※この作品はR-18です。

不自由と快楽との狭間に   作:Anthony Blue

103 / 156
103.思いやる二人

 いつもより何倍も賑やかなお風呂から上がったのは、ボクと咲恵が先だった。

 

「ノドが渇いたよね」

 

「そうですね」

 

「ビールでも飲む?」

 

「ええ、いただきますけど。萌さんが上がってきてからにしましょうよ」

 

「萌だけ残って、なにしてるんだろう」

 

「わたしに気を使ってくれてるんでしょ」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

 咲恵は、タオルで濡れた髪を拭きながらボクの方に顔を向けて言った。

 

「萌さんって、思っていたよりずっといい子ですよね」

 

「そう?」

 

「はい、真っ直ぐだし。自分の想いに対して素直だし、かわいいです」

 

「誤解されやすいタイプなのかもしれないよな」

 

 二人で、クスクス笑っていると、萌がリビングのドアから顔を出した。

 

「いま悪口を言ってたよね?」

 

「そんなことないですよ」

 

「そうだよ。咲恵さんなんて、萌がかわいいって褒めてたんだから」

 

「それはそれは。かわいいところ探すのに、苦労したでしょ」

 

「素直じゃないんだから。って萌、せめて下着くらい着けろよな」

 

「いいじゃん、瑞樹は見慣れてるんだし」

 

 と言って、ボクの前に立ち胸を張った。ボクは裸の萌を見てどこか違った感覚を覚えた。

 

「あっ、瑞樹気がついた?」

 

「萌さん、何がですか?」

 

「さすがに瑞樹は見るところが違って、いやらしいんだから」

 

「えっ、なになに?」

 

 咲恵は、何が変わったのかわからず、萌を舐めるように見回している。萌は、うっすら茂みが出来ていた下腹部の陰毛を処理していた。

 

「咲恵ちゃん、そんなに見たら恥ずかしいから」

 

 萌は、ツルツルのなった股間を手で隠して、足をクロスして見えにくくした。

 

「ああ、なるほど」

 

 ようやく気がついた咲恵が、近づいてのぞき込む。

 

「やっぱり、パンツだけは履くわ」

 

 ソファーの上に置いてあった袋から、今日買って来たであろうタグの付いたピンクのショーツを出した。

 

「咲恵さんと、おそろいみたいだな」

 

 二人は、ピンクの下着姿で横並びに立って、笑いながらボクに見せびらかせた。

 

「萌と一緒に飲もうと思って、待ってたんだよ。ツルツルにしてた間」

 

「もう」

 

 頬を膨らませている萌にコーラを渡して、咲恵とボクはビールを手に持った。

 

「わたしだけ違うじゃん」

 

「萌ちゃんは、まだ子供だからね。ツルツルだし」

 

 咲恵は、おもしろがって言った。

 

「またぁ」

 

 萌は、もう一度頬を膨らませた。

 

「じゃあ、乾杯」

 

 三人は、風呂上がりの渇いたノドに冷たい潤いを流し込んだ。

 

「えっとぉ、今夜のこれからの予定を言います」

 

 萌が改まった口調で声を上げた。

 

「ほんとは三人で、同じベッドで寝るのがフェアなんだけど、それは物理的に無理だから咲恵ちゃんと話して決めました」

 

 萌は、咲恵の顔を見やって言葉を続けた。

 

「これから、1時間ずつ瑞樹と一緒のベッドで寝ます。何をするかは自分で決めます。エッチするかもしれないし、しないかもしれません。でも、瑞樹からは動いてはいけません。咲恵ちゃんとわたしで自分の気持ちに従って何をするか決めます」

 

「はぁ」

 

 ボクは、不思議なこの提案に混乱していた。

 

「ただ、これはわたしの判断ですが、初めは咲恵ちゃんが一緒に寝てください」

 

「えっ、でも、じゃんけんで決めるって」

 

「あーそれは、咲恵ちゃんはわたしがエッチした後だと、絶対に嫌だと思って。わたしは無神経だから、そんなこと気にしないし」

 

「いいの?それで」

 

「わたしは、その方がいいと思ったの。だから」

 

「萌ちゃん、わかったわ。ありがとう」

 

 いつの間にか、話は決まってしまい、ボクの出る幕のないまま萌が言った。

 

「瑞樹、先にベッドに行っておいて。もう遅いから、さっさと動いてね」

 

 ボクは、促されるままベッドに移乗して、寝転がって待った。少しして、パジャマを着た咲恵がベッドに入ってきて、隣に横たわった。

 

「いらっしゃい」

 

 ボクは、真っ直ぐに天井を見てそう言った。咲恵も横に並んで寝転び、天井を見たまま言った。

 

「萌ちゃん、ほんとにいい子ですね。かわいい妹が出来たみたいで、好きになっちゃいそうです」

 

「で、どうするの?ボクからアクションを起こしたらダメなんでしょ」

 

 咲恵は、天井を見つめていた瞳を閉じて、困ったように言った。

 

「どうしましょう。わたし、何をしていいかわかりません」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。