そして数時間後、実験が終了し、ポッドの中から溶液の排出が始まった。
前回の事を考えて、部下は退避させてある。ブラボールは完全に排水が完了したポッドの前に立つと、その内部に拘束されたアリスの様子を確認した。
顔は伏せられていて表情は見えない。だがその肌はピンク色に色づき、息は酷く荒い。時折ぴく、ぴく、と震える様子からは、彼女がある種の極限状態にあるのが見て取れた。
仕上がりは上々。
ブラボールはポッドの開閉ボタンを押し込んだ。
ウィーン、と透明な壁が解放され、それと同時にむわり、と甘ったるい香りがその場に満ちる。
発情した魔法少女の魔力。鉄の意思で自制心を保ちながら、ブラボールは中に乗り込むとアリスに語り掛けた。
『検査は終了した。気分はどうだ……』
「あ゙……は……おじ、さん……」
ぐったりと脱力し、拘束ベルトに吊り下げられるような有様のアリス。顔を上げた彼女が、とろんと蕩けた上目遣いでブラボールを見つめる。その頬に小さく笑みが浮かぶ。
「あれ……終わった……?」
『ああ、今回の検査は終了だ。部屋に戻るぞ』
「あ……うん……」
返事はあるものの、どうにも要領を得ない。ぼんやりとしながらも、息を荒く乱しているアリスを見て、ブラボールは計画を変更した。
今の彼女を廊下で連れ歩くのは、毒ガスを要塞内に散布するようなものだ。ここで調教の続きを済ませてしまおう。治療室に併設した休憩室がある、そこのベッドでならアリスも抵抗感はないはずだ。
最も、今の頭が煮え切っている彼女に、空間が認識できるかは大分怪しい所だが。
『……予定変更だ、ここで済ませる。出入口をロックしろ』
「りょ、了解しました、ご武運を……」
『わかった』
武運を、とはまあ大げさな表現だが、部下は一度至近距離で魔法少女の魔力を浴びている。その洒落にならなさをしっているからだろう。
ブラボールは小さく息を吐いて、彼女を戒めるベルトを取り外す。くたり、と倒れ掛かってきた彼女を抱きかかえると……。
「あ……んぅう……っ」
腕の中で、びくりと震えるアリスの体。少し触れただけで、軽く達したらしい。
想像以上の仕上がりに、どうしても下劣な笑みが浮いてしまうのをブラボールは極力我慢した。マスクで口元を隠しているとはいえ、そういう気配は伝わるものだ。
『こっちに来い』
「あ……はい……んぅっ」
横抱きにして、休憩室に連れ込む。アリスは、その間も悩まし気な声を上げている。
ばたん、と休憩室の扉が硬く閉ざされた。
◆◆
「あ……ぅあ……ん……ぁっ」
『随分と出来上がっているな』
休憩室のベッドの上で、ブラボールはアリスの体を弄んでいた。
身に着けていた拘束具は部屋に入るなり破り捨てられ、裸でベッドに横たわる金髪碧眼の魔法少女。その体は拘束具で四肢を伸ばした大の字で戒められている。身動きできない彼女の体の上を、無数の機械触手が這いまわる。時折、乳首や秘所といった繊細な部分に触手が触れる度に、悩ましげな声を上げて腰が跳ね、金属の首輪がチリンとなる。
だがその抵抗そのものは殆どない。むしろ快楽に身をゆだね、耽溺するように彼女はリラックスしているようにすら見えた。
『これはどうだ?』
「あ……んぁっ、あ……んぅ……」
ぐるり、と乳房に巻き付いた金属触手がうねるようにして乳をしごき、ピン、と立った乳首を振動する先端で押しつぶす。火照りきった乳房は柔らかく、以前ほど硬い芯を感じない。溜息のような嬌声を上げて、びくびくとアリスの体が快楽に震えた。
魔力振動で、全身発情状態になっている魔法少女。まるで肉体そのものが、セックスの為に作り替えられたように実に具合がよいことになっているようだ。
叫ぶような嬌声が零れないのは、快楽が低い訳ではない。ただ肉体があまりに快楽に餓えていて、その程度では全然足りないのだ。今の彼女にとって快楽は特別な刺激ではなく、あって当たり前の感覚になっている。
『気持ちいいか、アリス? 言葉にするんだ』
「ん……ぅ、あ……はい、気持ち、いいです……頭の中、んぅ……くらくら、する……あっ」
『そうか。その感覚にもっと身をゆだねろ。全てを曝け出せ』
蠢く触手が、適格に敏感な場所に快楽を送り込む。ぎっ、とアリスの手足が強張ったが、ベッドに縛り付けられた拘束具のせいで身動きできない。
自然と彼女の腰が浮き……その上を、ブラボールは窘めるようにぎゅっと押さえ込んだ。
そう。
ぷっくらとした彼女の腹部。子宮と卵巣の上を、優しく押しつぶすようにベッドに押し付ける。柔らかな皮膚の下で、コリコリとした臓器の手応えがあるような気がする。
反応は劇的だった。
「……んぃいいいっ!? あ゙、ぁあっ!? はぁあっ、あっ!? な、んで、お腹……触られた、だけ、で……ぇっ!?」
『ん、そうか。わかるか? ここにな、あるんだよ。お前の子宮と、卵巣だ。わかるか?』
「……し、きゅう?」
場所を教えるように、鉄の指先は腹部の上でぐるり、と円を描く。
それを受けて、オウム返しに繰り返すアリスの瞳。ぼんやりと酩酊に微睡んでいたその瞳が、急激に意識を覚醒させていくのがはっきりと見えた。
生々しい言葉に、自分が置かれている状況、そして行為の意味を意識したのか。
同時に、彼女の全身に鮮烈な恐怖と快楽による強張りが戻ってくる。
「え、あ……し、子宮……あ、ああっ!?」
『そうだ。わかるか? コリコリとした手応えを感じるぞ……くくく、まるで発情期の雌猫のようだ。男が欲しくて欲しくてたまらないと咽び泣いているのが手に取るようにわかるぞ?』
勿論流石に、いくらなんでも腹の上から撫でても感触は分からない。
だが当人からすればどうか?
ブラボールに改めて場所を触感で教えられ、間違いなく発情しているのは事実で、腹の奥に熱く火照る熱を感じているであろうアリスは。
まだ男の味を知らない、乙女の、しかしそれ以外の多くを知ってしまった無垢とは言い難い女体は、どのように感じるのか。
あるいは、思い込みで。
ダラダラと愛液をこぼし、ブラボールの指先でコリコリと押しつぶされる肉の袋を、ありありと具現化してしまうのではないか?
それは、彼女自身の反応がありありと語っている。
「あ……はっ、しき、子宮……あ、ああっ!?」
肌を興奮に紅潮させながらも、どこか怯えのある視線がしきりに下腹部に向けられる。その視線をしっかりと堪能しつつ、再び優しくブラボールは彼女の腹部に力をかけた。
想像上の子宮を、ゆっくりと鷲掴むように押しつぶす。
「あ……あぁあ………あああっ!? あっ! ぁあ゙っ!?」
『軽くイったか』
ぷしゃあ、と押し出されるように秘所から愛液を吹き出しながら、小さく痙攣するアリスの肢体。しかし絶頂に達しながらも、彼女の体から熱は引く様子はない。むしろますます高ぶる躰を持て余し、アリスは喘ぐように熱い息を吐きだした。
「あっ、や……おじさん、おじさん……っ! わ、たしの体……おか、しぃ……っ! たす、け……ぁあ、たすけて……おじさん……!」
『分かっている。今からそれを鎮めてやる。私の指先を、言葉を、触手を全て受け入れろ。思い出せ、私がお前にする事は、いつもどうだった?』
「……あっ、……き、もち……いいこと、です……」
『いい子だ』
アリスの裸体は、溶液と彼女の汗がまじりあい、てらてらとベッドの上で光っている。そこに、機械触手に絡ませた粘液が混じり合い、艶めかしく魔法少女の裸体が照明の下で悩まし気に踊る。
「あ゙……っ、はぁ、あっ……あぁあっ! はっ、はっ、……あぁああっ! あ゙、あっ!」
絡みつく触手の動き、触れてくるブラボールの指。それらに悩まし気に息を吐きながら、ベッドの上で体が跳ねる。手足を戒める鎖をガチャガチャと鳴らしながら、何度も金髪が振り乱されて枕を打った。
すでにベッドの白いシーツには、溶液と汗と粘液、そしてアリスの愛液が入り混じった液体が沁み込み、黒く変色し始めている。快楽地獄でのたうつ魔法少女の反応を確かめながら、ブラボールはまるで実験動物のマウスを解剖するような真摯な視線で、アリスの体に快楽を送り込み続けてた。
つかめてきた彼女の呼吸、それを邪魔しないように、より深く彼女が快楽に耽溺できるように……セックスとは互いの呼吸を合わせてこそ。一方的に支配される形でだが、アリスとブラボールのそれは噛み合いつつあった。
それは同時に、アリスを蝕む甘い拷問が、より苛烈さを増すだけであるのだが。
「ひっ、あ、あぁあ゙っ! あぁああぅあーーーーっ! あ゙、がっ、あはっ」
再びの絶頂にベッドの上で弓なりにしなった体が、再びがくんとベッドに沈み込む。これで数度目の絶頂……だが意識を失わない彼女に、ブラボールはしばしの休憩を与えた後、再び責め立てる。
「ひっ、あ゙あっ!? はあ、はあ……んぅうああっ!? あーーっ!? ぁあ゙っ!」
嬌声が上がり、しばらくの後に再び絶頂に沈む体。噴き出す汗と粘液にテラテラと光る裸体、あえぐように必死になって呼吸する魔法少女を見下ろして、ブラボールは余裕綽々に問いかけた。
『どうだ? そろそろ満足か?』
本当はアリスがどのような状態か、分かりきっての白々しい問いかけ。
だが魔法少女に、その意図を考えるような余裕はない。快楽で漂白された頭で、ただ命令に応えようと思考を回す。
「まん、ぞく……?」
快楽に濁り切った、淫蕩に霞んだ瞳。虚空を見据え、アリスは自問自答する。
気持ちいい。それは確かだ。
ブラボールの触手や指先に与えられる快楽は甘美で、何度も絶頂を覚えた躰には鉛のような倦怠感が漂っている。
だが。
足りない。
もっと、もっと、重たくて、芯に響くような快楽が、きっと。
「……お、じさん……はあ、はあ……その、んぅ……」
『なんだ? よく聞こえないな』
「うぅ……な、なんでも、ない……事は、ないけど……んぅっ。なんでも、ない……っ」
ここぞとばかりに聞き覚えの悪いフリをするブラボールに、アリスが小さく唇を噛む。
そんな彼女に、ブラボールは彼女の秘めた欲求を見透かして、その言葉を誘導して引き出そうと囁きかける。
『ああ、そうだな。言い方を変えよう……外だけで、満足か?』
「外……?」
一瞬キョトンとして、そしてアリスはすぐに気が付いた。
気が付いてしまった。
外。それに対する、中はどこかを。
まだ、ブラボールが触れていない場所がある事に。
「あ……あ、はぁ、はぁ……ああ……う、うぅう……」
『どうした? 随分と悩んでいるようだが……まあいい。続きをしようか』
「あ゙っ!? んあ、ああっ!? あっ!」
再び魔法少女の体を弄ぶ触手と指先。だがそれは、それと悟られないように、先ほどまでも緩めた手ぬるい攻め。絶頂には達するが、それまでが長く、そして浅い。ベッドの上で体を捩らせながらも、アリスには本人も自覚しない内に不満と期待が蓄積されていくのが、手に取るようにブラボールには分かった。
そして、数度目の物足りぬ絶頂を迎えた時。
その不満は、彼女の怯えと恐れ、そして使命感を上回った。
「……あ゙ぁ、ふっ、はぁ、はぁ……んぅう……あ゙っ。おじ、さん、ねえ、おじさん……っ!」
『なんだ、セイントミラー・アリス? 魔法少女のお前が、魔軍の私に、何か願い事か?』
「ん、ぅう……っ」
いじわるな言葉に怯むも、それは一瞬の事。
もはや躰の疼きに耐えきれなくなり、ついにセイントミラー・アリスは、その一線を自ら踏み越えた。
「お、願い……。もっと、深く、重く、私を気持ちよく、してください……っ。おじさ……ブラボール、さんっ! お願い……っ!」
待っていたその言葉に、ブラボールはマスクの下で邪悪に笑った。
◆◆