「なにを、バカなこと言ってるんですか」
ボクは律子の、思いがけないお願いに戸惑った。
「どうせ、裸になるんだからどこで脱いだって一緒でしょ。ここで脱いでもらった方が、よく観察出来るし。いいでしょ」
「ボクが恥ずかしいですよ」
「律子さん、あまり無理を言っては、瑞樹さんが困ってしまいますよ」
「だって、初めて生の男性のカラダを見るんだから、ちゃんと見たいじゃないの」
まるで駄々っ子のように、二人の言葉を聞かない律子に、あきれ顔をした節子がボクに言う。
「瑞樹さん、すみません。普段はこんなわがままを言う子じゃないのですが。ここは律子の願いを聞いてやってはもらえませんか」
節子は、ボクの前に進み出て、深々と頭を下げた。
「わかりました。お母さんにそんなに頭を下げられるほどの価値がボクのカラダにあるとは思えませんが。いずれは、見せることになるカラダなので」
「ありがとうございます」
「瑞樹さん、ありがとう。お母さんもありがとう」
改めてお礼を言われるほどのものではないと思ったが、なるべくなら願いは聞いてあげたくなる雰囲気になってしまった。
「じゃあ、失礼しますね」
節子は、ボクのTシャツの手をかけて胸辺りまで露わになった。
「あっ、自分で脱げますから」
「大丈夫ですよ。律子で慣れてますから」
と言いながら、ボクのTシャツを剥ぎ取った。
「瑞樹さん、ウエスト細い」
「ムキムキじゃなくてすみません」
「いえいえ、これならわたしの上に乗ってもらっても大丈夫かなと思って」
品定めをされているような、律子の視線を感じていると節子から声がかかる。
「ジーンズ脱ぐために、ちょっと腰を上げてもらいますね。わたしの首に腕を回してしっかり持っておいてくださいね」
ボクは、言われるがままに節子に抱きつく形になって、腰からジーンズが抜かれた。密着した節子からは、仄かにいい匂いがして、膨よかなカラダの節子の柔らかな胸がボクを圧迫した。抱き心地の良い抱き枕のようなカラダに、ボクの下半身が反応しそうになりあわてて別のことに意識をそらした。靴も靴下も脱がされてジーンズも足から抜き取られて、ボクはボクサーパンツだけの姿になっていた。
「パンツも脱がせますね」
節子は、わざとではないかと思うほど、ボクに胸を押しつけて立ち上がらせてパンツを降ろした。ボクを再び車椅子に座らせて、膝まで降ろされていたパンツを完全に脱がされて生まれたままの姿にされた。二人の視線が、ボクの股間に注がれているのがわかる。座っている形なので、ボクのペニス全体が見えているわけではない。
「ねぇ、瑞樹さん。近くで見てもいい?」
律子は、レバーを倒して低いモーター音と共に近づいてきた。
「あまり近くに寄られると」
「いいじゃない。よく見えないんだもの」
ボクの車椅子に横付けする形で、目の前に律子がいた。
「男の人ってこんなんだぁ」
律子は、動きにくいはずの腰を傾けて、ボクの股間に顔を近づけた。中途半端に姿勢を保持出来ない律子は、必要以上に半分以上顔を出しているペニスに近づいた。
「わっ、男の匂いがするわ。すごい、これがリアルな匂いなのね」
「やめてください。まだ、お風呂にも入ってないから臭いでしょ。恥ずかしい」
「わたしの匂いとは、違うのね。やっぱり。でも、惹かれる香りだわ」
律子は、危険な距離感からカラダを起こして、ボクの耳元で囁いた」
「ちょっとだけ、さわっていいかしら?」