乾いた破裂音が、夕暮れのボクシングジムにリズミカルに響き渡る。
汗と古い革、そして湿布の匂いが染み付いた空間の中で、
シュッ、という鋭い呼気。
ステップを踏むシューズの摩擦音。
額から飛び散る汗が、高い窓から差し込む西日を反射してきらきらと光の粒に変わる。
決して天性の才能に恵まれているわけではない。
だが、幼い頃から抱き続けた「プロボクサー」という夢に向かって、一切の妥協なく己を削り出すようなその姿は、見る者の胸を打つ真っ直ぐな美しさがあった。
その直向きな姿を、リングサイドのベンチから愛おしそうに見つめる瞳がある。
幼馴染の
膝の上に清潔なタオルとスポーツドリンクを抱え、彼女は孝の動きに合わせて小さく首を揺らしている。
ジャージ姿であっても隠しきれない、高校一年生としては規格外に発育の暴力とも言える豊満な胸の膨らみと、引き締まったウエストの曲線。
周囲の練習生たちが時折盗み見してしまうほどの目を引く容姿を持ちながら、楓の視界には常に孝の姿しか映っていない。
「孝くん、ラスト一分」
「……おう」
言葉は少なくとも、二人の間には完璧な呼吸が存在していた。
インターバルを知らせるタイマーが鳴ると、孝は荒い息を吐きながら楓の元へ歩み寄る。
楓は自然な動作で立ち上がり、彼の首筋にそっとタオルを掛けた。
幼稚園の砂場で交わした「大きくなったらお嫁さんになる」という無邪気な約束。
それは年月を経て色褪せるどころか、二人の間で確固たる静かな誓いへと成長していた。
互いに触れ合う指先が微かに重なるだけで、二人の間には誰も入り込めない透明で温かな結界が張られる。
それはまさに、神が愛でるにふさわしい「純愛」という名の美しい名画だった。
だが、その神聖なカンバスに、突如として泥靴で踏み入る者がいた。
「相変わらず、無能な働きアリみたいに無駄な汗かいてんなァ、優等生」
ジムの入り口から響いたのは、粘り気のある嘲笑だった。
気怠げに首を鳴らしながら現れたのは、
187cm 89kgで、ドレッドヘアーをした人相の悪い男
少年院上がりという経歴を持ちながら、圧倒的なセンスのみでジムに居座る異端児だ。
練習着に着替えることすらなく、咥え煙草のまま土足でフロアに上がり込む。
彼が吐き出した紫煙が、ジムの張り詰めた清浄な空気を一瞬にして淀ませた。
「龍我……お前、また練習をすっぽかしたのか」
「才能のない奴はひたすら殴るしかねェもんな。俺は息吸ってるだけでお前より強えんだから、休ませろよ」
孝の静かな咎めを鼻で笑い飛ばすと、龍我はどっかりとパイプ椅子に腰を下ろした。
そして、その爬虫類を思わせる淀んだ双眸を、孝の後ろに控える楓へとゆっくりと這わせる。
「それにしてもよォ……いつ見てもいい身体してんな、楓ちゃん」
龍我の視線は、楓の膨らんだ胸の谷間から、滑らかな太ももへとねっとりと絡みつく。
それは明らかに、同門のマネージャーに向けるものではなく、肉欲のはけ口を値踏みするような下劣で生々しいものだった。
楓は怯えたように肩を震わせ、孝の背中に隠れるように一歩下がる。
孝の拳が微かに震え、怒りに顔が険しくなるが、ジム内での暴力は絶対の御法度であり、何より夢への道が閉ざされることを知っている孝は、奥歯を噛み締めて感情を殺した。
その理性を「臆病風に吹かれた」と曲解した龍我は、満足げに下品な笑い声を上げる。
彼には更生する気など微塵もなく、ただ他人の大事なものを奪い、壊すことにしか価値を見出せない根粋のクズだった。
やがて、その日の練習メニューを終えた孝が、着替えのためにシャワールームへと向かった。
楓もまた、空になったボトルを洗い、新しいタオルを取りに給湯室へと足を向ける。
二人がフロアから消え、人気がなくなったリングサイド。
パイプ椅子でスマートフォンをいじっていた龍我が、音もなく身を起こした。
その口角が、ぞっとするほどおぞましい三日月の形に歪む。
龍我は足音を殺して、壁際に置かれた孝のスポーツバッグへと歩み寄った。
中には、孝が何よりも大切にしているグローブと、ボクシングライセンスの申請書類が入っているはずだ。
周囲に誰もいないことを確認した龍我は、ポケットから小さなビニール袋を取り出し、不敵な笑みを深めながら、それを孝のバッグの奥底へと滑り込ませた。
孝の夢を根底から破壊し、絶望に突き落とすための卑劣な罠。
そして、絶望して泣き崩れるであろう楓を、自分の腕の中で慰めるという名目で貪るための、最悪のシナリオの始まりだった。
しかし、その薄汚い所業のすべてを、冷徹に見下ろす瞳が存在していた。
木村楓(キムラカエデ): 165cm58kg、高校1年生、元気ハツラツで、男女分け隔てなくフレンドリーである。所謂ボンキュッボンであり、すごくかわいい(語彙力)顔をしているため、学校の男子からは密かに劣情を寄せられている。
女子の間では、すごくいい子で、庇護欲が掻き立てられるとのこと。
孝のボクシングジムにて、孝のマネージャーを務める。
孝の事を心の底から愛しているのだが、あと一歩を踏み出せないままでいる。
昔から平均週10で孝をオカズに自分を慰めているため、このような身体になったと推測できる。
当然のように、昔からずっとタカシ一筋で、所謂処女であり、孝と1つになる日をずっと夢見てその貞操を守っている
斉藤孝(サイトウタカシ): 175cm74kg、高校1年生、曲がったことが嫌いで、正義感が強い。
好青年で、幼少期からボクシングジムに通っている
楓のことが好き。
自慰行為は週7回、楓の積極的なスキンシップの賜物である。
吉田龍我(ヨシダリョウガ): 187cm89kg、18歳、幼少期からの非行少年(恫喝、暴行、強姦、窃盗)で、何度も少年院を出入り、つい1年前までも少年院に入っていた。
だが、彼のフィジカルやポテンシャルを見出したボクシングジムの会長が、彼を更生という名目でボクシングジムに抜擢、彼は持ち前の才能でろくに練習もせずに勝ち進む、タバコや酒は当たり前、夜はクラブに入り浸り、不摂生三昧である。女好きで、ムショボケを冷ますために手頃な女を探しているが、そんな中でボクシングジムで孝をサポートする楓を目につける