今日は旅館から街中に降りてきていた。
目的は普段と変わらない、物資回収だ。水に食料、そして書籍。特に書籍は普通の書店で手に入るような物は揃えつくしたので、近くの大学にでも足を伸ばしてみるつもりだった。
エマが妊娠したときのために医学知識を付けないといけない。その準備の一環だ。今日もまた、彼女との未来のためにできることをする。
その予定だった。
予定の上では、そうだった。
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ちゅぷり、ちゅぷりと水音が響く。雨もなく、水場もないはずのこの場にふさわしくない湿った音。それは何かから隠れるように静かな、秘め事の音だ。
少女が、俺の前にひざまずいて男の肉棒を舐めている。舌を這わせて、唇を滑らせ、性器全体を口に含んだ。
そのまま頭全体を前後へと繰り返し動かし始める。手ともセックスとも違う快楽に膝が崩れ落ちそうになるものの、ビルの壁に背を預けることで何とか立ったままでいられた。
俺たちは大通りから逸れた路地裏に潜んでいた。立ち並ぶ大きなビルの背に隠されたかのようなそこは、日の高い時間帯でも薄暗く、陰気な空気を帯びている。
そんな場所で俺は、大切にすると誓ったはずの少女を地べたに座らせて、自分の醜いものへと奉仕をさせていた。
そんなつもりはなかった。ちゃんと作業を進めるつもりだったのだ。なのにエマに密着されると心臓が高鳴り、その肢体の性的な部位につい目が誘われてしまう。そのことに気付かれてただ一言誘われると、俺はそれだけで流されてしまった。
最近はいつもこうだった。夜は当然として、朝起きても、昼の間も、いつも性的な行為にふけっている。こんなことはいけないと気合を入れて今日はここまで来たというのに、結局はエマとみだらな行為をしてしまう。
反省はしている。後悔もしている。自尊心が損なわれてとても不快な気分なのに、その苦しみも湿った音ともに送り込まれる快楽で洗い流されていった。
エマが俺の棒を口から引き抜く。すると俺に見せつけるように、竿の側面を舌先でくすぐってきた。
気持ちいいけれど、それじゃあイけない。
「エマ……その、それじゃあ出ないから……」
「なあに?先生、もう我慢できなくなったったの?」
「そうじゃなくて、ほら、今日の仕事を進めないといけないから、早く終わらせないと」
俺の発言に対して、エマはあざけりの笑みと共に、作ったような拗ねた声音で答えた。
「先生ってば酷いね。女の子に舐めさせておいて、とっとと終わらせろって言いたいんだ」
「い、いや、そんなつもりじゃ……」
「ならもう少し我慢しててよ。ボクもなんとなく、コツが分かってきたから」
そう言うとエマはペニスの先端を舐め上げた。敏感な場所への刺激にびくりとペニスが跳ねあがり、彼女の口元から遠ざかる。そしてまた下に降りると彼女の舌の上へと着地して、その快楽でまたペニスが跳ねあがった。
自動で動くおもちゃで遊ぶように、楽しげに先端をつつき回す。そんな彼女に対して、俺は拒絶することも求めることも許されないままに、ただ与えられる快楽を甘受していた。
エマはしばらく遊んだ後、動き回る亀頭をタイミングよくを口先でくわえ込んだ。ストローを吸うかのように全体を優しく吸い込みながら、逃げることのできなくなった鈴口を連続で舐め上げてくる。
「うっ……あっ……」
気持ちよさのあまりに喉の奥から声が漏れる。それでもエマが触れているのは先端だけで、動きはとても小さなものだ。刺激としては強いのに、それでもまだ射精できない。
俺が悦楽の声を上げていると、エマはちゅぷりと音を立てて口を離した。
「声は、我慢しないとダメだよ。こんなところで子供に舐めさせてるって、皆にばれちゃうから」
当たり前だが、バレるかもしれない皆なんていない。だからこれはコスプレと同じでそう言う設定にするということだ。
俺は今、人気のない路地裏に未成年の少女を連れ込んでいる。外では日差しの中で人々が前向きな活動をしている中、俺たちはこんな薄暗い場所で自堕落な淫蕩に溺れている。
そんな設定。そんな妄想。しかしそれは全くの的外れではなくて、むしろその通りかもしれなかった。
15歳の女の子に手を出しておいて、それでもちゃんと守るからと誓ったはずなのに、こうして性欲に流されてしまう。そんな自分が、あまりにも情けなく、最低な存在に思えて。
「それでいいんだよ、先生」
そんな俺を、エマは優しくペニスをあやしながら、肯定してくれた。
「ボクが先生に与えたいんだよ。先生に与えて欲しいわけじゃない。頑張らなくていいし、ダメになっていい。ボクが、ボクだけがずっと、先生に奉仕して与え続けてあげるから」
……やっぱり、何かがおかしい。俺が子供の死体を埋めた時から、エマの様子がおかしかった。
一度聞き出そうとしたことはある。それでも、【聞かないで】と言われてしまえばそれ以上踏み込めなかった。
おかしいのは俺自身もそうだ。エマに手を出しておいて自分が我慢強いとか言う気はないが、それでもここまで性欲塗れではなかったはずだ。なのに最近は一日中セックスに溺れていて、まるで俺は、そしてエマも、性に対する依存症になったようだった。
依存症への対処の基本は、その依存対象から距離を置くことだ。つまりそれはエマから距離を置くということで――この二人きりとなった世界で、選べる選択肢ではなかった。
だからこうして、二人してズブズブと、堕落の沼へと沈んでいく。
エマが再び、俺のモノ全体を口にくわえる。そして頭全体を動かす一番気持ちいい動きで、俺へと奉仕をしてくれた。
上がりそうになる大きな声を、それでも喉の奥で噛み殺す。設定上の見えない誰かに俺の罪を隠すように、ただエマの与えてくれる快楽に耐え続けた。
「エマ……出そう、だから……」
高まる性感に、エマへと絶頂の予感を口にした。それはこのままだと口の中に出てしまうと、そのための注意だったのだが、彼女は口を離すことはなく動き続けている。
分かっていないのか、あるいは分かっていてそのままなのか。少なくとも、彼女から中に出す許可はもらっていない。
「エマ……ッ!本当に、出るから……出っ……!」
背筋を走る感覚に声が上ずり、情けない懇願のような声が漏れる。エマはなお距離をとることもなく、むしろその動きを早くした。
それを俺は、勝手に射精の許しだと受け取った。
「出す……よ……っ!」
醜い大人の男の声と同時に、綺麗な少女の口の中へと汚い精液が放たれる。
罪深いことをしている。悪いことをしている。そう思っているのに、そう思っているからこそ、大好きな少女がそれを受け止めてくれることが嬉しくてたまらない。
エマは放たれた精液を飲み込んだ後、さらに全て絞り出すかのようにペニスへの刺激を続けていた。口の中で舌を絡ませ、ストローのように吸い上げて、俺への奉仕を一段と激しくする。
射精直後に与えられる容赦のない刺激に、足ががくがくと震えだした。情けない声を上げながらも気合を入れて無理やり立ち続けているものの、その姿勢で快楽に耐えることが俺自身に負荷をもたらす。
まるで精液と一緒に、この後の仕事に使うべき体力まで吸い取られていくようだった。
しばらくしてようやくエマの口から解放される。ちゅぽんという音ともにペニスが引き抜かれ、エマが俺から距離をとった。
コクリと喉を鳴らして何かを飲み込んだ後、満足そうに唇を舐める。そんな口の動きの一つ一つが、あまりも年齢不相応に妖艶だった。
それに比べて俺は全身が倦怠感に包まれていて、立っていることすら辛いほどだった。それでも、今ここで座り込んだらきっと立ち上がるのに時間がかかる。そう思って何とかエマを促して、この路地裏の外に出ようと思った。
「先生、疲れちゃったよね。【座って休んでて】」
そう言われて、すとんと腰が床へと落ちる。休息を求めていた全身が歓喜の声を上げて、脱力による心地よさが全身を満たしていった。
エマもまた、俺の隣へと座って同じビルの壁に背を預ける。俺の手に自分の手を伸ばして重ね、離れないようにと指を絡めてくる。それに答えるためにこちらから握り返すと、彼女は嬉しそうに笑ってくれた。
これだけが、俺の救いだ。エッチの最中と終わった後の時間だけ、エマは幸せそうに笑ってくれる。これのおかげで、俺一人の身勝手ではないと、エマのためでもあるのだと思える。
逆に言えば、それ以外の日常で彼女が笑うことはなくなってしまったのだ。あの日から。
「先生、気持ちよかった?」
「そうだね。気持ちよかったよ」
「ボクちゃんとご奉仕できたんだね。良かった」
「そうだけど、俺ばかり申し訳ないからね。今晩はどうにか反撃して見せるよ」
「ふふ、先生のエッチ」
このままではいけない。何とかしなければいけない。なのに、どうすればいいか分からない。
出口の無い迷路の一部に思える薄暗い路地裏で、俺とエマは座り込みながら、クスクスと笑い合っていた。