※この作品はR-18です。

ブルアカ短編集   作:モノクロさん

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登場人物
・羽沼 マコト
・百合園 セイア

交流会で異種格闘技戦をする事となったゲヘナとトリニティ。
マコトの謀略によりミカとツルギ不在のトリニティは、セイアを代表として格闘技に参加させるが……


【SSリクエスト】キヴォトスキャットファイト マコトVSセイア 仁義なき非道な結末

 何故こうなった?

 

 ノースリーブのタンクトップにショートパンツの衣装を身に纏い、控室で待機していた羽沼 マコトは、鏡の前で自身の姿を見つめたまま、そんなことを考えていた。

 

 事の発端はゲヘナとトリニティの交流会として、異種格闘技を催す事になった事から始まった。

 

 代表する選手が一名ずつ選ばれ、試合形式は自由。ただし、使用武器は己の肉体のみという至極単純なものとなっていた。

 

 銃器や戦車といった武器は使わず、自分達にとって馴染みの薄い格闘技で勝負するという行為に興味を惹かれる部分があり、生徒会の面々はその交流会に快諾した。

 

 しかし、此処でマコトは一計を講じ、トリニティの最大戦力である聖園 ミカや剣先 ツルギといった人材が不在の日時を指定し、自分達の優位な状況での勝負に持ち込んだ。対して、此方の代表は空崎 ヒナ。ゲヘナは無論、キヴォトスでも最強格と謳われる彼女がいれば負ける事はまずないだろう。

 

 そう……ヒナが異種格闘技を催す日程に、風紀委員会の合同合宿に参加していなければの話だったのだが。

 

 異種格闘技の日程をイロハに伝えた後『あれ、その日程って風紀委員会のメンバー総出で合宿がなかったですか?』と言われた時は、流石のマコトも平静を保つ事が出来なかった。

 

 慌てて合宿を中断させようとしたが、自身の無茶振りで『合宿中は外部との連絡禁止』として携帯や通信端末を全て没収していたものだから、連絡手段を完全に断たれていた。

 

 仕方がないと、万魔殿のメンバーから代表を選ぼうとしたが……

 

「痛いのはいやよ」

 

「面倒くさいです」

 

「私は記録係に徹します」

 

「イブキやってみたい」

 

 と、一人を除いて、皆やる気がなかった。なお、イブキには危険だからと、丁寧に説明して諦めさせた。

 

 仕方なく代表に選ばれたわけだが、いかんせん肉弾戦は経験が殆ど無い為、不安が拭えない。

 

 しかし、此処で棄権すれば、交流会を持ち込んだ自身の立つ瀬がない。

 

(剣先 ツルギや聖園 ミカは不在。最悪、救護騎士団が出張らなければ……せめてシスターフッド辺りであれば何とかなるか?)

 

 対戦相手の情報は情報部をもってしても把握する事が出来なかった。もしかすると、日程を調整し、ミカやツルギが出てくる可能性もある。そうなったらお終いだと思いながら、マコトは不安を胸に、会場へと向かうのであった。

 

『では、これより、ゲヘナ学園とトリニティ総合学園との交流会、異種格闘技を開催致します。選手は入場してください』

 

 アナウンスが会場に響き渡ると、両校の選手が入場する。

 

 ゲヘナからは無論、今回の交流会の立案者であるマコトだ。

 

 対して、トリニティの代表は、思わぬ人物であった。

 

「百合園 セイア? 何故貴様が」

 

 そう、トリニティの代表はティーパーティーのメンバーである百合園 セイアだったのだ。

 

 ボディラインを強調する紺色のセパレードタイプの衣装を身に纏い、スカートを翻しながら登場したセイアに、マコトは思わず問い掛けた。

 

「何故……とは、愚問だね。折角の交流会なんだ。君と同じように学園の代表である私が参加しても不思議ではないだろう?」

 

 そもそも、ミカの予定がずれてなければミカが参加する予定だったのだ。それがセイアやナギサに変更されていても何の不思議もないのは確かだ。

 

 しかし、ボディラインを強調するとは言ったが、はっきり言えば線が薄い。身体が細すぎる。どう見ても異種格闘技に参加するような身体ではない。

 

「……大丈夫か?」

 

 思わず心配になり、そう問い掛けると、セイアは朗らかな笑みを浮かべながら、こう返答した。

 

「ふふふ、他人を心配するとは、随分と余裕じゃないか。私だって、この日の為に鍛えてきたんだ。あまり余裕を持っていると足元をすくわれるよ」

 

 実はこの時のセイアは、ミレニアムEXPOにトリニティ代表として参加し、様々な経験を経て心身共に成長を遂げていた。

 

 その為、今回のイベントにも意欲的に参加したいと詰め寄り、ナギサも渋々ではあるがそれを了承。

 

 情報として、ヒナが参加しない事を見越した上での了承だったが、観客席では何が起きてもいいように正義実現委員会から人手を借り、万全の体制を整えていた。

 

 観客席の様子を確認し、改めてセイアへと視線を移す。柄にもなくシャドウボクシングの真似をしている所を見ると、やる気は十分のようだ。

 

「……ならいい。互いに悔いの残らぬように全力で戦おう」

 

「ああ、勿論だ。正々堂々、良い試合をしよう」

 

 互いに握手を交わし、マコトとセイアはリングへと上がった。

 

『それでは、これよりゲヘナ学園とトリニティ総合学園、交流会異種格闘技を開始します。選手はリング中央へ』

 

 アナウンスが会場に響き渡ると、二人は互いに距離を取りながらリング中央へと向かい、そこで向き合う。

 

「それでは……始めっ!!」

 

 審判の合図と共に、試合が開始された。

 

 最初に仕掛けてきたのはセイアだった。

 

 まっすぐにマコトへと向かい、力比べといわんばかりに組み合うと、そのまま力いっぱいマコトを押し込もうとする。

 

「ぬっ……っ!!」

 

 駆け引き無しの組合に、しかしマコトは困惑の表情を浮かべた。

 

(よ、弱い……弱すぎるぞ。え、これは作戦か? それとも本気で……)

 

「ふふふ、驚いたかい? 私は常にシマエナガを肩や手の上にのせている。そのかいあって力だってこの通り」

 

「ぐっ……シマエナガ……だと……」

 

 普段から所持している銃器の方が重いのではないか?

 

 そんな疑問を抱きながらも、マコトはちらりと視線をナギサ……ではなく正義実現員会の方へと向けた。

 

 正義実現委員会……仲正 イチカへと視線を向けると、それを察したのかジェスチャーで『すみませんっす。上手く流してくださいっす』と、謝罪のジェスチャーを送ってきた。向こうも大変なんだなと思いながら、程々に相手をして無難に勝つかと、組み合う手を緩めようとした時だった。

 

「ふふ、力比べで私に勝てると思うかい? このまま押し込んで……」

 

「ぬぐっ!!」

 

 急に押し込んできて、体制を崩すマコト。そのままリングに倒れたマコトに、セイアはすかさずコーナーポストに上がると、そこからマコト目掛けてダイブした。ダイビングヘッドバッド……恐らくはプロレスの技を見て、試したのだろう。

 

 しかし、この手の技は、相手との協力や練習が必要な技である。

 

 それを素人がやればどうなるか、比を見るより明らかだ。

 

「っ!! ぶふっ!!」

 

 上手くマコトの腹部にダイブできたセイアだったが、思った以上に衝撃が強く、内臓を直接殴られたような感触と共にセイアの身体はくの字に曲がり、受け身も取れぬままリングに顔面を強く打ち付けたのだった。

 

「セイアさん!!」

 

「せ、セイア様!!」

 

 トリニティサイドの観客席から悲鳴に近い声が上がる。マコトもまたダメージを受けたが、痛みよりも困惑の方が大きい。

 

 頭に『?』を浮かべながらゆっくり起き上がると、鼻血を噴き出しながらセイアがピクピク痙攣していた。

 

「ぐぅ……い、いったい……なに……が……」

 

 内臓のダメージが大きい、鼻から噴き出す血のせいで呼吸すらままならない。

 

 混乱した頭で、セイアはマコトの方を向くと、まるで何事もなかったかのように平然と佇むマコの姿があった。

 

「わ、私に……なにをし……た……」

 

「いや……何って……っ」

 

 思わずトリニティサイドの観客席に視線を向け、イチカとアイコンタクトで会話する。

 

『ど、どうすればいい?』

 

『抑えこんで!! 抑え込んで試合を終わらせてくださいっす!! ほんとすみません!! ほんとすみません!!』

 

 イチカの必死な様子に、マコトは満身創痍のセイアを抑え込み、そのままカウントダウンを取らせる。

 

 しかし、セイアはマコトの拘束から逃れようと必死に身体を動かした。だが、この拘束からは逃れられない。圧倒的なパワーの差だ。

必死に抵抗するが、マコトの腕力の前には赤子も同然である。

 

「ぐぅ……は、離せ……まだ……私は……っ」

 

 必死に抵抗し、思い切り身体を捻るセイア。次の瞬間、身体を大きく捻り過ぎたセイアの腰から嫌な音が聞こえた。

 

『ボギッ!!』そんな音が会場に響き渡り、セイアは思わず悲鳴を上げた。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」

 

 会場にセイアの悲鳴が木霊する。しかし、マコトが拘束を解く様子はなく、そのままカウントは進んでいき、そして。

 

『10!! 9!!』

 

 8……と、カウントが進むが、セイアの悲鳴に会場は静まり返る。

 

『4……3!!』

 

 そして、いよいよカウントも残り僅か。

 

「ぐぅぁあ!! あがぁぁあ!!」

 

『2!!』

 

 観客席のナギサが、正義実現委員会に何か言っている姿がマコトの視界に映る。しかし、マコトは何もしていない。暴れたセイアの自業自得なのだ。それを言いたいが、言ったところで話が通じる状況ではないだろう。

 

「1!!」

 

 もうじきカウントが終わる。マコトも、イチカも、そして会場の誰もがセイアの負けを確信していた。寧ろマコトとイチカは早く終わらせてセイアを救護室に連れて行きたかった。

 

『0!! 勝者、羽沼 マコト選手!!』

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」」

 

 会場の歓声に混じり、セイアの悲鳴が木霊するが、その声は歓声に消え、マコトが退くと同時に、ぐったりとしたセイアが担架で運ばれていった。

 

 セイアが運ばれていく中、ナギサはマコトをキッと睨み付け、イチカ以外の正義実現委員会のメンバーはセイアを搬送しながら、マコトに非難の眼差しを向けていた。

 

 そしてマコトは……

 

「え、私のせい?」

 

 困惑した様子で、観客席の正義実現委員の方へと視線を向けるのだった。

 

 ゲヘナ学園とトリニティ総合学園の交流会異種格闘技は、マコトの圧勝で幕を下ろした。

 

 その後、セイアは救護室で治療を受ける事になったが、幸いにも打撲と打ち身と腰部捻挫で済んだようだ。

 

 しかし、今回の異種格闘技戦後、ゲヘナとトリニティ間の関係は更に悪化。セイア負傷の知らせを聞いたミカはマコトにリベンジ戦を挑んだが、マコトはそれを丁寧に断った。

 

 尚、合同合宿に参加していたヒナは合宿場に先生が遊びに来たことでキラキラシロモップになって帰ってきた。




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