※この作品はR-18です。

裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る   作:柊咲

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第8話

 

 

 ──エレノアが籠城戦を行うという決断をエギルに伝えた頃。

 

 雨降る中、大空を舞う二頭のレッドドラゴン。

 そのドラゴンの背に乗るエギルは、目を閉じ、目的地へ到着するのを静かに待っていた。

 

 

 

「見て見て、シロエ! 大陸があんなにちっちゃいよ!」

「そうですね。ほら、あそこの街」

 

 

 

 ドラゴンが風を切る音と共に、前に座るクロエとシロエの声がする。

 真下に見える大陸を指差すクロエは、真っ白い雲の間近にいることに舞い上がってるのか、頭の上でお団子のようにまとめた髪をゆらしながら、大きくはしゃいでみせた。

 それを見て胸元まで髪を伸ばしたシロエは、上品に口元に手を当てクスクス笑う。 

 それでも時間が経てば経つほど、微かにソワソワし始めているのは、これから二人の姉、セリナと会うからだろうか。

 

 

 

「下手に動いて落ちるなよ」

 

 

 

 そんな二人を見て、エギルは笑顔を浮かべる。

 

 

 

「平気平気! エギルも見て……って、なんで笑ってるの?」

「本当です。何を笑ってるのでしょう」

 

 

 

 クロエとシロエは首を傾げる。

 

 

 

「いや、少し嬉しいことがあってな」

「んー? なにかあったの?」

「あったといえば、これからの作戦について、このウサギちゃんが喋ってたぐらいですが」

 

 

 

 シロエはエギルが抱く白ウサギのエリザベスを撫でる。

 シロエの言う通り、エギルの周りであった出来事というと、エレノアから作戦について伝えられたことくらいだ。

 それも危険な作戦。

 けれど、それを彼女から伝えられ、協力を求められたことがエギルにとっては何より嬉しかったのだ。

 

 ──エレノアが自分で考え、周囲の仲間を指揮する。

 

 決して自分からは何も決断しなかった最初の頃の──奴隷と自分自身を蔑んでいた──エレノアとは違う姿に、エギルは嬉しく思っていた。

 

 すると、前を飛ぶドラゴンの背に乗ったレヴィアが振り返る。

 

 

 

「エギルよ、そろそろ到着するのじゃ」

 

 

 

 その言葉を受け、エギルも地上に視線を向ける。

 大きく広がる森林の中心に聳える王国を見て、エギルは息を吐く。

 

 

 

「エギルよ、どこに着陸するかのう?」

 

 

 

 レヴィアの問いかけに、エギルは即答する。

 

 

 

「王国の南側に回り、王城を攻めてる連中の背後を狙う。挟み撃ち。それがエレノアの作戦だからな」

「うむ、では旋回して後方より攻めるのじゃ」

 

 

 

 それを聞き、二頭のドラゴンは雲上で王国をぐるりと回った。

 

 

 

「シロエ、クロエ、これから戦闘に入る。手を貸してくれるか?」

「わかってる、おねえちゃんのためだもん」

「ええ、私たちも戦います。お姉ちゃんを助けるために」

 

 

 

 エギルは笑顔を浮かべると、二人の頭を撫でた。

 

 

 

「フィー、エレノアに合図を」

『わかったよ。少し待ってて』

 

 

 

 エギルは頷く。それから少しして、フィーが合図したと知らせてきた。

 

 

 

『カウントするよ、準備はいい?』

「ああ、構わない」

 

 

 

 エギルは目を閉じると、クロエとシロエが落ちないように後ろから抱きしめる。

 

 

 

『それじゃあ、3、2、1……』

 

 

 

 エギルたちが乗るドラゴンは黒雲を突き抜け、南の三の門辺りに降り、王城を攻めていた騎士たちの背後から出現する。

 数百もの騎士たちが、突然のドラゴンの出現に驚いていた。

 

 

 

「人の家に、家族に手を出したこと──後悔しろ」

 

 

 

 そして、エギルはドラゴンの上から右手を前に出した。

 

 

 

「──無限剣舞 」

 

 

 

 無数の剣が、南の三の門に向かう騎士たちの進路を封鎖するように召喚される。

 進む道を閉ざされた騎士たちは右往左往しながら、ドラゴンに乗るエギルへと剣を向けるが、彼に睨まれると足が止まり、全身を委縮させていた。

 

 

 

「さあ、行こうか……」

 

 

 

 エギルはドラゴンから降り立ち、王城へ向かって進む。騎士たちは脅えたように後退りする。彼らはエギルと戦うか、南の門から逃げるかしか選択肢がなかった。

 エギルは敢えて逃げ道を与えた。

 それはエギルが王城に立てこもっている者たちの身を案じて、戦闘を早く終わらせたいと思ったからだろう。

 そして、騎士たちはエギルとの力量差を感じ、攻めることを放棄して撤退した。

 

 

 

「このまま進むぞ」

 

 

 

 エギルたちは急いで王城へと向かって駆け出した。

 

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