※この作品はR-18です。

ブルアカ短編集   作:モノクロさん

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登場人物
・空崎 ヒナ
NTR好きな先生の為にヒナが獣市民達の慰み者になる話です。


ヒナとNTRレター

 先生の為ならなんでもする。

 そう言って、先生の望みを叶えるべく、ヒナは廃墟となったビルが立ち並ぶ地区へと足を運ぶ。

 風紀委員会の皆には私用で暫く学校を休むと一方的に告げ、行先は誰にも伝えていない。携帯を開けばアコを筆頭に風紀委員会のメンバーからモモトークのメッセージや着信が沢山送られてきてはいるものの、それらの通知はすべて既読すらせずに無視している。

 申し訳がないとは思うも、先生はそれを望んでいる。一人で指定された場所に行き、そしてそこで先生の望みを叶える。

 先生に好意を寄せ、そして先生がそれに応える条件として私に提示した条件は、はっきり言えば異常だった。しかし、恋は人を盲目にさせるものとはよく言ったもので、今の私は冷静な判断力や思考力を失っているのは明確だった。それでも、それでも先生が望むならと、私は先生の提案を受け入れ、そして今ここに居る。

 指定された場所に到着すると、廃墟となったビルの入り口には複数の人影。きっと彼等が先生の言っていた協力者だろう。彼等に近付き、事情を説明すると、彼等は私を頭の上からつま先まで品定めするように吟味すると、私の腰に手を回し、ビルの中へと案内する。

 外観はボロボロで廃墟のようなその建物の内部は意外と綺麗だった。所々剥がれかけた壁紙や床に転がったガラス片等はあるものの、人が住んでいたという形跡がある。そして、その中でも特に目立つのが個室の真ん中に置かれた学校の机と机の下に敷かれた底の深い金属製のたらいだった。室内にも既に数十人単位で今回の協力者が集まっており、扉が開かれると同時に私へ一斉に視線が注がれる。

「へぇ、君が先生が言ってた」

「まじで来たのかよ。あいつどんだけ生徒に好かれてるんだ?」

「いいじゃん。超好みだわ、こいつ」

 好奇、興奮、侮蔑、そして明らかな悪意。そんな様々な感情を含んだ視線を向けられ、思わず後退りそうになるも、ぐっと堪える。私が逃げれば先生の期待を裏切ることになる。私は彼等に頭を下げると、ゆっくりと室内に入り、部屋の中央に鎮座する机へと向かう。そして、机の上に座ると、一人の男性が前に出て、携帯を取り出した後、何処かに電話をかける。

「あ、もしもし、先生? 今、ヒナちゃんが来たんだけど……」

 どうやら連絡先は先生のようだ。彼は先生とのやり取りを終えた後、私の方へ向き直る。

「それじゃあ、ヒナちゃん。今、先生と繋がっているんだけど、先生に何か言うことある?」

 そう言って携帯画面を向けてくると、画面の向こうには先生の姿があった。緊張で胸が高鳴る。

「せ、先生……あの、きょ、今日は先生が言ってた寝取られって行為をしたいと思う。その……こういうのは初めてだし……そういう事も含めて初めてなんだけど、先生が望むなら、私、頑張るね」

『うん、ありがとうヒナ。私もちゃんと見てるから安心して』

 画面越しの先生の声は穏やかで、いつもと変わらない事に安堵する。しかし、それと同時に、先生に捧げたかった初めてを知らない誰かに捧げる事に少しだけ心にズキリと痛みが走った。本当にこれで良かったのか。いや、良い筈はない。これは間違った選択。わかっている。わかっているけど……。

(これは先生が望んだ事。だから、先生は絶対喜んでくれるよね)

 この時の私の脳内では善悪の判断など出来なくなっていた。ただ純粋に先生のために、大好きな人の願いを叶える事が唯一の目的になっていたのだ。

「それじゃ、お二人の同意も得た所で早速始めますか」

「だな、それじゃあヒナちゃんはそのまま机の上で仰向けになってねぇ」

 先生とのやり取りが終わると同時に、室内にいた男達が私を机の上に寝かせると、私の手足に手錠をかけ、そのまま机の脚に固定する。ちょっと力を加えただけで手錠の鎖や机を壊す事は可能とは思っていたが、軽く動かしてみるとビクともしない。特注品なのだろう。

 制服を着たまま、仰向けの姿勢で手足だけは机の脚に拘束されて動けない状況。傍から見たら滑稽かもしれない。だが、これから始まる事を考えると、とても笑えない状況に陥っている事だけは理解できた。

「じゃ、俺がトップバッターね」

 最初に名乗り出たのは犬の姿をした市民である。鼻息荒く私に近付くと、無遠慮に胸に手を伸ばすと乱暴な仕草で揉み始めた。

 小学生の時から殆ど成長の無い楽しみがいの無い身体を鷲掴みにして好き勝手弄られる。そのまま上に圧し掛かる姿勢になると、首筋に鼻を押し当てて深呼吸を繰り返し、身体を舐め回す様に見る。次第に荒くなっていく吐息、全身を覆う汗、発情したオスの顔、どれをとっても不快感でしかない。そして何より、ズボン越しに感じる膨らみが私の下腹部に押し付けられ、ぐりぐりと動かしてくる。明らかに性的興奮を覚えている事が嫌でも分かる程だった。

 私の匂いを堪能し、名残惜しそうに身体を離すと、視線がタイトスカートへと向けられ、貴重品を扱う様にゆっくりと捲くし上げられた。布地の下から現れた黒色のショーツに包まれた秘部を見て歓喜の雄叫びを挙げる。

「これがヒナちゃんのパンツかぁ……」

「結構エッチなの履いてんな。見た目に似合わず意外と大胆なんだね」

「本当は期待してたんじゃないの?」

 下着を見ただけで口々に感想が漏れる。周りの皆も、早く順番を代わりたいのか急かす様な視線を向けながらも、誰一人止めようとする素振りを見せない。その視線の意味するところは明白で、これから行われるであろう行為への期待感で満ち溢れていた。ショーツに顔を埋め、深く呼吸をしてくる。荒い鼻息がくすぐったく、思わず身を捩るも手足を拘束されている為、逃げる事ができない。何度も、何度も呼吸を繰り返しては舌先でスジをなぞるように舐めたり吸ったりされ、恥ずかしさで死にたくなるほどだった。やがてショーツを横にずらし、割れ目を開くと、舌を尖らせてゆっくりと侵入させてきた。狭い膣道をほじくり返すように這いずり回り、奥へ進もうと蠢いている。

 瞬間、背筋にゾクリと不快な感覚が走った。それが嫌悪によるものなのかは判別がつかなかった。ただ一つ言えることは、決して気持ち良くは無いということだ。彼は私の反応を楽しむように執拗に責め立て続ける。唾液で湿らせた舌で何度もなぞる度に、汚い水音が響き渡る。あまりの悍ましさに吐き気さえ催してしまうほどだ。長い時間そうしていたような気がするが実際には短い時間だったのかもしれない。漸く顔を上げた時には疲労困憊といった具合だったが、目元にはハッキリとした欲情が宿っていた。

 ズボンに手をかけるとチャックを下ろし、中から赤黒く肥大化した肉棒を取り出す。血管が浮き出て脈打っているそれは女性器に対する凶器とも呼べるものであり、到底受け入れられる大きさではない。亀頭部分には透明な液体が滲み出ており、糸を引いている。それを目の当たりにした途端、恐怖で全身が硬直してしまった。あれが今から自分の中に入ってくるのかと思うと胃液が逆流しそうになった。

 犬市民は自身のモノを何度か擦り上げると、躊躇なく入口に宛がう。ぬぷりという湿った音と共に侵入してきた質量に悲鳴に近い喘ぎが漏れる。まだ先端しか入っていないにも関わらず凄まじい圧迫感があり、呼吸することすら困難になってしまう程だ。

「ヒナちゃんってさ、さっきこういうのは初めてって言ってたよね?」

「まさか処女じゃないよね? まぁ、先生に貞操奪われてるかもだし、処女膜確認するために少し痛くなるかもだけど我慢してね」

 ニヤついた表情を浮かべて言うと、更に体重をかけて一気に貫かれた。

「~~~~っ!?」

 鈍い痛みと共に視界が真っ白になり、肺の中の空気が一気に吐き出される。想像以上の衝撃に意識が飛びそうになるが寸前で踏み止まった。結合部からは鮮血が流れ出し、白い机を染める。破瓜の出血だ。自分の大切なものが無惨にも散らされてしまったという事実に打ちひしがれている暇もなく激しい抽挿が始まった。ギチギチと音を立てて拡張していく秘裂に合わせて痛みが増していく。内臓を掻き混ぜられているような錯覚すら覚え、生理的な涙が溢れ出てくる。額からは脂汗が滴り落ち、シーツを濡らした。苦悶の表情を浮かべて必死に耐え忍ぼうとするも、苦痛を感じれば感じるほど肉襞は収縮し、締め付けてしまうため余計に苦しくなるという悪循環に陥ってしまった。

 そんな状態の私を他所に周囲の男たちからは下卑た野次と称賛の嵐が巻き起こる。今まで多くの犯罪者と相対してきたが、ここまで醜悪な存在は未だかつて遭遇したことがない。今すぐにでも銃を抜いて全員纏めて蜂の巣にしてやりたいのに、両腕は拘束されて使い物にならないどころか抵抗することさえ許されないという理不尽極まりない状況が続き、精神が徐々に摩耗していくのを感じていた。

 犬市民は私の腰を強く押さえつけ動きを封じると腰をグラインドさせ始めた。浅い位置での小刻みなピストン運動によって子宮口付近にある敏感な部分を集中的に攻め立てられてしまい強い刺激が与えられる。最初こそ痛みしか感じなかったそこも慣れてくるにつれて犬市民のそれを受け入れるべく、身体が愛液を分泌させる。膣内の潤滑油となる愛液量が増えたことにより摩擦係数が低下したことによってさらにスピードアップされた律動に対抗できず翻弄されっぱなしである。

 肌同士がぶつかり合う乾いた破裂音と粘っこい水っぽい音が交互に奏でられる度に羞恥心を煽ってくる。それだけではなく時折前立腺と思われる箇所をカリ首の段差で引っ掛けられたりしながら一定周期で突き続けられることにより強制的に昂ぶりを与えられていく。性行為とは本来生殖の為の行為である。その為、苦痛よりも快楽として受け入れた方が身体にかかる負担が少ないのだろう。如何に先生ではない別の男性であったとしても、行為そのものを受け入れるべく、身体が快楽信号を発するのだか、到底受け入れられるようなことではない。私にとっても初めてなのに、こんな最低最悪の初体験なんて……。

「あー出る! ヒナちゃんの中に全部出してあげるからしっかり味わってね!」

「……っ!!」

 犬市民かな何かが解き放たれる。熱くマグマの様な熱量と共に、子宮の中を満たしていく。それが精液だと悟るのに時間がかかった。避妊具など一切使用していない生の生殖器による本格的な交尾。膣内で跳ね回るイチモツの振動ごとに奥へ奥へと押し込まれていく感触に戦慄する。

 全て吐き出したと思ったところで引き抜かれると栓を失った穴からゴポッと大量の白濁液が流れ出た。太腿を伝って零れ落ちた精液は机の下に敷かれていたたらいの中に溜まっていく。このたらいがいっぱいになるまでこの行為が続くとの事だが、一回の射精では到底足りない。数十……いや、数百と回数を重ねたとしても不可能だ。その事を改めて実感し、そして恐怖した。

 しかし、まだまだ序盤戦であり、これから本番を迎えるというのにこの調子では体力が持つはずもない。案の定、一人目が終わった後に待ち構えていた次の人物が待機しており、再び挿入されてしまった。先程までの男と同じぐらいのサイズ感だった故に余裕を保っていられたものの、今度は根本まで沈み込ませてくる為、子宮の入り口をグリグリと弄られてしまい、変な感覚に襲われる。続いて三人目、四人目と休み無く犯され続けて遂には十人を超えた辺りから記憶が曖昧になっていった。途中何度意識を飛ばしかけたことか分からないくらいで常に限界を迎えそうで完全に意識を失いかけた所で腹部に強い衝撃が走った。

「ブフッ!? ぁ…………ぇ…………?」

 鈍い殴打音と共に頬を何度も叩かれ、辛うじて正気を取り戻すことができた。

「おい、寝るなよ」

「そうだよヒナちゃん。こんなんでヘタレちゃ駄目でしょ〜」

 冷酷非情な命令が耳に入る。男達は人数もあってか終われば休憩が取れる。けれど私は違う。延々と肉体的及び精神的に蹂躙される事で自我を喪失しつつあったのである。つまり既にキャパオーバーを迎えつつあり一刻も早い解放を求めていたわけだが当然彼らが聞き入れてくれるはずもなく寧ろ火に油を注いでしまう結果となってしまっている有様なのであった。

 そしてまた準備が整ったようで五人六人と続々と現れる男達を前に絶望を抱え込む。

 制服を破られ、目の前で風紀委員会の腕章を引き千切られ、そして乱暴に腰を打ち付けられる。自分が自分でなくなっていく感覚の中で、ふと思い出す。私の様ななんの面白みもない生徒に優しく声をかけてくれた先生の事を。そんな先生に惹かれ、そして憧れ、その思いは時間を追う毎にどんどん加速していった。その気持ちは他の生徒達も同じだと思う。私が選ばれる筈がない。私の様な魅力のない子よりももっと素敵な生徒は沢山いるのだから。

 そう思って、諦めていた私を、先生は選んでくれた。ならば、その期待に応えるべきなのだ。それが例え、どんな内容であろうともだ。一度決めた以上、最後までやり通すべきだ。苦痛も屈辱も、何もかも飲み込んで耐えなければいけない。いくら不特定多数の他人に慰み者になっているとはいえ、これは一種のゲームなのだと考えて割り切り、腹を括る必要がある。

 思考が混濁する中、私は向けられた携帯へと視線を向ける。あの携帯の向こうには先生がいる。私の事を、先生が見てくれている筈。先生は言ってくれた、私の事を特別だと。先生の恋人になれるチャンスを得たのだと。だったらこの程度のことなんとかしなければならない。

 涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃになり、髪は乱れ放題、衣服は汚れに塗れ見るも無惨な姿となっている。それでも、こんな姿を見せるのは悔しくても、今は耐えるしかない。きっと先生もそれを望んでいる筈だから。そう信じて、唇を噛み締めた。

 

 

 

 

 あれからどれくらいの時間が過ぎ去ったのかわからない。体内時計はとうに狂い果て、日付の概念すら認識不能となった。それどころか自分が一体何をしているのか、何者なのかすら分からなくなることもあった。そんな時は無理矢理喉の奥までペニスを捻じ込まれて嗚咽したり嘔吐したりすることで正常に戻れるようになった。食事を摂っていないのによくもまああれ程のものをゲェゲェと吐き出せるものだと思う。胃酸混じりの黄色がかった塊や消化不良の固形物、さらには血液や粘液などが一緒くたに飛び散るのでかなり悲惨な光景ではある。

 下の方だけでは人数は捌ききれないと、口も使っての奉仕となり、身体が上下に動いては体内に精液を吐かれ続ける。それだけに飽き足らず、反応が悪くなれば何度も身体を殴られ、白かった肌は青痣だらけになっていた。暴力的行為が加減されることなく長時間に及んだために最早四肢の末端神経からの情報が遮断されている感覚があった。肩や股関節から先の感覚がなくなる。失ったわけではないが長時間拘束され続けた影響で痺れて機能しなくなったのだ。そのためか骨盤周辺がミシミシ軋むような疼痛が走っている状況でも、それを自覚することは難しかった。幸か不幸かは不明瞭である。下手したら感覚器官そのものが消滅してしまいそうな危惧すら抱く始末だ。しかしながらそれに伴い新たな問題点が露呈される。

(あ、ダメ。意識が)

 眠りたくない。眠ってしまうとまた注射を打たれる。何を投与されたかは想像したくもない。液体が体内に流れてくると同時に意識が覚醒し、感覚を研ぎ澄ませてきたのを覚えている。多分、使ってはいけない薬の類なんだと思う。それを既に何十本も打たれている。感覚がないのも、これが原因かもしれない。

 口を使おうと、男が私の首を掴む。最初は角を掴んで腰を振っていた彼等だが、角が耐え切れなくなり折れてしまったのだ。首を持たれて打ち付けられる。イチモツが喉奥などを責めて咽せる。それでも吐かないよう、懸命に我慢して咥える。鼻腔を通り越して頭の中に直接響いてくる淫猥な臭いに頭がクラクラする。反射的に口から吐き出したくなる衝動に駆られるもののそれを必死に抑え込んだ。ここで拒否すれば間違いなく制裁を受ける羽目になるだろう。それだけは避けなければならないと考えているうちにようやく終わりが訪れる。込み上がる精液を口一杯に受け止め、そして飲み干す。何度も咳き込みながら吐瀉物が混ざる液体を飲まされる事の虚脱感と言ったらなかった。

 既に体力は消耗し尽くして何もする気になれなくなった時、男が私に近付いてこういってきた。

「おめでとうヒナちゃん。無事に先生のお願いが達成したよ」

 言われてたらいを覗くと、水面が揺らいで波紋を作っていた。溜まった精子はまるでプールのようにたらいの内部を占領していて、底に何が映っているのか全く見えない程だった。私は信じられない思いでそれを眺め、呆然としてしまう。あれだけ出されたものは確かに存在していたらしい。自分の中で渦巻く汚濁を見ていられなくて思わず顔を逸らした。吐き気を催してもおかしくない状況であっても何とか我慢できたのは奇跡といっていいだろう。それでもなお胃液と精液以外は何も出てこないことを鑑みるとやはり相当な数が出されたことになる。それを知らしめるかのように下半身から垂れ落ちる大量の精液の量を見るだけでわかる。

「それにしても驚いたなぁ。まさかヒナちゃんみたいな子がこれだけの男共相手にするなんて。しかも自ら志願してくれたみたいだし感謝してるよ。おかげですごく盛り上がったし最高だった。また機会があれば是非お願いしたいね」

「…………」

 恐らく悪意を持って私に話しかけているのではないのだろう。そもそも普通の倫理観を持っている者ならばこのような所業に手を染めることなど出来る筈もないのだ。つまり、彼らにとっては至極当たり前のこととして捉えているという証左とも言える。この場所において主導権は完全に向こう側に握られていたと言ってもいい。従属関係は明確で、今現在進行形で形成されていたと言える。私の尊厳もプライドも全て粉砕されて、原型を留めずに崩れ去っていく。だけどそんな事はどうでもよかった。先生の役に立つならそれで十分だと納得できるだけの理由があれば良いと思っていたのだから。

 その後、拘束を解かれ、自由の身となったが、薬の影響で身体が言う事を聞かない。そのまま床に倒れそうになった瞬間。誰かに支えられた。振り返るとビルの中に案内してくれた人だ。しかし、不思議な事に、私を抱きとめてくれた手にはゴム手袋が装着されており、まるで何かに触れたくないような……。

 刹那、ゴム手袋を装着した手で私の頭を鷲掴みにした彼は、躊躇なく私を様々な体液が溜まったたらいへと沈める。突然の行動に、驚愕の声すら上げる間もなく、ただ踠く事しか出来ない。

「さて、この中古女の身体を洗浄しないといけないので掃除をお任せしますね」

「はいよ、わかりましたよぉ」

「ごぼぁ゛……がぽぉ……ッッ!!」

 意識朦朧の中で耳に入ってくる会話に眩暈がする。たらいの中はまさに汚物だらけ。精液や尿や潮や、その他諸々。そんな排水溝から漂う臭気を濃厚に煮詰めたような空間に浸けられたのである。そして当然のごとく酸欠状態におちいるわけで、窒息する寸前のタイミングを見計らって引っ張り上げられる。新鮮な空気を求め必死に息をする私の鼻腔に焼けるような刺激臭が充満していく。脳天に雷を落とされたようにビリビリと電流が奔走した。身体の芯が溶けてしまうのではないかと言うくらい熱くなり視界が霞みがかってゆく。何度も噎せながらたらいの中の水を飲み込んでしまい、口内全体に広がる不愉快な味に顔を顰めるが止めることはできない。逆流してきたものを吐き出すと同時に鼻孔から逆流してきたので呼吸困難に陥りかける。だがそんな些細なことですら喜劇のように笑う男達に対して怒りを覚えても仕方がないだろう。

 二度三度と繰り返すうち意識が遠退く。しかしそれでも容赦無く続けられる処置に対してついに臨界点を超えてしまい気絶しかけたところで引き揚げられる。汚物の溜まったたらいの液体が髪やボロ布同然の制服だけでなく身体中に纏わりつき皮膚を蝕んでいるのが実感できる。鼻の奥にこびり付いた腐敗臭、鼻腔を通じて口腔内から肺の隅々まで行き渡ろうとしている。身体の震えが治まらない。怖くて寒いのとは違う種類の震えが来ていることは明らかだった。最早手遅れであり抗うことすら難しい局面に追い込まれている。このままではいずれ本当に壊されてしまうのではないかという不安ばかり募る一方だ。

 私は結局、意識を保つことができず気絶してしまった。目覚めた時には誰もいなかった。服もボロ布同然。そして何より、身体中に染み付いた異臭が鼻につき、ずっと嗅いでいると気分が悪くなる。そうか、私、穢されちゃったんだ。この忌々しい臭いがその証拠だ。その現実を認めざるを得ない状況下で、少しだけ残念な気持ちになる。先生との初夜を夢みて大事にとっておいた貞操も守れず、この身体は数百人の見知らぬ男の欲望を受け止めてしまった。お陰で私の身体からは甘美な香りとは対照的な獣のような雄臭が漂っていて自己嫌悪に陥ってしまうほどだ。こんなことをされても尚好きだと慕ってくれるかどうか疑問ではあるが、少なくともこれまでと同じように接してくれる自信はない。もし拒絶されてしまった場合には一体どういう態度に出るべきか考える余裕もなく放心状態に陥った。

 帰りたい。そして暫くは何も考えたくない。ひとまずシャワーを浴びようと近くの施設を探す。幸いにも近くに公園があって公衆トイレがあったのでそこでとりあえず水浴びができるかもしれないと思いそこに移動することにする。歩く度に骨に響く様な激痛を訴えて来る。骨折すらしていそうで歩くだけで激痛が走った。それでも目的地へ辿り着き水道管を捻ると汚い水が噴き上がり地面を濡らしていく。それを利用し顔や露出している皮膚面積の大半を洗い流し、ある程度清潔になることに成功した。

「……帰ろう」

 誰に聞かせるでもなく呟き、人目に触れないように帰路に着いた。そして、再び念入りに身体を洗った後、ベットにダイブし、眠りにつくのであった。




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