エマに促されるままにベッドの方へと導かれる。まず彼女がその上に座り、その前に向かい合った形で座った。そしてエマの方へと手を伸ばそうとして――――ふと躊躇ってその手を止めてしまう。
「先生?」
「ああ、その、なんというか……その格好だと罪悪感が刺激されてだな」
彼女が来ている学生服。大人がコスプレしているのとは違い彼女は本物の女子高生だ。それに手を出すという罪を目の前で分かりやすく示されているようで、一度納得したはずの手を出していいのかと言う迷いが再び首を上げてくる。
「すでに君と関係を持ったうえで、子供を作る覚悟もしてるのにうだうだと言うのはカッコ悪いよな。うん。ちゃんと開き直らないと」
「……ボクは、カッコ悪いままでいいんだけどな」
俺の言い訳に、エマはどこか残念そうにそう言った。なんで残念そうなんだろう。
「そうだ!ねぇ先生。ボクがメイド服を着た時は、メイドさんって設定でエッチなことしたよね?」
「ああ、そうだな」
「だったら制服を着ている時はボクは女子高生って設定になるよね?」
「それは……まあ、そうかもしれないが。君の場合もともと」
「それでね、それなら――」
こちらの言葉を遮り、エマが俺の手を取った。愛おしそうに指を搦めて、互いの指が指の間に挟まりあう。
「先生は小学校の先生じゃなくて、高校の先生って設定ね。自分の生徒に手を出しちゃう、悪い先生」
クスリと、俺の顔を見て妖艶な笑みを浮かべる。その瞬間、今日はどっちが責めるかが決まった。彼女にその微笑みを向けられて、求められるだけで、俺はもう逆らうことができない。
「ねえ、先生……自分の生徒に、何したい?」
「う……」
生徒に手を出す教師と言う設定。設定と言うのはある意味現実よりも強制的だった。
現実であれば、自制心と倫理観で自分の行動を止めることができる。だが設定であるのなら、それに逆らうことは許されていない。俺が思ってもいないことを、強制的に言わされる。
「俺は……君に……生徒と、エッチなことを、したい、です……」
「ふーん……悪い先生だね」
責めるような言葉と真逆に、エマはニコニコと嬉しそうだ。相変わらずのエスっ気に反論したくなるものの、設定に反する発言はできない。
何を言おうかと迷っている間に、先にエマの方が動いていた。手を俺の股間へと伸ばして、ズボンの上から優しく撫であげる。その軽い刺激だけで、甘い感覚が背筋に走った。
「………っ」
「気持ちいい?」
「あ、ああ。気持ちいいよ」
「そっか……先生、子供の手で気持ちよくなっちゃうんだね」
子供の手。15歳の少女の手。それがズボンの上から大人のペニスを撫でまわして、優しく可愛がってくれている。その事実に、感じてはいけない満足感のようなものが心の底から湧いてくる。
それは、他の人には許されていない行為をしているという暗い優越感だった。
エマが体をさらにこちらに寄せる。その意図を察して俺も体を倒すと、お互いの唇が重なり合った。一度離して、角度を変えてもう一度重ねる。そんなことを何度か繰り返す。
エマから与えられる快楽に、ときおり強い吐息が口から漏れる。それを顔にかけられてもエマは嫌がることはなく、むしろもっとと求めるように手の動きを強くした。
エマの舌が伸びてくる。俺の唇をなぞるように横向きに舐めたあと、口の中へと入ってきた。俺はそれを拒むことなく受け入れて、むしろ引き寄せるように軽く吸う。
濡れた粘膜がこすれあう。互いの動きを感じてそれに答えるやり取りは、ある種のコミュニケーションでもあった。恋人同士でしか行わないやり取りが、彼女との間で交わされる。
至近距離にある彼女の姿しか、俺の視界には映っていなかった。俺の様子を観察して、興奮と喜びで顔を赤くしている可愛らしい顔。さらにその下には、彼女の年齢を象徴する学生服が見えている。
まるで本当に、生徒を部屋に連れ込んだ淫行教師のような気分だった。放課後に高校生を自室に招いて、こうしてキスをしながら性器を触らせているような。
そんな少女に対して手のひらを向けて、彼女の胸を包み込む。ブレザー越しではあまり感触が分からなかったから、無遠慮にブレザーの中へと潜り込ませて、ブラウスの上からその柔らかさに触れた。
禁止されている悪事を働いているという愉悦。感じてはいけないと思うその感情が、俺の行動を支配している。
ちゅぷりと、キスの水音を立てながらエマが俺のズボンを掴んだ。その意図を察して少しだけ腰を上げると、少女の手によって少しずつ脱がされていく。腰のゴムが勃起したペニスの部分を越え、すでに欲情しきったモノが空気へと晒される。
それにエマが直接触れた時、つい声を上げてしまい彼女の唇から距離をとった。
「……気持ちいい?」
「あ、ああ……」
「もっと、して欲しい?」
「……して、欲しい」
俺のおねだりにエマは満足そうにクスリと笑うと、手を上下に動かし始めてくれた。その快楽で体に力が入り、目の前の小さな体に抱き着いてしまう。
「エマ……」
「うん」
ただ相手の名を呼ぶだけ。それだけでちゃんと分かってるとでも言いたげに返事を返して、左手で抱き締め返してくれる。その間も彼女の右手はペニスを握ったまま、優しく甘やかし続けてくれていた。
少女が与えてくれる快楽を甘受しながら、その体へと体重を預ける。とてつもなく贅沢で、癖になってしまいそうな甘い幸福だった。
「ねえ、入れたい?」
「それは……その……そうだけど」
「そっか。先生、自分の生徒の中に入れたいんだね」
それは、設定ではない事実だった。エマは小学生のころは確かに自分の生徒で、そんな子に手を出している。設定と現実の境界があいまいになって、受け入れたはずの罪が掘り返される。
もしかしたら俺がしていることは、本当に悪いことなんじゃないかと思い起こされて、それでも。
「そう、だね……君に、入れたい、です」
「ふふっ。イケナイんだ」
噛み殺すような笑いを含んだエマの声音。その笑みが純粋な喜びであれ、嘲笑であれ、君が笑ってくれるならそれでいいと思った。
それだけで、全てが許される気がした。
「いいよ。入れさせてあげる」
そう言いつつ、全身でこちらに体重をかけてくる。俺は抵抗することもなく押し倒されて、ベッドの上に横たわった。
彼女はベッドの上に立つと満足そうに俺のことを見下ろし、自らの下着を下ろし、脱ぎ去った。一瞬だけちらりと彼女の割れ目が見えるものの、即座にスカートの中に隠れてしまう。
エマが膝を曲げ、腰を下ろす。徐々に互いの体が近づいて行って、俺のペニスが、彼女のスカートの中に隠れてしまう。エマが俺のモノに手を伸ばして支え、さらに下へと下がっていくと、先端が気持ちい柔らかさに包まれた。
「んっ……ふっ……」
小さく吐息を漏らしながら、自分から俺のモノを飲み込んでいく。ぺたりと俺の上に座り込むと、俺の体は彼女の奥の奥まで受け入れられていた。
「エッ……マ……ッ!」
「あはっ。しちゃったね。先生」
そう言ってエマは笑い、前後に腰を動かし始めた。いつもの出し入れする刺激とは違う形で、男の一番弱い部分が彼女の思うままに振り回される。
「んっ……どうかな、教え子とエッチなことできて嬉しい?」
「それは……まぁ、う、嬉しいよ……うっ……」
「そうだよね。うん。やっぱり悪い人だ。先生だって悪いよ。ボクだけじゃない」
俺の上に乗り、俺を見下すエマが暗い笑みを浮かべる。薄暗い照明も直接届かず、影のかかったその顔は、清楚な制服とは真逆にどこか淫靡で、そして邪悪なもののように思えた。
「先生は、未成年の、自分の生徒とエッチなことをしちゃう悪い大人。ダメだって分かってるのに、性欲を我慢できなくて、すぐに大きくさせちゃうもんね」
彼女が俺をとがめる言葉。それは設定上の、生徒に手を出す高校教師に対するものだ。それでも、本当の俺にも当てはまることで、本当になじられてるようにも感じてしまう。
「機会があればエッチなとこが見れないかなって覗き見ようとするし、興奮したら自分から触ってって要求しちゃう、そんなダメな大人なんだよ」
受け入れたはずの罪が暴かれる。それでもと前を向いたはずの過去を並べ立てられる。エマの腰の動きによる快楽と、罪悪感による苦痛が心の中で混ざり合ってドロドロになっていく。
「でも。でもね。ボクはそんな先生でも大好きだよ。エッチで、情けなくで、我慢できない先生のことを、ずっと大事にしてあげる」
治りかけのかさぶたを、無意味に剥がされるような行為だった。エマの手によって傷つけられて、エマの手によって癒される。
俺のペニスが彼女の中でこすり上げられて、強制的に幸せにさせられていく。
「だから先生。隠したりしないで、正直に教えて欲しいんだ」
突然、エマの動きが止まる。物足りなさに心が飢えて、ペニスが地団太を踏むように無意味に跳ねる。
彼女が上体を前に乗り出す。顔にかかる影が濃くなる。俺の左右に両手をついて、上から俺のことを嗤いながら、言った。
「ボクの中に、出したい?」
きっと、かつてなら答えに窮してしまったその質問。
けれど既に少女に手を出してしまっていて、その快楽を知ってしまっている俺の返事は、決まっていた。
「出したい……出させて……っ!」
「へぇ、そうなんだ」
それでも、彼女の望むままに痴態を晒しても、なかなかエマは許してくれない。
「本当にいいの?生徒の中に出したいの?」
「うん……」
「教え子の体で、射精しちゃいたいの?」
「うん……」
「子供の中を、汚したいの?」
「うん……お願いだから……早くっ……!」
「あはっ。仕方ないなあ、先生は」
お預けされた状態での必死の懇願に、ようやく満足してくれたのか再び腰を動かしてくれた。
自分の急所を少女になぶられる快楽に、我慢できずに嬌声が漏れてビクンビクンと体が跳ねる。
「あっ……!んっ、はぁ……!」
「可愛い声。女の子に乗られるのがそんなに気持ちいいんだ」
言葉の中には蔑みが混ざり、口元には嘲笑が浮かんでいる。視線は冷たく、俺の反応を見据えている。
それでも、セックスと言う相手を受け入れる行為の間であるならば、その表情の裏の意味は明白だった。
「エッチなことにすごく弱いね」
それでも大好きだと。
「我慢できなくて未成年に手を出しちゃう、悪い大人」
それでも愛していると。
「他人からしたら気持ち悪いって思われるかも。みんなから嫌われちゃうよ」
それでもあなたが世界で一番だと。
まるでコーヒーと共に供される甘ったるい生クリームのように、飽きることの無い愛情だけが注がれる。絶頂の予感が近くなる。
「エマ……もうっ……!」
「もう出ちゃうの?ボクに悪口言われてるのに?」
クスクスと俺のことを笑った後、その手を俺の手へと伸ばしてきた。互いの両手が重なり合い、恋人つなぎで結ばれる。手の甲をベッドへと押し付ける力は、まるで俺を拘束するかのようだった。
「仕方ないよね。出したくて仕方ないんだもんね。特別に許してあげる。だからね……」
エマの動きが激しくなる。ペニス全体を締め付け、こすりあげて、早く出せとこちらのことを急き立てる。
そして
「ボクで罪を犯してもいいよ。先生」
一際強く腰が下ろされ、肉のぶつかる音がした瞬間だった。快楽が一気に駆け上り、絶頂と共に精液が放たれる。
その光景は彼女のスカートの中に隠されて、繋がっている部分すら見えない。それでもその学生服の奥では互いの体がつながっていて。今この時、最も罪深い瞬間が訪れていることは想像できた。
「あっ……あっ……!」
何度も何度も、繰り返す快楽に体を跳ねさせながら、少女の中を汚していく。そんな情けない姿を、エマにずっと見下ろされ続けた。
■
しばらく時間が経ったのち、ようやく射精の余韻も引いて、呼吸も落ち着き始めていた。
エマは今もまだ俺の上に乗ったままで、じっとこちらのことを見つめている。
「エマ……?」
彼女の視線と目が合う。その瞳を、なぜか暗いと、そう感じた。俺のことを侮蔑しているのとは違う、奥底の分からない闇のような瞳。
「ねえ、先生」
エマが、口を開く。
「ボクは、先生がどんなに悪い人でも、罪深くても、全部全部許してあげる」
繋がれた両手に、逃がさないとでもいうように力がこめられる。
「だから先生も――」
そこまで言って、言葉が止まった。自然と続きが紡がれるのを待つもその時は訪れず、彼女は何でもないとだけ言って俺の上から立ち上がった。
許してあげる。その言葉はしばしばエッチの時に、彼女が口癖のように言うセリフだった。きっと俺より上の立場に立って、俺をイジメる愉悦を感じているのだろうと思ったその言葉。
もしかしたら何か、もっと違う意図があるのかもしれない。そう考えても、彼女の瞳の奥底を、見通すことはできなかった。