薄暗い部屋の中に、ピチャピチャという微かな音が響いている。二人は、目の前にある獲物に集中して舌と口で快楽の沼に深く沈んでいる。今、ボクたちのこの姿態を、客観的に見られるとしたら獣同士が、お互いの肉を貪り合っているようだろうと思った。
「んっうっん」
ボクのペニスを咥えている咲恵の口から、声にならないうめきが響いてくる。口から漏れ出した唾液が根元まで垂れてきて恥毛まで濡らしている。クリトリスを執拗に舌で刺激されている咲恵の花弁からは、糸を引くような粘度の高い粘液が、ボクの顔に滴り落ちていた。咲恵は、ボクの顔を圧迫しないように腰を浮かしてくれていた。それによってボクの舌は、自由に動かせてはいるのだけれども、時々腰の力が抜けたように下腹部が顔に押しつけられた。
「あっっ」
咲恵は咥えていたボクのペニスを口から外し、カラダを小刻みに揺らして声を上げた。
「ダメです。また、いっちゃいます。ああぁ」
そう言うと咲恵は上体を起こして、ボクの上で腰を前後に振りだした。欲望に負けて、自分で気持ちがいい位置に合わせているようにボクの舌で遊んでいるようだ。両腕で上半身を支えるように前に傾けたと思うとピクンピクンと体全体を痙攣させた途端に、ボクの顔に今までとは違ったサラサラの液体がかかった。
「あっ、ごめんなさい」
咲恵は、跨がっているボクの顔から体を外そうとしたのだけれども、ボクは太ももをつかんで滴り落ちている液体を舌で舐めとった。
「ダメ、汚いですよ。お漏らししちゃったみたいなんですから」
掴まれていた手をほどいて、カラダをこちらに向けて恥ずかしそうに咲恵は言った。
「これって、オシッコじゃないと思うよ」
「違うんですか?また、気持ちよくなっちゃって、なにか出ちゃった気がして」
「匂いもしないし、ほら」
手についた液体を、咲恵の顔に近づける。咲恵はクンクンと匂いを嗅ぐ仕草をしてこちらを見た。
「これ、たぶん潮吹きってヤツだと思うよ。例の勉強した教科書には書いてなかった?」
「ああ、これなんですね。なんかそういう記述がありました。でも、自分がそうなるなんて想ってませんでした」
「ボクも、実際に見るのは初めてだったよ」
「誰でもなるんですかね」
「いや、違うと思うよ」
「わたし、やっぱり変態なんでしょうか?恥ずかしいです」
「そんなことないよ。男としたら、うれしいんじゃないかな。気持ちよくなってることがわかるんだから」
「うーん。そんなもんなんでしょうか。あっ、ちょっと待っていてくださいね」
咲恵はベッドから降りて、バスルームへと向かった。すぐに戻ってきた咲恵の手には、お湯で濡らしたタオルをもっていた。
「オシッコじゃないにしても、気持ち悪いでしょ」
と言いながら、ボクの顔を拭いてくれた。
「ほら、咲恵さんも」
ボクはそのタオルを取って、咲恵の口元を拭いた。
「おちんちんは、ふかなくていいですか?」
まだまだ、元気を保っているペニスを見て言った。
「大丈夫だよ。でもひとつお願いが」
「なんです?」
「咲恵さんの中に入れてみたいんだ」
少し考えて、
「わかりました。上に・・・騎乗位ですっけ?乗ればいいですか?」
「咲恵さんは、初体験だよね?」
「まあ、そうですね」
「大切なロストバージンで騎乗位はかわいそうだから、ちゃんと正常位がいいと思う。ボク、自分のカラダを支えきれないと想うから、咲恵さんに体重がかかると思うんだけど大丈夫かな?」
「そんな、わたしに気を使わなくても」
「いや、ボクもそれは初体験だから」
「わかりました。じゃあ、そうしましょう」
咲恵は、そう言ってボクの横に寝転んだ。
「キスもしていいですか」
「うん」
横並びになった二人は、お互いを引き寄せて唇を重ねた。