咲恵の衝撃的な提案を受けて、ボクは戸惑いを隠せないでいた。確かに、萌と出会ってあの刺激的な交わりを味わってしまったことで、性に対しての欲求が強くなったのかもしれない。頭の中で「セックス依存」のワードがちらつく。ボクの変化に気づいたからこそ、咲恵はあんなことを提案してきたのだろう。自分がいない間に萌が必ず戻ってくると予見した咲恵は、セックスに溺れてしまいそうなボクを危惧しているのだろう。
咲恵に対して、強引とも言えるセックスをしようとした後、ボク達は淡々と家の中のことを片付けていった。カラダが疲れたというより精神が疲れた気がして、夕食は近くの定食屋で済ませた。帰りにコンビニで、缶ビールを買って帰宅して、咲恵と二人でグラスを傾けた。
「あんまり、飲んで酔っ払わないでくださいね。お風呂も入らないといけないし」
一缶をふたつのグラスに注いで、後は冷蔵庫に入れながら咲恵が言った。
「わかってますよ」
「わたし、明日には帰らなくてはいけないんですからね。今夜が最後なんですよ」
「わかってますって」
「昨夜みたいに、二人とも途中で寝ちゃうなんて最低ですからね」
「ちゃんとします」
「ふふふ、なんかいろいろな意味に取れるお返事ですね」
「期待には応える所存です」
「わたしが、なにかおねだりしてるみたいじゃないですか」
「違うんですか?」
「おねだりはしますが、これは瑞樹さんとわたしのためなのです」
「ん?」
「わたしの匂いを瑞樹さんに付けておかないといけないからです」
「しっかり付けて帰ってください」
ボク達は、軽口を叩きながら、グラスのビールを飲み干してお風呂に入った。
「咲恵さん、お昼に言った提案は本当にいいんですか」
狭い浴槽に向かい合って二人で浸かり、お湯の中に揺れる咲恵の乳房をまさぐりながらボクは聞いた。
「もちろん本気ですよ。ちゃんと条件を守ってもらえるなら」
咲恵も、ボクの少し硬くなり始めてるペニスを握りながら言った。
「そんなことをして、ボクを甘やかしすぎではないですか」
「わたしが、こっちに帰ってくるまでの間だけですよ。その間の瑞樹さんの排泄を許すだけです」
「排泄ですか」
「そうです。ここに溜まったモノを、ただ吐き出して流すだけの排泄ですよ」
咲恵はそう言うと、ボクのペニスをぎゅっと強く握った。
「わかりましたから、そんなに責めないでください」
「ちゃんと刻み込んでおかないと、瑞樹さんはすぐ見忘れてしまいそうだから」
「忘れませんよ。咲恵さんはこわいですから」
許しを請うように、咲恵に抱きついて口づけをしようとすると、ボクの口を手で塞いで言った。「いいですか。萌さんが戻ってきても、絶対にエッチはしたらダメですからね。これが、絶対条件です」
「わかりました。萌が戻ってきたら、咲恵さんにすぐ連絡します。そうしたら、帰ってきてくれるんでしょ」
ボクは、咲恵のカラダを引き寄せて、口づけをねだった。
「約束ですからね。約束を破ったらお仕置きをします。それと、女の子の勘を見くびるとひどい目に遭いますよ」
「はいはい」
ボクは、咲恵を抱きしめて耳元で返事をした。