※この作品はR-18です。

タイラズマ+1(元カノ→妹) ~3人の愛と欲~ 分割版   作:eronosuke

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第2話 暗い誓い

「まぁ、元カレだったけどさ。あの頃の平クンとは手すら繋いでないわ。だって七分袖だよ?」

 

元カノが鼻で笑う。彼女の指先が制服の裾を弄びながら、意地悪く続ける。

 

「でも今の平クンとなら全然セックスよゆー。平クンって童貞かな。アタシが教えてあげよっかなー」

 

最後の言葉と共に向けられたニヤリとした笑み——それは平の清潔な笑顔とは百八十度違うものだった。性の餌食にしようと企む女の汚らしい笑み。

 

東の脳裏が真っ白に爆ぜた。

 

(殺したい)

 

(今ここで叩き潰してしまいたい)

 

だが拳は動かなかった。理性が危険信号を発していたのだ。「感情だけで突っ走るな」と警告するもう一人の自分がいる。だがその理性的な声は急速に小さくなっていく。

 

「上手くいくといいわね」

 

自分の声が乾いていた。驚くほど冷静に響いたことに自分で驚いた。東はゆっくりと踵を返す。元カノの顔を見る必要はない。背後で嘲りを含んだ笑い声が聞こえる。

 

「そーだねぇ♪ ありがとね〜アドバイス♡」

 

聞き流した。階段を数段飛ばして駆け上がる足音が夕闇に響く。昇降口近くの柱の陰まで来ると壁にもたれかかり、息を整える。汗が首筋を伝う。夕焼け色の天井を見上げたまま、東は呟いた。

 

「……平は私のものにする」

 

低い声は自分自身に言い聞かせるようだった。確信と決意に満ちた声。

 

「あの女より早く。必ず」

 

胸の奥底から熱い衝動が湧き上がる。それは嫉妬や憎悪以上のもの——本能的な独占欲だ。平の存在を全身で欲している。彼を守るためではなく、自分のものにするために。

 

東は平と接している内にある確信を得ていた。平は童貞だ。

(平が初めて経験する性は私でなければならない)

 

頭の中であの男の輪郭が鮮やかに浮かび上がった。細身になったけれど頑丈な腕。骨張った指。整えられた顎髭が似合う横顔。あの喉仏が上下する様子。普段はクールぶっていても、恥ずかしさで赤くなる耳朶。

 

「……ッ」

 

全身が火照る。胸の鼓動が速まる。体の中心に疼きを感じて足をクロスさせた。東は無意識に唇を舐めた。粘膜が潤いを帯びていく。平の肌の感触を想像するだけで唾液が溢れた。

 

(あの女が知らない平を知り尽くしてやる)

 

(平の初めてを捧げさせて)

 

(その後であの女を徹底的に壊す)

 

東の狂気を孕んだ計画はすでに動き出していた。

 

 

-----

 

 

次の日

 

目覚ましよりも早く起きた東は洗面台の前に立っていた。鏡に映る自分の瞳孔が開いている。濃い桃色の下着に着替えながら昨夜の昂奮を思い出す。膣内が既に湿っていることを確認するたびに口元が緩んだ。

 

「待ってて平……」

 

囁くと同時に股間がヒクつく。鏡に向かって微笑むその表情は邪悪で美しい。

 

(今日こそ告白しよう)

 

(そして肉体的に私の虜にする)

 

(そのあとは……)

 

玄関扉を開けると朝靄が街を包んでいた。湿ったアスファルトの匂いを肺いっぱいに吸い込む。東の指先が自然と伸びて空を切り裂いた。

 

東の心臓が高鳴る。まるで鼓膜に杭を打ち込まれるような痛みが胸の奥で炸裂した。──この感覚こそ、自分が長らく忘れていたものではないのか。戦慄。恐怖。勝負。ヒリヒリする緊張感。

 

そう、これまでの東は平穏を望みすぎて、“待つ”ばかりだった。平の変化に気付きながらも踏み込まず、他者の都合に流される“大人びた少女”を演じてきた。

 

しかし今はどうだ。平の周囲をうろつく元カノという名の蠱毒が、“待ち”を選べば敗北を確定させるのだ。

 

「……待つって、甘えだったんだ」

 

 薄闇の中で彼女は鏡に向かう。寝起きの裸のまま立ち尽くし、右手で胸元をなぞった。弾力のある乳房が重力を跳ね返す。

 

中学時代、平が遠巻きに見ていた頃にはなかった張りだ。脇腹から腰へのライン、臀部の膨らみ──男を狂わせるはずの身体を意識するたび、血が沸騰する。

「うん。これが私の武器」

 

 次にスマホのアルバムを開く。そこには去年の文化祭で撮った平とのツーショットがあった。気だるげに笑う彼と、隣で肩を組む自分。当時は照れ臭くてデータを削除したが、今ならわかる。“特別な女友達”という称号がいかに希少か。平に近づこうとする女たちにとって羨望の的だ。

 

「距離感はゼロに近い。ここから踏み込めば──崩せる」

 

 東は歯を噛みしめながら思考を加速させる。

1.勉強会と称して家に誘い込む。(平は拒否しない)

2.雑談で警戒心を解く。(過去の話題は禁句)

3.自然に接触頻度を増やす。(飲み物を手渡す/足を組み替える)

4.キスから始める。(許可を得ず奪う)

 

「平が抵抗するのは想定内。だけど“嫌われたくない”弱さにつけ込む。だってアイツ、優しいから」

 

 喉の奥から嗤いが漏れる。涙腺が灼けるような興奮。東はブラウスを羽織らず、上半身にシースルーのパーカーを被った。胸の形が透けて見える寸前まで襟を開ける。玄関ドアを開けた瞬間、夏の残滓を孕む風が肌を撫でた。

 

「あの女には絶対できない露出の仕方……でしょ、平?」

 

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