律子は一応の納得をみて、反抗の姿勢を崩した。ボクとしても、生身の男性のカラダも見たことがないような女性を相手にするのは少し無理があると思っていた。なので、律子にも少し勉強してもらえる機会になれば、それでいいと思っている。
ひとつ心配なのは、節子がどのような形で、ボクのカラダを調べようと考えているかだ。律子を産んでから、夫婦関係がうまくいっていないとすると、約30年間男性と交わっていないことになる。久しぶりの男のカラダが若い男性ということに少し不安がある。ここは節度ある理性を願うのみだとでも言っておいた方がいいのかなと考えてしまう。
「瑞樹さんは、彼女さんはいらっしゃるのですか」
節子は、まずボクの身辺調査から始めるつもりらしい。
「お母さん、瑞樹さんは二人の彼女がいるんですって」
「そうなんですね」
「はい、まあ」
「では、彼女さんたちは、律子とのことをどう思ってらっしゃるのかしら」
「ボクの彼女たちは、寛大というか条件付きで女性との関係を持つことを許してくれてます。一回限りの関係ならと」
「じゃあ、律子とは今回限りということなんですか」
娘が、処女を奪われて捨てられることへの不安が表情に表れていた。
「いえ、彼女たちに律子さんの状態の話をしたら、条件は除外すると言ってくれてます」
「お母さん、これがうまくいけば三人目の彼女にしてもらえるかもよ。そうしたら、あの無機質なバイブからもお別れ出来るかもしれない」
どこかうれしそうな律子は、母親にそう訴えた。
「それは、これからの展開というか。三人目の彼女という言い方は語弊があるというか」
咲恵と萌は、同じ女性と会うのは1度切りという条件を解除しただけで、彼女のように何回も会ってエッチしていいことにはなっていないはずだ。今はまず、うまく律子と出来るかを考えなくてはいけない。
「瑞樹さん、この後のご予定は?」
「はぁ、別になにもありません」
「遅くなっても、構わないのですね?」
「はい、うちで待っている人もいないので」
節子は、この答えを待っていたかのように立ち上がり言った。
「では、これからわたしが、瑞樹さんのカラダを調べさせてもらってもいいでしょうか?」
「えっ、これからですか」
「はい」
「いいじゃない、瑞樹さん。せっかく来たんだし。わたしも少し見てみたいし」
律子は、ノリノリでこの提案を喜んでいた。
「いえ、ボクお風呂も入ってないし・・・」
「うちで入ればいいじゃないですか。律子も入れるようにバリアフリーにしてあるし、もちろんわたしが手伝って入れて上げますから大丈夫ですよ」
「そうなの、うちのお風呂は自慢出来るよ。広いし、気持ちいいよ。いつも、お母さんと二人で入ってるんだよ。わたしとも一緒に入ろうよ」
「律子さん、あなたは今日は見学ね。ちゃんと少しでも出来るように勉強しなくちゃね」
「はーい、じゃあ、今日はしっかり見ておくね」
この親子の会話を聞いていると、少し怖くなってくる。こんなに大事にしている娘の処女を奪った男をすんなりと手放してはくれないであろう想像はつく。
「でも、今日は律子のベッドを使ってはまずいわよね。お風呂から上がったら、わたしの部屋のベッドに移動しましょうね。律子も来て、ちゃんと見学しなさい」
「わかってるわよ。お母さんが変なことしないように見張っておかないといけないし」
「まあ、律子ったら」
もう、お風呂に入ることは決まったことになっている。ボクは、こんな場面でいつも無力だ。それが、ボクの処世術と言ってしまえばそれまでなのだろうが、またひとり、強力な彼女が加わりそうな雰囲気に飲み込まれてしまいそうだ。
「じゃあ、瑞樹さん、お風呂の準備してくるわね」
そう言うと、節子は足早に部屋を出て行った。
「ねぇ、瑞樹さん」
「はい」
「少しは、お母さんのこと触ってあげて欲しいの」
「なに言ってるんですか」
「いいでしょ。お母さんは、あれで淋しい人生だと思うの。夫には相手にされず、わたし以上に男から遠ざかってるんだから。男を知って男から遠ざかるのと、男を知らないで暮らしてるのでは、どっちが淋しいかわかるでしょ?」
「そこは、個人差もあるだろうし」
「ん、もう。お母さんが淋しいに決まってるじゃない」
「そうかなぁ。律子さん、まさかボクにお母さんまで相手させようと考えてたの」
「いや、そこまでは考えてなかったけど、瑞樹さんのカラダを調べたいって言いだしてから、お母さんももしかしてって思ったの。だから、チャンスがあればおっぱい揉んであげるとか、あそこも触ってあげるとかして欲しいの。わたし、絶対に怒らないから。お願い」
「でも、それじゃあ」
そう言いかけた時、ドアをノックして節子が部屋に入ってきた。
「おながいね」
律子はそう言って、ボクにウインクをした。
「もうすぐ、お湯も入るから、脱衣場に行きましょうか」
節子に促されて、観念したボクは部屋を出ようとしたら、律子がとんでもない提案を言いだした。
「瑞樹さん、ここで服を脱いで行ってくれないかしら」
と。