ボクが、強引なのはわかっている。相手は、あくまでもお金のためにしている行為なのである。しかし、それがここまで無機質に感じてしまう理由はボク自身がはっきり理解している。そう、「咲恵」と過ごしたあの甘美な時間が、ボクの記憶に大きく刻み込まれてしまったからだ。
今、ボクの股間に顔を埋めて、ボクのペニスを咥えて怠惰に頭を上下させているのが、まるで人形のように冷たく感じられ、罪悪感と嫌悪感が胸の中で渦巻いている。その上、こんな陳腐な刺激でさえ反応して堅くなりかけてる自分のモノにもイラつきを覚えている。
『なんで、こんなことで勃っているんだよ』
もう一人の自分が、頭の中で叫んでいる。
「ねぇ、立ち上がってむこう向いて」
美貴の口からペニスを外させ、ボクの前に立たせる。
「足、もっと開いて」
「こうですか」
美貴の開いた足の間に、車椅子を滑り込ませて美貴の背中を押して前屈みにさせる。
「えっ、なにするんですか」
その問いには応えず、大まかに位置を合わせて美貴の腰をつかんで押し下げる。湿り気を帯びた膣口にボクの硬くなったペニスが押し込まれてゆく。
「あっ、なにするんですか」
逃げようとする美貴を後ろから抱きしめて、さらに深く根元までペニスを突っ込んだ。
「ダメです。ゴムもしてないのに」
「我慢出来ないんだよ。すぐ抜くから」
ボクは、できるだけ足に力を入れて、下から突き上げる。
「うっうっーん」
ボクの動きに反応して、美貴が息を荒げて声を上げる。逃げる気配がないのを感じて、腰をつかんでいた腕をほどいて、お尻の間に手を入れて上下運動を助けた。
「自分で動いてみてよ」
美貴の返事は聞こえなかったが、両手で車椅子のフレームを持ちゆっくりと腰を動かし始めた。腰の動きは、徐々に動きを早めていった。
「あっ、あっ」
動きを止めたボクの上で、美貴は声のボリュームを上げながら動きを早めていった。上下運動だけだった腰の動きは、前後に動きを変えて、そして骨盤だけを前後に振り始めていた。
「いっ、いきそうです」
美貴は、そう言って尻の筋肉を痙攣させたかと思うと、前身をガクガクと震わせて動きを止めた。激しく背中で呼吸をしている美貴からペニスを抜くと、ソファーに体を投げ出した。ジーンズの間からそそり立っているボクのペニスは、美貴の愛液でベトベトに濡れて光っている。
「ボクのパンツまで、キミのお汁で濡れてしまったよ」
ボクは、ジーンズのホックを外して、湿り気を含んだボクサーパンツにペニスを納めた。
「ご、ごめんなさい」
「案外、エッチは好きなんだね」
「そんなことはないんですけど・・・」
「あんなに感じといて」
「ああ、あんなに気持ちよかったのは久しぶりだったので」
「そうなんだ」
「はい。ああいう体位でやったことなくて」
美貴は、オーガズムの波が落ち着いたようで、ソファーに起き上がって応えた。相手がどんな生活してるのか、どんな人となりなのかも知らないまま、体の関係を持つことの不自然さがボクの快感をそぎ落としてしまったような感じだった。絶頂感もないまま勃ち続けているモノに違和感を抱いていた。
「まだ、元気なんですね」
美貴は、大きく膨らんだままの股間に目線を移して言った。
「そうだね、ぼくは、まだ満足してないし」
「お風呂入りましょうか」
今日、出会って初めて、美貴の能動的な言動を聞いた気がした。
「そうだね」