「マッサージ?」
「うん、ボク、お父さんにもやってあげることがあったんだ」
そう言って笑うエマはどことなく楽しそうだった。俺のために奉仕させるようでこれは良いのかと少し考えるが、そこまで重く考えることでもないだろう。
「それじゃあお願いできるかな」
「任せて。それじゃあソファに横になって欲しいな」
言われるままに姿勢を変える。うつ伏せになるとエマが俺の足首を掴んできた。
「ふくらはぎからやってくね」
そう言って小さな手で俺の足を揉み始める。痛みのない適切な力加減で、俺の筋肉に刺激を与えていく。
男の足と言う、少女から嫌がられても仕方ない場所を触らせているという現実に、少しだけ優越感のような感情が浮かび上がってくる。
(いや、良くないだろう。エマは純然たる好意でやってくれてるんだから……)
彼女の手はちょっとずつ上に上がってくる。まずはふくらはぎ。そこから膝を飛ばして、太ももの筋肉を揉んでいく。
「力加減はどう?ちゃんと気持ちいかな?」
「ああ、いい感じだよ」
「気持ちいい?」
「えっと、まあ気持ちいいよ」
彼女の前で気持ちいいという言葉を口にするのに少しためらうものの、実際彼女のマッサージは心地の良いものだった。足に溜まった疲労が溶けていくように、彼女の手に癒されていく。
手は小さくとも握力はそれなりにあるようで、痛くはないくらいの適切な力で俺の足を握ってくれている。その手はされに上へと昇り、俺の尻まで揉み始めていた。
「あーっと……そこもやるの?」
「うん。お尻にだって筋肉はあるしね。ついでだからここもマッサージするよ」
そう言って躊躇なく俺の尻を揉み始める。彼女が親にやっていたというマッサージの中に、当たり前のように含まれていたのかもしれない。
実際、家族間では問題ないと言えるだろう。俺たちの間では、まあ恋人同士だしいいと言えばいいのだろうか。少なくとも、わざわざここで口で言って止めるほどではないだろう。
そのままエマの手に身を任せる。指の力で筋肉を揉みほぐす少女の手の平。それは尻から再び太ももへ移り、ふくらはぎをマッサージして、またお尻へ戻るという往復を何度か繰り返した。
そんな時間が十数分すぎたころ、彼女が上体を起こして声を上げる。
「このくらいでいいかな。どう?気持ちよかった?」
「ちゃんとできてたよ。ありがとう」
「どういたしまして!それじゃあ先生、立ち上がってくれる?」
その言葉を不思議に思うも、言われるままに立ち上がる。するとエマは俺と入れ替わるように、ソファへとうつ伏せに寝転んだ。
「それじゃあ交代ね。次は先生にマッサージしてほしいな」
「いや、それは……」
つい彼女の足に目をやってしまう。お風呂から上がった際に着替えたのだろう。今はスカートをはいていて、そこからは何の布にも阻まれていない素足が、無防備なままにさらけ出されていた。
「それは、あまりよくないことの気がするんだが」
「どうして?ボクは先生のためにマッサージしてあげたのに、先生はしてくれないの?」
「それを言われると弱いけど、しかしな……」
「それにね、先生」
戸惑う俺に対して、エマが一呼吸おいて、言った。
「これはセーフだから大丈夫だよ、先生」
「あ……」
その言葉を聞いた途端、カチリと意識が切り替わった気がした。
「だってこれはマッサージだよ?先生がボクのためにしてくれること。マッサージだから、セーフなんじゃないかな」
その通りかもしれない。山道を何度も往復したのはエマも同じで、きっと足も疲れていることだろう。俺はマッサージしてもらって逆はやらないなんて、むしろそれこそがおかしいんじゃないだろうか。
「分かったよ……。じゃあ、その、下からやっていくから……」
「うん。お願い!」
明るいエマの声に誘われるままに、彼女のふくらはぎを優しく握る。以前から華奢だと思っていた手足は実際に触れると驚くほど細く、力を入れたら折れてしまうのではないかと不安になるほどだった。
そんな足をできるだけ優しく押すと、皮膚の下に隠された彼女の筋肉の存在が感じられた。
「その、痛くないか?」
「大丈夫だよ。先生って優しいね」
「そうか……?」
「そうだよ。すごく優しい」
少女の足に触れながら、少女の言葉に褒められる。あやふやな肯定感に満たされながら、その肌の感触を楽しんでしまう。その楽しむということが、悪いことをしている気もするが――
(これは、マッサージだから。マッサージは、セーフだから)
そしてマッサージならば、いつまでもふくらはぎだけに触れているわけにもいかない。視線を上げると、彼女の太ももがそこにあった。
どんなに華奢でもふくらはぎよりは太いその部位は、微かな肉感をもってそこに存在している。左足につけられた謎のベルトが太ももを締め付けていて、ベルトの間から彼女の肉が少しだけ盛り上がっていた。
その太ももに対して手を伸ばし、そして握る。下からゆっくりマッサージして、彼女の筋肉をもみほぐす。
エマの素肌はとても滑らかで柔らかい。男のそれとはまったくの別物だった。もみほぐす位置を変えるたびに、俺の手の平が彼女の肌とこすれる。その感触が心地よくて、何度も握る位置を変えてしまう。
そうしてゆっくりと手を上げていくと、彼女のベルトに到達した。左手でベルトの上から太ももを握ると、その隙間に俺の親指が当たる。奥にある筋肉まで届くようにベルトの間を親指で押し込むと、盛り上がった脂肪がぷにぷにと無駄な抵抗をして、俺の指を押し返してきた。
さらに視線を上げる。太ももを越えたさらに上、スカートに包まれたエマのお尻が、そこにあった。
(いや、流石にこれは……)
お尻はもう、明らかに性的な部位だろう。少女のそこに触れてしまうことは明確な犯罪行為だ。だがさっきはエマも俺のお尻にマッサージをしたんだし、ここでやらないとお返しにはならないんじゃないだろうか。そうすれば触ることができる。触りたい。いや、触りたいなんて思っちゃだめだ。
「ねえ、先生」
ぐるぐると思考を続ける俺に対して、エマが
「マッサージだから、セーフだよ?」
とても甘い言葉を投げかけてくれた。
その都合のいい言葉に導かれるままに、エマのお尻へと手を伸ばす。軽く押すだけで女の子の柔らかな感触に手の平が包まれた。
マッサージのために力を込めて押し込む。彼女の奥に感じられる筋肉が、そこまでの間が脂肪なのだと感触でもって伝えてくる。皮膚と、脂肪と、筋肉と、言うなればただそれだけの存在なのに、その存在が俺を夢中にさせてならない。
「もう少し優しくマッサージしてほしいかな」
「す、すまん。痛かったか?」
「痛くはないけど、その方が嬉しいよ」
そうはいっても、どのくらい加減すればいいのだろうか。痛いのだけはダメだろうと思って、極端に押す力を弱めてみる。
その状態で、エマのお尻をマッサージする。何度も、位置を変えて、彼女のお尻に触れ続ける。それはもはやマッサージではなく、撫でまわすという表現の方がふさわしいような動きだった。
気付けば、股間のものが膨らんでいた。びくりとズボンの中で跳ねるだけで、快楽が体中へと走っていく。それは手の平に感じられる感触と繋がっているようで、柔らかな丸みを感じるたびにどんどん気持ちよくなっていく。
だからもっと、もっとと思ってしまう。俺の手の動きに合わせて、エマのスカートの裾が微かに揺れる。これをめくれば、その奥には、彼女の下着があるのだろう。きっと下着の上からの方が柔らかくて、温かくて、今よりも気持ちよくなれてしまう。
マッサージの効果としても、直接揉んだ方が効果がある気がする。そんな言い訳が思いついて、でもさすがにそれはダメだと打ち消して、それでも発想が頭から消えない。葛藤で心が揺れて、口から言葉が漏れそうになった時だった。
「スカートは、めくっちゃだめだよ?」
「そ、それは、もちろん」
「そっか。先生ってすごく我慢強いんだね」
「そう、かな……」
「うん。すごく理性的。先生はすごいよ。さすが先生だな」
確かに、そうなのかもしれない。スカートの奥を見たいと思ったけど、俺はちゃんと我慢できた。俺の理性はちゃんと保てている。そんなことを思いながら、エマのお尻をなでさする。
それでも直接触れたくて、片手を彼女の太ももの方へと戻した。布に邪魔されない、素肌の感触。それをお尻を揉む手と合わせて感じて、その奥を勝手に夢想する。ペニスが、限界まで張り詰める。
きっと今お尻や太ももに押し付けたらすごく気持ちよくなれる。だが俺は理性的だから、そんな行動をとることはなかった。頭の中だけで考えて、こすりつけることを妄想する。
もし今エマのスカートをめくったら。そしてペニスを取り出して、お尻の間で挟んだら。何度も腰を振って、先走りを塗りつけて、射精して彼女を汚したら、それはたまらなく幸せなことだろう。
多分エマも嫌がらない。優しく笑って許してくれるような気がして、でも許されないと言い聞かせて、精神が、何度もグラグラと揺れていく。
もう、限界だった。
「エマ……マッサージは、これくらいでいいかな」
「え?」
後ろに下がってエマから離れると、彼女は起き上がってソファの上に座りなおした。
「今日は疲れたし、少しだけ部屋で休むことにするよ」
大きくなってしまった股間を隠すために彼女に対して背を向ける。今は早く、ただ早く自室にこもって、この欲求をすぐにでも開放したい。
「……いっちゃうの?」
「ああ、夕飯は少し遅くなるかもしれないけど」
「ううん、いいよ。気にしないで」
話の途中なのに歩き出して部屋から出ていこうとする。そんな不審な俺の要求を、エマは責めることなく許してくれた。
「それじゃあ先生、ごゆっくり、ね?」
いつも通りの優しい声なのに、なぜだか少し、あざ笑っているように感じられた。