※この作品はR-18です。

裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る   作:柊咲

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第28話

「セリナがそう言ってくれるなら、俺は拒否しない。その時が来れば、その震えた体を抱き寄せるよ」

「……はい」

 

 

 

 言った。そして返答も貰った。自分は今どんな顔をしてるのだろう。

 だけどきっと、照れくさそうに髪を掻いているエギルよりも、ずっと恥ずかしそうにしてるのだけはわかった。

 

 

 

「まあ、エレノアの熱心な勧めがあったから、セリナの事は前から気になってたんだよ」

「エレノアの、ですか……?」

「ああ。エレノアは俺とセリナがくっ付けばいいと考えてたからな」

「あの子、そんな事を言ってたんですね……」

「俺にはよくわからないな、好きな相手が他の相手と結ばれるのを願うってのは」

「まあ、そうですね……」

 

 

 

 エレノアが三人で──変態なプレイをしたがってる、というのをエギルは気付いているのだろうか。いや気付いていないだろう。

 

 

 

「私をエレノアと同じくらい、好きになってくれますか?」

「俺で良ければ、そうする。だって……」

 

 

 

 エギルは、見た目からは想像もできないほど照れていた。

 

 

 

「セリナは、その……凄く綺麗だから」

 

 

 

 その照れながら言う褒め言葉が子供っぽくて、セリナは声を出して笑ってしまった。

 

 

 

「……なんで笑うんだよ」

「い、いえ、ちょっと子供っぽいなって、そう思っちゃったんです」

「子供っぽいって……」

「エギルさんって、見た目は怖いけど、ちょこちょこ子供っぽい部分あるんですもん。まあ、私はそんなとこを好きになったのかもしれませんけど」

「そんなとこって……」

 

 

 

 少し不機嫌なエギル。

 セリナは、ゆっくりと距離を縮めていく。

 

 

 

「今日は、ここで寝てもいいですか?」

「だが……」

「あっ、まだ、その……エレノアとしてたみたいな、エッチな事はできませんよ」

「別にそんなこと……だけど、怖くないのか?」

 

 

 

 怖い。怖いが、今だけは隣で寝たいと思った。

 セリナは壁側とは逆の位置に横になると、天井を見つめた。

 

 

 

「エギルさんは、私が許可しなければ何もしてこないと思ってますから」

「……それは俺がヘタレだと言いたいのか?」

「いえ、エギルさんが人を傷付けるような人じゃないと思ってるだけです」

「……そうか」

「エギルさん、少し、手を繋ぎながら寝てもいいですか?」

「……ああ。だが、怖くなったら言えよ?」

「はい、ありがとうございます」

 

 

 

 横になったセリナの隣にはエギルが横になる。

 すぐ近くの距離に男が、そう考えると少し怖かった。だけどギュッと指を絡めた手が、セリナを安心させる。

 目を閉じれば、昔の懐かしい気持ちを思い出す。

 二人の妹と手を繋いで寝た、昔の記憶が。

 

 

 

「エギルさんの手、温かくて落ち着きます」

「ああ、セリナの手もな」

 

 

 

 今は自分が守られてる側。妹達の気分を、今はセリナが味わってる。

 今日はゆっくりと眠れる。いつも見る怖い夢も、今日は見ないでいられるはず──。

 

 

 

「──ちょっと!」

 

 

 

 そう思っていたが、勢いよく扉が開いた。

 

 

 

「エレノア、どうしたんだ?」

「どうしたんだ、じゃないです! 何ですか、その甘々な会話は!」

「甘々って、いや別に普通の会話だろ」

 

 

 

 二人が会話をしてるのを、セリナはジッと見ていた。

 セリナ自身も甘々な会話──まるでできたてのカップルのような、初々しい会話だと思ってた。

 そしてエレノアは、ズカズカとベッドまで近寄ると、エギルの左側に横になる。

 

 

 

「そんな甘ったるい会話を聞いてたら、もうムラムラして大変ですよ」

「いや、勝手にムラムラしただけ──って、いつから聞いてたのよ!?」

「いつからって、最初からに決まってるじゃないですか?」

「なっ! あんた、今日は私のベッドを使うって、そこで寝るって言ってたじゃない!」

「寝ようと思ったんですが、少しだけ会話を盗み聞きしようかと……そしたら、そしたら」

 

 

 

 エレノアはエギルの腕を組んで、足を絡めてセリナを睨む。

 

 

 

「あんな甘ったるい会話を聞かされたら、寝れるわけないじゃないですか!?」

「知らないわよ、それなら一人で──いや、なんとかすればいいじゃない!」

「オナニーよりも、エギル様に抱かれたいんです!」

 

 

 

 セリナが恥じらって隠した言葉を、エレノアははっきりと言った。

 そして、エレノアは「それに」と言って、エギルに絡めた足を大事な部分に移動させた。

 

 

 

「あんな甘ったるい会話して、エギル様が正常を保てるわけないじゃないですか」

「なっ、止めろ、エレノア! 触るな」

「ほら、もうガチガチですよ?」

 

 

 

 セリナはエレノアの視線を辿る。

 そこには、大きなテントが張られていた。

 

 

 

「エギルさん……もしかして」

「いや、これは違うんだ!」

「エギル様は人よりも性欲が強いんです! 手を繋いだだけでも勃起してしまうのです!」

「……おい、俺を子供みたいに言うな」

「子供です! ほら、もうこんなに大きくなって……さあ、今からわたくしが解放してあげますからね」

「ちょ、ちょっと止めてよ!」

 

 

 

 何をしようとしていたのかに気付いたセリナはそれを止める。

 ここでされたらセリナはきっと、その匂いを嗅いで暴走してしまうだろう。まだ自分の性癖は隠したい、セリナはそう思った。

 

 

 

「今日は我慢してよ、ほら、このまま早く寝よう」

「……ですが、エギル様のここ、こんなに大きくなってますよ?」

「お前が触るからだろ……。ほら、早く寝るぞ」

「嫌ですよ」

 

 

 

 少し文句を言うエレノアだったが、セリナは何とか我慢させた。

 そして三人は、シングルベッドでぎゅうぎゅうになって眠った。

 当然、エギルとエレノアが何かしようとしていたけど、今日だけは止めてもらった。

 

 今日だけは、セリナはこの繋いだ手を離したくなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 

 エギルが朝目覚めると不思議な気分だった。

 左腕を金色の髪のエレノアが掴み、右腕を桃色の髪のセリナが掴む。

 両側に挟まれたエギルは緊張のせいで、深い眠りに入ることはできなかった。

 

 

 

「おはようございます、エギル様」

 

 

 

 ふと、目を開けて天井を見ていると、エレノアが小さな声を発した。

 まだセリナは寝ているから少し気を使ったのだろう。だからエギルも小さな声で挨拶を返す。

 

 

 

「おはよう。もう起きてたのか?」

「ええ、少し前ですけどね。エギル様はあまり寝れなかったみたいですね」

「……わかるか?」

「いつもより疲れた顔をしてますから」

 

 

 

 クスッと笑ったエレノアに、一瞬で見抜かれてしまった。

 

 

 

「この状況が落ち着かなくてな」

「両手に色違いの綺麗な花。とても素晴らしい状況じゃないですか」

「自分で言うか、それ。まあ、男にとっては最高のシチュエーションだろうな。だが……セリナ程でもないが、俺も女は苦手だったんだ。少し前の俺は、二人に好かれるような男じゃなかった。だからこのモテモテな男のような状況に整理が付かないんだ」

 

 

 

 朝から夜まで魔物と戦って、夜になったら男達と酒を呑む。決して、絶世の美女二人に囲まれて眠るような男じゃなかった。

 だがエレノアは、仰向けの姿勢からうつ伏せの姿勢に変え、頬杖を付きながらエギルを見た。

 

 

 

「わたくしたちにとってエギル様が特別な存在のように、エギル様もわたくしたちが特別な存在なのではないですか?」

「そうだな。だが……なんで俺なんだ? 俺のどこがいいんだ?」

 

 

 

 他に男なら大勢いるし、自分よりもっと魅力的な相手はいる。そう、エギルは思った。

 

 

 

「人それぞれ趣味は違います。爽やかな雰囲気の男性が好きな人もいれば、男らしい男性が好きな人もいます。なので要するに、わたくしも、セリナも、エギル様のような男らしい守ってくれる男性がタイプなのですよ」

「そうなのか……。じゃあ、二人は変わった趣味をしてるんだな」

「自分で言いますか、それ?」

 

 

 

 言い返されてしまった。だが自分に自信がないから仕方ない。

 

 

 

「ずっと、俺の側に居てくれるか?」

「ええ、勿論ですよ。わたくしはエギル様の側にいます。何があってもです」

 

 

 

 見つめ合うと、エギルはエレノアの唇に自分の唇を近付けた。

 だがその手前で、

 

 

 

「──ダメ、エッチなことしちゃ!」

 

 

 

 とセリナの声が部屋中に響いた。

 慌てて隣を見ると、セリナは長い睫毛を閉じて寝ている。

 

 

 

「寝言、でしょうか……?」

「そうみたいだな。俺達が何かしようとしたのを察したんじゃないか?」

「みたいですね。では違うとこでしましょうか」

 

 

 

 流れを読んでエレノアが言う。

 だがエギルは、少し意地悪をしてみたくなった。

 

 

 

「いいや、セリナに駄目だって言われたからな。もう一度、俺は寝るかな」

「えっ、なっ、なんでですか!?」

「セリナに言われたからだよ。それにほら」

 

 

 

 エギルは右腕を強くセリナに握りしめられているのを見せた。

 

 

 

「これじゃあ、離れられないからな」

「そ、そんな……じゃあ、起きないように静かに手を離せば──」

「それじゃあ、おやすみ」

 

 

 

 起きた時に、二人がいなかったらセリナが悲しむだろう。そう考えたエギルは目蓋を閉じた。

 

 

 

「そう、ですか……」

 

 

 

 エレノアも諦めたみたいで、横になった。

 と思いきや──。

 

 

 

「おい、エレノア!?」

「エギル様をその気にさせてあげますよ。ほら、ここはもう、こんなに大きいですよ?」

「そ、それは朝だからで――」

 

 

 

 屹立としたモノに、エレノアの柔らかい唇がくっ付き、そのまま飲み込まれた。

 こうなってしまえば、我慢はできなかった──。

 

 

 

「いつまで我慢できますか、ご主人様?」

 

 

 

 エレノアの笑いを含んだ声が、布団の中から聞こえ、

 

 

 

「……エッチは駄目。駄目だからね、エギルさん」

 

 

 

 セリナの謎の寝言が隣から聞こえる。

 そんな地獄のような状況で、エギルは天井を見つめながら思った。

 

 ――奴隷に人権はない。

 そういう考えの者は大勢いる。

 売って、買われて、まるで道具のようだと言われている。

 だがエギルが買った二人に人権はあるし、自由もある。それは今現在も、そしてこれからも同様だ。

 だから二人共を愛して、二人の負った傷を癒やしていこう、それが二人の為にもなるし──自分自身の負った傷を癒やす為にもなるのだから。

 

 

一章 完

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