突然、舞い込んできたDMにボクは困惑していた。当然、障害者の女性であっても性の興味はもちろんあるし、性欲だって健常者と同等にあっても何ら不思議ではない。むしろ、同じ立場のボクから見ると、男性以上にセックスのパートナーを見つけるのは難しいと想像はつく。しかし、はいわかりましたとは即答はしかねる。その夜、咲恵と萌にこのDMの事を相談してみた。
「お母さんと一緒に3Pがしたいってことではないよね?」
まず、萌がそこを突っ込んできた。
「萌、それを言うんだ」
「まあ、彼女の障害の程度が重度で、一人では無理だからお母さんが介助に付いてくるってことでしょうね」
咲恵のコメントに、ボク達は納得の声を上げる。
「瑞樹が彼女に実際に会ってみて、リサーチして見るべきじゃない。わたしは、潔いそのDMに興味があるわ」
「わたしも、瑞樹さんが会って話を聞いてみるべきだと思うわ。本人の意思もだけど、母親はどう思ってるのかも重要だと思うし」
「そうだよなぁ。ボクから見ても、デリケートな問題がたくさんあると思うし」
「この案件は、わたしたちとの約束から除外してもいいわよね。萌ちゃん」
「そうだね、会ってすぐエッチしましょうとはならないだろうし。彼女の切実な願いも伝わって来るしね」
「わたしも、そう思うわ」
「じゃあ、そういう風に話を進めてみる」
ボクは、ある意味、咲恵と萌の達観した感覚に感謝しつつ、DMをくれた彼女に返信メールを送った。
「プロフに書いてあるし、それをわかってボクにDMをくれたんだと思います。お互いの状態もわからないので、一度お会いしてお話をしてからと言うことでいかがでしょうか」
「わかったわ。わたしは、なかなか簡単に外出出来る状態ではないから、自宅でお話しさせてもらってもいいかしら。○○駅まで来ていただけると、お母さんに車で迎えに行ってもらうから」
「わかりました。では、そういうことで」
ボク達は、日にちと時間を調整して、会う約束を交わした。
数日たった約束した日の午後、ボクは指定された駅に来ていた。駅前で待っていると、中年の女性が声をかけてきた。
「あの、失礼ですが瑞樹さんですか?」
「あっ、はい。そうです」
「このたびは、娘が無理なお願いをして申し訳ありません。駐車場に車がありますから」
母親であろう上品そうな女性に案内されて、駅前の駐車場に行く。
「これです」
大型のワンボックスカーのバックドアを開けて、車椅子ごと乗れるリフト付きの車に乗せられた。母親自身が運転して、彼女の家に向かった。
「あのぉ、娘さんはどんな方なのでしょうか?」
「すみません。娘から、ファースト・インプレッションは大事だからと言われてまして。詳しいお話は、娘から聞いてください」
沈黙の時を乗せた車は、住宅街にある家の前で止まった。豪邸ではないけれど、それなりの立派な家だった。屋根付きの車庫で車から降ろされて、スロープで繋がった玄関に通される。
「そのまま、お上がりください。娘を呼んでまいりますから」
ソファーのある応接間に通されて、居心地の悪さを感じながら芝生の緑が輝く庭を眺めていた。ドアの開く音がして、母親に車椅子を押された女性が現れた。白いワンピースにストレートロングの黒髪が印象的だった。上品なワンピースから覗く足が、不自然に少し膝が開いているところから麻痺があることがわかる。
「おまたせしました。お会い出来るのを楽しみにしてました。わたし、上杉律子といいます」