「も……もう……無理……げ、限界……」
今は近未来。
酒寄の彩葉といふ女子高生有りけり。
彼女は色々と超無理限界ギリなのでした。
その全ての元凶は、端的に言えば───────母親譲りの見栄っ張り、の一言に尽きる。
【とある事】で母親の紅葉と揉めて、彩葉は高校生の身分でアパートの家賃も生活費も学費を一人で稼がねばならなかった。
実は祖父からも毎月不自由しないようにお金が振り込まれていたが、家賃学費生活費を自分で稼いで弁護士になった母親を見返すためには手をつける訳にはいかず、アパートもエアコンも付いていないまさに昭和臭漂うオンボロアパートの住民にならざるを得なかった。
学業では───────
常に完璧を求められてきた彩葉は、学業において、見栄っ張りなため、たとえ、バイトと推し活で半分夢現であろうと……
「……酒寄、ここ、読んでみろ……」
「……ッはい。適度なオナニーはストレス発散にもなり、健全な青少年は週に7~21回が望ましい……(あー飛んでたー。って、うら若き女子高生に何読ませてんの、この変態教師がッ!!)」
「……あー……酒寄の場合はどうなんだ? け、決して個人的に知りたいとかではなく、あくまで、健全な発育状況を担任教師として知る必要があってだな……」
「……しません……」
「え? なんだって?」
「し・ま・せ・ん!!……するとしても月に1回程度ですけど……なにか?」
「Excellent !!」
ざわざわざわ……
「……………………」(顔真っ赤)
───────清楚に見せようとして、うっかり失言して赤面したり……
バイト先では───────
これは屈辱といっていいのか母親譲りの端正な容姿と完壁な笑顔の接客も合わさり……
「ご注文を伺います……」
「い、彩葉ちゃんの聖水が欲しいんだなぁ……」
「お客様……当店では生憎そのようなオプションはいたしておりません……」
「(10000円札を三枚ひらひらさせて)ホ別、生3……」
「そ、そのような裏オプションも……さ、さんしぶ……だ、だめです……」(ぐるぐる目)
「そ、その顔……さ、最高なんだなぁ……」
「……くっ!!」
───────常連客のストーカーキモデブチビハゲ中年親父にセクハラされ、こんな底辺弱男なんかの醜い欲望の捌け口になってたまるもんですか、と済ました顔で断るものの、うっかりお金欲しさに尻軽女になりかけたり───────
仮想空間【ツクヨミ】の対戦格闘ゲームKASSENでは───────
「それっ!!」
「ぐえっ!!」
「ふふんっ!!」
《メッセージを受け取りました》
「ん……?」
《kuramochi:いやーお強いですねぇ……声からして10代のピチピチ黒ギャルですかな?》
《NihoheYCY:年齢は合ってますけど、誰が黒ギャルですか。もちろん、白ギャルでもありません。都立■■■高等学校、3年■組出席番号■■番、酒寄彩葉、17歳、現役東■法■部入学目指す学業生活費稼ぐ容姿端麗文武両道の苦学生ですけど何か?》
《NihoheYCY:あ……い、今のは嘘……ログ削除して……》
《kuramochi:それは……大変ですね……ここはひとつモノは相談なのですが……人生は何事も経験です……見ませんか? ■■主■の行きつく果てを……頂■で……天■で……足別、鞭■1》
《NihoheYCY:あのストーカーキモデブチビハゲ以下かよっ!! 逝ねっ!!》
ザシュッ!!
《kuramochi:グエー……なんかありがとうンゴ……》
───────悲劇が回避されたり───────
ちゅんちゅん……
「───────げぇ……こんな時間……」
死んだ様な目で、スマコン外して、ツクヨミプレイ中の乱れた部屋の片付けをして、朝飯、弁当もちゃちゃっと作って、
カチャ
バタン
鍵もかけずに慌ただしく家をあとにして……
「…………」
そんな彼女が出ていくのを建物の物陰で見ていた者有りけり。
カチャ……
こっそり侵入し……
「───────こ、これが……酒寄の……」
寝具とか下着とか歯磨きとか……
「───────くぅ!! 担任してて良かった!!」
息荒くするもの有りけり。
カチャ……
「ぐへへ……彩葉ちゃんはそそっかしいんだなぁ……あ、あるかな……き、黄ばんだ……汚ぱんつ……ぐへへ……」
「…………あ」
「…………ひょぉ?」
「ここンゴ」
カチャ……
「噂通りンゴ……誘っているンゴねぇ…………ンゴ?」
こんなこと流石に今の彩葉には言えません。
彩葉を取り巻く環境は、超無理限界ギリなのです……よよよ……
そして、学校が始まり、
「おはよう!! (セクハラ教師休みなんだ……)」
放課後はバイトに勤しみ、
「いらっしゃいませ! (あの糞客いないんだ……)」
それでも、やっぱり、彩葉は───────
「も……もう……無理……げ、限界……」
───────もう色々と限界に達していた。
「あ、流れ星!! 願い事しなきゃ!!」
そんな周りの声にも反応できないほど、彩葉の意識は虚ろだった。
身体が痙攣し、白目を剥きかけていた。
だから……
バシュッ!!
「うわっ!! 眩しっ!!」
通りかかった何の変哲もなかった大人の玩具自販機がゲーミング大人の玩具自販機に変化しても眩しいとしか思わなかった。
「───────ん? タケノコ型ディルドオナホ? 75円!? やっすぅ~いっ!!」
破格だった。
きっと全然売れなかったのだろう。
彩葉は───────色々と限界に達していた。
オナニーをすると馬鹿になるとの言を真に受け、オナ禁すること、1ヶ月近く。
そろそろ解禁の時期だった。
「………………」
周りを見ると、人々の目は流れ星を探そうと空に向けられていた。
「………………」
ガサ……
カパッ……
チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン……
ポチ……
ガコン……
サッ……
ツカツカツカ……
───────酒寄彩葉はそそくさと立ち去りぬ……
かぐや「…………え?」