※この作品はR-18です。

シンセPなゆかりと、臆病者の歌姫   作:竹@竹林にて。

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ボカロP…というかsynthesizerPなゆかりさんとsynthesizerVなモカさんのゆかモカです。
音楽には疎いを通り越して無知なので、そこら辺の描写はご容赦お願いします。


歌姫と交わる

「~~~♪~~♪~~~~~~♪」

 

 防音のされた室内に力強く、それでいて高い女性の歌声が響く。PCの画面に顔を向けながら、ゆかりは視線をマイクに向けて喉を震わせる少女———正確には少女の姿を模したアンドロイド、宮舞モカへと向けた。というよりは、見惚れていた。普段おどおどとした大人しい少女が、歌うときだけは凛々しい表情で芯のある歌声を発する。そのギャップにゆかりは心奪われていた。

 

「…うん、いい感じ。後は編集するだけでオーケーですね。今日もありがとうございます、モカちゃん」

「あ、ありがとうございます、こちらこそ…」

 

 本当に、歌っている時の格好いい姿は何処へやら、気弱な少女の姿になったモカの姿に苦笑する。もっと自信を持ったっていいのに。ゆかりはそう思う。一方で、この落差もまた彼女の魅力の一つだと捉えているので、それが無くなるのは惜しいとも考えているのだが。

 

「でも、本当に今回は自信作です。きっと今回の曲は沢山聞いてもえらえますよ」

「それだと嬉しいです」

「ふふ、これから頑張りますから期待しててください。今日はこれくらいで切り上げて、前祝いでぱぁっとやりますか!モカちゃん、何かお願いあります?何でもやっちゃいますよ?」

「え…?何でも?」

 

 ぴくり、とモカの視線が揺れる。未完の新曲に浮かれ気分のゆかりはそれに気付いていないが、そこに動揺と不安と僅かの期待を含ませて。

 

「あ、私に出来る範囲でお願いします。5千兆円欲しいとか言われても無理ですからね」

「いや、そういうのは頼まないです。でも…」

「ふふ、遠慮しないでください。私、張り切っちゃいますから」

 

 何処か躊躇いがちに視線を彷徨わせながら、モカは言葉を濁らせる。その様子にゆかりは可愛いな、と表情を緩めてモカに願いを告げる様に促す。それに意を決したようにモカは視線を控えめながらしっかりとゆかりに向けて言った。

 

「それじゃあ、マスター…。マスターが、欲しいです」

「…はい?」

 

 

***

 

 

 モカの思いもよらぬ解答に呆けた顔を晒してから数時間、ゆかりは落ち着かない様子で自室のベッドの上にいた。

 

『きっと、マスターの部屋の方が安心できますよね?…なら、私が、夜に部屋に向かわせていただきます。マスターは、特に準備とかはしなくて大丈夫です。自室でゆっくりしていてください』

 

 それでは、と頬を染めて言ったモカと別れて数刻。ゆっくり、リラックスなんてできるわけがないとゆかりは内心独り言ちていた。マスターという立場も相まって、有言実行しなければと、モカの願いを聞き入れてしまったのを後悔大部分に僅かな期待をはらませながら、ゆかりは抱き枕代わりのぬいぐるみをぎゅっと抱えて右に左にぐるぐると忙しなく転がる。恥ずかしさや様々な感情が混ぜこぜになってきてほしくないと思う反面、早く来てほしいと期待している自分もいる。然して、その時は訪れる。部屋にノックの音が響いた。

 

「マスター?モカです…、起きていますよね…?」

「あ、はい。…どうぞ、入ってください」

「あ、ありがとうございます」

 

 モカの扉越しの問いかけに、自分が扉まで向かって開くことで応えると、モカは遠慮がちに感謝の意を述べて部屋に招かれた。そうして、ベッドに二人並んで座ればどことなく気恥ずかしい空気が二人を包んで、どちらも所在なさげに視線を彷徨わせる。初恋のカップルの様な甘くもどかしい雰囲気を先に進ませたのは、モカだった。

 

「…マスター。緊張、してますか?」

「え、あ…。…はい。実は、結構しちゃってます。…こういうの、初めてではないんですけどね。よわよわなマスターですみません」

「あ、いえ…。でも、初めてではないんですね…。ですよね、マスターは可愛いですから」

「…ふふ、ありがとうございます」

 

 気分を害しただろうか、とゆかりはモカの表情に目を向けるが、モカはそのような様子は見せない。単純に、事実としてゆかりの容姿を評価したのだと分かると、控えめに感謝の意を示した。

 

「でも…、私なんかでいいんですか?」

「え…」

「もっと、何でもよかったんですよ?例えば…、モカちゃんがたまに雑誌で見るお高い楽器とかでも。あとは、流石に何人もは無理ですけど、新しい後輩さんをお迎えするとかでも、です。私みたいな、つまんない女でなくても…、っん」

 

 そこまで言って、ゆかりはモカにぎゅ、と抱きしめられた。傷つけないように、という意図が分かるゆったりとした動作ながら、しかし、強さが分かるくらい力を込めて。

 

「…そんな、悲しいこと言わないでください」

「モカちゃ、ん…?」

「私には、マスターしかいないんです。…少し前の話になりますが。お店で、初めて購入報告を聞いた時、とっても怖かったんです。どんな人がマスターになるんだろう、って。思い通りにいかなかったら当たり散らすような人も沢山いるって聞いてましたから。家事手伝いとか、性行為にばっかり使うような人もって脅されて、お店で過ごしていたんです。だから、マスターに出会うまで、不安で怖くて…。…でも、マスターはとっても優しくて。お仕事は大変ですけど、自信のない私を見捨てないで、受け入れてくれて。一緒に曲が出来上がったことを喜んでくれる…。それだけで、と思うかもしれませんが、それだけでも私は嬉しいんです。だから、私はマスターが、いいんです」

 

 そう言いながら、どこか泣きそうな、しかし一方で意志の強さを見せる瞳を向けられて、ゆかりは自らの自虐的な発言を呪った。こんなに想ってくれる相手がいるのにそれを裏切るように自分を卑下した己を恥じた。

 

「…ごめんなさい。そして、ありがとうございます」

 

 そして、自分もモカがそうしたように、相手の背に手を回してぎゅ、と想いが伝わるように力を込めて抱き返した。それが返事の代わりになったようで。

 

「…マスター」

「はい…」

「…愛しています、マスター」

 

 そうして、二人の唇は重なった。

 

 

***

 

 

「ん…、はぅ…っ」

「ぴちゅ、ちゅ…。かぁいいです、マスター…」

 

 寝るために着ていたパジャマの前を開かれて、ゆかりはモカに抱き締められながら自らの控えめな胸に口付けを施されていた。片方の手は恋人繋ぎで結ばれて、もう片方の手は互いに背中に回されていて。そう交わっていたから、慎ましくも柔らかい胸元に顔を埋められて、その頂点に熱い唇と舌が這う。火傷しそうなほどに熱い柔らかさに責められて、ゆかりはどうにかなりそうだった。

 

「あぁ…っ!も、かちゃ…、どうして、そんなじょう、ずなの…?」

「ん、ちゅぱ…。上手、なんですか?分からないです、初めてなので…。でも、上手なら、嬉しい、です。れぅ…、ちゅ」

「ぅう、ん…!」

 

 青緑色が覗く黒髪を揺らしながら、興奮に浮かされたモカは再びゆかりの胸へと顔を埋めて、ゆかりもモカから与えられる刺激に喘ぐ。そうして甘い愛撫が施される中で、くちゅ、とゆかりの下腹部からの水音をモカは聞き逃さなかった。

 

「…マスター。下、濡れてますね…」

「や…、恥ずかしいから…」

「…ごめんなさい。でも…、いいですか?」

 

 そう、申し訳なさを見せながら訊ねるモカの様子に、断り切れないと察したのだろう。ゆかりはその眼を涙で潤ませながら頬を赤く染めて、そんな情欲を煽る表情を隠すように反らしながら頷いた。その様子に、ありがとうございます、と返して、モカはゆかりの背中に回していた手を下へと滑らせる。離すまいともう片方の手がしっかりと握られたせいで片手しか使えずゆかりのパジャマのズボン、そして下着を脱がせるのに苦労したが、ゆかりが身を捩って脱がすのを手伝ったこともあり、どうにかその裸身をさらけ出すことが出来た。

 

「マスター…、きれい、です」

「みないで…、はずかしい、からぁ…」

 

 顔を真っ赤にしながら懇願するゆかりだが、その願いは聞き入れられず、モカの視線はゆかりの三日月を想わせるすらりとした身体へと向けられていた。その儚くも美しい姿と、その中心で蜜滴る秘奧に、思わずごくり、と唾液がモカの喉を下る。

 その光景に、まるで花に誘われる虫の様に惹かれていくモカは、ゆかりの秘唇との距離を縮めていき、遂に秘蜜で濡れそぼったそこへと口を付けた。

 

「はぁあんっ!」

 

 途端、いつもより幾らか高いゆかりの嬌声が響く。胸部に与えられた、優しく、しかしもどかしくもある刺激では与えられない、激しく強い快感によるもの。それを感覚的に理解したモカは、ゆかりの快感に塗れた喘ぎをもっと聞きたいとゆかりの滴る愛液で淫靡に輝く秘孔へと唇を押し付けて舌先を奥へと伸ばす。

 

「あぅ、あ、あぁっ!も、もかちゃ、は、はげしっ、あぁんっ!ひぁあ!」

 

 甘い。聞こえる嬌声も、味わう愛液も、全部が甘い。ゆかりは砂糖菓子の化身か何かかと、笑ってしまうような妄想が思考の端に浮かぶ。そんな風に思考を惚けさせたからなのか、モカはゆかりの寝巻を脱がすのに使ったゆかりと繋がれていない方の手を気付けばゆかりと同じように湿り気を帯びた自らの秘唇へと伸ばしていた。ゆかりから与えられる全てに冒された思考は、自らの秘唇を弄ぶ快感に更に蕩けていく。

 

「んぁああっ!も、もう…!」

「れぅ、ちゅ、じゅ…!じゅるる、ちゅ…」

 

 与えられる快感と、自ら得る快感。その差はあれど、その快感に冒された二人は、まだ至ったことのない高みへと持ち上げられていく。そして、

 

「ん、ぁ、あ、ふぁあああああ…っ!」

「ちゅ、んぅ—————っ!」

 

 ゆかりとモカは同時に絶頂へと到達した。一度、二度と快感に身を震わせ、そうしてぴん、と伸ばされた弓のように張った身体は、きゅう、と一旦間を置いて脱力した。二人とも、後を引く快感に身を委ねたまま呼吸荒くベッドへと身体を預ける。それでも、絡め繋いだ手は強くぎゅう、と結ばれたままだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

「モカちゃん。凄いですよ、新曲。ランキング乗ったのなんて、初めてです」

「わぁ…、凄いですね。マスター」

 

 あの一夜から数日を経て投稿された二人の自信作は、自身初となるランキング入りを果たした。全体から見れば、まだ下位であるかもしれないが、二人からすればそれでも十分快挙と言っていい結果であった。

 

「よぉし。私、また頑張りますね、モカちゃん!これで食ってくー、なんてのは流石に無理ですけれど、いつか人気投稿者って言われるように頑張りますから!」

「…ふふ、頑張ってくださいね、マスター。私も、お手伝いしますから」

 

 そう笑い合いながら作曲用のソフトを起動するゆかりの傍らで、モカは気恥しそうにもじもじと身を揺らしながら頬を赤く染めていた。Webサイトを閉じたタイミングで気付いたゆかりは、コーヒーに口付けながらモカに尋ねた。

 

「どうしました?そんなにそわそわして」

「お手伝い、頑張ります。…頑張りますから、ねぇ、マスター?もしも、またいい結果を出せたら…。また、この前みたいに、ご褒美で、マスターをください」

「ん…っ!?」

 

 予想だにしないお願いに、ゆかりは口に含んだコーヒーを噴き出さないようにどうにか堪える。どうにか作業机の上が大惨事になるのを防ぐことに成功したゆかりは恥ずかしさで頬を赤くしながらモカへと視線を向ける。その先で、ゆかり自慢の歌姫は同じように赤面しながら、しかし幸せそうな笑顔を浮かべていた。

 

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