「先生ってば、いけないんだ♪いけないんだ♪」
寝る直前の静かな夜に、自分の部屋で先生のことを思い返す。
普段は真面目で立派な大人なのに、ボクがちょっと肌を出すだけでチラチラと視線がこちらに向いてくる。
どんなにしっかりしてても簡単に操れてしまうその有様が、可愛らしいとすら思えてくる、
(見ちゃダメだって思って、我慢しようとはしてるんだよね?それなのに、我慢できないんだよね?)
先生が我慢してくれるのが嬉しかった。それだけ僕のことを大切に思ってくれているということだから。
先生が我慢できなくなるのが嬉しかった。それだけ僕に魅力を感じているということだから。
(頑張って耐えて?たくさん葛藤して?全部、ボクが見てるから)
ボクが受け継いだ無数の魔法の一つに『千里眼』と言うものがある。相手が自分を見ていたら、自分も相手を俯瞰して見れる魔法だ。
その対象が写真や動画でもいいというのを利用して遠くの様子も見れる魔法だけど、そんなひねった使い方をしなくても、今ここにいる自分が見られても発動できる。
つまり、先生がこちらを覗き見るたびにその魔法は発動している。
(大丈夫、気づいてないよ。気づいてないふりしてあげるよ?)
相手を俯瞰して見れるから、その視線の向きもよく分かる。それはいつ、どんな時でもだ。
シャンプーのために目を閉じてても関係ない。この魔法は、視覚そのものには頼っていないから。
(ボクにばれないって思ったとたん、あんなにじろじろ見ちゃうんだ)
先生の気を引くために始めた行為が、どんどんエスカレートしているのを感じる。だけれどわざと失敗していた時に比べて、罪悪感なんて全くない。それは多分、先生も悪いことをしているから。
先生と一緒にするイケナイことだから、こんなにも楽しい。
「そっか。ボクは先生に、罪を犯してほしいんだ」
女の子の体を盗み見たり、未成年の体の感触を性的に感じたり、そういうのは全部悪いことだ。
そうして罪を重ねれば重ねるほど、ほんの少しだけボクとつり合いが取れる気がする。
(もちろん、ボクの犯した罪に比べたら、重さなんて全然違うけど)
どうせならもっと非道なことの方がいい。ボクが苦しい思いをしたり、痛い思いをしたり、泣きたくなるようなことをしてくれた方がもっといい。
それがきっと、ボクに対する罰になるから。
(生き残った人類である先生には、ボクを罰する資格がある。ボクに、何でもする権利がある)
ボクに正しくないことをしてほしい。
ボクにひどいことをしてほしい。
ボクで間違いを犯してほしい。
そうしたらもっと、ボクに近づいてくれる気がするから。
(次は何をしようかな。どうしたらもっと、先生の心を溶かせるのかな)
まだ見せていないものと言うと……下着、だろうか。男の人にとってとても興味のあるものらしいし。
パジャマのズボン、その腰回りを少しだけ引っ張って、隙間から自分のショーツを見る。最近は特に気を付けて可愛いのを選んだそれは、ボクの股に張り付いて女の子の曲線を描いている。
「ひゃあ!」
先生に見られることを想像して、思わず顔が赤くなる。枕に顔を埋めて、バタバタと足を振り回す。恥ずかしいのに嬉しいような、そんな複雑な気持ちだった。
(先生は見たいって思ってるのかな?思ってるんだろうな、きっと)
「えへ、えへへへへへ」
さてどうしようか。やり方はちゃんとよく考えないといけない。ボクが自分から見せているとばれてしまったら、先生に罪を犯してほしいという趣旨から外れてしまう。それになにより、
(ボクがエッチな子だって、先生に誤解されちゃうからね)
きっと先生はもっと追い詰められるんだろう。ボクのために、ボクを思って、頑張って頑張って耐えて、そして最後には折れてくれる。
(先生にひどいことしてるかな……。でも、いいよね?先生も見たいって思ってるんだもんね?先生も、本当は望んでるんだもんね?)
先生が罪を犯すことが、先生と罪を犯すことが、楽しくて楽しくてたまらない。
クスクスとひとしきり笑った後、天井を見上げて呟いた。
「共犯者になろうよ。ね、先生?」