「んぃぅううっ!?」
反応は劇的だった。明確な官能の刺激に、少女の腰が跳ねる……が、細い腰に巻き付いた触手が、1ミリ足りとて動く事を許さない。ギシギシ、と戒めが強さを増して少女の動きを押さえこみ、抵抗できない少女の繊細な部分を、繰り返し触手が刺激した。
『ほら。そろそろ、こちらもくれてやろう』
「あぁあっ!?」
触手が絞るように巻き付いた年相応の控えめな乳房、ドレスの上からでもわかるほど立ち上がった乳首に、優しく触手が振動を押し付ける。途端、頭の奥まで響くような官能に、跳ねるような声が加奈の口から吐き出された。
金色のツインテールを振り乱し、少女が鳴き声混じりの喘ぎを上げる。
「あ、ぁあっ!? は、んぁっ!? あっ! あぁあっ!」
『どうした? まだ序の口もいいところだぞ? そんなので最後まで持つのか?』
「う、うそっ、そ、そんなの……んぅっ!? や、やだ、怖い、怖いぃっ! あぁあ!?」
乳首と乳房、そして秘所とすら呼べない内股の鼠径部……そこを少し刺激しただけで泣き喚いて怯える加奈の姿に、ブラボールの目が嗜虐的に細められる。
涙で滲んだ視界の中で、自分を蹂躙する絶対者の興奮を見てとって、ぞくり、と加奈の胎の奥が熱く潤んだ。無垢な少女は、その意味をまだ知らずとも。
「あっ、やあっ……ぁあっ!」
もはやそのドレスは粘液が沁み込み黒く変色し、肌にぴったりと張り付いている。触手ともども躰を戒めるそれを振り払うように体を動かして抵抗する加奈だが……彼女は果たして自覚があるのだろうか? まるで触手を自ら腰に擦りつけるようなその動きに。
『くく、そう急かすな。今から、いいのをくれてやる……ほら』
「ひ……んんぃいいあっ!?」
そしてついに、震える振動がショーツの上から彼女の秘豆を襲った。その刺激は、官能というよりも電撃を流されたかのように、痛烈に彼女の脳に響いた。視界が白く明滅し、碧眼が見開かれる。
「んひぃ、ひぃっ! ちが、ちがうっ! しらなっ、こんなの知らないっ!? ぁあっ!?」
『そうか、そうか。だったらたっぷりと教えてやろう……これが、快楽だ』
「ぁあああっ!?」
加奈とて年頃の女子である。そういう事に興味はあるし、自慰だってした事もある。
だがそれは、今感じているそれと比べれば比較にならない程“つまらない”ものだった。怖くなって豆どころか、秘唇のまわりを撫でさするだけの拙い自慰しか知らない少女にとって、クリトリスという快楽を得る為だけの器官に押し付けられる機械的な振動、それが齎す官能は完全に理解の外だった。
押さえる事など出来ずに声が零れ、勝手に腰が無秩序に跳ねる。強い刺激に逃げようと頭は考えているのに、発情しきった体はむしろ押し付けるように動き、心と肉体の剥離がますます加奈を混乱させ、その心を無防備にしていく。
『いいぞ……もっと欲望を曝け出せ……』
「ひっ、あ……っ! あぁあ、おじさん、怖い、怖い!! おかしくなる、あっ、私、変になるっ!? しらな、ひぃ、たすけ、おじさん、助けてっ! あぁあっ!?」
『恐れる事はない。それが入口だ、全て受け入れろ……私の手でお前を作り替えてやる……』
興奮を隠せない口調で、血走った瞳が加奈の痴態を余さず見つめている。
囁きが伝えてくる。
『(いいぞ、もっと快楽に身をゆだねろ。感じている女の顔は美しい……)』
その瞬間、加奈はあらためて強く意識した。
見られている。
全身に粘ついた粘液を塗りたくられ、何本もの金属触手で体を弄られ、恥ずかしい所に振動を押し付けられて恥も外聞もなく悶えている、そのあまりにも惨めな姿を一部始終……。
「ひ……んっ……?!!?!」
その強い羞恥が、最後の引き金になった。
混乱、恐怖、羞恥。茹った頭では処理できないほどの感情の飽和、それによって無防備になった魂を、快楽が一色に染め上げ、そして。
「あ……あっ!?」
そして、加奈は人生初めてのエクスタシーに達した。
虚ろに目を見開き、仰け反るように体が弓なりにしなる。意図せず押し付ける形になったクリトリスに、機械触手は繊細な動きで的確に振動を送り続け、彼女をより高い頂きに押し上げた。
「……っ! っ、~~~~~っ!」
全身が引き攣り、声が出ない。
視界も、意識も白く染まっていく。その純白の閃光の中で、加奈の意識は停止した。
ただはっきりと、強い印象を焼きつけて。
「(気持ち……いい……っ)」
◆◆ ◆◆
触手によって蹂躙され、絶頂に達する魔法少女。
絶息のままに悶える躰から、やがてくたり、と力が抜けた。
さっきまでとは逆に、まるで骨のないクラゲのようにぐにゃりと脱力する躰。力なく首をこてんと倒す彼女の瞳は暗く淀んで、薄く開かれた口からはだらしなく涎が垂れている。びっしりと汗が浮かんだその頬に、乱れ切った金髪が一房張り付いていた。
機械触手に空中で支えられたままの加奈の体。その、ドレスのスカートの下から、一筋濃い粘液が滴って、床との間に銀色の糸を引いて、小さな水たまりを作った。
『…………ふぅー』
その、少女の初めての絶頂を見届けて、ブラボールは深く深く重い息を吐いた。
自らの内で煮えたぎる欲情を、まるで吐息に乗せて吐き出そうとするかのように。
『これまでだな』
触手を操り、ゆっくりとセイントミラー・アリスの体を床に横たえる。
アリスは無抵抗だ。意識はあるようだが、初めての絶頂に忘我しており、その瞳はどこも見ていない。
今、このまま畳みかければ、彼女の心を完全に砕く事はできるだろう。だがその結果出来上がるのは、自我を持たない人形か、色欲狂いの玩具にすぎない。それでは魔軍の、魔王様の役にはたたない。
その大儀に対する使命感で、ブラボールは爆発しそうな性欲を抑え込んだ。
『私の使命は、魔法少女に自らの意思で魔軍に協力させる事。その切っ掛けは掴んだ……』
目に焼き付いた、悶えるアリスの艶姿。それに息を乱れさせながらも、ブラボールは自分に言い聞かせるように言葉を続ける。
『魔法少女の魔力に、我を失ったのは事実だが。私はそれを最後まで律した。ビーストマン達とは違う……』
床に倒れる加奈から視線を逸らし、気持ちを落ち着かせるブラボール。
現状は、間違いなく良い方向に進んでいる。
彼女を抱いた事で、二人の間にあった穏やかで曖昧な距離感は霧散してしまったが、それによりアリスには強い快楽の記憶が刻まれた筈だ。あとは彼女をこの要塞に監禁し、繰り返しその記憶をより深く、強く刻みつける事で、ブラボールに従う事を悦びとするように調教する。そういった手管は、時として手段を選ぶべきではない指導者として、一通り彼も修めている。
まずはその一歩だ。そもそも関係を持つのが一番の障壁であるため、それを考えれば大戦果と言える。
『しかし……』
ようやく艶姿に心乱されない程度に冷静さを取り戻したブラボールは、しかし拭えない違和感に首を傾げる。
上手くいったのは良い。だが、聊かうまく行きすぎである。行為の最中、あるいはそれ以前から明らかに彼女の様子がおかしかったのも気になる。
まるで、彼女もまた発情していたかのような……。
『……我々にとって、魔力を持つ魔法少女は魅力的な番に見える……まさか、その逆もあり得るのか……?』
そう考えると辻褄があうような気がしないでもない。
だが、それは魔法少女の運用目的を考えると不都合な仕様なのではないだろうか。彼女らが人間界を守るために生み出されたというなら、その敵に情愛を抱くような仕様は不要のはずだ。
そこまで考えて、ブラボールは結論を急ぎすぎている自分に気が付いた。
『……いや……。そもそも、我々は魔法少女の事など何もしらない。……魔法少女とは……一体、何なのだ……?』
「すぅ……すぅ……」
見下ろす先。
金髪の魔法少女は肌も露なまま、疲労からか小さく寝入っていた。
◆◆