※この作品はR-18です。

裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る   作:柊咲

15 / 114
第15話

 奴隷オークションは淡々と始まった。

 値段の安い者から競り落とされ、そして客と奴隷が消えていく。

 

 

 

「……見てるのは、辛いですね」

 

 

 

 エレノアはそう呟いた。

 

 

 

「嫌だったら外で待っていていいぞ?」

 

 

 

 元奴隷であるエレノアが辛い気持ちになるのは当たり前だ。もしかしたら、セリナのように自分の知ってる者だっているかもしれない。

 だが、エレノアは首を横に振って、エギルの手をギュッと握った。

 

 

 

「いえ、わたくしがお願いしたことですから……最後まで、見届けさせてください」

「無理はするなよ」

 

 

 

 エレノアが頷くと、再び視線を前に移す。

 すると、ゲッセンドルフが腕を組みながら言う。

 

 

 

「まあ、エレノアさんが辛い気持ちになるのもわかりますが、この逆バージョンもありますからね」

「逆バージョン、ですか?」

「えぇ、男が売られる奴隷オークションで、客のほとんどは女です。だから被害にあってるのは女だけではないのですよ」

「そう、なんですね……」

「男も女も、結局は同じ趣味の奴がいるってことっすねぇ」

 

 

 

 ハボリックは首を横に振って、やれやれといったポーズをした。

 そして、奴隷オークションは進み、

 

 

 

「エギル様、セリナです」

 

 

 

 目的の女性の番になったようだ。

 視線を前に移すと、そこには桃色の髪の女性が、奴隷オークションの為だけに着せられた、透明感のある水色のドレスを着て立っていた。

 

 

 

『さあ、本日も残すところ三人になりました』

「彼女が、セリナなのか?」

「はい」

 

 

 

 桃色の髪を輪郭に沿わせたショートカット。少し強気な印象を与える目尻が上がった桃色の瞳で、エレノアのような大人っぽさを持ちながら、可愛い顔つきだ。

 だが周囲を威嚇するような眼差しをしてるので、少し気の強そうな性格に感じる。

 背丈は一六〇とエレノアと同じくらいだろうか、遠くてはっきりとはわからないが、先程から喋っている者の隣に立つと高身長なのがわかる。

 そして、この場を取り仕切る男が手を上げ、オークションが始まった。

 

 

 

『では、まずは30万ゴールドから参りましょう!』

「35万!」

「40万!」

 

 

 

 一斉に会場から声が響く。そして、

 

 

 

「100万だ!」

 

 

 

 一気に跳ね上げたのは、セリナの元主であるセブレスチャフだった。

 そしてセリナは、セブレスチャフと目を合わせるとビクッと体を震わせて、強気な表情は一瞬にして涙目に変わった。

 

 

 

「セリナ……」

 

 

 

 安心させてやりたい。セリナも、エレノアも。

 だからエギルは序盤から勝負を仕掛けるように声を張り上げる。

 

 

 

「150万!」

 

 

 

 エギルの声と共に、会場中がどよめいた。

 少しずつあげるつもりはセブレスチャフにもないだろう。だからエギルは出し惜しみせず攻める。

 自分はお前よりゴールドを持ってるんだ! そう伝えるような宣誓の攻撃。

 

 ──だが。

 

 

 

「300万だ!」

「──っ!」

 

 

 

 ドヤ顔でセブレスチャフは手を上げて倍の額を提示した。

 300万、エギルの持っている手持ちは残り200万。

 

 

 

「350万!」

「ふっ、400万だ!」

 

 

 

 完全にエギルとセブレスチャフの争いになっていて、周りの者は後退するように、二人の争いを見ていた。

 他が関与してくれないのは助かる。だが、

 

 

 

「……410万」

「450万!」

 

 

 

 セブレスチャフの提示する額がおかしい。

 隣に座る3人からは心配する声が漏れる。

 

 

 

「……旦那、あいつ下りるつもりないっすよ?」

「もう、所持金が無くなってしまいます……エギル様」

「けっ、親の金ですね、ありゃあ」

 

 

 

 なんでそんなに攻めてくる? 幾ら持ってるんだ? 幾らまで出せるんだ? どうすれば勝てる、あいつの手の内がわからない。

 色々な憶測が脳内を駆け巡ると、エギルの額と背中からは気持ちの悪い汗が流れていた。

 こんなことなら、もっと金を残しているんだったなと、今更になって後悔してしまった。

 

 ──村を救ってくれて、ありがとうな。

 

 ふと、昔に自分が言われた言葉が響く。そう、これは自分の考えで行った事だ。無駄遣いなんかじゃない。決して違う。

 

 

 

「……500万」

 

 

 

 エギルは手持ち全てを提示した。

 頼む、決まってくれ、という願いを込めて。

 

 

 

「──ふっ」

 

 

 

 だが、セブレスチャフとの座る距離はかなりあるのに、彼が鼻で笑ったのがはっきりと聞こえた。

 まさか、

 

 

 

「600万!」

「……嘘、だろ?」

 

 

 

 そんな額はない。エギルにはもう戦えない。

 その瞬間、エレノアの両手が触れた。

 

 

 

「エギル様……仕方ないです」

「仕方ないって、だが……」

 

 

 

 エレノアは涙目でそう言った。

 助けられる者もいれば、助けられない者もいる。

 どちらか取れば、どちらかを失う。

 そんなことはわかってる。それでも、エギルが今までのクエストで手に入れたゴールドを全て残していれば助けられた。

 

 だがそうすれば……。

 

 

 

「エギル様には感謝してます。だから自分を責めないでください」

 

 

 

 ポロッ、ポロッと横を向いた彼女の涙が手に落ちる。

 こういう悲しい表情をされるのが嫌だから、エギルはずっと頑張ってきたんだ。

 沢山の人に喜んでもらいたいから、エギルは人に尽くす生き方をしてきたんだ。

 なのに、本当に喜んでもらいたい女を泣かせてしまった。

 

 

 

『えっと、他にいませんか?』

 

 

 

 エレノアがエギルの手をギュッと握る。

 だが、エギルはその握られた手を握り返すことができなかった。

 もう、負けたんだ。

 

 

 

「──650万!」

 

 

 

 シーンとした会場に声が響いた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。