※この作品はR-18です。

異種と女の子が仲良くなるだけの短編集   作:正体不明の筆者A

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「うぅ……ぐすっ……ありがと」

 

 どのくらいの時間泣いていたか分からない。でも、その間ずっと青い手は私の事を慰め続けてくれた。こいつらが何を考えてるか分からないけど、少なくとも私に敵意がない事だけははっきりと分かった。

 幽霊って友好的なのと敵対的なのが存在するの。友好的もしくは中立的な幽霊は、私にまったく危害を加えてこない。でも敵対的なのは別格。何度呪い殺されかけてきたかもう分からない。最近の立ち寄り所に神社が選ばれる位には頻度があったと言う事実が証明してくれるはずだ。

 

 だから、こうやって私に触れて、しかも慰めてくれる幽霊なんて見たことがなかった。こいつらが異常なだけなのは十分に分かってる。分かってるけど……それでもこうやって泣いてる時に慰めてくれるのは…………ちょっと嬉しかったかも。

 

「ねぇ……あんた達に分かるか知らないけど……私がここで生きていくために必要なものって……用意できるの?」

 

 青い手が肯定のジェスチャーをする。そ、そうなんだ……。あれかな、食料はあるけど神話みたいに食べたら現世に戻れなくなるタイプの食べ物かな?となると私は実質ペルセポネーって事になるけど……

 

「えっと……廃墟でも何でもいいから、屋根のある場所って……知ってる?」

 

 青い手が肯定のジェスチャーをする。ほっ……それなら取りあえず安心かも。ここにもし降雨があったら風邪引くどころの騒ぎじゃ無いし。

 青い手は腰が抜けた私の手首を掴んで立ち上がらせてくれた。でも腰の抜け方が歩けないレベルだったみたいですぐに座り込んじゃう。青い手はそれを見てもう一度私を立たせると、肩と膝裏で私を持ち上げてくれた。

 

「ひゃっ……や、これなんだかお姫様だっこみたい……っ」

 

 まさか初めてのお姫様抱っこが謎の青い手になるなんて思って無かったけど、思ったより安定してるし……悪く、ない、かも?

 私は青い手たちにお姫様抱っこされながら、引き続き別の青い手に頭と頬をナデナデされつつ何処かに移動する。この子達私をどこに連れて行こうとしてるんだろう。ナデナデのせいか妙に警戒心を抱かずに抱っこされていると、目の前に教会らしき建物が見えてきた。

 

「あ、もしかして私を住めそうな建物に案内してくれたって事?」

 

 青い手が肯定のジェスチャーをする。そ、そうなんだ……なんて言うか、青い手が妙に紳士的過ぎる気がする。なんか私を女の子として扱っている気がしてならない。

 正直……悪い気はしない。でもやっぱり相手が幽霊だから素直に喜ぶことも出来ないっていう。なんだかよく分からない感情を抱えたまま私は青い手たちによって教会内に運び込まれた。

 

「あ、ありがと……」

 

 私が下ろされたのは真っ白なシーツの掛かったベッドの上。う、ちゃんと私が体勢崩さないように後ろで支えてくれてる。もうなんかうちの大学の男子学生より紳士的なんですけど。私の中の幽霊感可笑しくなっちゃうよ。

 

「え、えっと……いろいろ、聞いても、良い?」

 

 青い手は肯定のジェスチャーをする。この感じだとイエスかノーでのみ答えられる質問にした方が良いかな?感覚はアキ○ーターやってる感覚。

 ということで私が聞けそうな事を一通り聞いてみた。まず青い手はやっぱり幽霊とか心霊の類いらしい。そしてこの場所が霊界と呼ばれる場所だって事も分かった。霊界はまぁ簡単に言っちゃえば現世とは完全に隔絶された死者の世界で、普通人間が生身のままで入ってくることは不可能に近いらしい。

 

 だからか知らないけど、青い手達は生きたまま入り込んで来た私に興味を抱いているらしい。まぁ当たり前っちゃ当たり前か。そして元の世界に戻る方法は分からないらしい。

 分からないって言い方には正確には語弊があって、青い手達は生まれてこのかたこの世界以外の世界を知らないらしいのだ。それは他の住人たちも同じで、そもそも帰る場所も分からないんだから帰しようが無いって事になるらしい。

 そしてこの世界の心霊達は、基本的に皆静かに暮らすことを常としているらしい。向こうの世界で襲いかかってきた様な心霊は、この世界には存在しなくて、悪い心霊……悪霊って事にしておこうかな。これもまた完全に隔絶された別の世界にしかいないんじゃないかって事らしい。

 

「つまり……あんたたちは私に危害を加えるつもりは無いし、むしろ何かしらの原因でこっちに来ちゃった私と、平和に過ごしたいってだけ、なの?」

 

 青い手が肯定のジェスチャーを出す。つまり結論はそう言うことらしい。心霊達が食している食料が食べられるかはさておき、ここには食料も水も充実している。そして私は元の世界には……多分戻れないだろう。

 はぁ〜……いい加減腹をくくらないとかなぁ。ここで私がどうなるかは分からないけど、まだ生きている以上最後まで足掻かないと損だよね。幽霊と一緒に過ごすのは……まだまだ抵抗があるけど、これもまた荒療治って事でいつも通りやれば良いだけ、だから。

 

「えっとえっと……あのっ。わ、私を、ここに住まわせて、くれませんか……?」

 

 青い手は、肯定のジェスチャーを出した。

 

 

 

 私がこの霊界で骨を埋めると決意してから、今日で1ヶ月が経過しようとしていた。

 問題かなと思っていた衣食住は割とすんなり解決した。青い手達や他の心霊達が私の為に素材を集めてきてくれるし、食材達もちゃんと美味しく食べられるようなものばかりだった。

 後意外な発見だけど、霊界は文字通り霊という概念や意思で存在している世界。まぁ簡単に言っちゃえばある程度のものなら私の強い意思さえあれば顕現出来る事が分かった。でも別にこんな世界に来てまでスマホを弄りたい訳じゃ無いから、大人しく調理場やお風呂、ダイニングとかの教会の内装整備に使ったけどね。

 

「ふんふふ〜んっ♪あっありがと〜っ」

 

 そして問題のホラー嫌いだけど……流石にこんな場所で1ヶ月も過ごしていたらすっかり慣れてしまった。寝ても覚めても目の前に心霊が居る環境だから当然っちゃ当然かも。今はこうして一緒に家事をするくらいには仲良くなったと思う。

 そして1ヶ月で色んな心霊にも出会った。最初に出会った青い手達。実質骨格模型のスケルトン。霧状の概念体であるウィスプ。人魂に動くミイラにとよりどりみどりだ。最初こそやっぱり怖かったけど、スケルトンはダンスまで踊れちゃうお気楽な奴で、ウィスプはなんかもう存在が面白いし、人魂は火種にも明かりにもなってくれる優しい奴だし、ミイラは転んで怪我したときの医療班で有能だし。

 そして青い手達は私の3本目以降の腕として活躍してくれる。料理とかお掃除が本当に楽なのっ。今の私なら阿修羅像より手作業を効率化出来るからね。もうなんか心霊だとかなんだとかどうでもよくなっちゃた。

 

「よ〜し出来たっ。ささっ食べよ食べよっと」

 

 今は手達の手伝いをして貰いながら料理を作っていた。元の世界とほぼ同じ料理が食べられるのがこんなに素晴らしいって思っても無かったなぁ。しかも効率は3倍近く上がってるし良い事ずくしだよねっ。

 

「んふふっ。もぅ〜私は一人で食べられるってばぁ」

 

 食卓も随分と賑やか……って言うか青い手がたくさん浮いてるだけだけど。あ、そうだ。この1ヶ月で心霊達とも大分仲良くなって、私は自然と心霊達とじゃれ合えるくらいにまでなっていた。1ヶ月前の私だったら卒倒する内容なのは自覚してるけど、なっちゃったものは仕方ないよね。

 こうして仲良くなって気がついたけど、心霊達はやっぱり生きてる私に興味と好意を持ってくれてるらしいんだ。まぁオブラートもへったくれも無いことを言うと……こ、恋人みたいにい、イチャイチャしたりとか、してくれるんだよね。

 

 例えば手を繋いでくれたり。例えば一緒に寝てくれたり。例えば抱きしめ合ったりとか。心霊達への警戒感がなくなって、心霊達に愛着がわくようになって、いつの間にかこうやって色々とやれちゃう関係になっちゃったんだ。

 今は作った料理を手達が私にあ〜んさせようとしてるところ。小っ恥ずかしいやらなんやらで断りたいけど、手達が上機嫌なせいでそうもいかないんだよねぇこれが。結局作ったスープは全部あ〜んで食べさせられる事になった。

 

「(はふぅ……やっぱり、そろそろなのかなぁ)」

 

 何がそろそろなのかって?まぁ…………そう言うことだよ。

 

 

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