裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る 作:柊咲
「……お待たせ」
セリナ以外の四人は家のリビングに集合していた。
そしてセリナの到着に気付いたサナが、ソファーに座りながらセリナに手を振る。
「あ、やっと来たー。遅かったね」
「うん、ちょっとね……」
不思議そうに首を傾げるサナの隣に座ると、
「セリナさん、はい、これ」
サナは分厚い書物をセリナに渡す。
「借りてたの待ってる間に読んじゃった」
「ほんと? どうだった!?」
前のめりになったセリナを見て、サナは視線を反らす。
「えっと、うん、良かったよ。セリナさんの趣味が詰まってて……」
「だよねだよね、良かったよね! この『暑苦しい布団の中には夢一杯』シリーズ!」
サナが返したのは、エレノアとセリナが大好きなリオネ先生の作品だ。けれどサナは「んー」と唸り出し、
「アタシはリオネさんの作品なら、『ご主人様と呼ばせてください』シリーズが好きなんだよねー」
と、エレノアとセリナとはまた違ったシリーズの名前を上げた。
このリオネという者の虜になったのは、決して二人だけではない。ルナは違うが、サナも同じである。けれど趣味(性癖)はそれぞれ違う。
「そっか、サナは確か――」
「――それより、セリナ?」
エレノアに呼ばれ、テーブルに頬杖をつく彼女を見る。
その表情はニコニコと。けれど普段から見せる優しい笑顔と言うよりかは少し苛々してるようだった。そして彼女は自分の唇を指差し、
「ここ、何か白いモノが付いてますよ?」
「えっ、嘘……」
慌てて口を拭くセリナだったが、とくに何か付いているわけではなかった。
何も付いてないじゃない、そう言おうとエレノアを見ると、彼女はあからさまに不機嫌な表情をしていた。
「エギル様のを、味わったのですね……?」
「なっ、そんなわけ、ないじゃない……」
「そうですよね。人に散々、昼間からエッチするのは駄目だ駄目だと言ってるセリナが、わたくしたちをここに集めて、抜け駆けしてるなんて……そんなわけないですよねえ?」
「ええー、セリナさん、何してたの?」
サナがニヤニヤと、ルナは不思議そうに、フィーは無表情で。
そして四人からの視線で赤面したセリナは、無理矢理に話題を変えようと、ルナが一生懸命に書いてる紙を指差す。
「そ、それ、何を書いてるの?」
「……強引なごまかし方。黒ですわね」
「し、してないって、別に……」
「あっそうですかー」
ぷんぷんしてるエレノア。そしてルナは二人の間に生まれる火花の原因を知らず、紙を両手で持ちセリナに見せる。
「えっと、エギルさんに内緒で、パーティーを、考えてました」
「パーティー? えっ、エギルさん誕生日なの?」
「……違う。いろんな理由」
フィーが動物たちにトウモロコシをあげながらボソッと言うと、エレノアは突然テーブルを叩いて立ち上がると、拳を握った。
「そのパーティーの最中に、皆でプレゼントを渡そうと思ってるのです! そして──最もエギル様が喜ぶプレゼントを渡した方が、今日の夜、エギル様を独占できる権利が貰えるのです!」
エレノアがそう宣言すると、各々が反応してボソボソと呟く。
「エギル様と一日中激しいSMプレー。ふふ、ふふふっ」
「エギルさんと二人っきりで朝まで愛し合えるの、いいな……」
「……エギルにわたしの家族たちの可愛さを伝える」
「あたしがエギルさんを一人占め。添い寝してもらいたいかな」
「えっと、わたしは……エギルさんとゆっくり、お話がしたいです」
各々がやる気になり、一つのテーブルを囲んで座る。
「でも、その勝敗は誰が決めるの?」
まず最初に言葉を発したのはセリナだった。
飲み物が入ったコップを一気に飲み干すと、セリナは他の四人を見る。
「そうですね。エギル様に決めてもらうのはいかがでしょうか?」
「あー、あたしもそれが一番だと思うかな」
「……だけど、名前は伏せた方がより公平」
「わたしは、皆さんに、お任せします」
どうやら五人の気持ちは決まったらしい。
各々が立ち上がり、その瞳に闘志を燃やして、彼女たちは目的の物を探しに散って行った。