裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る 作:柊咲
エギルとエレノアは椅子に座って待つことにしたが、エレノアはニコニコとしていた。
「どうした?」
「いえ、エギル様はギルドにも加入していなかったみたいなので、てっきりわたくし、エギル様は周りを寄せ付けない感じなのかなと思ってました」
「俺だって一度ギルドに加入したこともあったんだぞ?」
「そうだったんですね。だけど今は一人なんですよね?」
「まあな。最初に組んでいたギルドを離れてからは、冒険者として一緒に組む奴がいなかったんだよ。だけどそれなりに周囲とは交流があるんだぞ? さっきのハボリックもそうだが、奴隷オークションで一緒にいたゲッセンドルフだって、それに他にも結構、冒険者からは慕われてたりすんだよ」
怖いからという理由で女は寄り付かなかったが、男からは慕われていた。
「そうだったんですね。では何故、今は一緒に冒険に出ようとはしなかったのですか?」
「それは──」
「それは旦那の実力に誰も付いてこれないからっすよ」
さっき消えたハボリックが戻ってきた。その手には何枚かの紙。
「連続でこなせそうなクエストは、この六つっすね」
ハボリックに手渡された紙には、それぞれ別々のランクのクエストが記されていた。
「七日で六件か……それも討伐が多いな」
「運搬とか護衛よりは、魔物討伐の方が報酬は高いし、実力があれば早いっすからね。場所も近いですしランクも低いっすから、旦那なら問題ないと思うっす」
クエストは大まかに分けて三つある。
討伐、護衛、運搬。その中の討伐は、世界中にいる魔物を討伐するという、わかりやすいクエストだ。
目的は様々だが、一番は『魔物の数を減らす』だ。
魔物は人間とは比べものにならないぐらい数が多いし、増えている。雑魚である場合もあれば、強敵である場合もある。これらをずっと放置していれば、魔物は住む場所を探し、食べる物を探し、人間が住む場所までやってくる。
そうならない為に、魔物を減らさないといけない。討伐クエストというのは、年中受注できるぐらいの数がある。
「ただ……」
と、ハボリックは難しい表情をして一枚のクエスト依頼を指差した。
「自分が持ってきてあれなんすが、このクエストを受注するかどうかはお任せするっす」
ハボリックが指差したのは《ゴレイアス砦侵攻戦》への部隊加入のクエストだった。
「ランクAの合同クエストか」
合同クエストとは、他の冒険者と一緒に攻略を目指すクエストで、報酬は高いが均等に参加者に分けられるのが特徴的だ。
そしてハボリックは「うーん」と唸りながら金色の髪を撫でる。
「ランク通りならっすね。ただこれは、Aランクというよりは、Sランククエストに近いと思うんすよ」
「そうなのか?」
「ええ。旦那はゴレイアス砦に行ったことはありますか?」
「いや無いな。側も寄ったことない。エレノアはあるか?」
「わたくしは別のクエストでゴレイアス砦に入ったことがありますね。たしか色々な魔物が住んでる砦でしたよね?」
「正確には《ゴブリン種》と《ジャイロフス種》と《ドラゴン種》が生息する砦っすね」
「ああ、死地の一つか」
別々の種族の魔物が住み着いている場所を、死地ーーデットスポットと呼ぶ。
そういった場所の魔物は何故か連携が取れており、別々の種族での繁殖活動が盛んで、はっきりと実態が判明されていない新種の魔物まで生息している。
冒険者があまり踏み込みたくない死地は世界各地に沢山ある。
「その死地であるゴレイアス砦に住む魔物達、それを全て討伐する部隊への加入か……」
「ええ、死地の完全討伐というだけでも難しいクエストなのに、この討伐隊、名高いギルドが参加してないんすよ」
「莫大な報酬目的の連中が集まっただけか」
こういう合同クエストでは、他に受注した者が強いのを祈って、甘い蜜を吸おうとする連中がいる。だから強者は合同クエストは受注しない。
理由は簡単だ。自分が頑張ったのに、ずっと逃げていた連中と同じ額の報酬なんて馬鹿らしいからだ。
そして、エギルの答えは決まっていた。
「……すまないな。このクエストは無しだ」
「ですよねー、やっぱり。じゃあ残りの五件だけでいいっすか?」
「ああ、それで頼む」
「了解っす。じゃあ手続きしてくるっすよー」
また風のように去っていったハボリック。
「すまないな。額が減っちまって」
「いえ、わたくしはエギル様に全てお任せしますので。ただ、エギル様でも《ゴレイアス砦侵攻戦》というクエストは難しいのですか?」
エレノアはきっと、これが手ごわいクエストだと思ってるのだろう。だけど違う。このクエストで怖いのは魔物じゃない。
「話を聞くかぎりは魔物はそこまで強いわけじゃない。だが一番、こういう合同クエストで厄介なのは一緒に受ける冒険者なんだよ」
「えっ、どういうことでしょうか?」
「合同クエストの報酬は参加者で平等に分けられるってのは知ってるか?」
「受けたことはないですが、話では聞いたことがありますね」
「それでだ。もし報酬が1000万ゴールドだとして、参加者が10人だったらどう分けられる?」
「えっと、単純に1人100万ゴールドですよね」
「ああ、普通に終わったらそうだ。だが──参加者が途中で死んだらどうなると思う?」
エレノアは少しの間を空けてから目を大きく開くと、そのまま少し視線を下げた。
「……生き残った者で分配、ですね」
「ああ、そうだ。最初に参加者達に均等に分配されると謳っても、途中で死んだ者には報酬なんてない。だから全ては、クエスト完了の報告をした時の生き残り人数で分けられるんだ。だから場合によっては、クエスト完了してから戻るまで、仲間同士で殺し合う奴なんかもいるんだ」
「報酬が増えるからですか……?」
「そうだ。だから俺は、そういうクエストは極力受けたくないんだよ」
全ての冒険者がそうとは限らないが、金の為なら平気で苦難を共にした仲間を殺す連中もいる。そしてそういう奴らを嫌ってほど、エギルは見てきたし――味わってきた。
だから幼なじみであり同じギルドの仲間に奴隷として売られたエレノアには、そういう奴らと関わらせたくなかった。
「お待たせしましたー! 準備オッケーっすよ」
少し暗くなった空間に、ハボリックの明るい声が響く。
「おう、ありがとうな。それとゲッセンドルフがここへ寄ったら「七日後には帰る」と伝えておいてくれ」
「ん、ゲッセンドルフさんっすね。了解っすよ!」
帰ってきたら丁度、ゲッセンドルフに頼んでおいた件もわかってるかもしれない。
「それじゃ、行ってくる」
「あっ、ちょっと待つっす」
「ん、どうした?」
「いえいえ、旦那じゃなくてエレノアさんっすよ」
「わたくしですか?」
首を傾げるエレノアと、ニコニコと明るい笑顔を向けるハボリック。
そしてハボリックは、エレノアに何か紙袋を渡した。
「これから野営が続くっすから、きっと夜は冷えるっすよ。だからこれ、使ってください」
「は、はあ。ありがとうございます……」
エレノアはキョトンとしていたが、紙袋の中身を見て目を丸くするように驚いた。
「これは……」
「これで七日間、ビンビンっすよ」
「ハボリックさん……あなたは優しい方ですね。これはわたくしが欲しかった物です。本当にありがとうございます!」
勢いよく頭を下げたエレノアと、鼻に指を付けて照れくさそうにするハボリック。
「まっ、七日間もあるっすから、野営中でもたっぷりと楽しんでくるっすよ」
「はい、わたくし頑張ります!」
仲間に入れなかったエギルは不思議そうに聞く。
「エレノア、何を貰ったんだ?」
「なんでもありません、さっ、行きましょう」
エギルの腕を組んでクエスト受注所から出ようとするエレノア。
背中からは涙ぐみながら手を振っているハボリックがいるが、エレノアはこれからクエストに向かうというのに、何故か目を輝かせて楽しそうにしていた。
「今日からわたくし、全力でエギル様の食事を担当させていただきますね」
「えっ、ああ、ありがとう。だが……」
「ハボリックさんは優しい方ですね! これからも仲良しでいてくださいね!」
「いや、わかってるが……」
なぜ急に?
と思ったが、エレノアが大事そうに抱えている謎の薬草が原因なのはわかった。
クエストは全部で五つ。
クリシュナの街から北へ行き、エルシダイ廃村の周辺で全てのクエストをこなせるようになっている。
近隣の村を襲い食料や家畜を奪うフレイシュの森に生息する《ゴブリン》を5体討伐し、その牙を回収する。
ランクE。
報酬3万ゴールド。
エルシダイ廃村に生息する、元は人間だった≪グール≫を数多く討伐し成仏させ、残った形見を回収する。
ランクD。
報酬1体討伐するごとに1000ゴールド。
薬剤師が扱う傷を治す薬草になる、フレイシュの森に生息する《モルフォル》を5匹生きた状態で捕獲する。
ランクC。
報酬7万ゴールド。
ドラゴンの巣窟に生息する《ドレイク》を5体討伐し、高級食材と言われる舌を回収する。
ランクC。
報酬10万ゴールド。
数が増え、活動が活発になった《レッドドラゴン》を1体討伐し、その頭を回収する。
ランクB。
報酬15万ゴールド。
魔物を討伐する時、その必要としている部位、または、討伐した証拠として体の一部を持ち帰り、それと交換で報酬を貰わなければいけない。
なのでクエスト受注所に帰って渡すまでは、その証拠となる物を持っていなきゃいけない。
今回でいうとドラゴンの頭なんかは重いから、エリア受注を行う場合はかなり荷物が重たくなってしまう為避けたいクエストである。
「持っていく物はこんなもんでいいな」
グール討伐は倒した数が多ければ多いほど報酬が増えるので、先に他のを片付けてから七日間いっぱいまでこなすことに決めた二人。
食材は現地で調達できる物もあるが、それでも調味料や水なんかは、やはり持っていくしかない。
エリア受注の場合は証拠となる物や日用品が多くなるので、いつも鞄が大きくなってしまう。
「それじゃあ、準備はいいか?」
「はい。鞄はわたくしが持ちましょうか?」
「いや、エリアまでは馬で行くから大丈夫だ」
大きな鞄を背負い、移動手段である馬に乗るエギル。
「前に乗ってくれ」
「わかりました。横向きがいいですよね」
エギルが頷くと、エレノアを前に座らせて馬を走らせる。
今から急いでも、おそらく移動だけで夜になるだろう。
「今日は冒険者用の冒険者の野営地を目標にして、そこに到着したら終わりだな」
「そうですね。そこには他にも冒険者の方々がいるのですか?」
「まあ自由スペースだからな。でもテントを張るから人が近くに来る事はないから安心しろ」
「かしこまりました」
馬を走らせるながら、エレノアの揺れる身体を抱き寄せると、豊満な胸の感触を感じる。
「どうしたのですか?」
「いや、なんでもない」
先程の裸エプロンがフラッシュバックするが、その映像を顔を振って消す。
だが、抱き寄せていたエレノアの手がスルスルッと、下半身へと伸びてきた。
「なんでもないのでしたら、この凶悪なモノはどうして硬くなってるのでしょうか?」
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「──まだ手に、エギル様の匂いが残ってます。男らしくて、ねっとりとした、いやらしい匂いです」
「……」
二人が冒険者の野営地に到着したのは辺りが真っ暗になった時間帯だった。
そして欲望を全て吐き出させたエレノアは、エギルの目の前で自分の手の匂いを嗅いでいた。
その姿に何か言ってやろうと思ったエギルだったが、止めてテント張りの準備を始めた。
「ほら、早くテントを張ってご飯にするぞ」
「そうでしたね。夜は長いのですし、急いだ方がいいですものね」
「夜は長い……?」
その言葉に、エギルはエレノアがしようとしてる事に気付いた。
「まさかお前、ここでするとか言わないよな!?」
「エギル様、声が大きいですよ? 周りにも人がいますからね」
「……すまん。それより、言わないよな?」
「わたくしは自分から求めるような女性ではありませんよ?」
「移動中に手でするくせにか……まあいい。自分から誘わないって言ったからな?」
「はい、言いました。ですがもし、エギル様がわたくしを求めるのであれば、わたくしは快感から漏れる声を我慢して、エギル様を受け入れるつもりですのでご安心下さいね」
「……ああ、絶対に言わないから逆に安心しろ」
こんな周りに人がいる状況で襲うわけがない。そうエギルは思っていた。
二人は速やかにテントを張り終えると、そのまま食事を済ませた。
家の中と外では調理の楽さは異なるが、エレノアの料理技術は確かなものだった。美味しい料理だからこそ、エギルは何の疑いもなく食事を終えた。
――だが食事を終えた頃、エギルは身体の異変に気付いた。
「どうなさいました、エギル様?」
「な、なんでもない」
テントの外からは他の冒険者が酒を呑んで騒いでる声がする。騒がしいが、別に鬱陶しくは感じない。
「少し、体が熱いんだ」
それはエギルだけではなく、火照った顔をしてるエレノアも同じのようだ。
「そうですね、テントの中が暑いかもしれませんね」
胸元を大きく開けたドレスを着ているエレノアは、ドレスを指でつまんで空気の入れ替えをしてる。
ムワッとした女性の匂いが鼻に入る度に、エギルのモノはガチガチに硬くなり、先端からは透明な液体が出ているのが感じられた。
「どうします? 外に出ましょうか?」
「い、いや、外には出ないでいい」
テントの中は天井に吊るされた蝋燭の明かりのみと、そこまで明るくはない。だが外には沢山の蝋燭が置かれ、出ていけばもう少し明るい。
おそらく、エギルが勃起してるのはすぐにバレてしまうだろう。
そんなことを考えていると、エレノアは四つん這いの状態でエギルに近付いてくる。
「それではもう寝ましょうか?」
「いや、だが……」
何故だかわからないが、エレノアを見てると無意識の内に興奮していた。だから近くに寄ったら駄目なのに、エレノアはエギルの肩に頭を置いて、ぴったりと隣に寄り添う。
テント内はそこまで広くない。二人が大の字で横になるのは厳しく、ぴったりと肩を寄せ合うことしかできない。
そして二人は窮屈そうに横になった。そしてエギルのモノは硬くなったまま収まる気配はなく、さらにエレノアはエギルの脚に自分の脚を絡めて欲望を刺激してくる。
「誘ってこないって、言っていなかったか?」
「え、わたくしは誘ってないですよ? 昨日だってこうやって寝たじゃないですか。これは普通ですよ、普通……ただお互いが、異常なほどムラムラしてるだけです。お互いが相手を欲しいだけなのですよ。そんな状態でエギル様は──」
エギルの唇に触れるかどうかの距離まで顔を近付けたエレノアは、
「──我慢、できますか?」
そう、甘ったるい匂いを発しながら言う。
それで、エギルにあった脆く弱い自制心はプツンと切れてしまった。