※この作品はR-18です。

裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る   作:柊咲

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第3話

 

「やっぱり、ぎりぎりまで隠しておいて正解だったっすね。ほら、その辺にして、さっき失礼な態度をとったことを三人に謝るっすよ」

「いや、だが……」

「最近のお前は周りに毒を吐き過ぎっす。どうしてそんな態度を取るのか、その理由を知ってる自分だから何も思わないっすけど、初対面の三人には失礼過ぎっすよ。ほら、三人の仇を取ってもらいたいなら早く謝るっすよ」

 

 

 

 ハボリックのいつになく真剣な言葉に、ハルトは大きな鎧には不釣り合いなほど小さくなり、テーブルに手を付けて頭を下げた。

 

 

 

「……すみませんでした」

「いや、いいんだ。それより、なんでそんなに俺たちにキツく当たったんだ?」

「それは……」

 

 

 

 ハルトは視線を横に向け、少し言いづらそうにしていた。

 

 

 

「怒らないから言ってくれ」

「……女を連れている男冒険者は口だけだと、そう思ってるんです。それは想像からというよりも、数日前まで同じような連中を見ていたからなんです」

「同じ連中を?」

「ええ、それは《ゴレイアス砦侵攻戦》のクエストに参加してる奴らのことです……。それに、お二人は奴隷なので、まあ、その……そういう連中だと思ったんです」

 

 

 

 そういう連中と言われたら、エギルにも何を言いたいのかはすぐに理解できた。

 奴隷を使ってクエストをこなす奴か、クエストの合間に奴隷で気持ちいいことしてる連中だろう。なのでエギルはハルトの考えに、少なからず納得していた。

 

 

 

「そう思われても仕方ない。だが、俺たちはちゃんとした冒険者だ。お前の知ってる奴らとは違う」

「す、すいませんでした!」

 

 

 

 おでこを勢いよくテーブルにぶつけるハルト。

 

 

 

「そこまで謝るなよ。二人も、もう別に怒ってないだろ?」

「ふふっ、わたくしは最初から怒ってませんよ?」

 

 

 

 にっこりとしたエレノアの笑顔。これは嘘だろう。

 

 

 

「まあ、私はエギルさんがいいなら構わないですよ……。そう思われていたのは不快ですけど」

 

 

 

 構わないと言いながらもふくれっ面のセリナ。

 二人は少し不機嫌だが、エギルは改めて自己紹介を始める。

 

 

 

「改めて言うが、俺はエギルだ。ハボリックの紹介で今回のクエストを受ける。ほら、二人も」

「……セリナ。よろしく」

「エレノアと申します。エギル様の妻になる予定です」

 

 

 

 エレノアの自己紹介で少し不思議そうにするハルトだったが、そこは触れずに彼も自己紹介をする。

 

 

 

「えっと、自分はハルト・スアレスです。《ウェルタニアの希望》というギルドでリーダーを務めていましたが、ハボリックから聞いたとおり、仲間は……」

「ああ、聞いてる。よろしくな、ハルト。ウェルタニアってのは、ここからグレイミャ山脈を越えた先にある王国近くの村の名前だったか?」

「はい。自分たちはウェルタニアという村で生まれ育ったんです。ウェルタニアはあまり大きくない村で、人口も少なかったんです。だから冒険者になって活躍して、村を有名にしたいなって。安易な考えですけど、自分らはこの名前、結構気に入ってたんですよね。ははっ……」

 

 

 

 ギルドの名前の由来を語っただけで悲しそうな表情で笑うハルト。その表情で、彼がどれほど辛い状況にいるのかが見てわかる。

 それぞれギルドの名前を決めるとき、ハルトたちのように出身地の名前を取ったり、それぞれの覚悟を込めた名前にすることが多い。だから、ハルトもギルドにメンバー全員の想いを込めたのだろう。それなのに希望とは程遠い、仲間を失うという結果に終わってしまった。

 辛かったな。その言葉を伝えても何も変わらないし、何の助けにもならない。エギルはその無念を共に晴らすためにも本題に移った。

 

 

 

「……詳しい話を聞いてもいいか? ハルトと、ハルトのギルドメンバーのためにも」

「エギルさん……。はい、自分が知ってることなら、全てお話します。ただ相手が誰なのか、それは自分にもわからないんです」

「わからない? それは面と向かって攻撃されたわけじゃないからか?」

「そうなんです。それと裏切り者は一人じゃなくて、二人……いえ、三人は絶対にいると思います」

「ギルド絡みの犯行か。いや、それなら三人じゃなくて四人いる可能性の方が高いんじゃないのか?」

「……その可能性はあると思います。ただ殺された仲間の傷口が、それぞれ違ったんです。矢で心臓を射貫かれてたり、魔法の類で殺されたり、それに斧で……」

 

 

 

 その瞬間、ハルトは顔を青ざめさせ、口元に手を当てる。

 

 

 

「大丈夫か?」

「……は、はい。すみません、思い出してしまって」

「いや、大丈夫だ。こっちも思い出させてすまないな」

 

 

 

 ハルトは首を左右に振り、ハボリックから手渡された水を一気に飲む。

 彼が落ち着くまでの間、エギルは聞いた話を整理させる。

 

 人型に近い魔物であれば、棍棒のような振り回す武器は使うかもしれないが、魔法を使ったり、弓矢や斧といった武器となる物を使う魔物がいるというのをエギルは聞いたことがない。

 それは扱う理由がないからだ。矢を射るよりも、斧を振るうよりも、その魔物本来の戦い方をした方が強い。

 

 

 

「それと」

 

 

 

 落ち着きを取り戻したハルトは口元を拭い、

 

 

 

「他のギルドの冒険者はわからないんですけど、ウチのギルドは全員がAランク冒険者でした。なので相手もそれなりの手練れだと思うんです。じゃないと仲間がやられるわけないんです」

 

 

 

 そう言い切った。

 

 

 

「なるほどな。だが裏切り者を探す方法なんて簡単じゃないか? 使ってる武器は職業によって変わるんだから、傷口に使われた武器を所有してる奴が裏切り者だろ?」

 

 

 

 職業によって得意な武器は異なる。

 剣を得意とする職業の者は斧を使うことはない。

 斧を得意とする職業の者は弓矢で戦うと各段に弱くなる。

 だから裏切り者は、仲間殺しを行う際には必ず愛用の武器を使用してくるはずだ。Aランク冒険者を相手に、職業外の武器で挑んで勝てるわけがない。Sランクであるエギルでも、職業と異なる戦い方をすればその実力は各段に落ちる。

 それに様々な種族が生息する危険な死地と呼ばれるゴレイアス砦に生息する魔物相手であっても、職業外の武器を使って相手をするのは危険行為だ。

 であれば、通常時と仲間殺しのときに使う武器は同武器である。それがエギルの予想。だがハルトは首を横に振った。

 

 

 

「自分たちもそう思ってメンバー全員の武器を確認しました。ですが、魔法を使う者はいましたけど、弓を使う者も、斧を使う者もいませんでした」

「一致しないってことか?」

「ええ、そうなんです。だから裏切り者を確定することができていなかったんです」

「……そうか。じゃあ、全員の冒険者カードは確認したか?」

 

 

 

 冒険者カードを確認すれば、その冒険者の職業がわかる。見た目は欺けても冒険者カードは欺けない。もしも使用武器だと言い張り、手にしてる武器が、その者の職業と異なれば、その者の本当の職業の武器が違うことが確定する。

 だから絶対にわかる。そう思ったがまたも、ハルトは首を横に振った。

 

 

 

「残念ですが、それはできないんです」

「……なぜだ?」

「いつからか、お互いの冒険者カードを公開することは禁止になったんです」

「その理由は?」

「……皆が疑心暗鬼になってしまったんです。だから誰も、自分の職業を明かしたくないんです」

「そういうことか」

 

 

 

 自分の職業を教えるのは、自分の弱点を教えるようなものだ。共にクエストを受けた者の中に仲間を殺す奴がいる、であれば自分の身を守る為にも、別のギルドの連中には自分の切り札は秘密にしたい、ということだろう。

 話を聞いているかぎり、誰が裏切り者なのか全くわからない状況。

 

 

 

「ここで話してても仕方ない。とりあえず向かうか。もう向かっていいんだろ?」

「はい、大丈夫です。それじゃあ、自分は馬車の手配をしてきますね」

「じゃあ自分はキャンプ地帯に必要な資材を馬車に積んでくるっす」

 

 

 

 二人がそそくさと立ち上がる。

 

 

 

「俺たちも手伝うか?」

 

 

 

 そう問いかけると、二人は首を横に振って店を出て行く。

 少しの間はここで待機ということだろう。

 

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