戦えない私がキヴォトス中の生徒に執着されるまで。 r18 作:Zuzuiikb
後編
時計の針がどれだけ進んだのか、もうわからない。
「はぁっ、はあっ、ひぐっ」
私の喉から漏れるのは、掠れた呼吸と情けない嗚咽だけだった。
「お疲れ様でした。上半身の初期データとしては、非常に有意義な数値が取れましたよ」
ノアさんの手が、ようやく私の胸から離れた。
「あ、ぅっ」
解放された安堵で、全身の力が抜ける。
拘束された手首はうっ血して熱を持ち、胸の先端は布地に擦れるだけで痛いほどに敏感になっていた。
やっと。これで、終わってくれる。
そう願って、ぼやけた視界でノアさんを見上げた。
「では、次は下半身の連動性を検証します」
「えっ」
ノアさんは笑顔のまま、私の脚の間にすっと立ち位置を変えた。
「ま、待って、ノアさん。もう、やめ」
「やめる理由がありません。データ収集はまだ半分も終わっていませんよ」
ノアさんの冷たい手が、私のスカートの裾に触れた。
「ひっ」
「8月3日の仮眠室で観測した、あの下着のライン。その原因となる摩擦係数を、今から直接確認します」
タイトなスカートの上から。
ノアさんの指先が、私の太腿の内側をゆっくりとなぞり上げた。
「や、やだっ、そこはっ」
「筋肉が硬直していますね。先ほどの胸への刺激で、神経が下半身にも伝達している証拠です」
指先が、スカートの布地越しに、脚の付け根へと這い上がってくる。
「こないでっ、お願いだからっ!」
私は腰を引いて、ノアさんの手から逃げようとしたけど、
ガシッ。
「おや。腰を引かないでください。計測箇所がずれてしまいますよ」
ノアさんの空いた手が、私の骨盤を上から力強く押さえ込んだ。万力のような力。
腰を浮かせることも、逃げることも、完全に封じられる。
「あ、あ゛っ!」
ノアさんのもう片方の指先が、スカートの布地と、下着のクロッチが重なる、そして一番デリケートな部分に触れた。
「ふふっ。おや」
ノアさんの声が、少しだけ弾んだ。
「布地の透水率が変化しています。室温は22度。発汗だけでここまで濡れることはあり得ません」
「ち、ちがっ、汗、だからっ!」
「嘘はいけませんよ、レナさん。計算上、これは汗ではありません。極度の緊張と恐怖、そして先ほどの刺激によって分泌された愛液です」
ノアさんは事実だけを口にしながら、その濡れた布地の上から、指の腹を押し当てた。
「ひゅき゛い゛い゛ぃ」
直接触れられていない。
硬い制服のスカートと、下着のレース越しだ。
それなのに。
濡れた布が押し付けられる感触が、狂おしいほど生々しく伝わってくる。
「素晴らしい。私の指の動きに合わせて、内部が収縮運動を起こしていますね」
ノアさんの指が、布越しにそこを上下に擦り始めた。
「あっあっあ゛っ! い゛い゛っ! や、やだぁっ!」
「声が大きくなりましたね。痛覚よりも快感が上回り始めた証拠です」
擦られるたびに、布のザラザラとした摩擦が、敏感な部分を容赦なく攻撃する。
「ちがっ、ちがうのっ! きもちよく、ないっ!」
「では、なぜこんなにも濡れていくのですか? 私の指の動きを滑らかにするためとしか思えませんよ」
ノアさんの指の動きが、少しずつ速くなる。
「あ゛っ、あ゛あ゛っ! ひ、い゛っ!」
「足の指が丸まっていますね。無意識の反射。とても素直で、良いデータです」
逃げたい。
腰をよじって、この不快な摩擦から逃れたい。
でも、骨盤をがっちりと固定されているせいで、逆にノアさんの手に自分から擦り付けにいくような形になってしまう。
「あ゛っ、のあ、さんっ、のあっ!」
「ふふっ。名前を呼んでも、検証のペースは落としませんよ」
ノアさんは私の顔を覗き込み、心底愛おしいものを見るような目で微笑んだ。
私が涎を垂らし、顔をぐちゃぐちゃにして泣き叫んでいるのに。
彼女にとって私は、ただの面白い実験体でしかないのだ。
「や、やめっ、おかしく、なるぅっ!」
「おかしくなってください。理性が崩壊するまでの時間を計測するのも、今回の目的の一つですから」
布越しの摩擦が、さらに強くなる。
鋭い刺激に、頭の中が真っ白に弾けそうになる。
「い゛、いくっ、のあさんっ、いくぅっ!」
私はもう、自分が何を言っているのかもわからなかった。
ただ、襲い来る圧倒的な波から逃れたくて、無我夢中で叫んだ。
「おや。いけませんね」
ピタリ、と。
ノアさんの指が、直前で動きを止めた。
「は、、え」
「絶頂のデータは、まだ不要です。服の上からの刺激だけでそこまで到達しては、正確な数値が取れなくなってしまいますから」
熱が、行き場を失って体の中で渦巻く。
苦しい。
助けてほしい。
続きをしてほしい。
そんな狂った思考が、頭をよぎる。
「はぁっ、はぁっ、あ、ぅ」
「ふふっ。とても不満そうな顔ですね。でも、安心してください」
ノアさんが、ゆっくりと立ち上がった。
そして。
私のスカートのホックに、その白く冷たい指をかけた。
「ここからが、本当のデータ収集の本番ですから」
ジッパーが下ろされる、冷たい音が響いた。
「ひっ」
タイトなスカートが、太腿まで乱暴に引き下げられる。冷房の効いた室内の空気が、濡れた下着に直接触れる。
ぞくりと肌が粟立った。
「素晴らしい。やはり、視覚的なデータは情報量が違いますね」
ノアさんが、私の脚の間に顔を近づける。
「やだっ、見ないでっ!」
「見るなという要求は却下します。白地のレースが、分泌液によって完全に透明化していますよ。繊維の吸水率の限界を超えていますね」
ノアさんの人差し指が、濡れて張り付いたレースの上に置かれた。
そして。
鋭く立てた爪の先で、硬く尖った部分を、カリッ、と弾く。
「あ゛っ!! い゛い゛い゛っ!!」
脳天を突き抜けるような刺激。
痛覚と快感が混ざり合った、暴力的な電流が走る。
「ふふっ。布越しでも、先ほどより反応速度が0.2秒上がっています。神経の伝達回路が、この刺激に最適化されつつある証拠です」
「ごめ、なさいっ! もう、やめっ、そこはっ!」
ノアさんは私の懇願など全く気にする様子もない。
爪の先で、その一点だけを執拗にカリカリと引っ掻き続けた。
「あ゛あ゛っ! ひ、い゛っ、あ゛っ!」
「大殿筋の痙攣が止まりませんね。これほどまでに激しい拒絶反応を示しながら、なぜ体はさらに濡れていくのでしょうか。矛盾していますよ、レナさん」
爪の刺激が止まったかと思うと、今度は指の腹が、もっと下の部分に押し当てられた。
尿道のある位置から、上へ向かって。
ぐっ、と強く擦り上げられる。
「い゛ひぃっ!?」
「尿道口から陰核へのライン。ここは神経が密集している部分です。ここを圧迫しながら擦り上げることで、よりダイレクトに脳へ信号が送られるはずです」
「や、やだぁっ、もれっ、もれちゃうからぁっ!」
「排泄の欲求と快感の混同。典型的な錯乱状態ですね。構いませんよ。もし漏らしてしまっても、それはそれで非常に貴重なデータになりますから」
ノアさんは微笑んだまま、下着の上から、その恐ろしいストロークを繰り返す。
下から上へ。
何度も、何度も。
「あ゛っ、あ゛あ゛あ゛っ!! のあ、さんっ、だめっ!」
「ダメではありません。心拍数も呼吸数も、まだ限界値には達していません」
ノアさんの指の動きが、さらに加速する。
布が擦れるザラザラとした感覚が、熱を帯びて脳を焼き切ろうとする。
快感の波が、再び頂点へと駆け上がろうとする。
息が詰まる。
視界がチカチカと点滅する。
「い゛、いくっ! こんどこそ、いくぅっ!」
「おや」
ピタリ。
またしても、一番欲しいところでノアさんの指が止まる。
「あ、えっ?」
「言ったはずです。まだ、絶頂のデータは不要だと」
ノアさんは指を離し、ゆっくりと立ち上がった。
「あなたはただ、極限状態のストレスと快感の狭間で、数値を出し続けてくれればいいんです」
行き場を失った熱が、下腹部でドロドロと渦を巻く。
苦しい。
頭がおかしくなりそう。
体がビクンビクンと勝手に跳ねて、空気を求めて金魚のように口を開閉する。
「おねが、いっ」
「どうしました?」
「して、つづき、してぇっ」
私はついに、自分から恥ずかしいお願いを口にしてしまった。
涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにして。
ただ、この苦しさから楽になりたくて。
「ふふっ。続きをしてほしいのですか? さっきまではやめてと泣いていたのに」
ノアさんは冷たい目で、私を見下ろしている。
そこには、一片の慈悲もない。
私がどれだけ壊れようと、彼女はただ、ノートに数字を書き込むような顔で笑っているだけだ。
「この寸止め状態での脳波の推移。これだけで、あと三時間は計測できそうですね」
絶望が、私の心を完全に叩き割った。
終わらない。
この人は、私がおかしくなるまで、絶対に許してくれないのだ。
「や、あ゛あ゛ぁっ……ひぐっ、あ゛ぁっ」
私はソファの上で拘束されたまま、与えられない 絶頂を求めて、無様に身をよじり続けた。
ノアさんの完璧な笑顔に見下ろされながら。
狂いそうなほどの熱と絶望の中で、ただ時間が過ぎていくのを感じるしかなかった。
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どれだけの時間が経ったのか、もう意識は朦朧としていた。
「はぁっ、はぁっ、ひぐっ、ふっく゛うぅっ」
私はソファの上で拘束されたまま、だらしなく涎を垂らし、荒い呼吸を繰り返していた。
下腹部に溜まった熱は行き場を失い、ドロドロとした塊となって私を内側から焼き続けている。
「ふふっ。素晴らしい耐久データです。レナさん、あなたの身体は、私の計算を遥かに超えるストレスに耐えていますよ」
ノアさんはソファの脇に立ち、手元の端末に何かを打ち込みながら、ひどく穏やかに微笑んだ。
「おねが、い……もう、ゆるして……っ」
声が、掠れてまともに出ない。
「許す? 何をですか? 私はただ、データを取っているだけですよ」
ノアさんは端末をデスクに置くと、再び私の脚の間に身を沈めた。
「ひっ!」
ビクン、と全身が恐怖で跳ねる。
「では、検証を再開します。先ほどは尿道側からの刺激でしたから、今度は陰核上部への圧迫を試してみましょう」
ノアさんの冷たい指先が、濡れて張り付いた下着のレースの上から、その中心の最も敏感な一点に、ぐっ、と強く押し当てられた。
「あ゛っ!!」
頭の中が一瞬で真っ白に弾ける。
痛みはない。
けれど、限界まで焦らされた神経には、その単なる圧迫すらも暴力的なまでの刺激となって襲いかかる。
「ふふっ。おやおや」
ノアさんは指を押し当てたまま、円を描くように、ゆっくりと、本当にゆっくりとそこを擦り始めた。
「あ゛、あ゛あ゛っ! やっ、やだぁっ! のあさんっ!」
「筋肉の収縮率が、先ほどより十五パーセント上昇。神経の閾値が完全に下がっていますね」
ノアさんの指の動きは、残酷なほど一定のペースを保っていた。
速くはならない。
ただひたすらに、その一点だけを、じわじわと、じれったく擦り続ける。
快感の波が、再び足元からせり上がってくる。
終わらせてほしい。
この苦しさから、早く解放してほしい。
「い゛、いくっ、いくぅっ! あ゛あ゛あ゛っ!」
私は腰を浮かせて、自分からノアさんの指に押し付けようとした。
ピタリ。
またしても。
絶頂の、本当に直前で、ノアさんの指が止まった。
「か゛……はっ……ッッッッッ〜〜〜」
「声が出なくなりましたね。……おや」
ノアさんが、私の足元を見てふふっと笑った。
全身の力が抜け、虚脱状態になるかと思った。
けれど、違った。
限界を超えた身体は、声すら上げられず、異様な緊張状態に陥っていた。
両足の指が、あり得ない角度で反り返っている。
膝が伸びきり、太腿の筋肉が岩のように硬直して、ピンと張り詰めて震えていた。
「足ピン。なるほど。絶頂を寸前で奪われた際の、人体の完全な硬直状態ですね。非常に興味深いデータです」
ノアさんは指を離したまま、私の硬直した脚を観察し、数値を口にする。
喉の奥が、ヒッ、ヒッ、と変な音を立てる。
声にならない。
熱が、行き場を失って体の中で暴れている。
苦しい。
ただ、苦しい。
数分後、ようやく筋肉の緊張が解けた瞬間、私はわっと泣き崩れた。
「ごめんなさいっ! ごめんなさい、ノアさんっ! 私が悪かったから! 言うこと聞くから、許してぇっ!」
拘束された手首をソファに擦り付けながら、私は無我夢中で謝り続けた。
何に対して謝っているのかもわからない。
ただ、パニックになって、許しを請う言葉だけが口から飛び出してくる。
「謝る必要はないと言いましたよ。あなたは何も悪くない。ただ、私がデータを欲しいだけです」
ノアさんは優しい笑顔のまま、私の涙を親指で拭った。
その手つきは本当に慈愛に満ちていて。
だからこそ、この人には絶対にこちらの感情が通じないのだという事実が、心に突き刺さる。
「お願い……もう、いやだ……帰して……っ」
「検証はまだ終わっていません」
ノアさんの手が、再び下着の中に滑り込んだ。
今度は、布越しではない。
直接、私の濡れた肌に、冷たい指先が触れた。
「ひっ!」
「おや。……では、直接的な刺激に対する、耐性テストです」
ノアさんの指が、クリトリスの先端に触れた。
そして、鋭く立てた爪の先で、そこを執拗にカリカリと、弾き始めた。
「あ゛あ゛っ!! い゛い゛っ! や、あ゛あ゛っ!!」
これまでとは比較にならないほどの、強烈な刺激。
痛くて、でも狂おしいほど気持ちよくて、脳が溶けてしまいそうになる。
「い゛あ゛っ、のあ、さんっ、だめっ、そこっ、壊れちゃうっ!」
「壊れませんよ。人体の耐久性は、あなたが思っているより高いです」
ノアさんは笑顔のまま、爪の刺激を止めない。
カリッカリッ..カリカリッ
一点だけを、執拗に、暴力的に弄り回す。
恐怖
痛み
快感
絶望
すべての感情がごちゃ混ぜになって、頭の中で何かがぱつんと音を立てて切れた。
「……ふざけんなぁっあ」
私は突然、拘束された手首を引きちぎらんばかりの勢いで暴れ、ノアさんを罵倒した。
「この悪魔っ。ドsッッ。ミレニアムの恥さらしっぃ離せっ絶対許さないからなぁ゛っ」
恐怖からくる、逆上の爆発。
声が枯れるほどの勢いで、ありとあらゆる罵詈雑言をノアさんにぶつけた。
暴れすぎて、ソファから落ちそうになる。
「おや」
ノアさんは、私の暴言を聴いても、表情一つ変えなかった。
それどころか、心底感心したように、目を細めて私を見下ろした。
「ふふっ。逆上によるアドレナリンの分泌。……素晴らしい。恐怖が極限に達した際、生存本能が攻撃性へと転換する過程。……完璧なモデルケースです、レナさん」
ノアさんは、私の罵倒を、ただの興味深い実験結果として処理した。
私の怒りも、憎しみも、悲鳴も。
この人にとっては、すべてがただの「データ」でしかない。
その完璧な笑顔を見た瞬間。
私の中から、すべての力が抜け落ちた。
何をしても、無駄だ。
泣いても、謝っても、怒っても。
この人は絶対にやめてくれない。
終わらない。
一生、この檻の中で、この人に解体され続けるんだ。
枯れた瞳から、ぽろぽろと涙が溢れた。
もう、声も出ない。
「……あ、あ、ぅ」
瞳から光が消え、完全な絶望に染まる。
私はただ、拘束されたまま、死んだ魚のような目で、ノアさんの次の「検証」を待つことしかできなかった。
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静寂が、冷たい部屋に降り積もる。
私はソファの上で拘束されたまま、焦点の合わない目で天井の蛍光灯を見つめていた。
怒りも、悲しみも、もう湧いてこない。
ただ、自分が自分ではなくなっていくような、真っ白な虚無感だけがあった。
「おや。完全に沈黙しましたね」
ノアさんが、私の顔の横に手をついて覗き込んでくる。
その完璧な笑顔を見ても、私の心はもう何の反応も示さなかった。
何をしても無駄だ。
この人は、私というおもちゃが壊れるまで、絶対にやめない。
「精神的な防衛機能がシャットダウンした状態。……素晴らしい。今のレナさんの脳は、どんな刺激も抵抗なく受け入れる、真っ白なキャンバスと同じです」
ノアさんの冷たい指先が、私の頬をゆっくりと撫でた。
「主要な神経回路は十分に負荷をかけました。次は、末梢神経の再マッピングを行いましょうか」
ノアさんの顔が、私の右耳のすぐそばまで近づいてきた。
石鹸の香りが、鼻腔を埋め尽くす。
「耳の周辺には、迷走神経などの複雑な神経網が集中しています。レナさんの今の脳は、ここへの刺激をどう解釈するでしょうか」
冷たい指の腹が、私の耳たぶをそっと摘んだ。
「ひっ」
ビクン、と肩が跳ねた。
ただ耳を触られただけなのに、背筋に強烈な電流が走る。
先ほどまでの執拗な焦らしのせいで、私の全身の神経が異常なほど過敏になっていた。
「ふふっ。良い反応です。では、ここは?」
ノアさんの人差し指が、耳の穴の入り口をゆっくりとなぞる。
そして、その少し奥へ、爪の先を滑り込ませた。
「あ゛っ、ひ、い゛っお゛おお゛っ」
ぞくり、という悪寒にも似た感覚。
普段ならただ「くすぐったい」で終わるはずの場所。
けれど今の私には、その微かな摩擦が、直接脳をかき混ぜられるような強烈な刺激として伝わってくる。
「おや。耳の穴を撫でただけで、腰が浮いていますよ。筋肉の連動として非常に興味深い」
ノアさんは淡々と事実を口にしながら、私の耳元で、ふぅっ、と息を吹きかけた。
「あ゛あ゛っ! や、やだぁっ!」
温かい吐息が鼓膜を震わせる。
その音と感触が、狂った脳内で勝手に快感へと変換されていく。
「やめっ、そこ、変な感じ、するぅっ」
「変な感じ、とは? 具体的に述べてください。あなたの脳は今、ただの接触を『快』として誤認し始めているのですよ」
ノアさんの指が耳の輪郭をなぞり、吐息が絶え間なく吹きかけられる。
頭の芯が痺れ、目の前がチカチカと点滅する。
耳を弄られているだけなのに、下腹部の奥がきゅんと熱く疼き始める。
「あ゛、あ゛あ゛っ、のあ、さんっ」
「次は、ここです」
ノアさんは耳から指を離すと、今度は私の腕の付け根へ手を伸ばした。
拘束されてバンザイのような姿勢になっているため、私の脇の下は完全に無防備に晒されている。
「腋窩神経。ここもまた、通常はくすぐったさを感
じるだけの部位です」
冷たい指先が、私の脇の下の柔らかな皮膚を、すうっと撫で下ろした。
「ひゃあ゛っ」
「おや。声のトーンが一段上がりましたね」
ノアさんは、私の脇の下を羽毛で撫でるように、軽いタッチで何度も円を描き始めた。
くすぐったい。
でも、それだけじゃない。
「や、あ゛っ、ひ、い゛い゛っ」
「発汗量が増加しています。脇の下への軽微な摩擦が、全身の神経を逆撫でしているようですね」
ノアさんの指の動きが、少しずつ力強くなる。
柔らかい肉を押し込み、リンパの流れる場所を正確に指圧していく。
「あ゛あ゛っだめっ、そこ、だめぇっ」
「ダメな理由がありません。レナさんの身体は、ここを触られることを強く求めていますよ。太腿の震えがそれを証明しています」
脇の下を擦られているだけ。
それなのに、全身の血が沸騰するような、頭がおかしくなるほどの痺れが私を襲う。
私の脳は完全に壊れてしまったのだ。
ノアさんが触れる場所はすべて、私に狂おしいほどの刺激を与える”急所“へと書き換えられていく。
「あ゛、あ゛、ひぐっ、あ゛あ゛っ」
「ふふっ。素晴らしい。耳と脇の下。本来なら快楽を生まないはずの場所で、あなたは今、我を忘れて絶頂の手前まで引き上げられています」
ノアさんは楽しそうに微笑みながら、私の顔を覗き込んだ。
「あなたの身体のすべてが、私の記録するための媒体です。もう、どこを触られても平常心ではいられませんね」
絶望が、冷たい水のように私を満たしていく。
もう、逃げ場所なんてどこにもない。
私の身体は、髪の毛一本から爪の先まで、すべてこの完璧な書記官に支配されてしまったのだから。
自分の口から、犬のような浅い呼吸が漏れ続けている。
泣いても、叫んでも、哀願してもダメだった。
なら、この人の土俵である”論理“にすがるしかない。
「の、のあ、さんっ! ま、まってっ! あの、ちがうのっ!」
私は首を振り、引き攣る喉から必死に言葉を絞り出した。
「これっ、すとれす、かかりすぎたらっ。し、しんぱくすうとかっ、すうち、めちゃくちゃに、なるよっ!」
ノアさんが、ピタリと指の動きを止める。
私はそれにすがりつくように、ボロボロの言葉を紡いだ。
「え、えらー、ばっかりに、なったらっ。き、きろくっ、いみないっ。そ、そんなのっ、のあさん、ほしくない、でしょっ!?」
必死だった。
ノアさんの”正確な記録を好む“という性質を盾にすれば、一時的にでもこの狂った実験を止めてくれるかもしれない。
すがるような目で、ノアさんを見上げる。
ノアさんは、瞬きを一つした。
そして。
綺麗な唇が弧を描き、ふふっと、心底楽しそうに吹き出した。
「おや。素晴らしいです、レナさん」
ノアさんは、言葉を覚えたての幼児を褒めるような、ひどく甘い声を出した。
「その酸欠状態の脳で、必死にミレニアムの書記を論理で説得しようとしたのですね。とても可愛らしいアプローチです」
いける。
そう思った私の希望は、続くノアさんの言葉で粉々に打ち砕かれた。
「でも、残念です。レナさんの平常時のベースラインデータは、とっくに保存済みですよ」
ノアさんの冷たい指が、私の汗ばんだ頬を優しく撫でる。
「今私が収集しているのは、『どこまで負荷をかければ、あなたの理性が完全に崩壊するのか』という限界値のテストです。エラーやバグこそが、今私が一番欲しいデータなのですよ」
ダメだ。
私が必死に捻り出した最後の抵抗は、ただの“可愛いお遊戯”として、笑顔であっさりと撫で斬りにされてしまった。
「さて。少しだけ喋る元気が回復したようですから、新しい部位の検証に移りましょう」
ノアさんの冷たい指先が、私の胸の下から、ゆっくりと腹部へと滑り落ちた。
辿り着いたのは、おへその窪み。
「臍周辺は、内臓への神経反射が起こりやすい場所です。過敏になったあなたの身体なら、ここも立派な計測ポイントになるはずですよ」
「や、やだっ、そこはっ」
ノアさんの人差し指の腹が、おへその窪みにそっと押し当てられた。
そして、螺旋を描くように、窪みの内側をぐるぐると撫で回す。
「お゛おお゛っ!」
ただの窪みを擦られているだけなのに。
お腹の奥深く、子宮のあたりが直接かき回されているような、強烈な錯覚に襲われる。
「おや。腹筋が痙攣していますよ。指を沈めこませるたびに、下半身が跳ね上がっていますね」
「あ゛っ、だめっ、お腹のなか、変に、なるぅっ!」
「変になりなさい。あなたの身体は、私の指先の動き一つで、いくらでも形を変えるんですから」
おへそを執拗に弄られ、私の口からはだらしない悲鳴がこぼれ続ける。
「次は、ここですね」
ノアさんはおへそから手を離すと、今度は私の顔へと指を伸ばした。
鼻筋をなぞり、鼻の穴の入り口の、柔らかな皮膚にそっと爪の先を這わせる。
「ひっ、あ、んっ」
「鼻腔周辺の粘膜と皮膚の境界線。ここは非常にデリケートなセンサーです。呼吸という生命維持活動の入り口ですからね」
ノアさんの指先が、鼻の穴の縁を、くすぐるようにゆっくりとなぞり続ける。
「やぁっ、くすぐった、いっ、あ゛っ」
「くすぐったいだけですか? あなたの呼吸は、私
の指の動きに合わせて完全に乱されていますよ」
鼻先を弄られるという、普段なら絶対にあり得ない不気味な感触。
けれど、限界まで引き伸ばされた私の神経は、その奇妙な摩擦すらも強烈な快楽のトリガーとして読み込んでしまう。
鼻の縁を撫でられるたびに、背髄がぞくぞくと粟立ち、腰の奥が甘く疼く。
そんな自分自身の狂った身体の反応が、何よりも恐ろしかった。
「あ゛、あ゛あ゛っ! のあ、さんっ、もう、やめてぇっ!」
「泣かないでください。私はただ、レナさんの未知のデータを開拓しているだけですよ」
何を言っても、どんなに無様に足掻いても、ノアさんは笑顔でそれを受け流し、私の身体を書き換え続けていく。
絶対に感じるはずのない場所を弄られ、私はただただ、狂わされていく自分の身体に怯えながら、涎を垂らして泣き叫ぶことしかできなかった。
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「はぁっ、はあっ、ひぐっ、あ゛、ぅ」
私はソファの上で拘束されたまま、だらしなく涎を垂らし、荒い呼吸を繰り返していた。
下腹部に溜まった熱は行き場を失い、ドロドロとした塊となって、私を内側から焼き続けている。
「して、つづき、してぇっ」
自分から、そんな恥ずかしいお願いをしてしまったことへの、狂おしいほどの羞恥。
でも、それ以上に。
ノアさんが与えようとした”何か“が、与えられないことへの飢餓感が、理性を跡形もなく焼き尽くしていた。
「ふふっ。では、放置のデータを取る前に。……もう少しだけ、あなたの身体を『整えて』おきましょうか」
ノアさんが、端末をデスクに戻すと、再び私の脚の間に身を沈めた。
「ひっ!」
ビクン、と全身が恐怖と、期待で跳ねる。
ノアさんの手が、私の下腹部に置かれた。
そして。
掌で腹部をぐっと圧迫しながら、人差し指をおへその窪みの奥へと、深く、深く沈め込ませた。
「あ゛あ゛あ゛っ!!! だめっ、そこっ子宮、潰れちゃうっ、あ゛あ゛っ!!!」
お腹の奥底が、子宮が直接掴まれたような、あり得ないほどの強烈な衝撃。
内臓が直接かき回されるような感覚に、悲鳴が喉を切り裂く。
「ふふっ。溃れませんよ。レナさんの身体は、とても頑丈です」
ノアさんは笑顔のまま、おへその奥に指を沈めた状態で、螺旋を描くように、窪みの内側をじわじわと、執拗に撫で回し始めた。
「ひゃあ゛っ! や、やだっ、そこぉっ、変なところっ、あたるぅっ!!」
「おや。……変なところ、ですか」
ノアさんの声が、少しだけ弾んだ。
「おへその奥から、ポルチオへ。……外側からの刺激が、過敏になったあなたの神経を通じて、ダイレクトに伝達していますね」
ノアさんは淡々と事実を口にしながら、おへその奥への圧迫を弱めず、擦る動きを加速させる。
「あ゛っ、い゛い゛っ! だめぇっ、そこ、とろけちゃうっ! あ゛あ゛っ!」
「とろけてください。平常時には感じないはずの場所。……そこを、私が今からじっくりと、あなたの『新しい性感帯』として開発してあげますから」
おへそを執拗に弄られ、私の口からはだらしない悲鳴がこぼれ続ける。
呼吸が乱れ、酸素が足りない。
「次は、ここですね」
ノアさんはおへそから指を離すと、今度は下腹部、恥骨の上あたりに手を移動させた。
「や、あ゛っ、そこはっ、あ、んっ」
ノアさんの指先が、下着の上から、下腹部をぐっ、と強く圧迫する。
そして、その奥にある「何か」を探るように、執拗に擦り始めた。
「い゛い゛い゛い゛ぃっ!!! やだぁっ、お腹のなか、潰れるっ! 潰れちゃうからぁっ!!」
「潰れませんよ。……おやおや」
ノアさんが、私の下腹部を見てふふっと笑った。
全身の力が抜け、虚脱状態になるかと思った。
けれど、違った。
お腹の奥深く、子宮が直接掴まれているような感覚が、お腹の壁越しに、執拗に、暴力的に弄り回される。
恐怖。羞恥。快感。
すべての感情がごちゃ混ぜになって、頭の中で何かがぱつんと音を立てて切れた。
「い゛あ゛っ、のあ、しゃんっ、おねが、い、ゆるち、て……っ」
幼児退行。
理解を超えた刺激に、脳が処理しきれず、言葉が崩れる。
「ふふっ。おやおや、幼児退行。……素晴らしい。……ああ、レナさんの身体が、私の刺激に合わせて、完璧に書き換えられていく。……この瞬間を記録できるなんて、最高に幸せです」
ノアさんは、私の幼児退行を、ただの興味深い実験結果として処理した。
そして、その笑顔のまま、下腹部への圧迫と擦りを止めることはなかった。
カリッ、カリッカリ
外側から、お腹の壁越しに、ポルチオを、子宮口を、执拗に、暴力的に弄り回す。
痛くて、でも狂おしいほど気持ちよくて、脳が溶けてしまいそうになる。
時間の喪失。
理性は完全に崩壊。
枯れた瞳から、ぽろぽろと涙が溢れた。
もう、声も出ない。
「……あ、あ、ぅ」
私はただ、拘束されたまま、死んだ魚のような目で、ノアさんの終わりのない「開発」を待つことしかできなかった。
「素晴らしいです。ベースラインの書き換え、完了しました」
ノアさんが、ようやく手を離した。
行き場を失った熱が、下腹部でドロドロと渦を巻く。
苦しい。
お腹の奥が、あり得ないほど熱いのに、解放されない。
脳が、身体が、続きを求めて悲鳴を上げている。
「おねが、い……もっと、して、してぇっ」
私はついに、自分から恥ずかしいお願いを口にしてしまった。
涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにして。
ただ、この苦しさから楽になりたくて。
ノアさんが与えようとした「何か」が、与えられないことへの、狂おしいほどの飢餓感に、理性が完全に破壊されていた。
「ふふっ。準備は整いましたね。……では、内側のデータも、直接計測させてもらいましょうか」
ノアさんが、笑顔で私に告げる。
そして。
彼女は自分のスカートのホックに、その白く冷たい指をかけた。
絶望が、私の心を完全に叩き割った。
終わらない。
この人は、私がおかしくなるまで、絶対に許してくれないのだ。
身体が勝手に求めてしまう羞恥。
解放されない苦しみ。
ノアさんが与えようとした「何か」が与えられないことへの飢餓感。
そして、終わりのない支配に対する絶望。
すべての感情が、私の理解を完全に超えていた。
「や、あ゛あ゛あ゛あ゛ぁっ……ひぐっ、あ゛ぁっ」
私はソファの上で拘束されたまま、与えられない絶頂を求めて、無様に身をよじり続けた。
ノアさんの完璧な笑顔に見下ろされながら。
狂いそうなほどの熱と絶望の中で、ただ時間が過ぎていくのを感じるしかなかった。
「では、内側のデータも、直接計測させてもらいましょうか」
引き裂かれた下着の隙間から、ノアさんの白く細い指が滑り込んできた。
外側からの執拗な刺激で、すでにドロドロに溶かされていた私の境界線。
そこに、冷たい指先が何の抵抗もなく、するりと侵入してくる。
「んっ、あ、ひ、ああぁっ!?」
甘く引き攣った声が、自分でも驚くほど艶かしく響いた。
「内側の温度、38度7分。見事な熱です。分泌液の粘度も、事前の摩擦によって完璧に仕上がっていますね」
ノアさんの指が、私の内側の柔らかな壁をなぞる。
そして、迷うことなく一番奥深く、先ほど外側から執拗に圧迫されていたその場所に、直接触れた。
「あ゛っ! おくっ、だめぇっ、そこっ、あたっ、んあ゛あ゛っ!!」
下腹部の奥で燻っていた熱源を、直接指の腹で擦り上げられる強烈な感覚。
脳髄を直接かき回されるような暴力的な快楽が、背骨を突き抜けた。
「おや。子宮口への直接的なコンタクト。外側からの刺激でマッピングしておいたおかげで、一瞬で神経が接続しましたね」
「あ゛あ゛っ、いいっ、のあさんっ、それぇっ、いいからぁっ!」
首を激しく振り、ソファにシーツ代わりの制服を擦り付ける。
ノアさんの指は容赦なく、私の最も深い場所を、正確なストロークで抉り続けた。
ぐちゅ、じゅちゅっ、という卑猥な水音が、静かな記録室に反響する。
「は、あ゛っ、ひ、い゛い゛ぃっ! とけ、とけちゃうぅっ!」
「素晴らしい。心拍数が百五十を突破しました。レナさんの身体は、私に中をかき回されるためだけに最適化されています」
ノアさんの指の動きが、さらに一段階、速度を上げた。
深く、重く。
奥の奥にある、絶対に触れられてはいけない場所を、執拗に突き上げる。
視界が、チカチカと白く点滅し始めた。
空気が吸えない。
ただ、下腹部から脳天へと駆け上がる、圧倒的な光の柱のような快感だけが、私のすべてを支配していた。
もう、限界だった。
今度こそ、本当に狂ってしまう。
「いくっ、いくからぁっ! のあさんっ、わたしっ、いっちゃうぅっ!」
私は涙と涎に塗れた顔で、ノアさんにすがりついた。
「いっちゃう、とは、絶頂の許可ですね?」
ノアさんが、完璧な笑顔で私の顔を覗き込んだ。
「え、ええっ、はいっ、はっいっおねがいっ、いかせてっ、あ゛あ゛あ゛っ!!」
「わかりました。あなたの脳波も、これ以上の負荷は危険だとサインを出しています。いいですよ、レナさん。すべてを解放してあげます」
これまで私を弄び、じわじわと外堀を埋めていたリズムは消え去り、ただ純粋に、私の理性を焼き切るためだけの、重く、深く、容赦のない蹂躙が始まる。
「あ、あ゛っ、のあ、さんっ、あ、ア、ア、アァッ!」
最も過敏な奥の壁を、逃げ場のない角度で、力強く擦り上げられる。
ぐちゅ、じゅるり、と。
自分の内側から溢れ出す熱い蜜が、ノアさんの指に絡みつき、卑猥な音を部屋に響かせる。
もう、限界だった。
脳神経は沸騰し、視界の端から真っ白なノイズが思考を塗りつぶしていく。
「……いいですよ。すべて、出し切ってしまいなさい」
ノアさんのその言葉が、私の耳元で甘く、決定的な合図として響いた。
その瞬間。
ノアさんの指が、かつてないほどの速度と質量を持って、私の深淵を突き上げた。
あ、これ。
ほんとに、いかせてくれるんだ。
今までの意地悪なんて嘘みたいに、ノアさんの指が、私の欲しいところを全部、完璧になぞっている。
「あ゛、んあ゛あ゛あ゛ぁぁぁっ!!!!」
下腹部の底から、真っ白な光が爆発した。
全身の筋肉が快感に跳ね上がり、縛られた手足が大きく反り返る。
ついに、いける。
やばい。
くる。
ほんとにくる。
いくいくいくいく、ほんとにいく。
もう、これ以上は、無理。
行き場を失ってドロドロに煮詰まっていた熱が、堰を切ったように一気に外へと放たれる。
「レナ、絶頂しなさい」
あっ、これ゛やばい゛いいっい゛いお゛おお゛゛いっく゛ぅうう゛
「あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーッ!!!!!」
やば、い。本当にイっっ..............
スッ
え、
私の中から、すべての感触が、突然消え失せた。
「あ、え」
股間に、冷たい室内の空気が触れる。
ノアさんが、私の中から完全に指を引き抜き、一歩後ろへ下がっていた。
圧倒的な快感の頂点に登りつめ、あとは落ちるだけだった私の身体。
そこから刺激という梯子だけが、唐突に取り払われたのだ。
絶頂に向かって全開になっていた神経回路が、行き場を失った莫大な快楽のエネルギーを抱え込んだまま、空回りする。
ブチッ。
頭の奥で、何かが物理的に千切れる、悍ましい音がした。
「あ゛、ひ、あ゛あ゛っ、ん゛あ゛あ゛あ゛っ!」
目が見開かれ、瞳の焦点が完全に吹き飛ぶ。
絶頂を強制的にキャンセルされた脳が、処理能力の限界を超え、完全なショートを起こしたのだ。
「ひぐっ、ん、あ、ア、あ゛ぁっ、あ゛あ゛あ゛ぁっ!」
私の身体が、ソファの上で、ビクンビクンと激しく跳ね回った。
手首と足首の結束バンドが千切れんばかりに引っ張られ、背中が弓なりに反り返る。
両足の指がピンと張り詰めたまま、狂ったような快感の余波が、波状攻撃のように全身を打ち据え続ける。
鼻の奥底から、ツー、と温かいものが流れ落ちた。
限界を超えた血圧の急上昇と、脳神経のショートによる、鮮血の鼻血。
赤い血が、だらしなく開かれた唇を伝い、白い救護騎士団の制服にポタポタと染みを作っていく。
「ふふっ」
私のその無惨で、淫らな姿を見下ろして。
ノアさんは、この世界で一番美しいものを見るような目で、目を細めた。
「絶頂の直前で全刺激を遮断されたことによる、神経回路の暴走。毛細血管の破裂による鼻出血と、極限の痙攣状態。素晴らしいです、レナさん」
私はもう、自分が何をしているのかすらわからなかった。
ただ、空を切るように口をパクパクと開閉し、鼻から血を流しながら、甘く濁った鳴き声を漏らしてソファの上で痙攣し続けることしかできない。
「これが、あなたの限界値。私の計算通りの、最高のエラーデータです」
ノアさんは、私の頬を汚す鼻血を、そっと自分の指で拭い取った。
そして、その赤い血のついた指先を、自分の唇に当てて、恍惚とした笑みを浮かべた。
「でも、これはまだ『私の指』による計測結果に過ぎません」
痙攣し、快感でドロドロに混濁する私の耳元で、ノアさんの冷たい声が響く。
「次は、レナさんの中身を完全に上書きするための、私のものによる検証を始めましょうか」
ノアさんの手が、ついに、自分のスカートのホックを外す音がした。
私は焦点の合わない目を剥いて痙攣したまま、その音を聞き、完全に狂い果てた底なしの絶望へと突き落とされていった。
バサリ、と。
床に落ちたノアさんのスカートが、無機質なタイルを叩く。
「あ、ア、ぁ……」
鼻血を流し、ソファの上でビクンビクンと小刻みな痙攣を繰り返す私の視界に。
信じられない「異形」が突きつけられた。
ノアさんの、白く滑らかな太腿の間。
ミレニアムの冷たい空気を白く濁らせるほどの熱気を放つ、暴力的なまでの質量。
「おや。……目線が釘付けですね、レナさん」
ノアさんは、完璧な笑顔を崩さないまま、私の上に覆い被さってきた。
逃げられない。
手首も足首も、プラスチックのバンドが食い込むほどに固定されている。
未知の、恐ろしい熱の塊が。
寸止めで狂い果てた私の入り口に、ピタリと押し当てられた。
「ひっ!! あ゛っ!!」
「あなたの身体が、私の計算を超えて熱を帯びています。……さあ、今までの『保留データ』をすべて、ここで解放してあげましょう」
ノアさんの腰が、ぐっ、と強く押し込まれた。
次の瞬間。
私の世界が、真っ白に弾け飛んだ。
「お゛んお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!???」
挿入。
その瞬間、これまで何時間も、何万回も寸止めされ、体内でドロドロに煮詰まっていた快楽のエネルギーが、一気に堰を切って溢れ出した。
脳が焼き切れる。
心臓が止まる。
あまりの衝撃に、私の意識は一瞬で暗転した。
「…………っ」
暗闇。
音のない世界。
でも、その無重力の空間を、さらなる暴力的な衝撃が貫いた。
「ふふっ。寝ている暇はありませんよ、レナさん。検証は今、始まったばかりなのですから」
ドンッ、と。
お腹の奥深く。
子宮の、さらにその先の魂まで届くような、圧倒的な突き上げ。
一瞬飛んだ意識が、その一撃で強制的に”覚醒“させられた。
「あ゛あ゛っっっひ、い゛い゛い゛い゛い゛ぃっ!!!」
覚醒。
けれど、それは地獄の始まりだった。
目が覚めるたびに、新しい、もっと強烈な快感が、異形の熱と共に内側から私を蹂躙する。
「素晴らしい……! これです、この反応です! 私の計算を遥かに凌駕する、人体のバグ!」
ノアさんの声が、初めて、余裕を失って上ずった。
彼女もまた、私の身体から返ってくる異常なまでの締め付けと熱量に、狂わされ始めていた。
「あ゛っ、のあさんっ、のあっあ゛、ア、あ゛あ゛っ!!」
「レナさん、あなたの……中身が……っ、あまりにも……ッ!!」
ノアさんのピストンが、重く、激しく加速する。
正確な記録者の仮面が剥がれ落ち、そこにあるのは、ただ一人の雌を、自分の種で塗りつぶそうとする捕食者の本能。
「あ゛っ、い、いくっ、いくぅっ! もう、これ、しんじゃ、あ゛あ゛っ!!」
「私も……もう……限界、ですっ!!」
ノアさんの全身が、ガクガクと激しく震え出した。
私の内部を、その異形が、はち切れんばかりの拍動で打ち据える。
「あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」
絶頂の、臨界点。
ノアさんが、私の腰を砕けんばかりの力で引き寄せ、一番深い場所で、そのすべてを解き放った。
「っ、あ゛ア゛オ゛オ゛オ゛オ゛あ゛あ゛ア゛ーーーーーーーーッ!!!!!」
ドクドクと。
お腹の奥底に、熱い、熱い”所有の証“が注ぎ込まれていく。
私の内側は、ノアさんの熱で、完全に、一滴残らず塗りつぶされた。
視界が激しく点滅し、鼻血がさらに溢れ出す。
脳神経は完全にショートし、私はソファの上で、死んだ魚のように白目を剥いて、激しい痙攣の波に身を委ねることしかできなかった。
お腹の奥から伝わる、ノアさんの拍動。
それが、私の新しい心臓の音になった。
私はもう、救護騎士団のレナじゃない。
一生、この人の部屋で、この人の種を抱えたまま、記録され続けるだけの”おもちゃ“になったんだ。
「……ふふっ」
ノアさんが、私の頬についた鼻血を、愛おしそうに舐めとった。
「……レナさん。あなたは今日から、私の、一生終わらない『最高傑作』ですよ」
私は、ただ、ガクガクと震えながら。
ノアさんの完璧な笑顔を、焦点の合わない目で見つめ続けるしかなかった。
「……ふふっ、まだ、終わらせませんよ」
ノアさんが、ぐったりと横たわる私の拘束を、一つずつ解除し始めた。
プラスチックのバンドが切れるたび、血の巡りが戻る痺れと、麻痺したような感覚が交互に襲う。
自由になったはずの私の身体は、もはや逃げるという選択肢を完全に忘却していた。
ノアさんは、抵抗できない私の身体を軽々と抱き上げると、ソファの上に座り、自分と向かい合わせるように膝の上へ乗せた。
「ひっ、あ、あ、ぅ」
正面からの、完全な密着。
鼻血がノアさんの白い肩を赤く汚し、私の胸元は彼女の銀色の髪に埋もれる。
何より、先ほどまで私の奥深くを蹂逐していた「異形」が、再び正面から、一切の容赦なく突き立てられた。
「あ゛ッ!! ア、ア、ア゛ア゛ッ!!」
「こうして正面から抱き合えば、レナさんの心音も、熱も、すべてがダイレクトに私に記録されます」
ノアさんの細い腕が、私の背中に回され、折れそうなほど強く抱きしめられる。
まるで、二人の境界線を完全に消失させようとするかのような、狂気じみた抱擁。
そのまま、ノアさんの腰が、下から突き上げるように動き出した。
「ん、あ゛っ、のあ、さんっ、あ、ア、あ゛あ゛っ!!」
「ああ……。素晴らしい。密着度、深度、そしてこの絶望に染まった表情……」
正面から抱きしめられているせいで、逃げ場はどこにもない。
ノアさんの吐息が首筋を焼き、彼女の心臓の鼓動が、私の胸に直接響く。
ドクン、ドクン、と。
狂ったリズムを刻む二人の心音。
「い、いいっ、おねが、いっ、もう、こわ、れちゃうっ、あ゛あ゛あ゛っ!!」
「壊れても、私がすべて記録して、繋ぎ止めてあげます。あなたはただ、私に抱かれ、私に侵され、私に塗りつぶされていればいいのですよ」
ノアさんのピストンは、もはや機械的な正確さを捨て去っていた。
情欲と独占欲に突き動かされた、重く、粘り気のある、暴力的な蹂躙。
正面から抱き合っているからこそ、その一撃一撃が、私の魂を直接削り取っていく。
鼻血が、涙が、涎が、すべてノアさんの服と肌に混ざり合い、汚していく。
「あ、ア、ア、アァーーーーーッ!!!!!」
脳神経が、最後の一本まで焼き切れる音がした。
絶頂の波が、これまでとは比較にならない規模で押し寄せ、私の身体を激しく仰け反らせる。
ノアさんもまた、私の耳元で、獣のような熱い吐息を漏らしながら、その腕に力を込めた。
「レナさんっ……! 一生……一生、離しませんよっ……!!」
ビュルッドビュと、お腹の奥底に熱い「記録」が、ダムが決壊したかのような勢いで溢れ出す。
正面から抱きしめられたまま、私はその圧倒的な熱量に、ただただ、溺れ、沈んでいった。
痙攣が止まらない。
視界は完全に白濁し、思考はノイズの海に消えた。
記録室の静寂の中に、二人の荒い呼吸音と、絡み合う肉体の熱だけが残る。
私は、ノアさんの腕の中で、だらしなく頭を垂れた。
鼻血に汚れ、乱れきった姿のまま。
「……っふふ。お疲れ様でした、レナさん」
ノアさんが、私の額に優しくキスをした。
その瞳には、一生消えることのない「”アーカイブ“の光が、美しく、そして残酷に宿っていた。
ミレニアムの深い地下。
誰にも見つからない情報の墓標の中で。
私は、ノアさん専用の”生きた記録媒体“として、永遠に保存されることになったのだ。
めっっっっっっっちゃ疲れた。頑張ったのでコメントくれると嬉しいです。二度と描きたくない思いはありますが、感想を力に変えて頑張りたいです。明日は休憩します。