・槌永 ヒヨリ
深夜、物音ひとつしない廃墟が立ち並ぶ一画。寂れた雰囲気が、私達の取り巻く環境をより寂れたものに感じさせる。
全ては虚しい。
その教えと共に、私達は大人に支配されてきた。彼女の言いなりとなり、その思想を植え付けられてきた。
私達はただの駒に過ぎず、彼女にとっては……マダムにとっては、私達は使い捨てのきく道具に過ぎない。
私達は駒なのだ、と割り切ってしまえば楽になれるのかもしれないが、心の何処かでそれを否定したかったのかもしれない。
私は、この閉塞された世界……アリウスの自治区では珍しい男だった事もあり、個人的な戦略として他の子達よりもほんの少し優遇されていた。
食事や寝床、それらがほんの少し、他の子達よりも多く配給された程度だが、その待遇の違いが……例え小さな違いでも、他の子達にとっては羨ましいものには違いない。
そして、その感情が負の面で働いていた事も否定できない。
他より優遇されるという事は、他より優れていなければならない。他より優れている者であらねばならぬと、無意識に刷り込まれていたのだろう。
他の子達より多く与えられた食材を口にする度に、そのプレッシャーがのしかかる。より優れていなければならない。誰よりも優秀であらねばならない。そんな重圧を勝手に感じてしまう私に、嫌気が差したのだろう。
この負担を少しでも減らしたい一心で、私は目の前で羨ましそうに見つめてくる彼女……槌永 ヒヨリに食事を分け与えた。
ヒヨリは最初こそ躊躇っていたものの、最終的には素直に受け取り、そしてそれを口にした。その瞬間に見せた彼女の笑顔は今でも覚えている。
私はその笑顔に救われた。彼女の笑顔が、私の重圧を吹き飛ばしてくれた。この目の前の彼女に笑っていてほしいと……そう本気で思ったのだ。
それから、私は彼女に自分の食事を与えるようになった。最初は戸惑っていた彼女も、次第にその状況を受け入れ、私に分け与えられた食事を嬉しそうに口にした。
美味しそうに頬張る姿が、何処か小動物の様で愛らしく、私は自然と彼女の笑顔に惹かれていった。
無論、マダムに気付かれてはいけない。もしも気付かれたら、それこそ彼女も処罰の対象にされる。それだけは避けねばならない。
だから、私達の関係は誰にも知られぬようにこっそりと会う事が、私達にとっての日常となっていた。
「えへへ、あ、ありがとうございます」
照れた様に顔を赤くする彼女の表情。やや図々しさも見え隠れし始めた彼女だが、そんな素直な所も可愛らしいと思えてしまう。
彼女の笑顔に癒され、私の心は救われると同時に……彼女に対する好意を意識するようになったのもこの頃だったと思う。
「あ、あの……何か私の顔に付いてますか?」
ふと我に帰ると、目の前の彼女が不安そうに尋ねてくる。いつの間にか彼女の顔をまじまじと見てしまっていたらしい。私は慌てて『なんでもない』と誤魔化し、自分の食事へと戻った。
食事をして、他愛のない話を少しして、そしてこっそり別れる。その繰り返しだ。互いに自由に出来る時間は少ない。
だからこそ、私達は短いその時間を精一杯大切にして、今日も私は彼女に食事を届ける為の隠れ場所へと向かうのだった。
そんなある日の事だ。いつものように食事を持って行き、彼女と他愛のない話を交わす中、彼女が遠慮気味に口を開いた。
「あの……いつも私の為に、ありがとうございます」
はにかみながらお礼を言う彼女。そんな彼女に、私はいつものように『気にするな』と返事を返すと、彼女は『あ、あの』と再び口を開く。
「……その……私ばかり貰っていては悪いので……」
そう言いながら彼女が取り出した物を見て私は驚いた。彼女が私に差し出したのは、一冊の古びた本だった。
曰く、外の任務に出た際に大量のゴミの中に捨てられていた物らしい。汚れてはいたが、それでも中身は問題なく読める様で、彼女はそれを私に手渡してくれた。
ページを開くと、そこには流行の服やアクセサリーの写真が記載されている。恐らく雑誌の類だろう。
自分達では手に入れる事が出来ない品々に、彼女は目を輝かせながらそれに目を通している。私もそれに目を通すと、確かに彼女の興味を惹くには十分すぎる内容だった。
「わぁ……これとか可愛いですね、〇〇さん」
彼女が指差す写真には、様々なアクセサリーが並んでいた。指輪やネックレス、イヤリングにブレスレット……そのどれもが洗練されたデザインをしており、可愛らしいながらも大人びた印象を受けた。
自分達には縁の無い代物だ。身に着けるどころか、その様な装飾品を手に入れる機会すら無いのだから。
「これとか貴方に似合いそうですね」
そんな私に対し彼女は笑顔でそう告げてきた。彼女が指差したその写真に写る指輪……恐らくペアリングなのだろう。
「いつか、こんな物を付けて出かけられる日が来ればいいですね」
そんな彼女の何気ない一言に、私は何も答える事が出来なかった。
いつかは訪れて欲しい未来だ。けれどその夢物語は決して叶う事は無いだろうという現実が私の心を蝕む。
私の心情を察したのか、彼女は慌てて取り繕う様に言葉を繋げた。
「あ……ご、ごめんなさい!いきなり変な事言ってしまって……」
そんな彼女の気遣いが、私の心を更に抉る。私は……何も答える事が出来なかった。そんな自分が情けなくなり、思わず席を立つとそのまま彼女を残して部屋を後にする。
「あ、あの……また此処で……っ」
そんな彼女の声を背中に聞きながら、私はそのまま自室へと戻るのだった。
その後、暫くは彼女に会う事はなかった。マダムの指示で外に出て、そしてそのまま任務に就いていたからだ。
その間も私はずっと彼女の事を思い浮かべていた。彼女と交わした会話や、最後に別れた時の寂しそうな彼女の顔を。
そんな日々が続き、任務を終えて自室へと戻る。そこで、私はある物を見つけた。それは、彼女が私に渡してくれた雑誌だった。
「……っ」
私は思わずその雑誌を手に取る。ページを捲り、そして辿り着いたのは、彼女が私に似合いそうだと言ったペアリングだった。
『いつか、こんな物を付けて出かけられる日が来ればいいですね』
そんな彼女の何気ない一言を思い出す。
「いつか、か……」
そう呟くと同時に、私はその雑誌をマダムに見つからないように隠し、そして床の上に寝転がると、そのまま意識を手放した。
その夜、私は夢を見た。彼女との……ヒヨリと過ごす日々の夢だ。その夢の中でも彼女は私に笑顔を見せてくれるが、その笑顔は何処か寂しさを帯びていた。
そこで、私は目を覚ます。眠る前に手に取った雑誌を思い出すと共に、自分のやるべき事を理解したのだった。
その日の深夜、私はこっそりと部屋を抜け出す。そしてそのまま外へ出た時……不意に後ろから呼び止められた。
「こんな時間にどうしたのかしら?」
振り向くと、そこにはマダムが立っていた。一瞬、心臓を鷲掴みにされた様な恐怖を感じたが、私はそれを悟られぬように平静を装う。
「少し夜風に当たりたくて」
そんな私に対しマダムは『そう』とだけ答える。そしてそのまま私を凝視した後、思い出したようにニヤリと笑みを浮かべた。
「それじゃあ、気分転換になるお願いをしようかしら」
「……なんですか?」
嫌な予感がした。脳裏にヒヨリの姿が浮かび、私は思わず身構える。そんな私の様子を知ってか知らずか、マダムは更に言葉を続けた。
「最近、私に反抗的な態度を示す子がいるの。それに同調して、他の子達も私に反発し始めてね。少し困っているのよ」
マダムの言葉に、私は何も答えなかったが、彼女はそれを気にする様子はなく話を続けた。
「だから、その反抗的な子達の……」
紡がれた言葉に、私は息を呑んだ。
「『ヘイロー』を破壊してちょうだい」
マダムはそれだけ告げるとその場を後にする。私はその背中を黙って見送る事しか出来なかった。
いや……それしか出来ないと言った方が正しいだろう。
「……っ」
私は拳を強く握り締める。爪が皮膚に食い込み、血が滴り落ちたが構う余裕などなかった。
私はそのまま部屋に戻り、静かに深呼吸をする。心臓の音がうるさい程に響き渡り、冷や汗が頬を伝った。
『ヘイローを破壊する』それはつまり『命を奪う』という事だ。
壊し方は沢山習ってきた。しかしそれを、身内の、それもよく知る人間にする事になるとは想像すらしなかった。
私は思わず顔を抑えるとその場に蹲る。脳裏に浮かぶヒヨリの笑顔を私は自らの手で消すのか?
そう思うと恐怖で震えが止まらなかった。この手で身内を殺せば彼女は私のもとからいなくなるだろう。
だけど、私に選択肢は残されていない事を理解していた。マダムに従わねば、処罰される。それだけは避けねばならないのだ。私は覚悟を決めると、静かに瞼を閉じるのだった。
翌日、私は、皆の前で……
よく知る顔馴染みの皆の前で……
マダムに反発した子達の『ヘイロー』を、この手で破壊した。
眼前でヘイローがボロボロに崩れ落ちていき、そして、その持ち主は力なくその場に倒れ伏す。
私はその光景をただ黙って見ていたが、やがてその子のヘイローが完全に崩れ落ちると同時に、マダムに向き直り静かに告げる。
「これでよろしいでしょうか?」
と、ただそれだけを告げてマダムの反応を待った。そして暫くして返ってきた言葉は予想通りのものだった。
「よく出来ました。これからもその調子でお願いするわね」
そんなマダムの声を聞きながら、私は心の中で自分自身を叱責した。何を被害者ぶっているんだ。私が手にかけたのは紛れもない事実だろう?
と、もう一人の自分がそう囁く。
「はい」
そんな自分自身を律する様に私は返事を返したのだった。
それから、私はヒヨリとの接触を避ける様になった。彼女の笑顔を直視する事が出来なかったからだ。いつかは会いに行きたいと思っていたのだが、私の心の弱さがそれを拒絶していた。
同時に、私はマダムの私兵として活動する様になった。与えられる任務は汚れ仕事ばかり。時には誰かを暗殺する事もあった。
そんな日々を繰り返していくうちに、私は次第に心が荒んでいくのを感じた。それはそうだ、いくら任務とはいえ誰かが命を落とす度に自分の心が擦り切れていくのだ。
しかし、私にはその心を癒す術がなく、ただひたすらに任務をこなす事しか出来なかった。
フラフラとした足取りで、私は自室へと戻り床に倒れ込む。身体は疲れている筈なのに、中々眠りにつくことが出来なかった。
目を閉じても意識を手放す事が出来ず、観念して身体を起こすと、自然と視線が一点へと向けられた。
そこには、ヒヨリから貰った雑誌が隠されている。私はそれを手に取ると、ページを捲り始める。
『いつかはこんな物を付けて出かけられる日が来ればいいですね』
そんな彼女の何気ない一言を思い出しながら、私は雑誌を閉じた。
きっと彼女にとってそれは些細な一言だったのだろう。けれど私にとって、それはとても大切な言葉だった。
疲れ果てた筈なのに、身体がゆっくりと起き上がる。部屋を出て、そのままある場所を目指して歩き出す。
廃墟が立ち並ぶ路地をひたすら歩く。二人だけの秘密の隠れ場所を目指して。
いる筈がない。
彼女の目の前で、私は仲間のヘイローを破壊したのだ。そんな私を彼女が許してくれる筈がない。
だけど……それでも、彼女に会いたかった。会って、話がしたかった。
そして、私はその場所へと辿り着いた。廃墟が立ち並ぶ路地の一角にひっそりと佇む小さな小屋……私と彼女が二人だけで会う場所として使っていた場所だ。
扉の取手に手を伸ばす。震えた手で、取手を握る。いる筈がない。そう思いながらも、私はゆっくりと扉を開けた。
「……っ」
そんな私の視界に飛び込んできたのは、椅子に腰掛け、静かに寝息を立てるヒヨリの姿だった。
思わず息を呑んだ。それと同時に、今まで抑え込んでいた感情が溢れ出してくるのを感じる。
そんな私に対し彼女はゆっくりと瞼を開けると、そこで初めて私の存在に気付いたのか慌てて立ち上がった。
「あ、〇〇さん! す、すみません。ついウトウトしてて……え、えへへ、恥ずかしい所を見られてしまいましたね」
そんな彼女の声を、言葉を……その笑顔を直視して、私は思わず涙を流した。そんな私の様子に驚いた彼女は、慌てて私に駆け寄る。
「ど、どうしたんですか!?」
そんな彼女の心配そうな声に私は答えられなかった。いや……答えたく無かったのだ。口を開けばきっと、泣き言しか出てこない。
だから私はただ黙って涙を流す事しか出来なかったのだが、そんな私に対し、彼女はそっと手を伸ばすと優しく抱きしめてくれたのだ。
彼女の温もりに包まれると同時に、抑え込んでいた感情が溢れ出してくる。それと同時に私の口から言葉が漏れ出した。
「ごめん……ごめんなヒヨリ」
そんな謝罪の言葉を聞いた彼女は一瞬驚いた表情を浮かべるも、すぐに優しい笑みを浮かべる。そしてゆっくりと口を開いたのだった
「あ、謝らないでください。私だって、あの時〇〇さんの気に触ることを言ってしまって……その、ごめんなさい」
そう言って頭を下げるヒヨリに私は何も言えなかった。ただ黙って彼女の言葉に耳を傾けることしか出来なかったのだ。
そんな私の様子を察したのか彼女はゆっくりと顔を上げると、そのまま言葉を続けた。
「でも……嬉しかったです」
そんな彼女の一言に私は思わず聞き返してしまう。彼女はそんな私に対して照れ臭そうな表情を浮かべながら言葉を続けた。
「あれから、全然〇〇さんに会えなかったから……だから、こうしてまた会えて嬉しいです」
そう言って微笑む彼女の姿に、私は再び涙が溢れ出すのを感じた。そして同時に思うのだ。あぁ……私は本当に愚か者だと。
本当は今すぐにでも彼女に謝りたかったのに、それと同時に彼女の笑顔を見る事が出来て嬉しかったのだ。
そんな自分の弱さに呆れながらも、私はヒヨリを抱きしめた。
彼女は最初こそ驚いていたもののすぐに私の背中に腕を回してきたのだ。
「わ、私も……あれから外での任務が増えて、それで、その合間に沢山の本を集めました」
そして、その本の中には、異性との付き合い方が記載された本もあったらしい。
「辛いですよね。苦しいですよね。マダムの命令とはいえ、〇〇さんは……で、ですので、こうして抱きしめてあげると気分が晴れるって書いてあったんです」
そんな彼女の健気な言葉に、私は胸が締め付けられる様な感覚を覚えた。
「わ、私にとって、〇〇さんは大事な人です。べ、別に、いつもご飯を分けてくれたからってわけじゃないですよ! そ、それ以外にも、わ、私に気をつかってくれたり……と、兎も角、〇〇さんは私にとって大事な人なんです!」
必死にそう告げる彼女に、私はただただ涙を流す事しか出来なかった。そんな私の背中を撫でながら、彼女は言葉を続ける。
「で、ですので……辛い時は私を頼って下さい。わ、私なんかで良ければいつでも力になります。だ、だから……その……」
そこまで言って彼女は言葉を詰まらせた。そして暫くの間沈黙が続いた後、意を決した様に口を開いた。
「だ、だから……その……」
そこまで言って再び口篭もる彼女だったが、やがて覚悟を決めたのか大きく息を吸うと、真っ直ぐに私を見つめて言ったのだ。
「……私に甘えてください」
その言葉に、私は思わず息を呑む。そんな彼女の言葉を聞いた瞬間……今まで抑え込んでいた感情が溢れ出してくるのを感じたのだった。
そんな私の様子を見て察したのか彼女はゆっくりと私から離れると、両手を広げて私を受け入れる体制を取る。
「ど、どうぞ」
そんな彼女の一言に私はゆっくりと彼女に近づくとその胸に顔を埋める。柔らかな感触が顔一杯に広がり、優しい香りが鼻腔をくすぐった。
「だ、大丈夫ですよ」
そんな私の頭を優しく撫でながら彼女は続ける。
「辛い時は甘えて下さい……私がそばにいますから」
その一言を聞いた瞬間、私は彼女の身体を強く抱きしめ、床に押し倒すとそのまま唇を奪った。
突然の事に驚いたのか彼女は一瞬身体を強張らせるも、すぐに力を抜き私を受け入れてくれる。そして暫くの間互いの舌を求め合った後、ゆっくりと顔を離した。
「ヒヨリ……」
そんな私に対し彼女は優しく微笑むと口を開く。その笑顔を見た瞬間、私の中の何かが音を立てて崩れ去った。
「ヒヨリ……好きだ」
そんな私の告白に彼女は一瞬驚いた表情を浮かべるも、すぐにその頬を赤く染めたのだった。そしてそのままゆっくりと私の首に手を回すと囁くように言う。
「私も好きですよ……〇〇さん」
そんな彼女の返事を聞いた瞬間、私はもう一度彼女に口付けを交わした。
何度も、何度も、何度も、私はヒヨリの唇を奪う。彼女もそれに応えるように身を委ねてくれた。
されるがままに、全てを受け入れる。そんな彼女の優しさに甘えながら、私は彼女を貪る様にその身体を堪能した。
「ん……あっ……」
そんな私の行為に対し彼女は甘い吐息を漏らしながら身体を捩らせる。そんな姿を愛おしく思いながら、私はゆっくりと彼女の服の中に手を滑り込ませた。
「ふぁっ!」
そんな私の行動に対し彼女はビクリと身体を震わせるが、すぐに大人しく私を受け入れてくれた。
彼女の素肌に触れ、その感触を楽しむように指先を這わせる。そしてそのまま下着の中へと手を入れようとしたその時だった。
「あ……ま、まってください!」
そこでヒヨリは慌てた様子で私の腕を掴んだ。突然の事に驚いた私は思わず手を止めるも、彼女は顔を真っ赤にしながら口を開いた。
「あ……あの……そ、そのですね……」
少し恥ずかしそうにしながらも彼女は言葉を続ける。そしてゆっくりと顔を上げると潤んだ瞳で私を見つめながら言ったのだった。
「ぬ、脱ぐのはぜ、全然いいんですけど、お、おへそだけは……み、見ないでください」
私の身体に抱きついたままそう呟くヒヨリ。そんな彼女の言葉を聞いて私は思わず呆然としてしまうも、直ぐに我に帰る。
「え、えっと……おへそ?」
「は、はい……その、わ、私のお腹……なんですが、ちょっと自身がなくて……」
そう言いながら恥ずかしそうに俯くヒヨリ。そんな彼女に対して私は思わず笑みを零した。
「分かった、見ない様にする」
そう言うと、ヒヨリは安心したように息を吐くとゆっくりと身を投げ出す。
「そ、それでは……ど、どうぞ」
そう言って私に身を委ねるヒヨリ。そんな彼女を優しく抱き抱えながら、私はゆっくりと彼女の肌に手を滑らせたのだった。
上着を脱がせ、そしてシャツへと手をかける。そのままボタンを一つずつ外していくと、やがて彼女の肌が露わとなり、豊かに実った双丘が下着越しに見えるようになった。
ブラのフックを外すと同時に、抑えられていた胸が揺れ動きながら姿を現した。その大きさと美しさに思わず見惚れてしまうも、ヒヨリは恥ずかしそうに顔を背けるだけだった。
そんな彼女に対して愛おしさを感じながら、私は再びヒヨリの上に覆い被さる。そしてそのまま彼女の胸の膨らみの先端に唇を触れさせる。
「あっ!」
私の行為に対し、ヒヨリは甘い声を漏らしたのだった。そんな彼女の反応を見ながら、私は舌先で先端を刺激し始めると、ヒヨリはビクビクと身体を震わせる。
「ふぁっ……そ、それダメです!」
そんな訴えを無視しながら私は愛撫を続ける。次第に固くなっていく突起を重点的に責め立て、時には軽く歯を立てて刺激を与えていく。
「あっ……だ、だめですってばぁ……」
そんな弱々しい抵抗の言葉とは裏腹にヒヨリの体は正直な反応を見せ始めていた。足を擦り合わせながら内股になり、モジモジと膝を擦り合わせている。
そんな彼女の様子を楽しみながら私はゆっくりと下の方へと手を伸ばす。スカートを捲り上げ下着に手をかけると、ヒヨリもその動きに合わせて腰を浮かせる。下着を下ろし、そしてヒヨリの秘部に触れる。既に湿っているそこは熱く火照っており、触れる度にヒクついていた。
ゆっくりとなぞる様に指を動かすと、その度にヒヨリの口から甘い吐息が漏れ出す。そして次第にその動きを早めていくと共に彼女の声も大きくなっていったのだった
「あっ! うぅ……んっ! そ、そこ……ダメッ!」
そんな懇願の言葉を無視しながら更に激しく責め立てる。割れ目からは愛液が溢れ出しており、私の指を濡らしていく。
「はぁ……んっ! あ、〇〇さっ!」
やがて限界を迎えたのかヒヨリは身体を弓なりに反らすとそのまま果ててしまった。
「はぁ……はぁっ……」
そんな荒い呼吸を繰り返す彼女を見下ろしながら、私はズボンを脱ぎ捨てると既に限界まで勃起したイチモツを取り出す。ヒヨリの痴態によりギンギンになったそれを、彼女の秘所に宛てがいゆっくりと挿入していく。
「ひっ! ああぁっ!」
突然の事に驚いたのか、ヒヨリは目を見開き悲鳴じみた声を上げる。だが、それも一瞬の事で直ぐに甘い声へと変わっていった
「あっ……ああぁっ!」
彼女の膣内はとても狭く窮屈だったが、それがまた堪らなく心地良かった。ゆっくりと腰を動かしながら彼女の奥深くへと突き入れる度にヒヨリの口から甘い声が漏れ出す。
「んっ……あっ……あんっ……」
最初の痛みも次第に薄れ、快楽が彼女を支配し始めたのだろう。その表情からは苦痛の色も消え、今ではすっかり蕩け切った表情になっていた。
「ヒヨリ、痛くないか?」
「は、はい……最初は……怖かったですが、だ、大丈夫です」
そんな可愛らしい返事に思わず頬が緩んでしまう。そんな私の表情を見たヒヨリは一瞬恥ずかしそうに目を逸らしたが、直ぐに私を見つめ返してきた。
「あ……あの……」
そんな彼女の呼びかけに応える様に顔を近づけるとヒヨリはそっと私の首に腕を回してきたのでそのまま唇を重ね合わせる。
「んっ……」
最初は触れるだけの軽いものだったが次第に互いの舌を絡め合い濃厚なものへと変わっていった。唾液を交換し合う度に頭がボーッとしてくる程の幸福感に包まれていく。
やがて名残惜しみながらも唇を離すと、そこにはトロンとした表情を浮かべるヒヨリの姿があった。
そんな彼女の頬に手を添えながら私はゆっくりと抽挿を再開する。その動きに合わせるようにヒヨリの口から甘い声が漏れ出したので、私は更にペースを上げる事にした。
「あっ……あぁんっ!」
パンッ!パンッ! と肌同士がぶつかり合う音が響き渡る。その度にヒヨリの口から甘い吐息が漏れ、膣内が激しく痙攣するのを感じた。
もうそろそろ限界が近いのだろう。ヒヨリの口から漏れる声も大きくなっており、その表情にも余裕が無くなっていた。
そんな彼女に対して私は最後の仕上げとばかりに強く腰を打ち付ける。その瞬間、ヒヨリは一際大きな悲鳴を上げると背中を大きく仰け反らせながら絶頂を迎えたのだった。
「っ……!ああぁぁぁぁぁっ!!!」
ビクビクと痙攣しながら絶頂を迎えるヒヨリを見下ろしながら、私は彼女の膣内へ思い切り欲望を解き放ったのだった。
ドクドクとヒヨリの体内に精を放つ感覚。彼女への想いが溢れ出しているようだった。
「はぁ……はぁっ……」
そんな私の想いに応えるようにヒヨリは荒い呼吸を繰り返しながらも私を受け入れてくれる。腰に足を絡め、より深く繋がろうとしてくる。
ヒヨリの膣内の奥で、何かに触れる感覚。先端に触れたそれは、私を求めるように吸い付いてくる。
「んっ……〇〇さんのが、私の中に……」
そんな呟きを漏らすヒヨリの唇を奪いながら再び腰を動かし始めると彼女は嬉しそうに舌を絡めてくる。
「んっ……はぁっ……」
私の動きに合わせるようにヒヨリも腰を揺らし始め、次第にその動きが激しくなっていくのが分かった。互いの体液が絡み合う音が響き渡り、部屋中に淫らな空気が漂い始める。
グジュグジュと水音を奏で、ヒヨリの口からは甘い吐息と喘ぎが漏れ出す。そんな彼女の首筋に舌を這わせながら徐々にペースを上げていくと、それに合わせて彼女の声も大きくなっていくのが分かった。
私が腰を打ちつける度に、彼女の豊かな胸が大きく揺れる。その先端は既に硬くなっており、触れなくても分かる程だった。
その先端にしゃぶりつくように口に含むと、ヒヨリは私の頭を抱き寄せるようにして身体を密着させてくる。
このまま彼女の胸で窒息しても良い。そんな馬鹿な考えすら浮かんでしまう程に私は彼女の虜になってしまっていた。
「んっ……〇〇さんっ!」
そんな彼女の想いに応えるように私は更に強く腰を打ち付けるのだった。それと同時にヒヨリの口から一際大きな喘ぎ声が上がる。
膣内が激しく痙攣し、それと同時に私のモノも限界を迎えようとしていた。それを察してか彼女はより一層強く抱きついてくると、より一層、膣壁を締め付け、イチモツを絡め取ろうとしてくる。
そして次の瞬間、私はありったけの欲望を解き放ったのだった。
子宮の奥の奥。子を成す為の神聖な場所に向けて、熱い液体を流し込む。同時にヒヨリもまた絶頂を迎えたようで身体を大きく仰け反らせていた。
ありったけの想いが脈動し、ヒヨリの子宮を満たしていく。そんな感覚に浸りながら、私は彼女の唇を奪ったのだった。
「んっ……あっ……」
膣内射精を終え、ゆっくりと引き抜くとヒヨリは小さく声を上げながら身体を震わせた。栓を失った秘所からはドロリとした白濁液が流れ出し、床を汚す。
「はぁ……んっ……」
その光景を見て私は思わずゴクリと喉を鳴らした。汗で蒸れた髪、蕩けた表情。そんな彼女を見ていると再び欲望が湧き上がってくるのを感じたからだ。
「あ……〇〇さん……」
私の視線に気付いたのか、ヒヨリは笑みを浮かべながら両手を広げる。普段と変わらぬ笑みのはずなのに、その笑みからは淫靡な何かを感じた。
「い、いいですよ……〇〇さんが満足するまで、好きにしてください」
その言葉を聞いた瞬間、私の理性は吹き飛んだ。
肉打つ音が部屋中に響き渡る。それと同時に、獣じみた喘ぎ声と甘く蕩けるような女の声が鼓膜を震わせる。
汗の匂いが、女のフェロモンが、鼻腔を刺激して脳髄を刺激する。そしてそれが更に興奮を高めていくのだった。
「あぁっ! あぅっ……っ!!」
一突きする度にヒヨリの口からは悲鳴にも似た声が溢れ出す。だが、それでも彼女は決して私から離れようとはしなかった。むしろより深く繋がろうと自ら腰を動かし始める。
パンッ! と肌同士がぶつかり合う音が響き渡り、それと同時にヒヨリの口から甘い吐息が漏れ出す。
互いの汗が、互いの体液が床で混ざり合い融け合い、一つになっていく。
「あっ!ああぁぁっ!!」
ヒヨリは背筋を仰け反らせながら絶頂に達したようだったがそれでも私は腰の動きを止めなかった。むしろより一層激しくしていく。
「あ、あぁぁっ!ま、待って! 待ってくだ……あぐぅっ!!?!」
私の動きに対してヒヨリは懇願するような声を上げるが私はそれを無視して責め続ける。
ヒヨリの膣内は別の生き物のように蠢き、私のモノを締め付ける。ドロドロに交じり合い、熱気に包まれ、ヒヨリと一つになれている事に幸せを感じる。
やがて限界を迎えたのか、ヒヨリは涙を流しながら私に懇願してきた。だが私はそれを聞き入れず、むしろ更に強く腰を打ちつけた。
「あ゛ぁぁぁぁぁッ!!!」
ヒヨリは絶叫を上げながら絶頂を迎えるがそれでも私は動きを止めなかった。むしろ更に強く打ち付けてヒヨリを責め立てる。
ガクガクと身体を震わせながら、ヒヨリは何度も絶頂の波に飲み込まれ、それでもなお私の動きは止まらない。
これ以上はヒヨリが壊れてしまう。しかし、身体は止まらなかった。そして、彼女もまた、口では限界を紡いでいるが、身体は私を求めてくれた。
「あ゛っ゛! ぐぅ゛ぅぅ! お゛っ! おぉぉぉぉ……」
そんな状態のまま、ヒヨリは幾多の絶頂を迎える。もはや意識すら保てないようで、目の焦点すら合っていないように見える。
それでもなお、ヒヨリの膣は私のモノを締め付ける力を緩めることはなかった。それどころかより強く吸い付き、私から全てを搾り取ろうとすらしている始末。
「っ……!」
そんなヒヨリの膣内の動きに、私のモノも限界を迎えようとしていた。そしてそれはすぐに訪れる事になるだろう。だがそれでも私は腰を動かすのを止めず、ヒヨリもまた私を受け入れる。
「あ゛ぁ……ああっ!!」
そんな声と共に再び絶頂を迎えたようだ。それと同時に膣内が強く痙攣し、まるで最後の一滴までも搾り取るかのように吸い付いてくる。
そして次の瞬間には熱いものが解き放たれていたのだった……。
「っ……!」
ドクン、と脈打ちながらヒヨリの膣内へ欲望を解き放つ。彼女の身体は僅かに痙攣するのみで、最初の頃の反応は示さない。
「カヒュー……カヒュー……ッ」
か細く呼吸を繰り返しながら、ヒヨリは意識を失っていた。その股間からは逆流してきた白濁液が溢れ出しており、私は彼女からそれらが零れ落ちないように自身のイチモツで蓋をし、そのまま彼女の身体に身を預ける。
どれだけの時間、身体を重ねたのか分からない。ただ、喉の渇きが酷いのだけは分かった。
ヒヨリに唇を重ね、舌先で口内を蹂躙しながら唾液を求めるも、彼女自身、渇ききっているせいか、水源が見つからない。
ただ、意識がなくとも舌が動いて反応してくれた事が嬉しくて、そのまま舌で交わりながら、私は疲労感と共に眠りにつくのだった。
微睡の中で目を覚ます。
柔らかな感触と汗と愛液が混じり合った匂い。そして、ヒヨリの温もりを感じながら私は目を覚ましたのだった
「ん……あ……」
まだ頭がボーッとしているせいか上手く思考が働かない。
しかし、それでもヒヨリの事は認識できた。意識を手放したまま眠りについた彼女が目の前にいる。
愛らしい寝顔と共に、寝息が聞こえてくる。それだけで幸せな気分になり思わず笑みがこぼれた。
彼女が起きないように、そっと抱きしめる。そして、その耳元で静かに囁いた。
「ーーーーーっ」
その言葉は彼女以外に聞こえる事はない。そして、寝息を立てている彼女ですら、その言葉を知る術はない。
だが、その言葉を囁いた後、改めてヒヨリの寝顔を見れば、穏やかな表情と共に、口元が僅かに動いたような気がした。
感想などいただけると幸いです。