暗い夜の闇の中。遠くからは秋の虫が鳴く声が微かに壁を通して聞こえてくる。
そんな中、ボクの目には先生の寝顔が写っていた。暗闇に慣れたモノクロの視界の中、先生の穏やかな寝息と共に、胸が上下に動いている。
昼間はとても頼もしく、夜はとても情けないその表情が、今は安らかな表情と共に、ボクの前で無防備な姿をさらしていた。
(可愛い人……そして、凄い人だよね……)
こんな環境の中、ボクが幸せに生きれる道を模索して、着実にその道を進んでくれている。全ての人間が死に絶えた中、ただボクのために、命すらかけて、あらゆる障害と困難に立ち向かおうとしてくれてる、年上の男性。
(なんだか、女の子の妄想の中だけに存在する、理想の相手見たい)
好きになっちゃったひいき目かもしれないけど、本当に心からそう感じられる。この世の困難から、孤独から、ボクだけを守ってくれるただ一人のヒーロー。
そんな人が、毎晩ボクの手に負けちゃって、気持ちよさそうに体を震わせる。その事実だけでとても心が満たされるような気がした。
(とりあえず、経過は順調かな。うん、凄く順調)
今日は、先生に直接胸を見られて、触られた。そのことに心臓が高鳴って、予定通りだと安心する。
前は服の上から触られたのに、今日は服を脱がされた。ならその次は、明日は、明後日は、いったいどうなってしまうのか。
確実に言える。ボクが18になるまで、先生はきっと我慢できない。ちょっとずつちょっとずつセーフのラインをずらしていって、そして最後にはボクに間違いを犯してくれる。
ゆっくりと時間をかけて、先生が我慢できなくなるその時を待つ。それは綺麗な氷細工が少しずつ解けて台無しになって行くようで、とても楽しいことではある。それでも、一つだけ問題があった。
このままだと、ボクの方が我慢できなくなる。
今日、先生がボクの胸に触れた手の感触。その時にボクの乳首をかすめた時の甘い刺激。そういったものを思い出して、体が熱くなっていく。先生を責めたくて冷静を装ったけど、本当はボクも……感じるところがあった。
その場で寝返りを打ち、先生に対して背を向ける。これで少しでもばれないようにできると、そんな期待をしたうえで――自分の服の中に手をいれて、軽く乳首を転がしてみた。
「んっ……」
そして訪れる、甘い感覚。きっとボクが先生に触れた時と、同じ気持ちよさ。それが電流のようにからだ中を巡って、ボクの中を満たしていく。
その気持ちよさがもっと欲しくなって、何度も自分の乳首を指先で転がしてしまう。
(先生が……先生が悪いよ……)
先生が自分の性器をいじられてあまりにも気持ちよさそうにしてるから、ボクも興味を持ってしまった。
中学生のころに好奇心で触れた時は何ともなかったのに、背中に感じる体温のせいでこんなにも気持ちいい。
自分の指先から感じる快楽と共に、考えるのはいつも先生のことだ。頭がよくて、頼もしくて、いつもボクのことを守ってくれる、男の人の体。
「う……ふっ……」
早く。早く堕ちてほしい。ボクからお願いするなんて、そんな恥ずかしいことはできないから。いつか来るその日を夢想しながら、もう片方の手も動き出す。
ボクのパンツ中に手を入れて、女の子の部分に手を伸ばす。
「あ……っ」
跳ねそうになる体を抑え込む。ほんの少しの動きなのに、それだけで体中に快感が走る。先生のことだけを考えて、欲望のままに指先を動かしていく。
昼間の先生の姿。頼りがいのある背中。今日も、ボクを守るために獣に対して立ち向かってくれた。とても立派な大人の先生。
なのに夜はとても可愛らしくて、指先だけで鳴いちゃって、ボクを求めてくれる情けない姿。
ボクは先生のすべてを知っている。強いところも、弱いところも、全部。全部だ。
「先……生……っ」
先生は男のプライドとかカッコよさとか、そう言うのをすごく気にしている。だから情けない姿を知っているのは、きっと世界でボクだけだ。
いや、それだけじゃない。だって世界にはもうボク達しかいないのだから。先生の普段の姿すら、もうボクしか知る人はいないのだろう、
(ボクのっ……!ボク、だけのっ……!)
指が少しだけ下に降りて、女の子の小さな穴を探り当てる。初めてこのベッドの中で触れた時には完全に閉じていたはずのそこは、今は指一本くらいは簡単に入るようになってしまっていた。
秘部を濡らしている粘液を潤滑油にして、自分の指を入れていく。いつかここに、先生のものが入るのだと、その時を思いながらゆっくり指を動かしていく。
「んっ……あぁ……」
先生の体。ボクにこすりつけてた時の、逃げられなくなるほどのたくましい腕。とても濃いにおいを放つ、ボクの手を汚した白い粘液。
それがあと少しで、ボクの中を染めてしまう。
(早くっ……早くっ……!!)
早く、手を出してほしい。堕ちてほしい。そんなことを思いながら乳首と性器を刺激する。
ボクから言い出すことはできない。だって先生自身が悪いことをするのに意味があるから、なのにこのままだと、ボクの方からおねだりしてしまいそうだった。
体が跳ねる。気持ちよさが溜まっていく。奥底から、何かが昇ってくるような感覚が押し寄せてくる。
もしかしたら、これがイクということなのかもしれない。この習慣を始めてから一度も経験することの無かったその境界を、今きっと越えようとしていた。
「先生ッ……!」
より強く、乳首をつまむ。指の一つで性器の突起を転がしつつ、穴の中を往復させる。先生の匂いと先生の体温。ボクに優しくしてくれる姿を思い出しながら、一番最後の果てへと上り詰める。
その、時だった。
「エマ」
ボクの後ろから先生の声が聞こえて、その両腕が、ボクの体を包み込んだ。
■
夜中に目覚めたその理由は、起きた瞬間には気づかなかった。朦朧とする意識の中感じられたことは、自分の隣の存在がもぞもぞと動いていることだけだった。
明日も頑張らなければいけないのだから、すぐに寝なおさないといけない。そう思って意識を落とそうとしたときに、エマの小さな声が聞こえた。
「先……生……っ」
その甘さを含んだ声を聴いたときに、意識が一気に覚醒した。まさかと思って隣を見ると、エマがこちらに背を向けて、小さな体を震わせていた。
その姿を見て、察する。
(これ……してるな……)
考えてみれば当たり前のことだ。女の子にだって性欲はある。いつも俺の性欲処理だけしてくれて俺からはしていなかったのだから、それは当然溜まるだろう。
「先生ッ……!」
悪いことをしてしまったと、ごく単純にそう思った。できるだけ我慢することが、エマに触れ過ぎないことが、彼女への誠意だと思っていた。でももしかしたらそれは、逆にエマにとっては辛いことだったのかもしれない。
「エマ」
名を呼んだ瞬間に、その背中がびくりと跳ねた。俺が寝ていると思ってしていた秘め事なのだろうから、当然のことか。
「え……あ……えっと、なにかな……?」
とぼけた発言は、恐らくこの場を誤魔化そうとしているだろうか。まだバレていないという可能性に一点賭けしているのかもしれない。実際一人でしていたなんてこと、見つかってしまったらとても恥ずかしいことではある。
だから俺は、無言のままに手を伸ばす。両手でエマを抱きしめるように包み込んで、片方をエマの胸へと伸ばし、もう片方を……彼女の女性器へと向かわせた。
「あ……あのっ……!」
「ごめんな……。正直、これは本当に俺が悪いと思う」
今日、初めて直接触れたエマの胸。それに夢中になりすぎないようにしながら、彼女の乳首をくるりと回す。その些細な動きだけで反応して、彼女の体がピクンと跳ねた。
もう片方の手は女性器の上にある突起に触れた。全く経験のない中で手探りで触れるその部分を、彼女の動きを見ながらできるだけ優しく触れていく。
「ちが……違くてっ……あっ……!」
「痛かったら、言ってくれな。俺も初めてだから」
俺の腕の中でビクビクと震える少女の体。俺がちゃんとできていることに安心しながら、彼女の女の子の部分を刺激していく。染み出してくる液体は下着と俺の手元を濡らし、俺の動きを滑らかにした。
「エマ」
「はんっ……!」
後ろから名を呼ぶと、ひときわ大きな声が上がった。彼女の表情は見えない。愛撫をするのも初めてだ。だというのに、エマが上り詰めていることだけははっきりと分かった。
逆の立場になって分かる。きっとエマもそうだったのだろう。
「イキそう?」
「あっあのっ……!」
「イキそうなら、言って欲しい。普段君だって俺に言葉にして欲しいって言ってるんだから」
乳首を捻りながら、彼女の乳房をやさしくもみこむ。少女の感触に再び俺のモノが膨らみ始めるものの、あえてその衝動は無視することにした。
今は、エマの方が優先だ。
「先生っ……!先……生……!!」
「うん」
「ボク、イク……イっちゃう……!!」
「いいよ……イって欲しい」
指の動きを少しだけ強くすると、エマの声が一段階高くなった。彼女の体の動きがより激しくなっていくのが、俺の腕の中で鮮明に伝わってきた。
そして
「イク……イ……あ、あぁ……あん!!」
エマの体が、大きく跳ねた。それを押さえつけるように強く抱きしめて、両手の動きを少しだけ緩める。性器をいじる手は突起を抑える程度で動かさないものの、乳首を転がす手は変わらず動かし続けたままに、彼女の絶頂を長引かせていく。
5秒、10秒。徐々にエマの動きが収まっていき、それと同時に俺も両手の動きを止める。彼女のパジャマから手を抜き取って、純粋な優しさで彼女の体を抱きしめた。
「せんせい……」
蕩けた声を出すエマを抱きしめながら、しばらくそのまま時を過ごす。エマはようやく落ち着いてきたのか自分の体を動かし始めて、こちらの方へと体を回した。
彼女の顔を見ようとするも、全力で下を向かれて拒否される。そのまま彼女は足元に少し移動して、自身の表情を隠すように、俺の胸に顔を埋めた。
「違うよ……その、違うの……」
「うん、そうだね」
「先生が、先生が悪いから。いつも先生ばっかりだから」
「うん、そうだね」
「だからその、ボクはエッチな子じゃないんだよ?」
「……………………………………うん、そうだね」
言いたいことはいろいろあったが、彼女の名誉のために黙っていることにした。
なだめるように頭をなでて、彼女の感情を落ち着かせていく。長い時間をかけてどうにか、お互い再び眠りにつくことができた。