ボクは、車椅子にバスタオルを広げて座り、ベッドのある部屋で咲恵を待っていた。
「おまたせしましたぁ」
スリッパのペタペタという足音と共に、バスタオルを巻いた咲恵がやってきた。
「精液ってタンパク質だから、お湯で温まると固まるんですね。浴槽の縁にひっついて、なかなか綺麗にならなくて時間がかかっちゃいました。あはは」
「そうなんだ」
「えっ、ほんとは知ってたんですよね」
「いやぁ」
「どうせ、萌さんとお風呂でやって、精液を出したんでしょ」
「あれは、萌がお湯の中でやりたいって言いだして」
「ほらぁ。やっぱりやったんですよね。同じことをわたしにもしたんですね」
「ごめんなさい」
「じゃあ、この狭いベッドではどんなことをしたんですか。萌さんとやった以上に、わたしはがんばりますから」
「いや、そんなに変わったことはしてないけど」
「じゃあ、ベッドの上でどんなことをしてたかゆっくり聞かせてもらいます」
咲恵は、脇に腕を入れカラダを密着させて、ボクを抱え上げた。
「咲恵さん、いい匂いするね」
耳元で囁く。
「ありがとうございます。瑞樹さんもいい匂いしますよって、話はそれませんからね」
ボクをベッドに寝かせながら、耳元で囁いてついでに耳を甘噛みした。
「別に、そんなつもりでは」
「さあ、教えてください」
ボクに跨がったまま、カラダを隠していたバスタオルを取り払い、肌と肌を密着させるように覆い被さる。咲恵は、首筋に舌を這わせて、ボクの乳首に生暖かい唾液を垂らした。それを、舌全体で塗り伸ばしてゆく。
「こんなこともしましたか」
突然、カラダを起こしボクの下半身に移動すると、ボクのまだやわらかいままのペニスを口に吸い込んだ。咲恵の小さめの口に入れられたペニスは、やわらかい舌で弄ばれていた。
「自分からそんなことするなんて、いつもの咲恵さんとは違うんですね」
「負けたくないから・・・」
ペニスを咥えたまま、言葉になりかけている息を吐き出して、また息を飲み込んだ。存在を主張してきたペニスから口を外して白く細い指を絡めてくる。唾液を纏ったペニスを丁寧にしごいていく。大きくなったことを確かめるように手のひらで包んでボクに言った。
「あの、ゴムはどこですか」
快感の中を漂っていたボクは、その言葉で現実に引き戻された。
「えっと、そこの引き出しにあったはずだけど」
咲恵は、ベッドの横にあるサイドテーブルの引き出しを開ける。ゴソゴソと探している音がして困ったようにこちらに顔を向けて言った。
「それらしきものは、ないんですけど。代わりにこれが」
咲恵が差し出して手には、派手なピンク色をしたローターだった。
「ああ」
「まさか、萌さんはゴムを使ってなかったんですか」
「うっ、うん。ゴムしたら気持ちよくないって」
呆れたように肩を落として、力なく咲恵は言った。
「ほんとに、なんでそんなことを許していたんですか」
怒った顔の咲恵を見ながら、失敗したと後悔した。萌がうちに来た時、ゴムは買ったのだ、最初のうちは、ちゃんとゴムを着けてしていた。しかし、そのうちに
「やっぱり、生じゃないと気持ちよくない」
と言いだして、萌が残りのゴムを捨ててしまったのを忘れていた。
「ごめん、うちには今、ゴムはないかもしれない」
咲恵の呆れたような目が、ボクに向けられているのかそれとも萌に向けられたモノかはわからなくなっていた。
「ちょっと、待っててください」
咲恵は、ボクをおいて部屋を出て行った。裸足で音もなく帰ってきた咲恵は、手に持っていたモノを差し出した。
「わたしの護身用ですけど」