裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る 作:柊咲
先頭にシルバとリノ。
その後ろをエレノアたち四人が続く。
門に群がる大勢の騎士たちに迫ると、シルバとリノが武器を手に取った。
シルバは腰から銀色に輝く剣を引き抜き、リノは肩に乗せた大剣を片手で持つ。
「見える範囲にいんのは、ざっと一〇〇人ぐらいか。余裕だろ、リノ?」
「誰に言ってる。私一人で余裕だ」
二人は大勢の敵を前にして笑っていた。
これが戦慣れしている者の姿なのか。覚悟を決めたエレノアでさえ、緊張から手綱を握る手が震えているというのに。
そしてシルバは、剣王と呼ばれる所以たる力を見せた。
「神の覇道よ──天地百傑 」
天にかざした剣に眩い光が降りそそぐと、銀色の剣は一瞬にして黄金の宝剣へと変化した。
「奴らの注意を引きつける。お前らはその隙に中へ入れ」
空へ向けていた黄金の剣を水平に一振り。
その瞬間、エレノアたちの後ろから、地面を駆ける壮大な馬の蹄の音が響く。
「これは……」
エレノアの目に映ったのは眩い黄金の鎧で武装した大勢の馬と騎士。それらはシルバが職業の力で作り出した幻影の騎士団だった。
門のところにいた正体不明の騎士たちは、シルバの作り出した騎士団へ向かって走ってくる。
「連中の相手はこいつらが引き受ける」
シルバに言われると、今度はリノがエレノアたちの背中を押す。
「シルバの技にかかった連中は、絶対にテメェらを見向きもしねぇ。だから安心して行け」
城砦を取り囲んでいた騎士たちは、真っ直ぐ門へと向かうエレノアたちには目も暮れず、引き寄せられるように黄金の騎士団と向き合う。
「こいつらは私らが面倒みてやるっ! 中に入ってからのことは、テメェらで決めろ!」
リノはニヤリと笑いながら左手を力強く握る。
「燃えろよ、クソどもがっ──灼熱の流星」
左手に燃え盛る炎を生み出すと、リノはそれを宙へ投げる。その炎の塊は独りでに弾け、無数の炎の玉になって飛び散る。
それらは迫ってくる騎士たちに命中すると、勢いよく爆発した。
「ほらっ、さっさと行け!」
前方に、エレノアたちの進路を塞ぐ者はいない。
エレノアは馬を勢いよく走らせ、セリナ、サナ、ルナと共に門へと向かう。
「ありがとうございます!」
背後から、リノの小さな声がエレノアの耳に伝わった。
「……エギルを救ってくれて、ありがとな」
それを聞いて、彼女もエギルの幸せを願っていた一人なのだと理解した。
であればその言葉に応えるべきだろう。
「必ず、エギル様の帰ってくる場所を守り抜いてみせます」
手綱をギュッと握ったエレノアは、セリナと共に、シルバとリノが開けてくれた道を突き進む。
「門の先にもいるわね……」
セリナは小さな声を発した。
シルバとリノのお陰で、北門と呼ばれる一の門を突破できたエレノアたち四人。
《ゴレイアス砦侵攻戦》の際には一の門から二の門に行くまでの区間は迷路状になっていたが、それは撤廃され、今では二の門までの間に目を遮るものはなく、騎士たちの姿を確認することができた。
「馬だと目立ちます。ここからは馬を降りて徒歩で進みましょう……」
エレノアたちは馬を置いて二の門へと向かいながら、様子を窺う。
巨大な鉄扉の前には何十人もの騎士が松明を手に寄り集まっている。
固く閉ざされた門は爆破してもびくともしないため、騎士たちは中に入れず、手をこまねいているようだった。
「内側から鉄板で閉ざしてるみたいですね。他の門へ迂回してる者もいるようです」
「そうみたいね。どうするの?」
エレノアは少し考えてから、自分の肩に止まった小鳥のフェニックスを上空に羽ばたかせる。
「フィーさん、他の門の様子は確認できますか?」
フェニックスが上空を旋回し、一通り王国の内部を確認すると、再びエレノアの肩に止まった。
そしてすぐ、フェニックスを通してフィーから返事が届く。
『暗くて松明の灯りしか確認できなかったけど、他の門も同じ感じだったよ』
「そうですか。他の二の門は突破されていますか?」
『住民区までは北以外すべて、突破されてる』
「わかりました。わたくしたちのいる北の二の門から入ることは可能ですか?」
『ちょっと待って……』
そう伝えると少し間が生まれる。そして、
『北の二の門にゲッセンドルフたちがいる。一瞬だけ扉を開けるから、四人とも隙を衝いて中に入って』
ヴォルツ王国に伝達役として置いてきたハムスターのゴルファスは今ゲッセンドルフたちといるようで、中にいる彼らとやり取りをしてくれたのだろう。
エレノアは頷き、三人を見る。
「タイミングを合わせて中へ入ります。その前にできる限り、門の近くにいる騎士たちを排除しましょう」
エレノアの言葉に三人は頷く。