アカネと出会って1週間がたった。初めての体験は、それなりに鮮烈な印象をボクの脳裏に刻んだ事は確かだった。オナニーでは、到底得られないであろうほどの快感をボクに与えてくれた。しかし『童貞を捨てた』と本当に言えるのだろうかという疑問がいつまでも頭の中に渦巻いていた。あれは、アカネが主導権を取って『童貞を奪われた』といってもおかしくないと思っている自分がいた。相手がアカネのようなキャラクターだっただからかもしれない。どこか心の中で『かわいそうなヤツ』という意識があったのかもしれないし、結局のところ、お金が目的だということだったのかもしれない。
まあ、あれもしたいこれもしてみたいと、頭でイメージしていたことが実現出来なった事へのフラストレーションがモヤモヤの原因なのだろう。今度はもっと落ち着いて、やりたいことも出来るかもしれない。しかし、もう一度アカネと会おうとは思わなかった。あの、どこか男慣れして変な自信のようなものを感じられる感覚は再び会うことを躊躇させた。
それなら、また新しい相手を探す方がいいのではないだろうか。たぶん時間はかかるだろうけれど、今度はもう少しゆっくりとやりとりして相手のことを少しは理解してから会うことを選択してもいいだろう。その日からボクは、再び出会い系サイトにアクセスして新たな相手を探し始めた。それなりに過激な誘い文句のタイトルで募集している掲示板の女性は避けて、プロフィールから条件を出してマッチングした女性にメールを送ってやりとりを始めてみた。何人かとメールをやりとりして、自分ではかなり親しくなったと思い『会ってみたい』と伝えると『わたし、障害者の人と付き合ったことないし、ごめんなさい』という結末を繰り返した。お金欲しさの相手とは違って、難易度が急激に上がったように思えて諦めてしまおうかと思った時、『会ってもいい』という女性が現れた。
「じゃあ、最初は食事でもどう?」
「はい、それでいいです」
食事をする日時と待ち合わせ場所をメールで話し合って決めた。
「あのぉ、瑞樹さんですよね?」
「あっ、はい。咲恵さんですか?」
「はい。遅くなってすみません」
「いや、待ち合わせ時間になってもないし、ボクが早く来てしまっただけなので」
お互いお辞儀を何回かして、顔をあげた。咲恵は、小柄で花柄のワンピースを着ていた。年齢はボクより少し年下で社会人2年目だと言うことだったけれど、もっと若く見えて少女のようだった。スタイルも華奢で清楚という言葉が似合う子だと思った。
「かわいいし、高校生って言っても過言ではないですね」
「ありがとうございます。あんまり褒められたことがないので恥ずかしいです」
うつむき気味になって、ほんとうに恥ずかしそうに咲恵は小さく言った。
「食事、いきましょうか」
「はい」
咲恵は頷いて、ボクの車椅子に左側に並んで立った。初対面なのに、余計な気遣いもしないところにボクは不思議な感覚を覚えた。
「どこで、食事します?」
「あっ、すみません。ファミレスとかでもいいですか。入りやすいので」
「そうですね。気を使わないところがいいですよね」
二人は、近くにあるファミレスに歩みを進めた。