裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る 作:柊咲
「──というわけなんだ」
普段食事をとるための部屋で、先の会議の時と同じ面々に、エギルはレヴィアから聞いた情報を全て話した。
窓の外は薄暗くなりつつあり、部屋の中の空気が重たく感じられた。
エギルが説明を終えると、真っ先に口を開いたのは華耶だった。
「レヴィアと行動する理由は、なんとなくだけどわかったわ。だけど彼女のこと、そこまで信用していいの?」
「完全に信用しているわけではない。だけど、レヴィアは確実に俺たちよりも多くのことを知ってる。そんな彼女が行動を共にしてくれれば助かることもあるはずだ」
「……そうだけど。なんだか嫌な予感がするわね」
闇ギルドに所属しており、多くの人間の命を奪ったレヴィアの存在を不安に思うのは当然のことだった。
中でも、ハルトはレヴィアと行動を共にすることにどうしても納得がいかないようだ。
「自分は反対ですね。あいつは……自分の仲間を殺した奴です。どんな裏があるかわかりません」
そのハルトの言葉にセリナが同調する。
「エギルさん、私もあまり信用できません。クロエとシロエを直接にではなくても助けてくれたことは感謝してます。だけど、あくまで彼女は敵です。そもそもここが死地だった時に受けた《ゴレイアス砦侵攻戦》のクエストだって、最初からここに神の湖があるって知ってて、それを狙っていたかもしれないんですよね?」
セリナの言う通り、その可能性はある。
「もしそうだったとしても、俺はあいつが何か知ってるなら同行させるべきだと思ってる。もし俺たちだけで封印を解いて、神の湖を目の前にできたとしても、そのあと、どうするべきかわからないからな」
「神の湖は、情報をもたないわたくしたちにとって危険を引き起こす呼び水でしかないですしね」
エレノアの発言を受け、エギルは頷く。
「ああ、エレノアの言う通りだ。だったら、ここは同行させて、あいつの反応を見るのがいいと思うんだ。それになぜ湖が熱を発してるのか、なぜ年に数回だけ熱を発するのか。神の湖を目の前にして、レヴィアから新たな情報を聞きだすことができるかもしれない」
エギルの言葉を聞き、それぞれが考えた。
すると、いつも通りハボリックがお気楽な様子で言う。
「んま、どうするかの最終決断は旦那に任せるっすよ。それに俺たちは従いますから」
「エギル様、ハボリックの言う通りですね。決定権はエギル様にありますから」
ゲッセンドルフの言葉に、全員が頷く。
「わかった。俺はレヴィアの同行を許可しようと思う。それで、最後に誰が俺と一緒に行くかなんだか──」
「今回はわたくしたち全員が同行いたします」
「なに?」
エレノアの言葉に最も驚いたのはエギルだった。おそらくエレノアはセリナやフィーに華耶、それにサナとルナとも既に話し合っていたのだろう。ゲッセンドルフやハボリック、そしてハルトたちの様子を見ても、こうなることを予測していたのだろう。
「だが、またここが攻められたら……」
「旦那、それは大丈夫っすよ。前回のようにならないよう冒険者をもっと集めるっすから」
「そうですよ、エギル様。その資金は、ハボリックとわたしが調達しますから」
「湖の都から移住してくれたみんなにも説明しておいたわ。不安がってはいたけど、湖の都にいた時とは違って今は冒険者のみんなが守ってくれることがわかっているから問題ないって。だから、私たちも行くわ」
そして、エレノアは口を開く。
「これから行くところは、エギル様がかつて辛い目に遭われた場所ですからね。わたくしたち妻としては、側にいたいのです」
「エレノア……」
おそらく、クロネリア・ユースで何かあるかもしれないと思って言ってくれたのだろう。
もしかしたらルディアナ・モリシュエ──初恋の彼女と再会するかもしれない。彼女たちはそれを心配してくれているのだろう。
「わかった」
エギルは立ち上がる。
「すまないが、ここのことは任せる。なるべく早く戻るから」
これがこの国の主として正しい選択かどうかはわからない。だがここで彼女たちを拒むこともできない。それに、何を言っても彼女たちは聞いてくれないだろう。
「明日、俺たちはクロネリア・ユースに向かう。そこであの封印を、それにサナとルナの母親にかけられた呪いを解いてくれる者を捜す」
エギルの言葉に、ゲッセンドルフとハボリック、それにハルトも力強く頷いてくれた。
捜し出して連れて来ればいいだけだ。
クロネリア・ユースで何もなければ、それで終わりだ。
なにも……。
なにも心配することはない、はずなんだ。