『優勝した……アスカ・ラングレー選手にインタビューです』
その名前を聞いて思わず上を見る。
『今回の結果を受けてどう感じていますか?』
『自己ベストが更新できたから満足してるわ』
自分の記憶そのままの姿が街の巨大な電光掲示板に映っていた。
『その強さの秘訣はなんでしょうか?』
『才能ね』
きっぱりとした物言い。
その不遜ともいえる態度にインタビューアーも唖然としている。
「さすがアスカ……。こっちの世界でも変わらないや」
『あと、努力ね。他の全てを捨てて心血を注ぎ続けた結果だと思うわ』
『で、ではこの喜びを伝えたい方はいますか』
『両親』
この質問にも短くそうきっぱりと言い切る。
『ママの才能とパパの愛情のおかげであたしはここに立ってる。ありがとう愛してるわ!』
『では今後の抱負について……』
『もう辞めるわ。満足したし。……久しぶりに家に帰りたいし……』
『え、競技を引退するっ!?重大発表をそんなさらりと!』
『パパー!待っててね~♡』
ある男が決めた覚悟が、この世界に大きな変革をもたらした。
『まもなく列車が参ります……』
満員列車。
開いた扉の向こうには見覚えのあるオレンジのツーサイドアップ。
「ア…スカ?」
思わず喉から声が漏れた。
「も~またそのナンパ?」
「この国はあたしとお姉ちゃんを見分けられない男ばっかり!せっかくパパの故郷だっていうから来てみたのに!」
すべての娘たちに幸せを――。
『最年少宇宙飛行士の……アスカ・ラングレーさんにお聞きします。どうでしたか宇宙は!』
『簡単なミッションだったわ。正直ただのお使いだもの』
『さ、さすがですね。姉妹そろって……その、自信家といいますか……』
『でもそれで済んだのはチームメイトにオペレーター、シャトル技術者に開発者、スポンサー。それに応援してくれたみんなのおかげよ!ありがとう!』
『え、あれ?……ありがとうございます』
一度出した手は止まらず。一度乱れた倫理感は治らず。
『最年少優勝した……アスカ・ラングレー選手にインタビューです』
『その強さの秘訣はなんでしょうか?』
『コーチかしら。お姉ちゃんの教え方が良かったのよ』
『……そのコーチがお見えになられていないようですが』
『そろそろ臨月だから。今は家にいるわよ?』
『え!?ご結婚なさって……日本での人気も高いのですが……お、お相手は?』
『ん~。一応一般男性?……個人情報だからナイショ』
才女が世界に解き放たれた。
『世界でも稀にみない姉妹の研究チームと聞きましたが……』
『それが一番効率がいいからよ』
『そう。知らない男たちと寝泊りを同じくして研究漬けになりたくないもの』
『『『ねー』』』
『……それで発見されたS2細胞についてお聞きしていいでしょうか?』
『後天的な人体のデザイン変更が可能になるわ』
『ハッキリ言って人類には過ぎた代物ね』
『それを使って何の研究をされているのでしょうか?』
『人類のためっていうなら……不妊治療*1かしら?』
『ぷっ……いや、確かにそうね。その応用もできそうだわ』
選手として、パイロットとして、研究者として、モデルとして、格闘家として、ダンサーとして、医者として……。
そして、ヒロインとして。
「で、どうだった日本は?」
「やっぱパパみたいな人連れてきたのォ?」
「……さすがにそれは言いすぎじゃない?パパは無理でしょ」
「ねぇお姉ちゃんってば!」
日本へ留学した姉妹が男を連れて戻ってきた。
それは家族にとって大イベントとなる。
「ようこそ。俺はキョウキチ・アスカ・ラングレー。アスカのパパだ」
男はいつものように手を差し出した。
「パッパ~♡」
「どうしたアスカ?」
「お胸の調子が良くなくてぇ……パパ見て?」
「お姉ちゃんに診てもらいなさい?」
主治医の姉。この子だけじゃなく家族みんなの。
「お姉ちゃんじゃこのドキドキは抑えられないわ……ほらね?パパ♡」
末っ子の波止・アスカ・ラングレーは病弱だった。
そもそもが難産という今までないパターンで家族に心配されて生まれてきた。
その後妻は三日三晩寝込んで……。四日目の朝に俺に襲い掛かり返り討ちにされている。
もう俺とお前じゃ性経験の差が大きすぎるんだ……。
そんでこの子が生まれてから、もう10年俺は子供ができていない。
きっとすべてのアスカの魂がこの世界に生まれ落ちることができたんだろう。
俺は……ヤリきった。
で、話を戻そう
この子は丈夫な姉たちとは違い身体が弱く甘え上手で……困った娘だ。
まだ圧倒的に幼い。その癖してやけに積極的に父親を誘う。
もう60過ぎのおっさんをだ。50近い年の差があるんだぞ?
いや俺の性欲は異常というか。
改造が上手くかみ合いすぎて精力S2機関ではあるから一人増えたくらい問題ないんだが……。
それとこれとは話が違う。
どうしたもんかなぁ……。