裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る 作:柊咲
「……ふう。とりあえず話を聞いてみて、二人はどう思う?」
黙ってずっと聞いていた二人。
「そうですね。話だけでは状況が掴めないですね」
「私も同じ考えです。そもそも、そんな危険な裏切り者がいるってわかってるのに、どうしてまだクエストを受ける人がいるんですか?」
「おそらくだが、これがフェリスティナ王国の国王、直々のクエストだからだろうな。このクエストを達成したら、別の高収入のクエスト依頼も王国が優先してくれる。冒険者としては、王国から信頼を預けられると働き口に困らないんだよ」
「なるほど」
「だが逆に、途中で下りたら王国からの信用が悪くなって、その王国から出ている他クエストを受けようとしたら断られる可能性があるんだ。だから危険なクエストであっても、引くに引けなくなっているんだろうな」
「ランクの低い冒険者やギルドだと、少しでも印象が悪くなると受けられるクエストが無くなってしまいますからね」
と、エレノアは「冒険者も信用勝負ですから」と言って話を閉める。
「そうなんだ。なんだか難しいね、冒険者って。エギルさんは、今回のクエストの話を聞いてみて、どう思いました?」
「そうだな。まず相手が誰なのかわからないのが厄介だ。一緒に魔物を討伐して、背中を預けていた奴らが──本当は自分たちを殺そうとしてる裏切り者かもしれないなんて、普通の魔物相手のクエストよりも厄介だ」
合同クエストの参加ギルドは、基本的には10組ほどだ。そしてその10あるギルドは単体で行動するわけではなく、一緒に行動することが多い。
なので合同クエストの場合は、お互いのギルドの信頼関係が必要になる。だが、疑心暗鬼な状態で参加するこのクエストでは、信頼を築くことも、他人を信じることも不可能だろう。もしかすると、一言も話さないかもしれない。
「二人も周囲には気を付けてくれ。できれば、俺の側を離れないでほしい」
四人ギルドであったハルトたちのうち、ハルト一人が生きているということは、おそらく全員が一緒にいるときではなく別々の場所にいるときに狙われたのだろう。エギルは二人を心配してそう言ったのだが、エレノアはにっこりと、セリナは頬を赤くしながら、
「ちゃんと側にいますから安心してください。寝袋の中でも一緒ですよ」
「エ、エギルさんがそう言うなら……はい、わかりました」
「おい、別に俺は変な意味で」
「お待たせしました。馬車の準備ができましたので、そろそろ向かいましょうか」
否定しようとしたとこで、出発の準備を終えたハルトが迎えに来る。
「よし、行くか」
エギルの言葉に二人は頷く。
エレノアとセリナの準備も十分だ。
「剣の補充も済ましてる。大丈夫だろ、これぐらいあれば」
エギルの職業である剣舞士は、予め虚無の空間でもある異次元に剣を収容し、それを好きな場所に、好きな本数だけ呼び出すことができるが、その剣は無限ではないし、壊れた剣は勝手に修復されるわけではない。そのため、減ってきたら毎回補充しなくてはならない。
今現在、補充してるのは約1000本ほど。
普通のクエストなら多いくらいだが、今回はどうだろうか。
「大丈夫なことを願いたいな」
今までのクエストで保管してる剣が無くなったことはない。三人は馬車へ向かう。
「三人共、準備はいいですか?」
「ああ、大丈夫だ」
「了解っす。あっ、そうっす。はいこれ」
ハボリックは三人にローブを渡す。
何の変哲もない、全身焦げ茶色の布地のローブ。
「これは?」
「本来はギルドに加入していない冒険者が、そのギルドのメンバーとして一緒にクエストを受注することは禁止されてるっす。それで他のギルドには、ハルトの仲間が殺されたことは知られてないので、三人には顔を隠しながらクエストを全うしてほしいっすよ」
「ああ、そんな規約があったな。だが、俺の身長は怪しまれないか?」
「いえ大丈夫です。自分の仲間に背が高い奴がいたんで。それに、裏切り者が何を基準に狙ってるのかわからない現状では、三人には顔を隠して生活してもらった方がいいと思うんですよ」
用心に越したことはない、ということだろう。それに、今回のクエストにはエレノアの幼なじみもいる。その時が来るまでは、幼なじみ三人には顔を見られたくはない。
「わかった。じゃあ行くか」
顔をすっぽりと隠すほどのブカブカのフードを被り、焦げ茶色のローブで全身を隠す。
そしてエギルたちは馬車へ乗り込み、目的地へと向かった。
ハルトの仲間を殺した裏切り者を見つけ敵を討ち、エレノアの過去と決別するために。