※この作品はR-18です。

異種と女の子が仲良くなるだけの短編集   作:正体不明の筆者A

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ということで第2章です。よろしくお願いします。予定話数は5話です。

・ポストアポカリプスでゾンビとイチャイチャする話
 →世界は突然ゾンビに埋め尽くされ滅亡した。でもその中で一人生き残った白髪ロングのお淑やかな少女。ゾンビに怯える生活になると思いきや、なにやらゾンビ達の様子がおかしいようで……?共食いすらしてしまうゾンビがなぜか少女にだけはイチャラブ恋人関係を望んでくるだけの話。


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ポストアポカリプスでゾンビとイチャイチャする話
1


 

 

 私はかつて大財閥の令嬢でした。過去の栄光に何か言うのは間違っていると思いますが、私は恵まれた生活をしていた事でしょう。

 衣食住に不自由する事も無く、習い事も学問も手厚い体制の元に出来ていたと思います。容姿にも恵まれ周りからは慕われ、友達と世間から言われるような人たちは多かったように思います。

 

 ですが、そんな平穏はある日突然音を立てて崩れました。

 

 〜臨時ニュースをお伝えします!臨時ニュースをお伝えします!今朝6時半頃、東京都心に謎の生命体が大量発生したとの情報が日本政府より出されました!専門家の○○さん。この生物は一体……?〜

 〜これは俗にゾンビと言われる存在です。創作世界で出てくるゾンビと同じ生態をしていると思われます。現にゾンビに噛まれた人がゾンビに変異する様子も確認されております〜

 〜なるほど。対策の方はどのようにすればよろしいでしょうか?〜

 〜まず第一に噛まれないことが必要です。そして彼らは火炎放射機に弱いとの情報が出ております。ただいま自衛隊に派兵要請が出ましたので、彼らが対処するまで建物をしっかり施錠し立てこもるようにしてくだ『おいマジかよっ!?』『きゃ〜っっっ!!!』い、一体どうしたことでしょう〜

 

 緊急放送をしていたテレビ局はあっという間にゾンビに占拠され、人々はゾンビに噛まれその仲間になってしまいました。バイオハザードとも呼べるこの大惨事は、世界中の軍が動いてもなお止まることはありませんでした。

 そうです。ゾンビの増える速度があまりにも速すぎたのです。それに防衛の要である軍内部からも感染者が出る始末。防衛手段を失った人類はみるみるうちに数を減らしていきました。

 やがて情報網は完全に寸断され、私達もまた全てを投げ捨てて逃げるしかありませんでした。私の家族はとうの昔に亡くなりました。ゾンビにすらなることが出来ず、彼らに骨の髄まで残さず食い尽くされたと思われます。

 

 なぜ私が伝聞形でしか物事を話していないのか。理由は単純です。私の目が覚めた時にはもう全てが終わっていたのですから。もしかしたら生き残りがいるかもしれないという淡い期待こそしましたが、この状況で生き残っている人類など一人も居ないでしょう。

 私はこのゾンビ溢れる世界に一人取り残される事になりました。初めはみんなの後を追って死のうと思いました。でも、出来なかった。温室の中で育ってきた私に、そんな勇気ある決断が出来るはずも無かったのです。

 

「取りあえず……食料を探さないと」

 

 私は覚悟を決めて外の世界へ行くことにしました。私如きがゾンビに勝てるとは思いません。ですが後ろ向きに死ぬくらいなら、前向きに死んだ方がマシだと思ったまでです。

 私は勇気を持って家の外に出ました。幸い周囲にゾンビの姿は見えないようです。近くのスーパーに赴き食料を確保して来ましょう。社会制度が死んだ以上お金を払う必要もありません。ゾンビにバレないのが一番良いのですが、そう簡単な話でもないのでしょう。

 

 

 

「……あれ?」

 

 しかし、私は外に出てからありとあらゆる違和感に襲われました。前提として、私はゾンビの情報を偶々残っていた情報媒体から知りました。そして彼らの生態は、生きている人間を見つけたら親の恨みかの如く追い回し殺すこと、理性が無いのか同族殺しも厭わないこと。この二つの情報だけです。

 

 ゾンビは凶悪な生き物です。私なんて格好の獲物でしょう。ですが……彼らはなぜか私を一向に襲ってこようとしないのです。スーパーまでの道中に軽く20体ほどのゾンビを見かけましたが、彼らは皆一様に私を見るだけで、一向に襲いかかっては来ませんでした。

 そして何より、一部のゾンビ達はまるで私を守るかのように周囲を歩きながら付いてくるのです。なんでそう思ったのかは分かりません。ですが、今現在も付いてきている3体のゾンビは、私の周囲1m以内を陣取りながら、周囲を気にするようにして歩いているのです。

 

「……」

「「「……」」」

 

 私はふと3体のゾンビを見ました。灰色の肌、眼球の欠落した目、重心の定まらないふらふらとした歩き方。私の想像するゾンビの姿と完全に一致します。怯えないかと言えばそれは違います。当然怖いことは怖いのです。

 ですが……私は彼らから敵意のようなものを感じ取ることが出来ませんでした。それどころか……まるで私を守る騎士だと言わんがばかりに、私の周囲を固めて歩いているだけなのです。さっきから私の頭は混乱の最中にありました。だからだったのでしょう……

 

「あっ!?」

 

 私は荒廃した道路にあった窪みにつまずいて転びそうになりました。とっさに受け身姿勢を取ろうとしたのですが、下はコンクリートの道路、勢い的には打ち身の一つ覚悟しなくてはいけません。私は来るべき痛みに備えてぐっと目を閉じました。

 

「……あれ?」

 

 ですが、一向に痛みが来る気配がありません。そして、私は誰かに後ろから抱き留められていました。その人の方を見ると……そこに居たのはゾンビでした。

 ゾンビが……私を助けたのです。こんなことが本当にあるのでしょうか。ゾンビは人を助けるような存在では無い筈です。それどころか怪我して動けなくなったところを捕食しに来さえするでしょう。

 ですが……ゾンビは私を助けたのです。その空洞の目からは何も感じ取る事が出来ません。

 

「あ、ありがとう、ございます……?」

「……」

 

 私は思わずゾンビにお礼の言葉を述べていました。ゾンビは相変わらず無反応ですが、抱きかかえていた私の体勢をしっかり整えて立たせてくださいました。その所作が妙に洗練されていて、思わず彼らがゾンビであることを忘れそうになるくらいに。

 

「……?」

「「「……」」」

 

 分からない。何も分かりません。彼らは私をどうしたいのでしょう?もう私の頭はぐちゃぐちゃです。イレギュラーに巻き込まれると言うのはこう言う時に使う言葉なのですね。

 その後も彼らは、まるで私が危険にさらされないようにせんとばかりに行動し続けました。時に道路が地割れで通れなくなっていたら、1体のゾンビが私の事をお姫様だっこで抱えて地割れを飛び越えてくださったり、時に地面が多くのがれきで通れなくなっていたら、別のゾンビが私をおんぶしてその場所を越えて下さったり。

 

「……ねぇ。貴方たちは、一体何なのですか……?」

「「「……」」」

 

 ついには私が転ばないようにでしょうか。2体のゾンビが私と手を繋いで、1体のゾンビが私の前方を歩いています。お陰様で前に転びそうになっても安心ですし、足下が悪い中でも安定して歩くことは出来ています。

 ですが分かりません。まるで私が大切な存在とでも言いたげに、彼らはひたすらに私を守ろうとするのです。ゾンビにそんな習性があるなんて聞いたこともありません。私は混乱したまま目的地であるスーパーに到着しました。

 

「ふむ……やはり中も荒れ果てていますね……どうしたのですか?」

 

 私が中の探索をしようとしたとき、手を繋いでいた2体のゾンビが両腕で私の腕を抱きしめながら止めてきました。確かに中は危ないでしょうが、ここに入らなければ私は食料を手に入れる事が出来ません。

 

「あの……わ、私どうしても食料が欲しくて……離してくださいませんか?」

 

 ゾンビ達は首を横に振る。そして絶対に行かさないとばかりに前方のゾンビが私の事を正面から抱きしめてきました。ゾンビは腐った死体と言うイメージですが……腐敗臭等は全くしません。恐らく腐敗させるための微生物が居ないのでしょうが……ってそういう事を言っている場合ではありません。

 むぅ、困りました。これでは目的達成が出来ません。恐らく彼らは私が中に入る事を嫌っているご様子。でも中に入らなければ食料を取ることが出来ない。う〜む……出来るかは分かりませんが、やるだけやってみましょうか。

 

 

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