楽しみにする中、その空気に似合わぬ表情の不良生徒が一人。

 

 しかし、たった一人の異分子も、お祭り前の陽気な雰囲気の前には、大した問題ではなかった。

 

 この程度の異分子は日常茶飯事。しかし、彼女が請け負った依頼は、その日常茶飯事の枠に収まるものではなかった。

 

 歩く。歩く。歩く……。

 

 ひたすら街中を歩き、標的を探して歩き回る。

 

 表通りから裏通りまで、くまなく歩き回り、そして、ある場所に辿り着くと、不良生徒はニヤリと笑う。

 

「……いた」

 

 その視線の先には河和 シズコの姿があった。

 

 彼女は一人だった。一人で街の中を歩き回り、市民や生徒達から声をかけられ、その度に丁寧に対応して笑顔を振りまいている。

 

 己の責務を全うし、祭りを盛り上げる為に、彼女は今日も奔走している。

 

 そんな彼女の姿を見て不良生徒は思う。

 

(……本当にご苦労なこった)

 

 これから自分の身に何が起こるか想像すらしていないだろう。

 

 当然だ。彼女は彼女の日常をただただ一生懸命に生きているだけなのだから。

 

 そんな彼女の日常は今日、この日をもって終わりを告げるのだ。

 

「すみません。ちょっと良いですか?」

 

 河和 シズコを『壊す』という依頼を受けた不良生徒によって。

 

 

 

 

 この日も、河和 シズコは街中を歩き回っていた。

 

 住民や生徒達、そして他の自治区から訪れる人々が楽しめるように、様々なイベントの計画・準備・設営・運営を行う委員会に所属している為か、彼女の日常は常に忙しい。

 

 しかし、彼女にとってそれは喜ばしい事でもあった。自治区が栄えれば、それは多くの人の笑顔に繋がる。

 

 無論、お祭りなどの成功や自身が運営している喫茶店『百夜堂』の売り上げも大切な事ではあるが、根本的な根っこの部分は『皆に楽しんで欲しい』という想いが根底にある。

 

 彼女はそれこそが自分のするべき事、自分の為すべき事だと考えていた。

 

 そんな忙しい日常を送る彼女だったが、今日はいつもと違っていた。何時ものように祭りの準備や設営の手伝いに勤しんでいた彼女を、一人の生徒が呼び止めたのだ。

 

「すみません。ちょっと良いですか?」

 

 その声に、何の疑いもなく振り返ったシズコの視線の先には、自治区では見覚えのない生徒の姿。

 

 もしかしたら他の自治区の生徒が観光に来て、何か分からない事でもあるのではと、彼女は微笑を浮かべて歩み寄った。

 

「はい、なんでしょうか?」

 

 優しい笑顔を向けるシズコに不良生徒が口を開く。そして、その口から吐き出された言葉によって、河和 シズコの『日常』は崩れ去る事となった。

 

「いえ、実は先程、向こうの路地裏で段ボールが山積みになっていて道が塞がれていたんですよ。退かそうとも思ったのですが、勝手に荷物を移動させたら拙いかなって思って……そしたら、丁度シズコさんが近くにいたので……」

 

「え? あぁ、そうだったんですね。ちょうど今、こちらの片付けが終わりましたので、ご一緒させて頂きます」

 

 不良生徒の言葉にシズコが優しく応じる。親切な方だ。態々確認の為に声をかけてくれたのだろう。

 

 見覚えのない生徒だが、向こうは自分の事を知っていたからこそ声をかけたのかもしれない。

 

 そう思い、彼女は不良生徒を伴って路地裏へと歩き出す。

 

「急に声をかけてすみません。此処には来たばかりで、右も左も分からない状態で……」

 

「いえいえ、此方こそご丁寧にありがとうございます。それに、荷物で通路が塞がれていると、他の通行人の迷惑になってしまいますし、そういう時は気軽に声をかけてくださっても構いませんよ」

 

「お優しいですね。ありがとうございます」

 

 見た目は不良生徒といった風情であったが、案外話してみると良い人なのだろう。

 

 それに、此処には来たばかりという事は、観光目的できた生徒である事に間違いない。

 

 折角観光に来たのだ。是非楽しんで欲しい。

 

 そんな思いを抱きながら路地裏へと入り、奥へ奥へと進んでみるも、そこには彼女が言ったような荷物の山はなかった。

 

「あれ? おかしいですね、そんな荷物は見当たりませんが……」

 

「えぇ、まぁ……嘘ですからね」

 

「えっ?」

 

 通路を塞ぐ荷物がない事に首を傾げ、不良生徒に向き直ろうとしたその時、視界の上から細い何かが降り注ぎ、首に巻き付いた。

 

 その突然の事に驚く間もなく、それはシズコの首をゆっくりと締め上げていった。

 

「かっ!? は……な、何……?」

 

 困惑の表情を浮かべつつ、首に巻き付いたそれを振りほどこうとするシズコ。

 

 しかし、首に絡みついたそれは固く、そして、首に食い込むそれを振りほどく事が出来なかった。

 

「か、は……あ゛っ!? かっ……ぎ……」

 

 両手で首に巻き付くそれを何とかして引き剥がそうとするも叶わず。苦しい息遣いで不良生徒に助けを求めるように視線を向けると、彼女はニヤニヤと笑みを浮かべ、シズコに残酷な現実を告げた。

 

「あんたのその優しい態度、嫌いじゃないが……これも依頼でね」

 

「な……あ゛っ!?」

 

 不良生徒の言葉に、シズコが驚愕の表情を浮かべたその時、首に巻き付いていたそれが更に強く食い込み始めた。その突然の事に彼女は目を見開きながら身体をばたつかせるも、不良生徒は彼女が抵抗できないように背負う様に背中を合わせ持ち上げる。

 

 身長差もあり、シズコの足が地面から離れてしまう。何とか爪先だけでも地面につけようとするも、そのまま背中が僅かに反らされた状態にされ、更に首に食い込んだワイヤーが強く彼女の首を締め上げる。

 

「かっ……は……あ゛っ!? が……」

 

 その苦しさに目を見開き、口をパクパクさせながら必死に抵抗を試みるも、ワイヤーの締め付けは緩まるどころか増す一方だった。

 

「う゛……あ……かっ……」

 

 朦朧としていく意識。徐々に強まっていく首の締め付けに、シズコは靄がかかり始めた視界で天を仰いだ。『助け』を呼ぼうにも、呼吸さえも儘ならない状態では声を出す事すら出来ない。

 

 次第に頭が真っ白に染まり、何も考えられなくなる。

 

 そして……。

 

「ぁ……っ……か……」

 

 ビクンと身体を痙攣させ、涙と涎を垂れ流しながら、シズコは意識を手放すのであった。

 

 シズコが意識を手放した後も、不良生徒は力を緩める事はなかった。

 

 ワザと意識を手放したふりをして、此方の隙を窺っているのではないか。そう考えていたからだ。

 

 動かなくなるのを確認した後、ゆっくりと膝をつき、シズコを背中に乗せた状態で身体を丸める。

 

 身軽なシズコの体重が背中越しに伝わり、そしてだらんと垂れ下がった腕と足を見て、慎重に力を緩める。

 

 仮に動き出したとしても、直ぐに対処できるように。

 

「……」

 

 しかし、暫く経ってもシズコは動く事はなかった。

 

 そして、一瞬だけピクリと身体を痙攣させた後、腰に生暖かい感触が広がった。

 

 意識を失ったショックか、失禁したのだろう。

 

 下着では吸収しきれなかった小水が、彼女の下着とスカート、そして不良生徒の服を濡らすが、不良生徒は気にした様子もなくワイヤーに込めた力を緩め、彼女を解放する。

 

 地面に横たわったシズコは白目を剝き、口からは舌をだらんと垂れ下げている。

 

 一見すると死んだようにも見えたが、彼女は生きていた。生きているのを確認し終えると不良生徒は立ち上がると、静かに呟く。

 

「さてと、後は回収班が来るまで待機だな」

 

 不良生徒は軽く背伸びをすると、携帯で仲間たちと連絡を取る。

 

 少しして、路地裏の出入り口に車が止まり、回収班が到着する。

 

 不良生徒はそれを確認すると携帯をしまい、気を失ったまま動かないシズコの四肢を拘束し、猿轡と目隠しを施すと、回収班が用意した段ボールに彼女を詰め込み、その場を後にした。

 

 

 

 

 シズコを誘拐する事に成功した不良生徒は、ニャン天丸と連絡を取り合っていた。

 

 以前、会長の立場であったがゆえに魑魅一座・路上竜流の生徒達と関わっていた事が露見した事もあり、最初の取引以降、直接会う事は避け、電話での遣り取りで対応する事となったのだ。当然の事だが、不良生徒の彼女達がシズコを監禁している場所も、別の区画の廃墟を利用している為、彼女達の足取りを掴むにはそれなりの時間を有する事になるだろう。

 

 それまでには、ニャン天丸との依頼も、『副業』に関しても、ある程度の実績を持って帰れると判断していた。

 

 そして、シズコを誘拐した旨を報告すると、ニャン天丸は満足した様子で、彼女を辱めるように命令を下した。その指示に不良生徒は静かに頷き『了解』と返した後、次いでと言わんばかりにニャン天丸に提案した。

 

「それで、彼女はどうなっても問題ないという事で宜しいですか?」

 

『無論だ。煮るなり焼くなり好きにするといい』

 

「ふぅん……『煮る』なり『焼く』なりねぇ」

 

 そんな彼女のささやかな問いかけに、ニャン天丸はその通りだと応えた。その応えを聞いた不良生徒はニタリと笑うと『じゃあ』と言って続けた。

 

「お言葉に甘えて……好きにさせていただきますよ。ご安心ください。内容の一部始終は録画して後日部下に送らせますんで。流石に、私と彼女が一緒にいる所を見られている可能性もあるんで、私は暫く此処から出る事が出来ません。なので、電話以外の遣り取りは部下にやらせますが……構いませんよね?」

 

『構わん。寧ろ、報連相がしっかりしているだけでも立派なものだ。以前はそれがなかったから失敗したからな。それで、『例のもの』はその部下に渡せばいいのか?』

 

「えぇ、既に少量は用意できているでしょうから、部下をそちらに送った際に渡していただければそれで問題ありません」

 

『そ、そうか……しかし、本当にこんなものを……』

 

「ニャン天丸さん。何事にも需要があるんですよ。貴方にとって価値のない代物でも、ほんの一握りの方々からすれば十分すぎる宝物になるのですから。そうやって商売は成り立つものなんですよ」

 

『……分かった。部下に渡しておこう』

 

「ありがとうございます、では」

 

 不良生徒は電話を切ると、そのまま廃墟の奥へと歩みを進めた。

 

「それで、道具の方は全部運んできたのか?」

 

「勿論っす。機材の方は物がおっきかったんで分割して運びました」

 

 その言葉に、遠くで機材を運び込む部下達の姿を見て、不良生徒は満足気な笑みを浮かべる。

 

「よし、それじゃ組み立てが終わったらそっちの方も頼むぜ」

 

「了解っす。それにしても、ほんと、良い趣味してますよねぇ」

 

「だからこそ需要があんだよ。人気のジャンルはよりどりみどりだが、限られた趣味趣向のジャンルだと、おのずと数が絞られてくるからな。それが、人気ブランドのガキが出演するってなったら、そりゃ需要も高まるってもんだろ?」

 

「そっすねぇ。逆恨みでガキ攫えって言われた時は、正直ドン引きでしたけど……まぁでも、儲かるってんなら話は別ですねぇ」

 

 そう言って笑い合う二人。この手の依頼はよくある事であり、そのうえで『副業』が絡んでくるとなると、おのずと仕事の内容も決まってくる。

 

 この不良生徒にとって、河和 シズコという女優は『副業』を行う為の良い踏み台でしかなかったのだ。

 

「じゃ、始めますかぁ」

 

「っす。皆も呼んできます」

 

 不良生徒の一言に、機材の運び込みを行っていた部下達が応じる。そんな彼女らに視線を向けつつ、不良生徒は今後の事を思い口角を吊り上げた。

 

(さて……どう料理してやろうかねぇ)

 

 そんな思いを胸に秘めつつ、彼女はシズコが監禁される部屋の扉を開けた。

 

 部屋の真ん中で拘束された状態のまま失神しているシズコ。

 

 両手は縛られ、ボロボロになった天井にむき出しになった鉄骨に吊るされた状態。

 

 足の爪先が届くか届かないかというギリギリの高さまで吊るされているせいか、縛られた両手は自重で圧迫され、ロープが皮膚に食い込んでいる。

 

 この状態でも、まだ意識を失っているとは。少しやり過ぎたのかもしれない。

 

 それでも、時折呻き声が上がっている事から、目が覚めるのも時間の問題だろう。

 

 部下達も部屋の中に集まってきている。

 

 撮影用のカメラを構え、彼女の痴態を収めようと準備している。

 

「さて、始めるか」

 

 不良生徒はそう呟くとシズコに近付き、無防備となった頬を思い切りビンタした。

 

 

 

 

「っ……」

 

 頬の痛みと乾いた音で意識が覚醒し始める。

 

 更に頬に強い衝撃が走り、その痛みでシズコは目を開く。

 

 意識は朦朧としながらも、視覚は徐々に彼女の現状を認識させてゆく。

 

視界に映るのは、薄暗く広い部屋と、周りに集まった者達。そして、通りで話しかけてきた観光客の生徒……。

 

(私……どうして)

 

 そんな疑問を思い浮かべるも、意識ははっきりとせず、考えを纏める事が出来ないでいた。

 

 思い出そうとしても、何も思い出せない。取り敢えず、立ち上がろうと足に力を籠めるも、自身の足が地についていない事に気付き、そして両手首に感じる痛みに意識と思考が徐々に覚醒していく。

 

(これは……っ!?)

 

 両手は天井の鉄骨に吊るされ、足先はギリギリ地面につかない状態。両手が引っ張られる感覚から察すると、おそらく爪先すらも床につく事は出来ないだろう。

 

(何……何が起きてるの!?)

 

 次第にはっきりとしてくる意識と視界で、シズコは自らの置かれた状況を確認すべく周囲を見渡す。

 

 おそらく、あの不良生徒に何かをされたのだろうという事は分かるが……その前後の記憶が曖昧になっているのだ。

 

 混乱する思考を落ち着かせつつ、シズコは自身の記憶を呼び覚まそうとする。

 

 しかし、目の前の不良生徒がそれを許さなかった。

 

 再び頬に強い衝撃が走る。

 

 三度にわたるビンタに、シズコの意識が完全に現実へと引き戻された。

 

「あ……ぅ……」

 

「お目覚めかい? お嬢ちゃん」

 

 不良生徒の言葉に反応して、シズコはその声の主に視線を向ける。

 

「河和 シズコ。百鬼夜行連合学園所属。お祭り運営委員会の委員長。文化祭の計画と運営を主に担当し、その傍らで百夜堂のオーナー兼看板娘としての顔を持つ。間違いないかな?」

 

「……っ」

 

 不良生徒の言葉に、シズコは息を詰まらせた。目の前の不良生徒は、シズコの立場を理解した上で誘拐したという事を暗に告げている。

 

 そして、彼女の口上から察するに、誰かに依頼された形で、自分を誘拐したという事。

 

 立場上、恨まれる事も多々あるが、それにしても、こうして人手を集めて誘拐に至るなんて、一体何処の誰が……。

 

 そう思考する中、一人の人物に行き当たった。

 

「誰かに依頼されて私を誘拐したんですか?」

 

「ふふ、察しがいいのは嫌いじゃないよ。その通りさ。とある方からの依頼で君を誘拐させてもらったよ。勿論、君が所持する荷物は全て回収済み。携帯電話も処分したからGPSで君が何処にいるか調べる事も不可能だ。つまり、孤立無援。助けを呼ぼうにも呼べないって状況な訳さ」

 

「……っ、そんな……どうして……」

 

 不良生徒の告げた内容。それはシズコにとって絶望的とも言える情報であった。

 

『孤立無援』と彼女は言った。その言葉はまさにその通りで、助けを求める手段も、現在地を伝えられる手段も潰えている事を意味している。

 

 絶望するシズコの表情に気を良くした不良生徒が口を開く。

 

「まぁ、そう絶望しなさんな。運が良ければ生きて帰れるんだ。要は気の持ちようって事だよ」

 

「……っ」

 

 気楽に告げる不良生徒の言葉に、シズコは背筋がゾクリとする感覚を覚えた。彼女の背後に控える部下と思わしき生徒達。そしてその生徒が構える撮影用のカメラを見て、全てを察してしまった。つまり、彼女からすると自分は『商品』でしかないのだろう。

 

 何をされるかまでは想像できないが、少なくともろくなことではない。そして、『運が良ければ』生きて帰れるという事は、運が悪ければ最悪の状態を迎える事に他ならないのだ。

 

「さて、無駄話も此処までにして……本業の傍ら、副業もしっかりこなすとしますかねぇ」

 

 不良生徒がそう前置きをすると、部下達に指示を出す。その合図で部下達はカメラを構えながらシズコに近付き始めた。

 

「やめて……お願いだから止めて……下さい」

 

 無意識の内に懇願するシズコ。しかし、そんな彼女の願いも虚しく、部下の一人が着物の帯をほどき、はだけさせる。着物の中からは彼女の白い素肌と桃色の下着が姿を現し、カメラがその姿を捉えた。

 

「いやぁっ!」

 

 反射的に悲鳴を上げるシズコだったが、そんな彼女の悲痛な叫びは、この場にいる者達の耳に響くだけで何かが変わる訳でもない。不良生徒の部下達も、服を全て剥ぎ取るのではなく、部分的にはだけさせることで羞恥心を煽るようにカメラを向け、記録していく。

 

 恥ずかしさと絶望でシズコの目尻に涙が浮かぶ中、不良生徒が静かに告げた。

 

「さて……まずは『教育』から始めるかねぇ」

 

 その言葉に応じるかのように一人の部下が動き始めた。

 

「そういえば、君はお祭りとかイベントが大好きなんだよね? それならキャンプとかで火起こし器とか知ってるかな?」

 

「え……?」

 

 はだけた着物の中に手を差し込まれ、露わになった腹部を撫で上げられながら不良生徒が発した言葉に、シズコは動揺を隠せなかった。どうして彼女はそんな事を聞いてくるのかと。その答えを彼女の口から明かされた。

 

「アレって、結構便利なんだよねぇ。ほら、こういうシチュエーションってやっぱり定番は外せないでしょ?」

 

「っ!?」

 

 腹部を行き来する不良生徒の手に、シズコは理解した。彼女が何の意図を持って問いかけてきたのかという事に。そして、その意図を察した瞬間、シズコは恐怖で顔を引きつらせた。

 

(まさか……本気でそんな事を……っ!!)

 

 彼女の部下達が準備しているのは燃え盛る木炭が詰められた火起こし器であり、そこに長い棒状のものが取り付けられている。それが何かは言うまでもないだろう。

 

「いやっ! そんなの近付けないでください!! やめて!! お願いっ!!」

 

 必死の叫びにも誰も応える事は無く、淡々と火起こし器の準備が進められていった。そして、全ての準備が完了した後、不良生徒の指示で燃え盛る火起こし器から長い棒状のものが取り出され、赤く熱せられた棒の先端がシズコの身体へと近付けられた。

 

「本当だったら、何か文字が入ってた方が良かったんだけど、あれは好みが別れるからねぇ。仕方がないから何も書いてない状態のものを採用してるんだ」

 

「っ、や……いや……やめて」

 

 シズコの懇願に耳を貸さず。部下から焼きごてを受け取った不良生徒は、先程まで丹念に撫でていた彼女の腹部に先端を焦らすように、ゆっくりと近づいていく。

 

 そして、彼女の腹部に先端が当てられた瞬間、肉の焼ける音を奏でながら、シズコは悲鳴を上げた。

 

「い゛ゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!?!」

 

 部屋中にシズコの絶叫が木霊する。

 

 必死に身体をばたつかせ、少しでも逃れるように身をくねらせる。しかし、彼女がいくら暴れたところで拘束から脱する事は出来ないし、腹部に当てられた焼きごての熱から逃れる事も不可能であった。

 

「い゛ぃッ!! あづっ! あぢゃぁっ!! あ゛ぁあっ!! い、いやっ……やべでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!?!」

 

 焼きごての先端が当てられた箇所から煙が上がり、肉の焼ける音がシズコの絶叫を彩り、その光景が不良生徒の部下達の目を楽しませていた。

 

「やべでぇ゛ぇっ!? あづぃいいっ!!!? ごれあびゅげじゃぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?!」

 

 何とか逃れようとシズコは身をよじるが、腹部にあてられた焼きごてによる熱からは到底逃げられない。熱さから逃れようとする度に腰が浮かび上がり、焼け爛れた腹部の下に隠されていた下着や素肌をカメラの前に晒す事になる。そしてそれが、更なる苦痛と辱めをシズコに与えてしまう。

 

「やべでぇ゛ぇっ!! あぢゅいよぉぉっ!?!? もっどあじゃげらぐでもぢょまっでぐれぇぇええぇええっ!!!!」

 

 最早、彼女自身も自分が何を叫んでいるかさえ理解していないのだろう。当然だ。銃弾をその身に受ける事は多々あれど、焼きごてで皮膚を焼かれる経験なんてない筈だ。

 

 それも、悪意をもって長い時間押し付けられていれば、その痛みに精神が壊れてしまうのは時間の問題だろう。

 

「いぎゃぁ゛あ゛あ゛っ!? あづ、熱いぃいいいいッ!!? おに゛ゃ゛がりや゛げり゛ゅ゛う゛うぅ゛うっ!?!?」

 

 陸に打ち上げられた魚のように、苦痛で激しく身体を痙攣させるシズコ。

 

 しかし、熱から逃れようとする身体は跳ね上がり、その際に焼きごては腹部から離れ、今度は別の個所の皮膚を焼いていく。その結果が先程から上がる絶叫と悲鳴の合唱だ。

 

「あぁ゛あ゙あ゛あ゛ッ!? 焼けでるっ! おながぁ、やげぢゃうぅううっ!! あだまおがじぐなっじゃぅううぅっ!?」

 

「はははっ、良い声で鳴くじゃないか」

 

 そんな彼女の悲鳴をBGMにしながら、不良生徒は笑う。

 

「ほら、まだ始まったばかりなんだ。もっといい声で鳴いてくれよ?」

 

「あ゛ぁ……っ! あづいぃ……おにゃがじぬぅ……」

 

 もう既に限界に近いのだろう。目を虚ろにして、うわ言のようにそう繰り返すシズコを見て、不良生徒は小さく息を吐き出すと、焼きごてを彼女の皮膚から離してやれば、シズコは安堵するように息を吐いた。

 

「あぁ……あ……」

 

 しかし、これで終わりではない。

 

 人の肉が焼ける不快な臭いが立ち籠る中、不良生徒は部下にしっかり撮影できたか確認を取りつつ、懐からタバコを取り出して火をつける。

 

 肺一杯に煙を吸い込み、そして吐き出すと、シズコの方へ視線を向けた。

 

「あ、しまった。灰皿もってくんの忘れてた」

 

 部下に持ってこさせるにしても時間がかかる。仕方ないといわんばかりに溜息を洩らすと、不良生徒はシズコに近付き、そして命令するのであった。

 

「おい、舌だせ」

 

「…………………ぇ?」

 

 不良生徒の言葉に、シズコは虚ろに視線を向けて小さく声を漏らす。そんな彼女の反応が気に入らなかったのか、不良生徒は舌打ちすると彼女の髪を鷲掴みにして無理やり自分の方に顔を向けさせた。

 

「あぁ? 聞こえねぇのか? 舌だせっつったんだよ。それとも何か? もう一度『教育』してほしいのか?」

 

「あ……ぇ………ゃ……」

 

 不良生徒の言葉にシズコは小さく首を横に振って拒絶の意思を示す。そんな反応に苛立ったのか、舌打ちすると小さく何かを呟いた後、改めて命令するのであった。

 

「もう一度言うぞ?『舌だせ』」

 

「……っ……あ…………ぅ…………」

 

 これ以上逆らえば、本当にもう一度身体を焼かれる事になるだろう。

 

 そして、舌を出せばだ舌で結論は変わらないのだが、それでも、これ以上焼かれる事は避けたかったのか、シズコは恐る恐ると舌を出す。

 

「お、偉いねぇ。聞き分けが良い子は好きだよ。でもね、ちょ~っと遅かったねぇ」

 

 そう言って、不良生徒はシズコの顎を鷲掴みにすると、タバコを彼女の下の先端に押し付けた。

 

「お゛ごぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!?!」

 

「なぁ、知ってっか? 舌ってのはさ。場所によって甘味とか感じるとこもあるらしいんだけどさ、今ちょうどタバコを押し付けてる場所が甘味と塩味を感じる場所らしいぜぇ」

 

 そう言って、タバコをグリグリと押し付けながら笑う不良生徒。彼女の言葉通り、今舌を押し付けられている場所は非常に熱く、口内でジュウジュウと焼ける音が響いていた。

 

「おごぉ゛ぁ゛!? あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!?!」

 

「残念だなぁ。お祭りってのは甘い綿あめや塩味の聞いた焼き鳥とかが出回ってんだろぉ? もうそれらを楽しむ事が出来ねぇなんてなぁ」

 

「お゛ぉ゛ぉ゛!? おぼぉぉっ!? あがぁあっ!?」

 

 それでも不良生徒はタバコを押し付けるのを止めようとはしない。既にシズコにそんな余裕はない事は分かっている筈なのに、彼女の苦しむ姿を見て楽しむかのように笑っているのだ。そして、そんな不良生徒を咎める者は誰もいない。部下達はシズコが焼かれる姿を撮影し続けており、彼女の悲鳴に興奮しているのか、カメラを持つ手が震えていたりもしている。

 

 そして、暫くしてようやく満足したのかタバコを離すと、部下達にシズコの舌がどうなったか撮影させるようにカメラを近付けさせた。

 

 カメラのレンズに映ったのは、舌先が焼け爛れ、黒く染まった舌の変わり果てた姿。それを見た不良生徒は満足げに笑みを浮かべると、シズコに語り掛けた。

 

「ふふっ、辛いっすねぇ。もう綿あめとかかき氷を食べても味がしなくて『あぁ、もう二度と夏祭りなんて楽しむ事は出来ないんだ』って実感するんすから」

 

「……ぅ…………うぅうぅぅぅぅ……」

 

 最早、シズコには不良生徒の言葉など聞こえていなかった。

 

 焼きごての熱とタバコの熱さに精神を焼かれた彼女は、もう何も映っていないであろう虚ろな目で天井を見つめており、小さく呻き声を上げているだけだった。

 

 そんなシズコの太腿の内側を水が滴り落ちる。ワイヤーで首を絞められた時と同じく、再び失禁したのだ。

 

「おいおい、これ位で漏らすなよ。まだまだ『お楽しみ』はこれからなんだからな?」

 

 そう呟くと、不良生徒は再び部下に指示し、シズコを拘束していたロープを緩め、床に足をつかせる。しかし、足腰に力が入らないのか、シズコはその場に蹲り、小さく呻き声を上げる。そんなシズコに不良生徒は歩み寄ると、はだけた着物をずらし、未だに綺麗な背中をつーっと指でなぞった。

 

「っ、あ……ぅ……ぐぅぅぅぅ……」

 

 その感覚にシズコは小さく身体を震わせる。歯をカチカチと鳴らし、恐怖に怯える彼女を見て、不良生徒は嗜虐的な笑みを浮かべると再び部下達に指示を出した。

 

「さて……そろそろ『お楽しみ』の時間だ。カメラの準備は大丈夫か? 一発撮りの失敗NGだかんな」

 

「了解っす。しっかりばっちり撮らせてもらいますよ」

 

 そうして、撮影準備を整えると、別の部下が用意した調理用の揚げ物鍋を受け取り、中に煮えた油が入っているのを確認すると、不良生徒はニャン天丸との会話を思い出し、笑みを浮かべた。

 

「依頼主からの指示でね。煮るなり焼くなり好きにしろってさ。あぁ、好きにさせてもらうさ」

 

「えっ?」

 

 その言葉の意味を、正しく受け取り、理解したシズコは驚愕に目を見開き、そして蹲る姿勢から声のする方へ振り返ってしまった。

 

 そして見てしまった。煮えた油が入った揚げ物鍋が傾き、中身が零れる瞬間を。

 

 それが自身の背中へと滴り落ち、その熱さに絶叫する瞬間を。

 

 そして、その後に続くであろう『地獄』を。

 

「いぎゃぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!?!! あぢゅいっ!? あぢゅいっ!? あぢゅいっ!?あぢぃいいよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!??!!!!」

 

 揚げ物鍋が傾けられた事で零れた油はシズコの背中へと流れ、その熱で彼女の身体を焼き焦がす。

 

「あ゛ぁ゛あ゛あ゛っ!? あづぃいいっ!? ぜな゛がいぢゃうぅっ!? あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛っ!! だじゅげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇっ!?」

 

 その熱さから逃れようと、シズコが身体を暴れさせるも拘束は解けず、ただ悲鳴を上げるばかり。そして、そんな反応を楽しむかのように不良生徒の部下達は彼女の無様な姿をカメラに納め続けた。

 

「あ゛ぁ゛づいぃいいいっ!? ぜに゛ゃがやけちゃうぅうううっ!? ぐるぢぃっ!! あぢゅぃぃいいっ!?」

 

 背中に広がる熱から逃れようともがくが、それは彼女を追い詰める行為にしかならない。そして数分後には揚げ物鍋の中は空になったのか傾きを戻すと、不良生徒は部下達に命令を下すのであった。

 

「よし、揚げ物鍋はその辺に置いとけ。後は水でもなんでもぶっかけて応急処置しときな」

 

「了解っす」

 

「あいよぉ」

 

 そんなやり取りをしてから、不良生徒は煙を上げながら悶絶するシズコの髪を掴み上げゆっくりと持ち上げる。

 

 煮えた油が顔にもかかったのだろう。彼女の肌は所々が赤く爛れ、そして目尻からは涙が零れている。

 

「たひゅけでぇ……だれがぁ……だじゅげ……」

 

 うわ言のようにそう呟くシズコ。しかし不良生徒は慈悲を与える事もせず、いい画が撮れたと満足するだけだ。

 

「だじゅげ……だじゅげ……て……」

 

 そんな不良生徒に懇願するように手を伸ばすシズコだが、当然その手が何かを掴む事はない。ただ無意味に空を切り、それを不良生徒が嘲るように笑うだけだった。

 

「お~い、早く水かけてやんなって。流石にこのままだと拙いからなぁ」

 

「ちょっと待ってください。水持ってきたんで」

 

「このままぶっかけりゃいいっすか?」

 

「おぉ……てか、それって消毒液じゃ」

 

「……あ、やっべ」

 

 不良生徒が制止する間もなく、部下がシズコの顔面に消毒液をぶっかける。

 

「いぎゃあ゛ぁ゛あ゛あ゛っ!? い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!?!」

 

 そんな悲鳴が上がる中、シズコの顔や背中は焼け爛れた皮膚と共に消毒液まみれとなり、その痛みと熱にシズコは悲鳴を上げながら身体をのたうち回らせる。

 

「あ~あ、火傷の応急処置に消毒液は拙いっしょ」

 

「え、そうなんすか?」

 

「おぉ、なんかの漫画でそう描いてた気がする。治りが遅くなるとかなんとか」

 

「あちゃぁぁ……すんません。やっちまいました」

 

「まぁ、気にすんな。依頼的には好きにして良かったんだからな。あとはそっちで良い感じにしといてくれや」

 

 そんなやり取りをしながら、不良生徒は痛みでのたうち回るシズコを他所に、先に部屋から退出した。その後、部下達はシズコの火傷を冷やし、応急処置を済ませた後に彼女を拘束していたロープを外すとそのまま放置して部屋を後にする。そして、最後に残った者は……。

 

「あ~……これどうすんだよ」

 

 そう呟く視線の先には、背中の広範囲を火傷したシズコが涙と鼻水と涎を垂れ流しながら痙攣していた。

 

「……とりあえず、めんどくせぇから鎮静剤でも打つか」

 

 そう言うと、部下は使い捨ての注射器とアンプルを取り出すとシズコの腕へと針を刺し込み薬を投与するのだった。そして数十分後……全身の痛みと熱から解放されたシズコは、目を瞑って静かに寝息を立て始める。そんな様子を見ながら部下は溜息をついた。

 

「ま、手当てしたし大丈夫か? あ~あ、制服ダメになったなぁ。売ったらそれなりにしたんだろうけどなぁ」

 

 そんなどうでもよさそうな呟きと共に、痛みから解放されたシズコを横目に、部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 翌日、不良生徒の部下に再び鎮静剤を投与され、火傷による痛みから解放されたシズコは安堵の息を漏らした。

 

 しかし、現状はそれほど甘くはない。火傷により背中や顔の彼方此方に水疱が出来ており、身体の火照りや痛みも未だに収まってはいない。そして火傷した箇所を覆うように包帯が巻かれてはいるものの、それで問題解決とはならないだろう。

 

 出来るだけ早く、病院で治療を受けなければ、傷痕が残るどころか傷口にばい菌が入り、危険な状態になるだろう。だからといって、今はどうする事も出来ない。外と連絡を取る手段はない上に、部屋に閉じ込められている状況だ。逃げる事はまず不可能だろう。

 

「……これから私……どうなるの?」

 

 そんな疑問を口にしつつも、シズコの脳裏には『最悪の結末』が過る。

 

「いや、だ……死にたくない……」

 

 そんな呟きが部屋に木霊する中、部屋の扉が開かれて不良生徒が姿を現した。その姿を見た途端、恐怖と絶望に顔を引きつらせるシズコ。

 

「あ……あぁ……」

 

 そんな彼女に、不良生徒は満面の笑みで近付き、そして口を開いた。

 

「やぁ、元気してた?」

 

 まるで何事もなかったかのようにそう言う不良生徒に対し、シズコは身体を震わせながら小さく呟いた。

 

「……お願い……お願いします……なんでもしますから助けてください……こ、今回の事も、誰にも言いません……ですから、どうか……私を解放して……っ」

 

 そんな悲痛な声に不良生徒は楽しげに笑うのだった。

 

「え? 嫌だけど?」

 

 そんな反応に、シズコの表情が絶望に染まる。そんな彼女に対し、不良生徒は笑いながら言葉を続けていった。

 

「いや~ほんと、依頼主には困ったものだよ。煮ても焼いてもいいって言ったから実行したのに『違う、そうじゃない』ってクレームつけてさぁ。まぁ、許容の範囲だからオッケイって事になったんだけど、追加注文が入ったんだよねぇ」

 

「え……あ、あの……」

 

 突然の話題の切り替えに困惑したのかシズコは目を白黒させるが、そんな事お構いなしとばかりに不良生徒の話は続いた。

 

「シズコちゃんのお食事シーンが見たいってさ。舌先がちょっと火傷しているけど問題ないよね?」

 

「しょく……じ……?」

 

「そ、食事。あ~でも、此処だと無理だから、ちょっと場所を変えるね」

 

 そう言ってシズコを立ち上がらせると、不良生徒は彼女の手を引き部屋を出る。

 

 初めて部屋の外の光景を目にしたシズコは小さく息を呑み、そんな反応に不良生徒は苦笑しながら歩き始めた。

 

「それじゃ行こっか」

 

 手を引かれ、廃墟の奥へと連れていかれる。

 

 彼女は食事と言っていた。普通に考えれば何も問題ない筈だ。しかし、シズコの脳内では『違う』という否定の言葉だけが響き渡っていた。

 

 そんな不安に駆られつつも歩みを進めるとやがて廃墟の奥へと辿り着き、そしてそこにあったものに、シズコは言葉を失った。

 

「これ……は……?」

 

 目の前に広がる光景に、シズコは驚愕し目を大きく見開いた。それもそうだろう。何故ならそこにはテーブルもなければ椅子もない。代わりにあるのは見慣れない機材のみ。

 

「あの……アレ……は……?」

 

「あぁ、あれな。今からシズコちゃんはあそこで食事をするんだよ」

 

「…………ぇ?」

 

 不良生徒の言葉にシズコは呆然とし、そんな反応に満足したのか彼は楽しげに笑いながら彼女の質問に答えるのであった。

 

「ほら、あそこに正座する場所があるんだけど、あれで足を固定してさ……てか、まぁあれ自体が拘束具なんだけど、額はあそこの凹みに合わせて固定すれば動けなくなるって訳」

 

「ぇ……………………ぇ……………っ」

 

 言っている意味が分からず、狼狽するシズコを他所に、不良生徒は彼女を拘束具の前まで連れて行き、そのまま座らせる。

 

 そして、しっかりと額が拘束具が固定された事を確認して満足する不良生徒に抗議の声を上げた。

 

「こ……れで……何をさせる気……ですか………」

 

 その声には困惑と恐怖が入り混じり、その表情を窺い知る事は出来ない。

 

「いやね、シズコちゃんって可愛いじゃん? そんな子が足だけ拘束されて動けない状態になってさ……なんかこう……グッとくるものがない?」

 

「……わから……ないです」

 

 そんな不良生徒の言葉にも、シズコは答える事が出来ない。

 

「そっか、それは残念。まぁ、そういう需要があって、シズコちゃんには是非、偏った趣味趣向の方々に向けた映像を提供したい……って話なんだよね」

 

「……え? あ、あの……」

 

 そんな不良生徒の説明に戸惑いを隠せないシズコ。そんな彼女の反応を楽しむかのように彼女は説明を続けるのであった。

 

「それじゃ、早速食事の準備を始めよっか。その前にシズコちゃんにはこれもつけてもらわないと」

 

 そう言って不良生徒が取り出したのは開口器。口を閉じられなくする為の拘束具だ。

 

 そして、抵抗できないように両腕を縛ると、その開口器を彼女の口へと装着する。

 

「んぐぅっ!?」

 

 突然の事に驚きの声を上げてしまうシズコだが、それも無理はないだろう。何せ、今まで一度も使った事のない道具を突然使われれば誰だって驚く筈だ。

 

 そんな彼女に不良生徒は笑顔を浮かべながら言葉を続けていった。

 

「今回の食事も特別なものでね。依頼主さんが態々用意してくれたんだよ。良かったね」

 

「むぅっ! むぅぁ……っ!」

 

 そんな不良生徒の言葉に、シズコは抗議の声を上げるが、開口器によって開かれた口ではまともに言葉を発せずに終わる。そんな様子にクスリと笑いつつ、不良生徒は用意したバケツの中にあるものをシズコに見せた。

 

「何だと思う?」

 

 近付くバケツ。そしてそこから放たれる異臭に、シズコの表情が強張った。

 

「……っ!?」

 

 そんな反応に不良生徒は大正解と言わんばかりにバケツを床に置いた後、シズコの耳元でそっと囁いた。

 

「これはな。依頼主の糞尿をお粥に混ぜて作った料理だ」

 

「っ!?!?」

 

 そんな不良生徒の言葉にシズコの表情が大きく歪む。そんな彼女のリアクションを楽しみつつ、彼女は再びバケツを持ち上げると見せつけるかのように中身をかき回した。

 

「朝のお粥は良いぞぉ。低カロリーだし温かいから血行促進に代謝も良くなるからダイエットには最適だ。まぁ、依頼主の糞尿で出来ているから味は最悪だろうけどな」

 

 そう言って準備を整えると、機材に取り付けたカメラを起動させ、撮影を開始するのであった。

 

「さて、このままだと全部は食べきれないだろうね。だから、ちゃんと食べられるように手伝ってやろう」

 

 不良生徒のいう通り、このまま口を開いた状態であろうと、嚥下する事はないだろう。しかし、それはあくまでも、『今のままでは』無理という話だ。

 

「あぐっ……!?」

 

 開口器により大きく開かれた口、そこに漏斗を差し込むと不良生徒はバケツの中に入っている糞尿混じりのお粥を流し込み始める。

 

「ぐっ!? んぐぅっ!?」

 

 口内に流れ込んでくる異臭を放つドロドロとした液体に、シズコは顔を青褪めさせえずくも出てくるのは嗚咽だけ。そんな反応を楽しむかのように不良生徒はお粥を流し込んでいき、やがて口いっぱいになる程の量を流し込むと一旦止め、そして再び流し込みを始めた。

 

「むぐぅっ!? おぐっ!?」

 

 漏斗により、鼻も塞がれ、息をする為には流された糞尿の混ざったお粥を飲み干さなければならない。しかし、そんな事を出来る筈もなく、次第に息苦しさと嫌悪感がこみ上げてくる。

 

「おぶっ!? んぐぅっ!? おごぉぉぉぉぉ!?」

 

 そんな状況から少しでも逃れようとシズコは必死でもがくが、拘束されている状態ではそれも叶わない。結果、彼女はただされるがままに糞尿を流し込まれるのであった。

 

「んぶっ! おごっ!? おぇっ!?」

 

 やがて流し込まれたお粥を全て飲み干し、胃袋へと収められた頃になるとシズコの表情は完全に青褪めてしまっていた。

 

「はい、お粗末様でした」

 

 そんな彼女の姿を見て満足そうに笑う不良生徒。そして、そんな彼女にシズコは涙目になりながらも抗議の視線を向ける。

 

「げほっ……うぇ……けほ……」

 

 そんなシズコの視線などお構いなしとばかりに、不良生徒は糞尿混じりのお粥で一杯になったお腹を撫でながら、指先に力を籠める。

 

「うぶ……おぇ……んぐぅぅっ!?」

 

 軽くお腹を押されただけで、シズコの口からは汚らしいげっぷが飛び出した。しかし、まだこれで終わりではないのだろう。不良生徒は目を細めながら楽しげに口を開いた。

 

「そういえば、何で口と鼻を塞ぐ漏斗がこんなにおっきいと思う?」

 

 「……ぅ?」

 

 そんな不良生徒の言葉に、シズコは眉根を寄せた。しかしそんな反応も気にせず、不良生徒は言葉を続ける。

 

「それはな……こうして使うからなんだよっと!」

 

 そんな言葉と共にシズコの鳩尾目掛けて放たれた拳。それにより、彼女は大きく目を見開き身体を震わせた。

 

「がっ!? あ……はぁ……んぐぅぅっ!?」

 

 痛みに呻く彼女を無視し、不良生徒は容赦なく鳩尾に連続して拳を打ち付けていく。その度にシズコの口からは苦悶の声が上がり、同時に糞尿混じりの胃液が吐き出された。

 

「ふぅっ! おぅっ! あぶぇぇっ!」

 

 口や鼻から吐き出された吐瀉物は、再び漏斗内に溜まり、シズコの口と鼻を塞いでいく。

 

「ふっ! あぶぅっ! んぐぅっ!」

 

 そんなシズコの様子を見て不良生徒は楽しげに笑うと、今度は腕を彼女の鳩尾に突き刺さした。そしてそのままグリグリと動かしながら押し込んでいく。

 

「おぶっ! あぶぁっ!」

 

 腕を捻られる痛みに、シズコは涙を流す事しか出来ず、口からは逆流してきた胃液が吐き出された。

 

 酸素を取り込むためには吐瀉物を飲み込まなければならない。しかし、再び糞尿混じりのお粥と胃液が混ざったものを受け入れるのは苦痛でしかなく、彼女は何度もえずきを繰り返す。

 

「おごぉっ! おぶぇっ!」

 

 吐瀉物を飲み干し、漸く一呼吸出来たと思った矢先に再び腹部を刺激され、胃が収縮し、そして嘔吐してしまうという悪循環。

 

「おごぇっ!」

 

 そんな地獄のような責め苦に、シズコは涙を流して悶えるしか出来なかった。しかし、そんな反応を楽しむかのように不良生徒は更に彼女の腹を押し込んでいくのであった。

 

「おぶぇっ! おごっ!? あがぁぁあぁっ!?」

 

 そんな不良生徒の責めに、シズコは涙を流しながら悶え続ける事しか出来ない。

 

 幾度となく、不良生徒の拳がシズコの腹部を殴打し、火傷を免れた白い肌が青黒く変色していく。更に、火傷による水疱も破れて血が滲み出ていた。

 

「あぶっ……おぶぇぇっ! ブクブクブクブクブク……」

 

 胃が痙攣し、吐瀉物を飲み込む事を拒絶する。しかし、窒息しない為には飲み込むしかない。

 

 不良生徒も、その辺りは弁えていたのだろう。これ以上追い打ちをかける事無く、シズコが最後の力を振り絞って吐瀉物を飲み干すのを確認すると、漏斗を抜き、拘束具から解放すると、用意していた水の入ったバケツをシズコに差し出した。

 

「ほら、口をゆすいで」

 

 そう言いながらタオルを口元に宛がう不良生徒に対し、シズコは弱々しくバケツの中の水を口に含み、うがいする。

 

 本当なら、無理矢理流し込んだ糞尿混じりの吐瀉物を吐き出したい。しかし、吐き出せば何をされるか分かったものではない。だから、彼女は歯を食いしばって耐えたのだ。

 

「ほれで……もうゆるじて……」

 

 げっぷを吐き出しながら涙と鼻水まみれの顔で許しを乞うシズコ。そんな彼女に、不良生徒は言った。

 

「良いよ。撮りたい画はしっかり撮れたから、食事の方は勘弁してやんよ」

 

「あ……ぁ……ありが……とう……」

 

 そんな不良生徒の言葉に、シズコは安堵した表情を見せる。だがしかし、彼女は忘れていた。『糞尿混じりの食事をさせる』という動画の撮影が終わっただけで、ここからが本番だという事を。

 

 

 

 

 食事の後、監禁されていた部屋に戻されたシズコは、再び拘束されて天井に吊るされる事となった。

 

 背中の火傷もそうだが、先程の食事で、精神的にも肉体的にも限界が近付いているのは確かだ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 そんな状況の中、シズコの呼吸は荒いものになっていた。

 

 長時間の拘束は、当然ながら身体に負担をかける。さらに追い打ちを掛けるように『食事を強制的にさせた』という精神的苦痛も合わさって体力の消耗は計り知れなかった。

 

「もう……許して……」

 

 そんなシズコの弱々しい呟きに反応する者はいない。不良生徒の部下達は彼女を見張りながら談笑を繰り返し、彼女の存在は蚊帳の外。唯一、彼女に意識を向ける時は、彼女の瞼が閉じ、意識を失う寸前の瞬間だった。

 

―これから数日間、彼女を拘束した状態で放置するけど、寝かせんなよ―

 

 その指示通り、シズコの意識が失われそうになる度に、部下達は彼女に殴る蹴るなどの暴行を施し、無理矢理意識を覚醒させるのであった。

 

「おねが……ねか……せ……ねかひぇ……」

 

 そんな懇願も虚しく、彼女の意識は痛みと疲労によって閉ざされる。そして再び目覚めては部下達に暴行されるという行為を何度も繰り返すうちに、シズコの精神は完全に摩耗していた。

 

「おねが……ひまふ……ころ…ひへ……」

 

 一日、二日と時間が経つにつれ、シズコの心は壊れていった。涙は涸れ、目は虚ろとなり、表情が消える。

 

 目の前でわざと仮眠を取られ、自分だけは目を瞑る事すら許されない。そんな日々に、シズコは希望を見出す事も出来なくなりつつあった。

 

「なんか最近反応うっすいなぁ」

 

「眠すぎてそれ所じゃないとか?」

 

「あぁ、そうかも。やっぱ殴ったり蹴ったりだけじゃ、刺激が足りないのかもな」

 

「じゃあどうするよ?」

 

「そうだなぁ……あ、良い事考えた」

 

 そう言って不良生徒は何かを取り出すとシズコの下着を脱がせ、取り出したものの先端を彼女の肛門に押し当てた。

 

「これなら目を覚ますっしょ?」

 

 そう言って、シズコが所持していたSGの引き金を引き、銃弾が。彼女の腸内へと吸い込まれていった。

 

「いぎぃいっ!?」

 

 意識を失いかけた状態からの突然の衝撃に、シズコが悲鳴を上げて目を覚ますと不良生徒の部下達はゲラゲラと笑う。

 

「あっはははは! 起きた起きた!」

 

「やっぱ肛門から撃つのが効果あるな!」

 

 反応を楽しむかのように更に引き金を引き続ける。

 

 銃声が響くたびにシズコの悲鳴が木霊し、その痛ましい光景に不良生徒達は腹を抱えて笑うのだった。

 

「いだい!? おひりがいだいぃぃぃぃぃぃっ!!?!」

 

 肛門から血を垂れ流しながら痛みに喘ぐシズコだったが、そんな彼女を部下達は容赦なく責め立てる。

 

「あぐっ!? あがっ!? おごぉぉおっ!?」

 

 不良生徒の部下達はシズコの髪の毛を掴むと力任せに引っ張り、その痛みに絶叫する彼女の顔面を殴りつける。

 

「あがぶぅっ!?」

 

 口内に広がる血の味。その味と臭いにシズコの顔は青ざめていき、全身が痙攣したように震え始める。その様子を見て不良生徒は笑みを浮かべると、再び引き金を引いて銃弾を放った。

 

「いぎぃいいっ!? あがぁぁあああっ!?!?」

 

 肛門から腸内へと直接撃ち込まれる弾丸。その衝撃は凄まじく、彼女の肉体と精神を蝕んでいく。しかし、それでもなお不良生徒達の暴行は続くのだった。

 

「あがっ!? あぐっ!? あぎっ!?」

 

 やがて引き金を引いていた不良生徒の部下が銃弾を撃ち尽くしたのか、銃声が止まる。それと同時にシズコを荒い呼吸を繰り返しながら、ぐったりと脱力してしまった。

 

「うわすっげぇ血が出てる」

 

 そんな彼女の肛門は血まみれになっており、その出血量に驚いた様子を見せる不良生徒の部下達だったがその光景をカメラに収めた部下が『これも売れそう』と大喜びである。

 

 しかし、立て続けに起きた銃声に、流石の不良生徒も気付いたのか、扉を乱暴に開くと部屋内へと入ってきた。

 

「お前等何してんだ!」

 

 そんな不良生徒の言葉に、シズコに暴行を加えていた部下達はビクリと肩を震わせると冷や汗を流しながら振り向いた。

 

「あっ……すいま……」

 

「何をしてるって聞いてんだよ!」

 

 そんな言い訳を聞く耳持たないとばかりに不良生徒が怒鳴る。その迫力に思わずビクリと体を震わせる部下達だったが、次の瞬間には不良生徒が部下の肩をポンと叩き、呆れた表情を浮かべながら口を開いた。

 

「そういう面白れぇ事は私も混ぜろよ!」

 

 そんな事を言いながら、不良生徒は再びシズコに向き直る。そして、部下達から受け取ると、銃口を腹部に向け、引き金を引いた。

 

 しかし、引き金を引いても弾は出ない。

 

 既に撃ち尽くされた状態だった為、難を逃れたシズコだが、不良生徒はSGを持ち直すと、銃床を彼女の背中目掛けてフルスイングした。

 

「ひぎぃい!?」

 

 背骨を砕くかのような一撃に、シズコは目を見開いて絶叫を上げる。その様子を見た不良生徒は楽しげな笑みを浮かべながら弾を装填し直すと、火傷の箇所に銃口を宛がい、引き金を引いた。

 

「あぎゃぁぁぁっ!? あぎいぃぃぃっ!?」

 

 背中の傷に撃ち込まれる銃弾。皮膚は焼き爛れ出血量も増えており、更なる激痛が彼女の脳髄を焼いていく。そんなシズコの反応を見て、不良生徒は再びSGの引き金を何度も引いた。

 

「いぎぃぃいっ! あぐぅぅぅっ!」

 

 皮膚が弾け肉が飛び散り骨が砕ける音が響き渡り鮮血と絶叫に部屋の中は満たされていく。

 

 そんな光景を眺めながら、不良生徒の部下達は楽しそうな笑みを浮かべるのであった。

 

「いいか。楽しい情報ってのは共有するのが大事なんだ。私が折角、最後の仕上げの準備をしてたってのに、お前らときたら全く」

 

「す……すいません……」

 

 呆れ顔で溜息を吐く不良生徒。その言葉に部下達は苦笑いを浮かべるのだった。確かに、少し悪乗りが過ぎたかもしれないと思う部分はあるのだろう。しかしそれでも楽しんでいた事は間違い無いのだから始末に負えない話だと言えよう。

 

「ま、準備は整った。今日くらいは寝かせてやるか。お前達も明日に備えてしっかり睡眠はとっとけよ」

 

 そんな不良生徒の言葉に部下達は安堵するように胸を撫で下ろすと、『明日』に備えて身体を休める為に用意された寝室へと向かうのであった。

 

「良かったな。明日はもっと楽しめるぞ」

 

 そんな事を呟きながら不敵な笑みを浮かべる不良生徒はシズコの方を向く事無く、部屋の中を後にするのであった。

 

 

 

 

 翌朝、起床と共に部屋から連れ出されたシズコは、水で身体の汚れを落としてもらうと、そのまま別室へと連れて行かれる事となった。

 

「それじゃ、最後の撮影と行こうか」

 

 そう言ってボロ布同然だった着物を脱がされ下着すらも奪われ裸にされたシズコは、用意された綺麗な大型ベットの上に寝転がされる。

 

 生まれたままの姿をカメラに晒すという羞恥。しかし、不良生徒の部下達はそれを気にする事無くシズコの裸体を撮影するのであった。

 

「おら、とっとと股開け」

 

「その為にそっちの方は何もしなかったんだからよ」

 

 不良生徒の部下達の命令に、しかしシズコはカメラに映らないように股を閉じ、顔を俯けながら首を横に振った。

 

「もう……やめてください……」

 

 そんなシズコの呟きは、しかし不良生徒の部下達によって一蹴されてしまう。

 

「あ? やめねぇよ」

 

 そんな声と共に部下達は彼女の身体を押さえつけると無理矢理股を開かせた。

 

「ひぃっ!?」

 

 そんな光景に恐怖の声を上げるシズコだったが、そんな彼女の様子に嗜虐心を煽られた部下達は、露わになった秘部にカメラのレンズを近付け、シャッターを切る。

 

「あうぅ……」

 

 パシャリという音と共に感じる羞恥心に、シズコは顔を赤く染めた。そんな反応を楽しむかのように不良生徒は笑うのであった。そして一頻り撮影を済ませると、今度は別の余興が彼女を待っていた。

 

「よし、良い感じに撮れました」

 

「オッケイ。それじゃ、次は別のジャンルでいきますか」

 

「お、アレをやるんすね?」

 

「おぉ、アレか。良いね」

 

 楽しげな会話を繰り広げる部下達の様子に、シズコの顔には困惑の色が浮かんだ。一体これから何をされるのか、という不安から来るものなのだろう。

 

 そんなシズコの心情を知ってか知らずか不良生徒はそのまま話を続ける。

 

「じゃ、力仕事は任せたぞ」

 

「えぇ、任せてください」

 

 不良生徒の指示に、部下達がシズコの身体を抑え込んで身動きを取れなくすると、二人の部下が彼女の足を片方ずつ持ち上げ、ゆっくりと開脚させた。

 

「な……何を……」

 

 その行動に、これから行われるであろう行為を察したシズコは身体を震わせながら口を開く。しかしそんな彼女の言葉を無視し、不良生徒達は作業を進めるのであった。

 

 足は次第に開脚され、徐々に限界に近付いていく。可動域限界まで広げても、それでも部下達は彼女の足を開かせ続ける。

 

「い、いた……痛い……痛い痛い痛い痛い!!?!」

 

 股関節が悲鳴を上げ、骨が軋みを上げる。そんな痛みにシズコは涙を流しながら絶叫を上げ続けた。だがそれでも部下達は手を緩める事無く、更に開脚を進めていく。

 

「あがぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁああっ!?!?」

 

 そんなシズコの悲鳴と絶叫、そして股関節がボコンと音を立てて外れる音が室内に響き渡った。

 

「あ……がぁ……」

 

 あまりの激痛に意識を失いかけるシズコだったが、部下達は未だに足を広げて開脚させ、靭帯がブチブチと切れていく音が響き渡り、更なる絶叫が木霊する。

 

「あぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁっ!? いやぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁぁあっ!!??」

 

 股関節が脱臼し、更に靭帯までもが引き千切られてしまった。足に力を入れようとするも動く事が出来ず、自分の意思とは裏腹にただ無様に痙攣を繰り返すだけである。

 

「あぎっ!? あがぁぁあぁっ!?」

 

 そんな状態から更に別の痛みが走る。それはだらんと力なくベットに投げ出されていた足の膝に、部下の一人が飛び乗ったからだ。

 

「あっぎいぃあぁああぁっ!?!?」

 

 飛び乗った勢いで、部下の体重が一気にシズコの膝へとかかる。それと同時にビキビキと音を立てて膝から下は折り曲げられてしまった。

 

 そしてもう片方の膝も、別の部下が無理矢理曲がらない方向に力を加えられ、ボキっと鈍い音が響き渡る。

 

「いぎぃいいいいぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?!?」

 

 股関節の脱臼と靭帯の断裂。そして膝の骨折という激痛にシズコは絶叫を上げる事しか出来なかったが、部下達はそんな事はお構いなく彼女の身体を壊していく。

 

 ついにはうつ伏せの状態で部下達がシズコの骨盤に何度も膝打ちを食らわせ、骨盤の粉砕骨折を引き起こす。

 

「いぎぃいいっ!? あぐっ!? うがぁぁあっ!?」

 

 腰から下の骨や関節の大半が機能不全を起こし、口から泡を吹きながらビクンビクンと痙攣を繰り返すシズコ。

 

 骨盤は砕けて、身体の自由が利かなくなった彼女は最早逃げる事も出来ず、ただただ痛みと恐怖に震える事しか出来なかった。

 

「あぎぃいいいぃぃっ!? あぐっ……あぁっ……」

 

 そんな彼女の悲鳴を聞きながら不良生徒の部下達は楽しげに笑い声を上げるのであった。

 

 

 

 

「さて、と……そろそろ仕上げだな」

 

 そんな不良生徒の呟きと共に部下達はシズコを仰向けにひっくり返す。するとそこには見るも無惨な姿となった彼女の姿が映し出されていた。

 

「あぎっ……うぅ……」

 

 顔は涙と鼻水で酷い事になっており、白目を剥き、口元からは泡を吹きながら小刻みに痙攣を繰り返すシズコ。その姿はとても生きているとは思えない状態であったのだが、不良生徒は彼女の身体を持ち上げ、移動に使った車に詰め込むのであった。

 

「さて、と……最後の仕上げだ上客を待たせてるんだ。遅れたら大変だぞ」

 

 そんな不良生徒の言葉に、部下達はシズコに目隠しを施し、誘拐した時と同じく段ボールに彼女を詰め込むと、そのまま車は発車する。

 

 そして、人気の少ない男性専用公衆トイレの前に車を停車させると、段ボールの中に詰め込んでいたシズコを多目的トイレの中へと放り込む。

 

「ふぅ……一仕事したって感じがするな」

 

 そう言って肩を回す不良生徒に、部下達は楽しげに笑うのであった。

 

「にしても、あんな状態でヤッて楽しいんすかねぇ?」

 

「だから言ったろ? 需要があんだよ」

 

「はえぇ……」

 

 そんな会話をしながら、念のためにと手錠でシズコが多目的トイレから逃げられないように拘束すると、車に乗車してその場から離れていく。

 

 後の『お楽しみ』は上客に任せる為、不良生徒達は次なる場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 とある熊住民は、彼女からの突然の連絡に戸惑いつつも、指定された場所まで急いで向かう。

 

 内容はこうだ。

 

―貴方の趣味趣向にあった女性を置いてます。好きに使ってください。『初めて』は早いもの勝ちです―

 

 そんな一方的な内容のメールであった。

 

「本当に……何なんだ? いや、本当に内容通りの事があるってのか?」

 

 そんな呟きと共に熊住民が辿り着いたのは、百鬼夜行連合学園の自治区内にある人気の少ない公衆トイレ。

 

 そこの多目的トイレに、彼の趣味趣向に沿った女性が置いてあるというのだ。

 

 もしそれが本当なら……。

 

 焦る気持ちを必死に抑え、そして目的の場所に到着した熊住民は、心臓が早鐘のようになるのを感じながら、そっと扉を開いた。

 

 そこには、確かに彼の趣味趣向に沿った女性が転がっていた。

 

 河和 シズコ。百鬼夜行連合学園所属。お祭り運営委員会の委員長。文化祭の計画と運営を主に担当し、その傍らで百夜堂のオーナー兼看板娘をしていた少女だ。

 

 しかし、百夜堂で見かけた時の彼女の面影は何処にもなく、骨盤は砕かれ、股関節や膝、足の骨は折られているか砕かれており、顔や上半身は火傷の痕でボロボロの状態で、微かに呼吸をしている事で、何とか一命は取り留めている状態である事を理解する事が出来る。

 

 喫茶店で笑顔を振りまく彼女が、ボロボロの状態で転がっている。それも裸の状態で。後ろの方は使いものにならない状態だったが、しかし前の方は……。

 

「……………………」

 

 思わず生唾をごくりと飲み込む。まだ彼女の秘部は、綺麗な形を保っていたからだ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 興奮し息が荒くなる熊住民の気配に、シズコは意識を取り戻す。

 

 目隠しをされていて相手の顔は見えないが、それでも、不良生徒やその部下でない事だけは分かる。

 

「たす……け…………たすけ…………………て…………っ」

 

 激痛に耐えながら、シズコは必死に助けを求める。しかし、その訴えも虚しく熊住民は彼女の身体に触れるのであった。

 

 肉を叩き付ける音。そしてくぐもった悲鳴。獣の本性を現した住民の牙がシズコの首筋に食らいつく。

 

 牙が柔肌を裂き、肉に突き刺さる。その痛みと恐怖で悲鳴を上げた。しかし、住民はそんな彼女の悲鳴や表情を楽しむかのように牙を更に深く食い込ませるのであった。

 

 肥大化した肉棒がシズコの秘部を貫き、子宮を介して心臓に突き刺さる。

 

 骨盤が砕けた状態でなければ、熊住民の肉棒を受け入れる事は出来なかっただろう。

 

 シズコの体躯には無理がある肉棒は、彼女の内臓を押し潰しながら体内を蹂躙する。

 

 何度も何度も突き刺され続ける肉棒に、シズコの腹部は歪に膨らみ始めていた。

 

「んぶっ!? おごっ……あぐっ!?」

 

 そんな悲鳴を聞きながら熊住民はピストン運動を続ける。

 

「んぶぅ!? あがっ、おぉえっ!?」

 

 胃を圧迫され、逆流した吐瀉物が口元から溢れ出す。しかし熊住民はそんな事お構いなしに彼女の身体を貪るかのように犯し続けた。

 

「あがぁ!? おごっ! あぎぃぃいぃ!?」

 

 肉棒が彼女の子宮口を何度も殴りつける。その度に、彼女は身体を痙攣させながら悲鳴を上げ続けた。

 

「おごっ!? あぎぃいいぃぃ!! おごぉおぉぉっ!!」

 

 もう何処を犯されているのか分からない程の激痛と快楽に脳が蕩けそうになる。

 

 しかしそれでも彼女は必死に意識を保っていた。そして、そんな彼女の耳元で囁くように熊住民は言ったのであった。

 

「このまま……中にっ!?」

 

 その言葉に、シズコは声すら上げる事も出来ず、ただただ絶望の表情を浮かべる事しか出来なかった。

 

「うぅ……」

 

 いつの間にか、シズコは泣きじゃくっていた。まるで子供のように惨めに涙を流しながら泣いているのだ。

 

 そんな彼女の涙を掬うように、住民は舌で舐め取るとそのまま唇を重ねるのであった。

 

 舌が絡み合う。唾液を流し込まれ、それを飲み込む事を強要されるシズコだったが、抵抗する気力など残っておらずゆっくりとした動きでコクンと喉を鳴らすのであった。

 

「はぁ……あぁ……」

 

 ようやく解放されて深い呼吸を繰り返す彼女を見ながら熊住民が笑う。

 

 そして、最後の仕上げと言わんばかりに、根元まで肉棒を突き入れた。

 

「ひぎぃいいぃぃっ!?!?」

 

 そんな悲鳴を上げるシズコであったが、その声は直ぐに小さくなり始める。何故なら……熊住民の肉棒から大量の精液が放出され始めたからだ。その勢いは凄まじく、瞬く間に彼女の子宮を満たし、逆流して溢れ出した精液が、彼女の秘部から吐き出されるのであった。

 

「あぁ……あ……」

 

 虚ろな目をしながら、シズコは秘部から逆流してくる精液を感じ取りながらも声を漏らす事しか出来ずにいた。そんな状態になりながらも、熊住民は彼女の耳元でこう囁くのであった。

 

『……楽しかったぜ』と。

 

 

 

 

 シズコが行方不明になってから数週間の月日が流れた。

 

 当初は祭りの準備で必要な機材を取りに行く為、自治区を離れていたと思われていたが、連絡もつかず、行方不明となった事で百鬼夜行連合学園の陰陽部は捜索を開始。

 

 しかし、その努力も空しくシズコは見つかる事は無かった。

 

 捜索は難航し、僅かな情報しか得る事も出来ず、彼女の失踪は迷宮入りになるかと思われた。

 

 しかし、陰陽部に届けられた一枚の映像媒体の画像データ。

 

 その映像に写っていたのは、行方不明となったシズコの姿であった。

 

 そんな彼女の姿を見て、皆が皆、言葉を失う。

 

 何故ならば、そこに映されていたのは何処かのトイレで慰み者にされて横たわるシズコの無残な姿だったからだ。

 

 下半身の骨は折れて変形し、身体中の彼方此方に大小無数の傷痕を残し、そして秘部と口、菊門からは逆流した精液が溢れ出してきているというあまりにも酷い状態。

 

 最早生きているか死んでいるかすらも分からないシズコの姿を見て、誰もが絶句する中、映像は途切れた。

 

 だがしかし、そこで終わりではなかったのだ。

 

 画面に表示された文を読んでみると自治区内の公衆トイレにまだ『備品』がある……といった文章が書かれているではないか。

 

 それを見た陰陽部の面々は、すぐにその場所へと向かうのであった。

 

 そして、到着した彼女達が見たのは、使い古されたシズコの姿。

 

 辛うじて息はしていたが危険な状態であるのは間違いない。

 

 急ぎ病院に搬送した陰陽部ではあったが、今回の事件は表沙汰にする事は危険と判断し、内密に処理する事となるのであった。

 

 

 

 

 時は流れ、百鬼夜行連合学園自治区に設けられた病院の一室に、シズコはいた。

 

 しかし、彼女の心はあの日あの時以来、決して癒える事は無かった。

 

 誘拐された後の出来事やトイレに放置された時の記憶がフラッシュバックし、その度に絶叫を上げて錯乱状態にまで陥ってしまう。

 

 食事もまともにとる事が出来ず、点滴で命を繋いでいるような状況だ。

 

 そんな状態である為か、彼女の身体は痩せ細り、顔もかつての愛らしい少女の表情とは思えない程に変貌している始末。

 

 そして何より、誘拐された際の拷問か、それともトイレで『使用』された際に乱暴に扱われた影響か、自身の足で歩く事が出来なくなってしまった。

 

 その事実に絶望した彼女は、ついには自傷行為を繰り返すようになったのだ。

 

 自ら傷付け、そして見えない何かに怯える毎日。そんな生活を送っている内に、彼女の心はどんどんと蝕まれて行き、ある日、ふと顔を上げた瞬間『あっ』と声を発するのを最後に、心を完全に閉ざしてしまうのであった。

 

 

 

 

―???―

「へへっ毎度あり」

 

「お、今回の収入は中々いいんじゃないっすか?」

 

「あぁ、今回のはかなりの上玉だったからな。その分リスクはあったがリターンがかなり大きかったぜ」

 

「これで暫くは遊んで暮らせますね」

 

「おいおい、その分後から仕事が増えるかもしれねぇんだぜ?」

 

 そんな談笑をしつつ今回の報酬で暫くは豪遊できると喜び合っている彼女達。そんな彼女達の手には一枚の画像データが握られていたのであった。

 

「しっかしまぁ……本当にコイツは凄かったよな」

 

 そう言って部下の一人が画像データに写る人物を指差す。そこにはシズコの姿があった。

 

 撮影された映像は闇市で高値で取引され、様々な業者を経由して流れていく。

 

 業者は業者で様々なダミー会社を経由している為、取引された映像で足が付く事はないだろう。

 

 最後にシズコを使って発散した住民たちも、心の何処かで罪の意識があるのか、口を閉ざしたままだ。

 

 そこから情報が洩れる事もないだろう。

 

「私達は必要とされるコンテンツを提供しているだけだ。それが少数派のものであればある程、その価値は高まる」

 

「そして、その需要と供給を私達が仲介する事で、より良い商品として提供できるって事っすよね?」

 

「あぁ、そうだ。その通りだ。お前も商売のノウハウが分かってきたんじゃねぇか?」

 

「えへへ、それほどでもっす」

 

「ま、こいつ以上の商品ってのは中々お目にかかれないけどね」

 

 そう言って笑う部下に釣られて他の者達も笑い声を上げる。

 

 そしてひとしきり笑った後、彼女達は次の仕事へと取り掛かるのであった。




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