魔境群馬・桐生ダンジョン特区〜底辺ランナーのハクスラ&ハーレム生活~ 作:Potoooooooo
▼桐生ダンジョン特区 メインエリア
その日の狩りを終えた三人は、日が沈む前に特区へ戻ってきていた。管理局の買取窓口でDM結晶を換金したあと、その脚でメインエリアで夕食を調達し、シティセンターにあるアヤカの家へ戻った。シティセンターで食事を買うと、基本的に割高だからだ。
部屋の主であるアヤカは不在だった。クロウの携帯電話に、食事を済ませてくるという連絡があり、三人は夕食を自分たちだけで済ませることにした。三人は広いシャワールームで汗を流し、リビングに戻る。ちなみに、マキとスミレはクロウのチンポをWフェラで抜いたあと、二人そろって一発ずつ中出しをキメられたので、軽く一時間以上経過してしまっている。
リビングに戻った三人がテーブルを囲むなか、マキは端末に表示された買取明細を眺めていた。
「いやー、稼いだねえ」
マキは満足そうに笑い、画面をクロウのほうへ向けた。
ゴブリンキャンプを壊滅させたあとは、周辺にいた小規模な群れもいくつか狩っていた。スミレの『まがまが』と『黒後家の祝宴』は期待以上の働きを見せ、敵を探している時間を除けば、ほとんど足を止めることなく狩りを続けられた。
クロウから魔力の譲渡を受けたスミレは、残量を気にすることなく魔法を連発し、索敵はマキが引き受けていた。そのためクロウの仕事といえば、継続ダメージを耐えた個体の始末くらいだった。
「三人で分けても結構ありますね」
クロウは惣菜を自分の小皿に取り分けながら明細を覗き込んだ。スミレはせっせと自分の分のサラダを取り分けている。
「スミーのおかげだねえ。だいたい一発撃って終わりだもん」
「毎回、あんなにうまくいくとは限りませんけどぉ……」
「でも、狩りの効率はかなり上がりそうだね」
クロウがそう言うと、スミレは照れたようにトマトをフォークで刺して口に運んだ。新装備の性能を確かめるという目的は、十分すぎるほど果たせたと言っていい。となれば、話題は自然と次の課題にフォーカスしていく。
「アヤちゃんとも話したんだけどさぁ、ちゃんとセックスローテーション組まないとかもねえ」
『クロウのセックス強すぎ問題』である。クロウは長らくアヤカとしか経験がなく、彼女を悦ばせるセックスが彼の基準になっている。問題はその基準があまりにも高いことだった。
マキは耐えられる。オアシスでの三日間で証明済みだ。しかし、スミレをはじめ、ダリア、メア、ランコとトウコの5人は、クロウの本気生ハメ交尾で翌日ベッドの上から動けなくなることは必至である。5人ともハメ潰してしまったら、マキしか探索に出られない状況になってしまう。
チームの7人全員が生活できる安定した稼ぎを生むためには、カエルアクメダウンして使い物にならなくなってしまうメンバーをちゃんと管理したほうがいい。それがハーレム管理者たるアヤカの考えであり、それにはマキも同調していた。
「クーくんも、抱くからには本気で相手したいっしょ?」
「それは……はい」
それがクロウの普通である。今更手加減しろと言われてもどうしたらいいか分からない。焦らしプレイはできるが、それをすると探索に集中できなさそうだ。
「まー、一人で全員養うとか考えるのは後々! 今だってアヤちゃんの半ヒモなんだから」
それを言われると弱い。クロウ自身が彼女から離れたくないという事情も多分に存在している。これにはアヤカさんもにっこり。
「全員でデヴォウラー周回とかできたら、手っ取り早かったんだけどねえ」
マキは残念そうに椅子の背へもたれかかった。
有志検証により、エーテル・デヴォウラーのいる『捕食者の巣穴』へ一度に入場できるのは、六人までと判明している。『クロウズ』のメンバーは七人なので、全員で挑むことはできない。
「基本はメンバー入れ替えながら五人くらいで探索する……って感じになるんですね」
「そうそう。毎回全員で動く必要もないし、相手とか目的に合わせて組み替えてけばいいっしょ」
マキはフライドポテトを指で摘み上げ、口に放り込んだ。
「なんか……みんなで探索に出るのばっかり想像してました」
「ぶっちゃけそれはアリ。みんな我慢して帰ってきたらいっぺんに抱いてもらうみたいな」
「さすがのクロウさんでもそれは……」
黙ってサラダをもぐもぐしていたスミレが口を挟む。
「……毎回するのは大変かも」
クロウには自信があった。以前、夏休みをとったアヤカを一週間部屋から出さなかったこともあるくらいだ。だが、大変なのは想像できた。
「でしょ。でも、ま。ルーチン的な稼ぎはそれでいいとして、新しいところに挑むとか、七人全員で行くこともあるっしょ」
「第四層も面白そうですよね」
「あ、あのわたし、ビーバー見たいです……えへぇ」
そんな風に雑談をしながらゆっくりと食事を進めていると、あっという間に時間は過ぎていった。横に座ったマキがにやにやと蠱惑的な笑みを浮かべながらクロウの股間の膨らみを撫でていると、彼の携帯電話が音を立てた。
「あれ、アヤカさんからだ」
クロウは端末の画面をタップし、すぐに電話へ出た。こんな時間に連絡してくるくらいだから、何か緊急の用事でもあったのかと身構えたが、聞こえてきたアヤカの声は思いのほか落ち着いていた。
『クロウくん、今、家ですか?』
「うん。ご飯食べたところ」
『迎えに来てもらえませんか?』
「え? いいけど……」
『ありがとうございます。では』
用件だけを告げると、アヤカはクロウの返事を待たずに通話を切った。直後、メッセージアプリに店の位置情報が届く。シティセンター内にあるバーらしい。サイトURLを開いてみると、高層ビルの中にあって、落ち着いた内装ながら高級感溢れる雰囲気が写真からも漂っていた。
クロウではなんとも場違い感があるだろうが、迎えに行くだけなら大丈夫だろう。
「呼ばれたので行ってきますね」
「あーい、行ってらー」
「行ってらっしゃい、です」
マキは、『アヤカからの呼び出しなら仕方がない』とばかりにあっさりと身を引いて、立ち上がったクロウを見送った。玄関の扉が閉まるのを待ってから、マキは冷蔵庫をあさり始めた。取り出した缶ビールのプルタブをカシュッと開けると、ソファの上でだらしなく膝を立てる。
「今日は多分帰ってこなそ~だし、飲んじゃお」
「えっ、そうなんですか……」
スミレは目に見えて肩を落とした。てっきりクロウがアヤカを連れて帰ってきて、そのままムフフなめくるめく夜が始まるものだと期待していたのだが、どうやらマキの予想では違うらしい。膨らみきっていた妄想を、無惨にも打ち砕かれてしまった。
「ま、勘だけどね。それよかスミレちゃんよぉ~♡」
マキは缶ビールをテーブルへ置くと、逃げる隙も与えずスミレの肩へ腕を回した。
「クーくんとの出会いを教えろよぉ~♡」
「あわ……ち、近いです……」
「いいじゃん、減るもんじゃなし~。どっちから声かけたの? 最初からクーくん狙いだった?」
「ち、違いますぅ……!」
否定するスミレへ、マキはますます楽しそうに頬ずりをする。柔らかな頬を押しつけられ、酒の匂いまで間近に迫ってきたスミレは、どう逃げればいいのかも分からないまま視界をぐるぐるさせるのだった。
▼桐生ダンジョン特区 シティセンター
東京の綺羅びやかな夜景に比べれば見劣りするものの、シティセンターは特区の中枢としての顔を夜になっても失っていなかった。
大通りに沿って並ぶオフィスビルや高層住宅には明かりが灯り、街路灯や車のヘッドライトで、夜でも明るかった。昼間に比べれば通行量は減っていたが、仕事を終えて駅へ向かう会社員や、これから食事や酒を楽しもうという人々の姿は途切れなかった。
道幅は広く、街路樹や植え込みも丁寧に手入れされている。飲食店の看板は控えめで、メインエリアのようにゴミゴミとした感じはない。探索帰りのランナーや荷物を運ぶ歩荷の姿も、この辺りではほとんど見かけない。整然とした街並みだけを眺めていると、ここがダンジョンの周囲に造られた特区であることを忘れてしまいそうだった。
クロウはアヤカから送られてきた位置情報を確認しながら、大通りをしばらく歩いた。目的地は彼女の家からそれほど離れておらず、やがて端末の地図に表示された印と、目の前の建物が重なる。
バーが入っているのは、十階建ての商業ビルだった。落ち着いた色合いの外観は周囲の街並みによく馴染んでおり、入口の脇に設けられた案内板には、レストランや会員制ラウンジらしき店名が控えめな書体で並んでいる。アヤカの送ってきた店は、その最上階に入っていた。
クロウは明るく清潔なエントランスへ足を踏み入れたものの、エレベーターには向かわず、そこで立ち止まった。しかしアヤカの姿は見当たらない。キョロキョロと落ち着きなく周囲を見回した末に、電話をかけることにした。
「着いたよ」
『上に来てください』
彼女は電話に出ると、エレベーターに乗るよう促した。エレベーターはセキュリティゲートの向こうにあり、そのゲートの横には黒服の警備員が常駐している。クロウは自分の、あまりにも場違いなカジュアルな服装を見下ろした。
「……大丈夫かな」
『大丈夫です』
独り言を電話越しに聞かれてしまった。クロウはほんのりと赤面して、言われた通りにゲートへと近づいていく。
「あの……」
「どうぞお通りください」
黒服さんに促され、ゲートを通る。何も起きず、あっさりと通り抜けることができた。なんだか、釈然としない。エレベーターのボタンを押してから、何度かゲートの方を振り返って、(間違ってないよな……?)と黒服さんの様子を確認するも、彼は動かない。そうこうしているうちに、エレベーターが到着したので、乗り込んだ。
少しの間エレベーターに運ばれ、やがて目的の階に到着した。チャイムが鳴り、扉が開いた。その短い電子音にまで、どこか垢抜けて品があるような気がする。扉の向こうは、写真で見た通りの内装だった。照明は控えめで、調度品からは高級感が漂う。客の姿はまばらだが、誰もが店の空気に馴染んだ落ち着いた身なりをして――
「うぉぉぉぉぉぉぉん」
「迎えが来ましたよ先輩」
――いるわけでもないようだ。そこには見知った顔がいた。ソファ席で、すっかり酔いの回ったシノブがくだを巻いていた。バーテンダーはそれを注意するでもなく、黙々とグラスを拭いていたが、クロウを見ると、『さっさと連れて行け』と言わんばかりの目をした。クロウはいたたまれなくなって、軽く会釈をしてからアヤカたちに歩み寄った。
「アヤカさん、シノブさんと一緒だったんだ」
「はい。食事会で一緒になって、そのあと先輩に誘われて、ここで飲んでいたんです」
今日予定されていた食事会は、いわゆる仕事の付き合いというやつで、アヤカは不承不承ながらも参加していた。アイギス・プライムの女社長の向かい側に座りながら、恋人とどんなプレイをするかばかりずっと考えていたのを、お偉い人たちは知る由もないだろう。
そんな退屈な会が終わって、いざ帰ろうかというときに、シノブと出会った。どうやら彼女も末席にいたらしく、話しかける機会を伺っていたらしい。
「あークロウくんだぁー♡ おねーさんもお嫁さんにしてよぉ~♡」
「すっげえ酔ってる……とにかく出よう」
「そうですね」
でへでへ、と絡みついてくるシノブをうまくいなしながら、クロウは彼女を支えてエレベーターへと戻った。続いて、アヤカも乗り込んでくる。
「クロウくんさぁ~女の子たくさん侍らせるそうじゃないのよォ~この色男め~わたしも仲間に入れろぉ~」
「……すごくお酒飲んでない? シノブさん」
ひどく悪酔いしているシノブを見て、クロウはアヤカの方を見た。
「ええ。クロウくんの素晴らしさを語っていたらいつの間にかこうなってしまいました」
二人は互いの近況を報告しあっていたはずが、アヤカの話はことごとく『クロウくんが毎日愛してくれる』という方向へ着地した。そのピーチリキュールよりも甘い惚気話を聞かされ、自分の男っ気のなさに絶望したシノブは、お酒を煽ることでしか精神を保てなくなり、結果としていつも以上に悪酔いしてしまったのだ。
「うう……っ。えうっ、あたしなんて……あたしなんてェ~~~~~」
よよよ……と、今度は泣き始めるシノブに、クロウは困り果てた。
「ど、どうしよう」
それに対して、アヤカは事もなげに答えた。
「おや、どうしましたかクロウくん。スケベな身体つきのメスが自分から身を差し出してきてるんですから、ありがたく頂いてしまうのがオスというものですよ」
「うん。……うん?」
その言葉を聞いて、クロウはようやく理解した。
「さ、ホテルに行きますよ。先輩は仲間になりたいそうなので。一晩中クロウくんのおちんぽでおまんこを可愛がってあげましょうね」
そう、シノブのこの状態は、アヤカの仕掛けた罠だったのだ。地上に戻ったエレベーターの扉が開き、三人を夜の街へといざなってゆく――