「前にも思ったけど、先生って筋肉すごいよね。前よりも増えてる気がする。ボクが小学生のころからこんなにがっしりしてたっけ?」
「いや、俺は本来そんなに肉体派じゃないよ。筋肉がついたのはこんな世界になってからかな。肉体労働ばかりしてるから」
「そっか……ならこれは、ボクを守るための筋肉……ってことなのかな」
「まあ、そうなる」
「えへへ……」
そんな気恥しい話をしながら、俺の体を洗ってくれる。少女の手によりぬるぬると撫でまわされることは相変わらず心地よく、性的な快楽を含むものだった。
だがしかし、それ以上の快楽を経験した今となっては、その程度の刺激にうろたえたりはしない。エマが性的なことを受け入れてくれていることもあり、その微妙な刺激を楽しむ余裕すらあった。
「先生って、再会したときから少し変わったよね」
「そうかな」
「うん。前に一緒にプール入ったときはもう少しわたわたしてたというか、落ち着いてなかったし」
「う……そう見えていたか」
ずいぶんと情けない姿に映っていたようだ。なら堂々としつつかつエマの水着姿を意識しなければよかったのだろうか。彼女ができたことすらない人間には難易度が高すぎる振る舞いだ。
「でも今は落ち着いてるし……ボールで遊んでるときにボクの胸とか見てきちゃうし」
「ぐ……む……、今は恋人同士だしな。いろいろと変わるよ」
「そっか……。うん、そうだね」
エマの手が俺の背中をなでていく。肩から下に降りていき、腰とその側面まで。ゆっくりと塗り込むようにボディーソープを広げていった。
「なら恋人同士だから、前回の時に洗わなかったところも、洗っていいかな?」
「えっと、どのあたりだい」
「例えば……お腹とか?」
エマの動きが前の方へと回ってくる。わき腹をかすめるくすぐったさの後に、エマが俺のお腹を撫でまわしていた。
「すごいね。固い」
「鍛えて……はいないけど、暮らしの中で勝手に鍛えられたからね」
「そっか……」
好奇心のまま存分に、揉むような動きとともに指で押し込んでくる。しばらくして満足したのか、手の位置徐々に上げていった。肋骨をなぞり、わきの下の直前まで行って、今度は俺の胸を撫でまわしてきた。
「胸にも筋肉はついてるよね、胸筋だっけ。これも……」
「んんっ……!」
その時だった。エマの手の平が俺の乳首の上をすべる。その突然の刺激につい声を上げると、彼女は驚いたように動きを止めていた。
「先生、今の声って……」
「いや、その……なんでもない」
「…………もしかして、ここ?」
俺の言い訳を意に介さず、エマは俺の乳頭へと手を伸ばす。指先で弾くように転がされるだけで、体がピクリと震えてしまった。
「そっか。そうなんだ」
「あ、あの、エマ……」
まずいと思って鏡越しにエマの顔を見る。その口角は徐々に持ち上がっていき、とても楽しそうな笑みを浮かべていた。
「先生って、乳首も気持ちいいんだ……」
新たな武器を手に入れたエマが、両方の乳首の上で何度も指を往復させる。繰り返す刺激は確かに気持ちいいのに、下半身を刺激されるのとはどこか違う。
まるで、穴の開いたバケツにただ快感を流し込まれるかのように、どこか満たされない気持ちだった。
「先生の新しいこと知っちゃった。なんだか嬉しいな」
「べ、別に男が乳首なんて、大して意味は……」
「そんな嘘ついてもダメだよ。先生の気持ちい声と気持ちい反応を、ボクはもう分かってるんだから」
指の腹で乳首全体をつぶし、そのまま円を書くように回してくる。動きの変化による新たな刺激に、耐えることもできずに声が漏れた。
「はっ……ぁっ……!」
「声がいつもよりかわいい。乳首で気持ちよくなると、女の子の気分になっちゃうのかな」
ペニスに奉仕させるのとは異なる、被虐じみた悦びだった。辛いという気持ちが少しあるのに、それ以上にもっとして欲しいという渇求があふれてくる。
「そうだ先生。さっきの話だけど、ボク聞きたいことがあるんだ」
「うっ……なん、だ……?」
エマの指の位置がずれる。乳輪をなぞるくらいの距離で、指先を彷徨わせ続けていた。俺は息が荒くなりながらも、弱くなった刺激のおかげで何とか話すことができた。
「先生はボク達が恋人同士になったから変わったって言ってたけど……恋人同士になる前から、よくボクの胸とか太ももとか、チラチラ見てたよね」
「な……っ!」
そうだ。確かに前にプールに一緒に入ったときに、俺は彼女に性的な視線を向けてしまっていた。いや、それ以外でも、バレさえしなければいいと度々覗き見るような真似をしてしまっていて
「バ、バレてた……?」
「まあ、分かるよ。先生の視線は分かりやすいし」
「えっと、ごめっ!あっ!」
謝罪をしようとした瞬間、乳首がピンと弾かれた。
「謝らなくていいよ。ボクは嫌じゃなかったから。でも、恋人じゃない女の子をそういう風に見ちゃうのは、やっぱり悪いことだよね?」
「それは……そうだな……」
「うん。ボクが許してあげたってだけで、先生は悪いことをしちゃったんだよ」
お仕置きをするように乳首を摘み、そのまま軽くひねってきた。それでもその動きは甘く、優しく、俺に快楽だけをもたらしてくる。
「でもね、ボクは先生のことを許してあげる。先生のことが好きだから何でもしてあげたいんだ。だから先生……教えて?」
「な、なにを……?」
「先生はボクにして欲しいことはある?ボクに……したいことはある?」
再び、何度も指を乳首の上で往復させてくる。急に強くなった快楽に、何度も体は跳ねるのに、それでもペニスには刺激がない。
これだけでは、絶対に射精できない。
「あ……はっ……エ…マッ……!」
「我慢しなくていいんだよ。だから、ね?」
エマと俺の距離は近くなっていて、いつの間にか後ろから抱き着かれる形になっていた。背中に密着する柔らかい存在が、俺とエマの間で潰れている。
その感触に、あっけなく理性が溶かされる。気づけば乳首の刺激に邪魔されながら、情けなく懇願していた。
「し、下も……あっ……触ってっ……!」
「うん、それで?」
「出さ、せて……お願い……」
「ふふっ。そんなに可愛くおねだりされたら、ボク、断れないな」
耳元で聞こえるエマの嘲笑。鏡越しに見える嘲りの瞳。そんなこちらを馬鹿にする目線が、それでもなんだか嫌ではなかった。
その奥に、俺に対する愛情があることは分かっていたから。
エマの手が俺の水着へと伸びる。降ろそうとする動きを少し腰を上げて手伝うと、俺のペニスがブルンと飛び出てきた。乳首の刺激で焦らされた結果、だらだらと先走りがこぼれている。
「あ、泣いちゃってるね。そんなに待ちきれなかったの?」
彼女の手がペニスを握り、そのまま上下に動き出す。過剰な先走りとボディーソープを巻き込んだ動きは、普段と異なり摩擦もなく、今までと異なる刺激を与えていた。
もう片方の手は未だに俺の乳首をいじっている。つまんだり、押したり、転がしたりと、ただ彼女の望むやり方だけで気持ちよくさせられていた。
ローションのようなぬめりの手コキと、複数点を同時に刺激される物量に、あっという間に上りつめてしまう。
「これ、出っ……!」
「……っと、危ない。先生にとっても、まだ早いよね?」
俺の反応を見て、エマが少し動きを緩めてくれた。少女に手加減されて射精を我慢させてもらってることに惨めさすら感じるものの、それでもまだもう少し、この気持ちよさを味わっていたかった。
「このくらいでいいかな。先生気持ちいい?」
「あ、ああ……」
「気持ちいい?」
「き、気持ちいい、です……」
「そっか。良かった」
俺の言葉に機嫌を良くしつつ、彼女の手は俺に快楽をもたらし続けてくれる。手の握りを弱くして、乳首を刺激する頻度を下げて、そうして何とか、俺は射精せずにいられていた。
「ねえ先生。どうして恋人じゃないときもボクにエッチな視線を向けちゃったの?悪いことだって分かってたのに」
「それは……その……」
「うん、なあに?」
「が、我慢、できなくて……」
「へえ、我慢できなかったんだ……性欲に負けちゃったんだ」
性欲に負けてしまった。そのことを責めるような言葉に罪悪感はあるのに、与えらえているのは罰ではなく褒美だった。自責の念が、その苦しみが、全て快楽で上書きされていく。
「そういえば今日、昼間から性欲処理するのはだらしないって言ってたよね。なのにおねだりしちゃって、これも我慢できなかったの?」
「それは……ご、ごめ……」
「ううん、怒ってないよ。だらしないことしちゃったんだなって、思うだけ」
エマがより強く抱き着いてくる。ビキニだけに守られた胸と全身が、素肌の感触を伝えてくる。
まるで体全体がエマ自身に包まれて、捕まえられているようだった。
「悪いことしていいよ。だらしなくていいよ。我慢なんて、しなくていいよ。ボクは全部許してあげるから」
手の動きが、徐々に早くなっていく。快楽が増して、思考が溶けて、彼女の声が流し込まれる。
「覚えててね。先生が素直になったから、こんなに気持ちよくなれるんだよ。ボクは先生のために頑張りたいだけだから、求めてくれないと何もできないよ」
エマの言葉に、その内容に、それではダメではという疑問が浮かぶ。なのに、反論が頭の中でまとまらない。
「エ…マ……んっ……でも…あっ……でも………」
「でも、は無しだよ。今は気持ちよくなることだけに集中してて欲しいな。ボクがせっかくご奉仕してるんだから」
流されてしまう。それでいいと思ってしまう。腰の奥でスイッチが入って、射精が止められない状態になる。
「出る……エマっっ……!」
「ねぇ、先生」
射精の直前、エマが俺の耳に口を寄せて、言った。
「大好き♥」
「あっ……!」
愛の言葉に満たされたまま、閾値を超える。体中がビクビクと震えて、何度も精液を吐き出した。
その間もずっとエマの手は止まらず絞り出すようにペニスを刺激し続ける。乳首をはじく手は細やかに動き続け、より深い快楽を促し続けていた。
今までにないほどに激しい射精だった。何度も跳ねて、吐精して、時間をかけてようやく終わる。 疲れ果てて倒れこみそうになる体を、エマが後ろから支え続けてくれていた。
精も魂も尽き果てて頭がもうろうとする中、エマが囁きかけてくる。
「気持ちよかった?」
「うん……」
「また、しようね?」
「うん……」
「我慢なんて、しなくていいからね?」
「うん……」
「ふふっ。先生、大好き。大好きだよ。だーい好き」
ドロドロと流し込まれる愛の言葉。それを俺に注いでる間、彼女の腕はずっと、俺のことを束縛し続けていた。