※この作品はR-18です。

シンセPなゆかりと、臆病者の歌姫   作:竹@竹林にて。

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欲に任せて、一日遅れて。

『え゛!?ざ、残業ですかぁ…!?』

『ご、ごめん!?でも、結月君が中心になって進めてくれてたプロジェクトだから、正直君がいてくれないと困るんだ…。どうにか頼めないかなぁ…?』

『…はぁ。直ぐに帰りますからね?』

『た、助かるよ!こっちもすぐに帰れるように頑張るから…』

 

 折角の誕生日の帰り間際、無能上司にそう残業を頼まれたのが4時間前。結月ゆかりはいつの間にか姿を消した彼への不満を抱えながらも、喫茶マキへの道を急ぐ。急に雪が降ったら嫌だとヒールの靴を避けたのは少ない幸いだった。それでも時間は9時をとっくに過ぎていて、モカのバイトが終わる時間などとうに2時間近く前の話だ。

 

『実は…六花ちゃんに誘われて、マキさんの喫茶店でバイトしたいなって思うんです…。い、いいですか?』

 

 欲しいものがあるならお金くらい出しますよ、と言うゆかりの返答も遮って『ば、バイトを体験したいんです!お願いします!』と必死という言葉が相応しい勢いで頼み込むモカに根負け、と言うほど悩むこともなく了承して今日もマキの元で働くモカを迎えに行こうと年甲斐も無く夜道を走って漸く明かりの灯った喫茶店の前に辿り着いた。

 

「も、モカちゃん!お待たせしました!」

「お、おわぁっ!?い、いらっしゃいませ、ゆかりさん!お疲れ様です!」

「え?き、きりたん?今日バイト?」

「まぁ、クリスマスに年末年始と連日混み合うだろうってことで今日から年明けまで臨時で入ってるんですよ。東北に帰っても家の手伝いで大変ですから予定があった方がかえって有難いですしね。…で、ゆかりさんは今更なんでこの店に来てるんですか?」

 

 驚きを立て直し空いた皿の乗ったトレイを手にじとりとした視線を向けるきりたんに怯みながらも、ゆかりは店内に視線を向けてモカを探す。しかし、如何にも女の子な様で意外にもウェイター服の似合うモカの姿は何処にもない。

 

「も、モカちゃんは奥ですか?バイトはもう終わってますよね?」

「はぁ…。宮舞さんならすぐに帰りましたよ?今日誕生日の癖に残業する事になった誰かさんを祝う準備をするつもりの様でした」

「…ぇ、えぇっ!?LINEとか電話、飛んできてませんでしたよ!?」

「そんな訳無いでしょう?宮舞さん帰りがけにLINE飛ばしてましたから。スマホ見てくださいよ」

「そ、そう言われても着信音も何も…」

 

 そう呟きながら、コートの下に腕を潜らせてスーツのポケットからスマホを取り出したゆかりはその表情を凍らせた。ぴしり、と固まったゆかりの様子に疑念を抱いてスマホを覗き込んだきりたんの表情も歪む。充電切れを示す0%のバッテリーが画面の中央を支配していた。

 

「…今すぐ、帰って謝ってきます」

「照り焼きチキンなら10分で出せますよ?マキさんに事情話して早めに拵えてもらいますから、機嫌取りに買っていったらどうですか?」

「…じゃあ、お願いします」

 

 10分後にチキンと共に「お前は馬鹿だ」と親友の怒声を受け取り、ゆかりは今度は家路を急ぐ。少しばかり足取りが重く感じられたが、家で準備をして待ってくれているらしいモカを待たせる訳にはいかない。誕生日に謝罪から始まるのも様にならないが、それもこれも自分の落ち度などだ。甘んじて受け入れよう。そう覚悟を決めて漸く辿り着いたマンションの一室の前で呼吸を整えて扉を開けた。

 

「た、ただいま帰りました〜…」

 

 時間も時間だからと少し誤魔化してそっと入った玄関に明かりは付いていなかったがリビングからの光のお陰で薄暗い程度で済んでいた。しかし、光の差し込むリビングの扉が開く気配は一向に無い。これは相当怒らせちゃってるな。玄関で少しの間都合のいい期待を抱いていたゆかりは観念したように靴を脱いでリビングへと向かう。

 

「…モカちゃん、申し訳ございません。凄く、遅くなっちゃいました」

 

 謝罪と共に扉を開けば冷えた頬を暖房の風が撫でる。それに僅かばかりの心地良さを覚えながら視線を彷徨わせれば、普段食事や作業で使うリビングチェアにモカの姿は無く、代わりに扉から見てその奥のソファに体を沈めて眠っていた。部屋着の柔らかなスウェットに普段は自分がよく使っているブランケットを被ってローテーブルにはマグカップが置かれているところを見るに随分寒い思いをさせてしまったらしい。申し訳なく思いつつも、何処かの上司のせいで心寒いのはこちらも同じだ。ゆかりは温めたくて、温まりたくて、くぅくぅと可愛らしい寝息を立てるモカの肩を叩く。

 

「ん…、んぅ…?」

「モカちゃん、ただいま帰りました。…遅くなっちゃって、ごめんなさい」

「…あ、マスター。おかえりなさい」

 

 目を覚まして自身の姿を確認したモカの笑みがあまりに柔らかく暖かくて、ゆかりは沢山の安心とそれを遮るような冷たく刺す胸の痛みを覚えた。そんな気持ちに気付いているのかいないのか、モカは帰ったばかりで冷えたゆかりの手を優しく包んで自らの頬にそっと添えさせる。やはり冷たいのか、ぶるりと身を震わせた。

 

「うわ、冷たい…。こんな夜遅くまでお疲れ様でした、マスター。お腹空いたでしょう?今日のご飯はいつもより豪華に出来るように頑張ったので、楽しみにしててください。勿論、ケーキもありますからね?」

「あ、ありがとうございます…。…ね、ねぇ、モカちゃん…。怒ったりとか、してないんですか?」

「ふぇ?何でですか?」

 

 立ち上がり相変わらずの笑顔を向けるモカの様子にやや怯みながらもゆかりは尋ねる。仕事で待たせた責任を有耶無耶に流すという選択肢はゆかりには無かった。

 

「いやだって…。こんな遅くまで残業した挙句に連絡するのも忘れちゃって…。スマホの充電切らすなんて馬鹿な真似やっちゃいましたし…」

「あぁ、そんな事ですか?気にしませんよ?マスターが私を裏切らないことなんて分かってますから。どうしても帰れないくらい、連絡も出来ないくらいに忙しいんだろうなって。…まぁ、少し寂しかったのは本当ですけど。でも、それだけです。マスターを待てるのだけでも結構幸せなんですから」

 

 ほら、早くご飯食べましょう。そう続けてキッチンへ向かおうとする背中があまりに眩しく見えて、ゆかりは衝動のままにモカを後ろから抱き締めた。

 

「…もう。今日は随分甘えたがりさんですね」

「…はい。それもありますし…、こんなにいい子がそばに居てくれて嬉しいですし…、そんな子に怒られるかもなんておっかなびっくりしてた自分が情けなくもありまして…」

 

 抱き締めたまま肩口にぐりぐりと押し付けられるゆかりの頭を優しく撫でながらモカは苦笑する。そのまま慰めて一緒にご飯を食べる選択肢も当然あったが、かれこれ2年ほどの時間をゆかりと共に過ごして彼女のモカに甘い性格や強かな振る舞い方、何よりゆかりに“そういうこと”をしてやる嬉しさを学んだモカは悪戯っぽく微笑みを浮かべると少し緊張しながらも口を開いた。

 

「…じゃあ、マスター?ひとつ、私のお願いを聞いてもらっても、よろしいでしょうか…?」

「んぅ…?いい、ですよ?私に出来ることであればですけど、やれるだけのことは何でもしてあげます」

 

 頭を撫でられながらゆかりはモカのお願いを承諾した。モカからすれば有難くはあるが同時に悪癖であるとも思う。自身が純真無垢であるとでも思っているのか、ゆかりはモカのお願いを内容も確認せずに承諾する。この癖が自分だけならまだいいが、他の誰かにもある様なら何かしら言い聞かせる必要があるのではと分不相応な心配が湧いてくる。

 しかし、それは置いておいてだ。承諾を受けたのなら遠慮する必要も無いだろう。緊張を和らげる為に、ついでに期待も含めて唾を飲み込むと、モカは自身の身体に回されたゆかりの腕を優しく解いてゆかりに向き直る。腕を外されたことで少々の焦りを覚えたゆかりであったが、今度は向き直ったモカの妖しげな微笑みにぞくり、と気温とは異なる寒気を感じた。

 

「…ゆかりさん」

「…っ!?も、モカちゃ…、んぅ…っ!?」

 

 モカにマスター、ではなく名前を呼ばれてゆかりはびくりと背を跳ねさせた。感情が高まるとモカはゆかりのことを名前で呼ぶことがあり、ハロウィンのひと時など最近は特に顕著だった。そしてちらりと覗かせた妖艶な笑みと合わせて“そういうこと”への警戒と僅かばかりの期待がまさかとゆかりの脳裏をちり、と焼く。しかし、少なくとも警戒するには少々遅かった。身を離す隙など与えない手早さでモカはゆかりの頬を包む様に手を添えると、そのままの勢いで唇を重ねる。少しカサついた自身の唇に押し当てられたモカの唇は柔らかく、微かに香るモカ自身の優しく甘い匂いにゆかりは先程までの警戒も緩みつい心を跳ねさせた。その気の緩みを見逃さずモカは頬に添えていた手をゆかりの頭と背中に回して強く抱き締めると、その勢いに身を任せてゆかりの唇の隙間目掛けて舌を突き入れた。

 

「んむぅっ!?ん、ふ、ちゅ、ふぅ…っ!」

「んむ…、れる。ちゅ…、ちゅる、ふ…」

 

 ときめきめいた胸の高鳴りを覚えていたゆかりが突然自身の口内に侵入してきたモカの舌から逃れられる筈も無く、自分の舌に絡み付く温かく湿った柔らかさを、二人の柔舌が絡み合うことでもたらされる脳をパチパチと焼く快楽を感じて頭も身体も痺れさせてしまう。一方で快感を与える方のモカもゆかり同様に快感と慮り混じりの征服欲が頭の奥で電流の様に弾けるのを感じながらもっと、もっととゆかりを気持ちよさの海に沈めていった。

 

「ちゅ、れ、ぇ…。れろ、じゅ、じゅる…。は、あ…」

「ふ、ぁ…、あぁ…」

 

 そうして次第に冷え切った身体に熱が入り、その火を灯した快感によってゆかりが涙を溢れさせて自身の身体の支えが立つのに欠かせないくらいに蕩けてしまったのを確認して、モカは満足そうにゆかりの口内から舌をゆっくりと引き抜いた。吐息を漏らしながら快感で虚ろわせられたゆかりは、迎え入れた当初は僅かに低かった、今では殆ど同じくらいに背を伸ばしたモカに力の抜けた身体を預けて絶え絶えの息を整える。しかし、モカはまだまだゆかりへの奉仕をし足りないようで、力が入らないゆかりの様子を確認すると痩身で軽い彼女の身体に手を回して持ち上げた。

 

「ひやぁ…っ!?も、モカちゃん…!?」

「うわ、軽…。普段から結構言ってますけど、もっとちゃんと食べないと駄目ですよ?」

 

 軽いとは分かっていたが思っていたよりもずっと簡単に持ち上げられた身体に達成感よりも先に心配を覚えながら、モカはゆかりを両手で抱え上げてリビングの明かりも暖房もそのままに自身の部屋へと向かう。廊下を通り過ぎ訪れたモカの部屋はやはり少々冷んやりと肌寒い。だが構うものか。どうせこの後で暑いと思うくらいに温め合うのだから。モカは少々乱暴に思考を巡らせながらもゆかりのことは優しい所作でベッドに横たわらせた。

 

「え、えーと…。モカちゃん、お願いってなんですかね?ちょっとマスター分からないかなーって…」

「…ふふ。意外とゆかりさんって嘘つくの下手ですよね?分かってるくせに…」

 

 誤魔化すように強張った笑みを浮かべる自分を躱して不敵で妖艶な笑みで返すモカにゆかりも流石に不安が勝ったのだろう、先程まで快感で痺れていた思考を無理に起こして口を開いた。

 

「ちょ、ちょっと落ち着いてください!そんな、恥ずかしいですけどそれくらいのお願いなら何時でも聞いてあげますよ…!?なんで、いきなり…!?」

「でも、何時でもっていう割には最近やれてなかったじゃないですか?ハロウィンの日に帰ってから抱かせてもらってそれきりです。まぁ、期末テストだったりゆかりさんの年末のお仕事だったりでお互い忙しかったから仕方ないですけれど。でも、そろそろ私もゆかりさんを抱きたいです。ゆかりさんの細いのにちゃんと柔らかい綺麗な身体に触れたいです。ゆかりさんの高くてよく響く喘ぎ声を聞きたいです。…お願いします。ちゃんと、気持ちよくさせて頂きますから」

「う…、〜〜〜…っ!…わ、分かりました。出来ることなら何でもやるって言ったのは、私ですし…。で、でも…」

「でも…?」

「…は、激しくし過ぎちゃ、駄目、ですからね…?」

「…っ!は、はいっ!…改めて、よろしくお願いします、ゆかりさん…!」

「んぅ…っ!ちゅ、は、ぁむ…!」

 

 覚悟を決めながらも囁く様に零されたゆかりの願いであったが、モカには甘く蕩けるような誘い文句にしか聞こえなかった。最後に身体を重ねてからおよそ2ヶ月、忙しさの中では忘れつつも意識した途端に渇望を覚えたゆかりの柔らかさが、甘く高い嬌声が目の前に、触れられる距離にある。ぐっと生唾を思わず飲み込んで、モカは甘くそれでいて熱情に満ちた口付けをゆかりの唇に落とした。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「んむ…!ふ…、ちゅ、ちゅる…っ!あ…っ」

「はぁむ…。ん、ちゅ…。ふふ、ゆかりひゃん…。れぇ…」

 

 ねっとりとした水音を奏でながら控えめながらも伸ばされるゆかりの舌を自身のそれで絡め取りながら、モカは寒さを凌ぐ為に身につけていたゆかりの厚着を少々苦労しながらも剥ぎ取っていく。いつもより僅かに時間をかけてヒートテックのインナーとワイシャツを脱がせると相変わらず細身の身体が露わになる。モカの視界に晒されたその身体は肉付きが薄いのに手を這わせれば確かな柔らかさを伝えてきて、モカは思わずくらりと目眩がしそうな心持ちになった。ゆかりの薄くも柔らかな腹部を撫でていたモカはその手をつぅっと上へとなぞりあげて上半身に唯一残されている下着に包まれた胸へと辿り着く。

 

「ふぅ…っ!ふ、ぁ…!」

「ん、ふ…。…ぁは」

 

 自覚した途端に理性を急速に焼き焦がす情欲に従うままにモカは下着の上からその右胸の中心に人差し指の指先を押し当てる。的確に捉えた胸の先端はぷくり、と膨らんでいて与えられる快感を今か今かと待ち侘びているようだった。そこに押し付けられた指先の刺激にゆかりは身体を震わせて重ねられていた唇も離してしまう。離れた唇に少々の名残惜しさを感じつつもモカは相変わらず敏感なゆかりの身体に嬉しさを感じると共に燃え上がろうとしていた獣欲をこれでもかと刺激されて静かな獰猛さを秘めた笑顔を浮かべてしまう。その表情をすぐ近くで見ることになったゆかりも被虐的な悦びに思わず身体の奥の疼きが一段と熱く激しいものになるのを感じていた。

 

「気持ち、いいですよね?ゆかりさん…。感じてくれてるようで、嬉しいです」

「や、ぁ…。恥ずかし…、んぅ…っ!」

「恥ずかしくなんかないですよ…。とっても綺麗で、美味しそうで…。私、我慢できそうにないです…!」

「あ、ひゃ…!も、モカちゃ…、ぅひゃ…っ!?」

 

 恥ずかしがるゆかりの気持ちを知ってか知らずか彼女への賞賛を返事としたモカは胸を突いた方ではない、ゆかりの背中に回っていたモカの手が密かにゆかりの下着のホックを外す。そうして緩く纏うだけになった下着の隙間に差し込まれた手がゆかりの控え目ながらも確かな柔らかさを秘めた胸を包む。年相応に性に対する好奇心を隠し持っていたモカによって確実に快感に慣らされた胸部はそれだけの刺激も微かな驚きと共に気持ちよさを拾い上げて小さな悲鳴が漏れた。それがどうにも可笑しくて小さく笑いを浮かべたモカは、下着の下に埋めた手で下着を押し上げ隠された胸元を露わにするとその丘陵へと顔を寄せた。

 

「綺麗…。先っぽも少し膨らんで色付いて…可愛い…、です。んっ…、はぁむ…」

「んぅ…っ!あっ…、あ、あぁん…っ!」

 

 ゆかりが隠していた丘陵に僅かな間見惚れていたモカは辛抱たまらないと言うようにその頂上で色付き始めていた蕾を口に含み舌先で転がした。もう一方の膨らみも、パン生地を捏ねるよりも優しく撫でるように揉みしだく。ただでさえ快感に弱いゆかりの身体は、その上心を許しきったモカが与える愛撫を当然の様に心地よく気持ちいいものだと受け入れて余すところなく快感を拾い上げる。そんなことをすれば敏感なゆかりが耐えられる筈もないなど道理のことだった。

 

「んぁ…!ひ、ひぅ…っ!ん…!も、モカ、ちゃ…!ぁ、ら、だめ…っ!」

「ん、ぴちゅ…、ふあ…。もしかして、もう、イきそうですか…?」

「…っ!…は、はい…っ!」

 

 既に快楽と興奮を煽られて色付いた頬を羞恥で更に赤く染めながらゆかりは視線を逸らしつつも頷いてモカの問いを肯定した。そんなゆかりの様子がいじらしくて堪らないモカは知らず知らずの内に意地悪げな笑みを浮かべて口を開く。

 

「可愛い…。…じゃあ、一回イっちゃいましょう?ちょっと強くしますね。んむ、じゅるる…!」

「ひぃん…!?ゃ、やめて…!は、恥ずかしい、からぁ…っ!あ、あぁっ!うぁあんっ!」

 

 再びゆかりの胸元に顔を埋めたモカは宣言通り責めを強くする。舌先で膨らんだ乳首を弾くのに加えて口内全体を使う様に意識してゆかりの滑らかな乳丘を吸う。それまでは緩く揉みしだいていただけだった掌もその頂点の蕾を柔肌に押し込んだり、かと思えば中央に寄せる様に乳房を揉みあげて顔を出した乳蕾を指先で転がしては器用に人差し指と中指の指先で摘み上げる。愛情はそのままに激しさ強さの増した快感に元より敏感な身体を拓かれていたゆかりが耐えられる筈もない。そう間を置かずに瞳を潤ませたゆかりが喘ぎ声の間に声を漏らす。

 

「ぁ…、は、ひぁ…っ!モカ、ちゃ…!も、もう…!」

「ふふ、いいですよ。イっちゃてください?あぁ、んっ」

「ひ、いぃ、くぅぅん…っ!?」

 

 それまで唇で挟みながら舌先を滑らせるだけだった口淫を甘噛みに変えてモカはゆかりの蕾を歯の先で摘み取る。もう一方も指先で一際強く摘みながらぎゅ、と空へと引っ張り上げた。それまででも充分に昂っていたゆかりはその刺激で微かに身体を強張らせて弛緩した。

 

「ふふ、気持ちよかったですか?ゆかりさん」

「…っ。…は、はい…」

 

 額に少しばかり汗を滲ませたモカが笑顔で尋ねてくるのに酷く恥ずかしい思いがして一瞬言うのを躊躇いはしたが、ゆかりは期待に満ちた眼差しに根負けして素直に返答した。恥ずかしいことには変わりないので視線を逸らし表情も腕で隠しながらの回答であったが、それがかえっていじらしさを演出したようでモカの興奮を静かに煽っているのにゆかりは気付いていない。

 

「じゃあ、今度はこっち…ですね」

「…っ!ちょ、ちょっと待って、モカちゃん…!」

「大丈夫、です」

 

 それまで労わるように胸元で躍っていた手が背中に回されていた方の手と一緒にまだ身体に残されていたスラックスへ向けて下半身へと伸ばされたことに一寸遅れて気付きゆかりは静止の声を上げる。しかし、確かに興奮を煽られて理性のストッパーが役に立たなくなりつつあるモカは返答にも心許ない言葉だけを紡いでゆかりのスラックスに手を掛けた。快楽で蕩けつつも羞恥心から抵抗を見せようとするゆかりであったが、軽い絶頂に飛ばされた意識と身体は甘く痺れていて、その緩慢な所作では淫熱に冒されたモカの性急な動きを捉えられるはずもなかった。手早く臍の下の留め具を外されて降ろされたスラックスの奥に残された大人の女性を演出するかのような黒の下着の中央にモカが指を這わせばぴちゃりと微かな湿り気の音が響いた。

 

「んぅ…っ!あっ…」

「すごい、濡れてますね…」

「…っ」

「そんなに気持ちよかったんですか…?キスとおっぱいだけでこんなになっちゃったんですか…?」

「…い、言わないでください…」

「嬉しいです…。私、ちゃんとゆかりさんのこと気持ちよくしてあげられたみたいで…」

「は、恥ずかしいですって…!うぅ…、だから、待ってって言ったのに…」

「いいじゃないですか…、もっとゆかりさんの気持ちよくなってる姿、見たいです」

 

 想い人のあられもない姿に興奮を隠せないモカは無意識の内にゆかりの羞恥心を煽る言葉を次から次へと向けてゆかりの頬を染めては恥じらいの涙を溢れさせる。モカからすればゆかりを気持ちよくさせられた喜びからの声ではあるのだが、それは理解できてもゆかりからすれば自分の痴態を嬉々として実況されているようなものだ、いたたまれないことこの上ない。そう羞恥に埋もれて今にも消えてしまいたい思いのゆかりであったが、まだぴりぴりと肌が粟立つ腰元にモカの手が優しくもしっかりと添えられた感覚に思わず身体を跳ねさせた。

 

「ま、待ってください…!」

「? どうしましたか、ゆかりさん」

 

 黒い下着の締め付けに差し込まれたモカの手をゆかりは震える手で握る。握る手には力も碌に入ってはいなかったが、モカの手はそこでぴたりと止まった。

 

「こ、これ以上は駄目です…!恥ずかしくて、私の心臓が持ちませんから…!」

「恥ずかしがらなくていいですよ?私しかいないじゃないですか…」

「で、でも…」

「これまでも、何度も身体を重ねさせてもらってますし…。今更恥ずかしがる関係でもないでしょう?」

「そ、それでも…。だって、私はこんなんでもマスターで…。だから、少しでも格好付けたいんです…!」

 

 思いの丈をぶつけてどうにかモカを説得しようとゆかりは試みる。それにひとつ逡巡する様子を見せるも、強かにもモカは口を開いた。

 

「…どうしても、駄目ですか?」

「は、はい…!」

「…嫌、ではなくて?」

「…っ!?」

 

 思考の死角から貫くモカの呟きにゆかりは真っ赤に染まった顔に驚愕と羞恥、それに無意識に(或いは意識的に)封じていた今まで以上の快楽への期待が僅かに入り交じった強張った表情を浮かべてぱくぱくと口の端をひくつかせるのをしたり顔でモカは見つめる。しかし、それも僅かな間だった。

 

「やっぱり…。嫌、ではないんですね?…安心しました。ゆかりさんに嫌な思いはさせないで済んだみたいですから…」

「い、いや…、でも…」

「…安心してください。ゆかりさんの嫌なことをするつもりなんて毛頭ありませんから。私はゆかりさんが心に望むことをしてあげたいだけです。…だから、私に身を預けてくれませんか?ゆかりさんを、もっと気持ちよくさせてあげたいんです…」

 

 それまでの何処か悪戯っぽい笑みを緩めて代わりに大切な人を安心させる為の優しい笑みを浮かべてモカはゆかりに言葉を紡ぐ。少しの間視線を彷徨わせては小さく唸るゆかりであったが、覚悟を決めた様でモカの手を包んでいた自身の手をゆっくりと外した。

 

「…分かり、ました。もう、モカちゃんの好きにしてください。…信頼、してますから」

「…!は、はい…!安心してください…!ちゃんと、気持ちよくさせてあげますから…!」

 

 ゆかりの視線を外しながらではあるものの確かに覚悟を決めて口を開いた様子に、心の何処かで拒絶されるのではという不安を抱えていたモカもその不安を払拭されて自信を得ることが出来、実際有り得もしなかった不安からより快感を与える覚悟にシフトした思考の赴くままにモカは湿り気を帯びたそれだけで淫靡さを醸し出すゆかりの黒い下着を降ろす。やはり恥ずかしさはあるのか僅かに閉じられたしなやかなゆかりの脚に手を這わすとモカは少々の申し訳なさを覚えつつも大胆に左右に開いて太腿に隠された脚の中心を眼前に晒してみせた。

 

「…っ!」

「…綺麗、です。ゆかりさん…」

「…そんな簡単に、褒めないでください…。恥ずかしいんですって…。」

「ご、ごめんなさい…。…でも、仕方ないじゃないですか…。本当に、綺麗なんですから…」

 

 恥ずかしそうに瞳を一層潤ませるゆかりに謝りつつも、仕方ないじゃないかとモカは開き直るほかなかった。脚の付け根、ゆかりの中心、先程までの快感で既に潤いを得たゆかりの秘奥は微かに灯ったベッドライトの明かりを受けててらつき誘蛾灯の様にモカの情欲を煽る。角度の恩恵こそ受けられないが肉華が蠢く度に妖しく誘う秘唇にモカの視線は釘付けで、ゆかりの卑下とも謙遜ともつかない言葉も半分は届いておらず誘われるままにモカは顔を寄せる。そして、

 

「あ、美味しそう…。はぁ、む…。ちゅる、じゅ…!」

「んうぅ…っ!?」

 

 鮮やかに色めく秘唇にモカは自身の舌を突き入れる。覚悟はしつつも想定外に強い急所への快感に身体を跳ねさせて呻きとも喘ぎともつかない声を漏らしたゆかりの様子に目眩を覚えて、モカはもう半分は夢中になって不思議と甘く感じる愛液をもっと味わおうと舌先を伸ばしては膣壁の襞を前後に擽る。

 

「ぁ、はぁ…っ!ひぅ…!も、モカちゃ…!は、激しい、です…!」

「は、ぁ…!ちゅ、れる…、んちゅう…!ぁ、ふぁ、は…!ゆかりさん…!ゆかりさんの、愛液…!んじゅるるぅ…っ!」

「ひゃぁああ…っ!モカ、ちゃ…!ま、待って…!強す、ぎ、ぃ…!き、気持ちいいよ、ぉ…っ!」

 

 切れ切れの息で自身の身体を貫く遠慮ない激しい快楽の余りの強さを訴えようと喘ぎ混じりにゆかりは口を開こうとするのだが、半ば中毒めいて欲望のままに秘蜜を啜るモカは辛抱ならず片方の手の人差し指を腟内に埋めてざらりと感触の違う弱いところを擽るように刺激する。その上もう一方の手は自身が思うよりもずっと重ね合わせた身体の覚えた秘芯への刺激を導き出す。想い人たるゆかりへの慮りが潰したり引っ張ったりといった乱暴とも言える責めを誘引せずに指先で撫でるように転がしたり優しく摘んだりといったソフトな責めに甘んじこそしたが、元より敏感で快感に屈しやすい身体の中でも一層弱々しい腟内を舌先と指先で責められているのだ。如何に甘く優しい責めであっても蜜壷の内側を弄られた挙句にその蜜壷の何処よりも快感に弱い神経の集中点たる秘芯を同時に責められて無事な、快感に当てられずに正常を保てる人間などそうはいないだろう。ただでさえ敏感な身体を拓かれもして快感に弱くなったゆかりが耐えられるはずもない。びくん、びくんとモカの舌が、指先が動く度に身体を跳ねさせては短く高い響く様な悲鳴を喉から、快感の涙を眦から零す。限界が訪れるのにそう時間は掛からなかった。

 

「ぁ…!も、モカちゃん…!ご、ごめんなさい…!も、もうイっちゃ…っ!」

「…!ゆ、かりさん…!ゆかりさん…!んちゅぅ…!じゅ、じゅるる…!ちゅ…!」

「あ、はぅ…!ひぁあ…っ!」

 

 思ったよりもずっと強い快感にすぐそこに限界を感じたゆかりが喘ぎの間にそれを伝えれば、感極まった様に名前だけ呼んでモカはゆかりの蜜壷に一層強く口付け舌先で腟内の弱点を擽った。その間も秘奥を掻き出し秘芯を爪弾く動きは収まらずむしろ興奮に押されて激しさを増すばかりで、何時にも増して激しく甘いモカの責めに普段の責めでも蕩かされるゆかりが耐えられる筈もなく頂上へと押し上げられる。

 

「ぁ、はぅ…っ!も、モカ、ちゃ…!ん、ぅ、〜〜〜〜〜〜っ!!」

「んぅ…っ!?ぁ、は、ぁはぁ…っ!」

 

 閾値を超えた快感に頂へと導かれたゆかりは身体を跳ねさせて仰向けの体勢から耐え切れずに秘奥から潮を吹き出して、脚の間に顔を埋めていたモカの顔にも身体にも遠慮も出来ぬままに降り掛ける。人によっては忌避感も覚えかねない放出されたゆかりの秘蜜をモカは恍惚とした表情で受け止めると頬に掠めた愛液を舌を伸ばして舐め取る。酸っぱいか潮めいた味がするらしいが、モカにはそれがゆかりから溢れ出たものかと思えばそれだけで甘く喉潤しいものの様に感じられて、叶うならば興奮で干上がりかねない程に甘露を求める喉をそれだけで満たしたいと思うほどに思考を冒されていた。

 

「は、ぁ、あぁ…!美味し…」

「ぁ、や、ぁ…!も、モカちゃん…、馬鹿…!こんなの…、恥ずかしすぎます…!も、ぅ…っ!」

 

 快感に脳の殆どを冒されながらも辛うじて残った理性で恥ずかしさを誤魔化すように絶え絶えの息を抑えながらゆかりは苦言を漏らす。その非難も真っ赤に染まった頬に耐えられない快感から涙を零すその表情では罵倒をしたいのか快感に溺れたのを実況したいのかも定かではなく、ゆかりはただ無防備に据え膳と受け止められても仕方ない姿を晒す他なかった。その見る人によっては絶景極まりない光景を、モカは欲情と共に自身の女性としての特性で受け止めながら僅かに切れ切れた息を抑えながら熱情で満ちた視線をゆかりに向けた。

 

「んぅ…?も、モカちゃん…?」

「は、ぁ…。ご、ごめんなさい…、ゆかりさん…。私、もう、我慢できないかも、です…」

 

 そう、隠し切れない興奮を言葉の端々に滲ませたモカは少し躊躇いながらも意を決した様に身に付けていた柔らかそうなスウェットのズボンを降ろした。その下に現れた色素の薄く飾り気の少ない下着の中央はじわりと染みが出来ており、耳をすませば微かに水音も聞こえてくる始末で、モカがゆかりの痴態に興奮を煽られて下着をしとどに濡らしていたことをこれでもかと示していた。

 

「ごめんなさい、ゆかりさん…。私…、もう、こんなになっちゃいました…」

「ぁ…。ぅ、れしいです…。私なんかで、そんなに興奮してくれたんですね…」

「…そんな言い方、しないでください。私にはゆかりさんが一番なんですから…」

「…ふ、ふふ。ごめんな、さい…。じゃ、じゃあ…。モカちゃんも、気持ちよく…、…っ」

 

 恥ずかしいのかそれまでゆかりがやっていたように視線を逸らすモカの様子に庇護欲を刺激されたゆかりは今度は自分がモカを気持ちよくさせてあげる番だと気持ちを立て直そうとするも、それまでの快感で脚腰はおろか上半身もまともに機能する気配もない情けない自身の身体にいたたまれない気持ちでゆかりは心を侵された。そんな悔しさで心を支配されるゆかりを気遣ってかモカは劣情で歪んだ顔に柔らかな、それでいて何処か不敵さも感じさせる笑みを浮かべてゆかりに語りかける。

 

「ご、めんなさい…、ゆかりさん。勝手かもしれないですけど…、ゆかりさんの綺麗な身体を使って…、気持ちよくなってもいい、ですか…?」

 

 その言葉とほぼ同時にモカは飾り気のない下着を降ろしながら期待を宿した視線を確かに向けるものだから、言葉はどうあれモカの獣欲に冒された本能は過程はどうあれゆかりと共に快感に溺れることを望んでいることはゆかりの快感で冒されつつある思考でも容易に理解できた。

 

「ぃ、いいですよ…?これまで、我慢してた分、モカちゃんも…、溺れちゃうくらいに、気持ちよくなって…!」

「…っ!あ、ありがとうございます…!ゆかりさん…!…で、でも…!ゆかりさんも、もっと気持ちよくして、あげますから…っ!」

 

 そう切羽詰まったような絶え絶えの呼吸をゆかりの耳元に添えるモカはゆかりのしなやかな脚の片方を持ち上げるとその脚を自身の肩に担ぎ、びしょびしょに愛液を溢れさせるゆかりの秘所に同じくらいに濡れそぼった自身の秘唇を寄せてモカは二人分のしとどに濡れた秘所を重ね合わせた。

 

「んぅ…っ!?」

「んぁ…っ!?ゃ、ぁ、あぁあ…っ!?」

 

 初めて体験する快楽に身構えていたモカでさえ濡れそぼった急所が重ね合わせられる快感に思わず声を漏らしたのだ、知識もなく真っ白な思考で快感に晒されたゆかりが耐えられるはずもない。高く響く、それでいて彼方に消えていくような心許ない嬌声だけ零してゆかりは快感に身体を跳ねさせて涙を溢れさせた。

 

「んゃ…っ!あ、あぁ…っ!は、ははっ…!気持ちいい、気持ちいぃですね、ゆかりさん…!」

「や、ぁ、だ、だめ…っ!あ…っ!は、ひやぁ…っ!き、気持ちよすぎるの、だ、だめ、ですぅ…っ!」

 

 重ねあった鼠径部を前後に打ち付けて、湿り気を帯びた二人分の急所が擦り合わせられる未知の快感に覚悟はありつつも身体を震わせざるを得ないモカは飛びそうになる意識を繋ぎ合わせようという甘やかな考えに従って密かにゆかりの両手を交わし合う恋人繋ぎに自分とゆかりの手を重ねて繋ぎ止めた。

 

「は、ぁ…!き、気持ちいい、ですね…!ゆかり、さん…!」

「ぁ、だ、だめ…!これ、だめ…!おか、おかしくなる、からぁ…っ!」

「…ぁは…!いいんですよ…、ゆかりさん…!もっと、おかしくなっても…、一緒に…!」

「ぅ、うぁあぁん…っ!」

 

 ぱちゅんぱちゅんと濡れそぼった秘洞の入口が水音を弾かせながら響き合う快音が肉体的な快感と共に聴覚を冒す。どれほど快感に溺れまいとしても鳴り響く水音が身体を襲う気持ちよさを想起させて二人の理性を侵食する。快感に脳を灼かれるモカの腰遣いは大胆さを増すばかりで、ゆかりも腰遣いに比例するように強くなる快感にただでさえ情欲に溺れさせられた脳を更に灼かれ、それまで理性が押しとどめていた密やかな願いが顔を出した。

 

「はぁ、あ、あんっ…!も、モカちゃ…!」

「んぅ…っ!ふ、ぅ…!なん、ですか…?ゆかりさん…!」

 

 ゆかりがモカの名前を呼ぶ。半ば夢見心地で腰を跳ねさせていたモカがどうにか意識を引き戻し自身の下で快感に喘ぐゆかりに視線を向けた。

 

「か、顔、見たいです…!お、お願い…っ!んぅっ!ちゅ、ちゅーして…っ!」

「…っ!は、はい…っ!ゆかりさん…!はむっ…!ちゅ、んぅ…っ!」

「んっ…!ちゅ、れる…!もか、ひゃ…!」

 

 そんなささやかであまりに甘いゆかりの願いに興奮と快感で蕩けていたモカの理性と心は容易く射抜かれて、衝動の赴くままにゆかりの望み通りにその唇を噛み付く様に奪う。当然の様に舌を絡ませ熱情を交わし合う。それまでなすがままだったゆかりも飛びそうになる意識を繋ぎ止めながらモカを気持ちよくしてあげようと舌を伸ばしてモカのそれと重ねた。それを感じ取ったモカも余りの嬉しさに感極まった涙が微かに零れ落ちた。愛しさに任せて搔き抱く様にゆかりの頭と首に腕を回して包み込む。ゆかりもモカの背と頭に手を回してぎゅっと抱き締めた。拒むものなど無い。あとは熱情と情欲に従うだけ。

 

「ん、ちゅ…!ぁ、はぁ…!好き、好きです、ゆかりさん…!愛してます…!一番…!世界で一番…!誰よりも…!んむ…!」

「ん…!ちゅ、は、ぁ…!わ、わたしも…!すき…、だいすき、モカちゃん…!」

 

 口付けの最中にも愛の言葉を交わし合いながら、モカは快感の涙でいっぱいのゆかりと自分を頂に導こうとそれまでの腰遣いを一層激しくする。叩き付ける様に、擦り付ける様に。水音を大きく響かせながら快感の海に意識を押し沈める二人の脳裏にぱちぱちと雷光が弾けていく。意識が痺れを訴えてきて、それでも快感と愛情を得ようとするのは止められない。二人の限界はもうすぐそこだった。

 

「モカ、ちゃ…!わ、わたし、もう…!」

「ん、ちゅ…!はい…、ゆかりさん…!一緒、一緒に…!」

「モカちゃん…っ!」

「ゆかり、さん…っ!」

「「ん、〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」」

 

 電流が走ったかのように身体をびくん、びくんと跳ねさせて二人は快楽の頂へと至った。声にならない高い悲鳴を零してモカは強くゆかりを抱き締めながらその上に身体を預ける。そのまま強過ぎた快感に痺れる頭と身体を落ち着かせようと切れ切れの息を整えていると、それまでぎゅっと自身の背中に回されていたゆかりの腕が緩み次第にモカの呼吸に合わせて少しづつ解かれていった。

 

「ゆかり、さん…?」

「ん、ぅ…。すぅ、すぅ…」

 

 少しばかり不安になったモカが痺れる身体を僅かに起こして腕の中のゆかりに声をかけると、返事の代わりに小さく可愛らしい寝息が聞こえる。ただでさえ華奢な身体に快感が強過ぎたのだろう、ゆかりは意識を飛ばして眠りという安寧の中へと旅立っていた。その様子に愛おしさと少々の反省を覚えて、モカは抱き締める腕を離さないようにどうにか脚で布団を引き寄せる。そうして、眠るゆかりを起こさないように優しく布団を掛けて更に寒くないようにぎゅっと折れそうなくらいに華奢な身体を抱き締める。

 

「…おやすみなさい、ゆかりさん。いい夢を」

 

 安心した様に身を預けるゆかりの額にそっと唇を落として、満足そうに柔らかな笑みを浮かべたモカはゆかりに倣って瞼を閉じて自身も夢の中へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「ん、ぅ…?」

 

 寒いような暖かいような不思議な心地良さを感じてゆかりは目を覚ました。まだ薄暗い部屋で何も纏わぬままに布団ともうひとつ別の暖かさに包まれていた。意識を失う前の快感で乱れた自身の姿を思い出して真っ赤に染まった顔を僅かに上げればモカの安らかな寝顔があって、消えてしまいたいほどの羞恥心に苛まれていた心もその寝顔を見ていると自然と落ち着いた。代わりに心を満たす安心感こそばゆく思い、ゆかりはスウェットに包まれたモカの胸に顔を埋めた。柔らかな布越しに感じるモカの体温と心臓の鼓動を得て一層の安らぎを覚えていると微かにモカの身体が動いた。

 

「ん、ふぁ…。おはようございます、ゆかりさん…」

「あ、ごめんなさい、モカちゃん。起こしちゃいましたか?」

「いえ、大丈夫です…。それより…寒くないですか?」

「大丈夫ですよ、暖かいです。…ふふ、モカちゃんのお陰ですね」

「…もう」

 

 恥ずかしそうにぎゅっと抱き締める力を強めたモカを嬉しく思い、ゆかりはモカの胸に添えていた額をぐりぐりと押し付ける。擽ったいですよ、とモカの苦笑を誘ったし子供っぽいとも思ったが今はモカにとびきり甘えたい気分だった。そんな甘い時間を遮る様にくぅ、と小さな音がゆかりのお腹から鳴った。

 

「ぁ…」

「…ふふ、そういえばお夕飯食べてませんでしたもんね。どうしましょう?少し早いですけれどもう起きちゃいます?ゆかりさん、今日も早いでしょう?」

「そ、そうしましょうか…。お風呂とかも入りたいですし…、あ、スマホも充電しないと」

 

 恥ずかしさで頬を赤く染めながら上半身を起こすゆかりに微笑んだモカは、先にベッドから降りて洗濯やお風呂のことを考えつつ新しい下着を身に付けたところでハッと昨日忘れていたことを思い出して慌てた様子で口を開いた。

 

「あ、す、すみません!ます、ゆかりさん!ちょっとだけお時間頂いてもいいですか…!」

「ぅん?はい、大丈夫ですけれど…」

「あ、ありがとうございます…!今、持ってきますのでちょっと待っててくださいね…!」

 

 スウェットの下は履き忘れたままの少々間抜けな格好で部屋を飛び出たモカはそう時間を置かずに片手に紙袋を提げて帰ってきた。そうしてベッドに腰掛けてまだ上半身を起こしただけのゆかりの左腕を取る。

 

「も、モカちゃん?」

「お待たせしました。…実は、少し前にバイトを始めさせてもらったの、今日の誕生日プレゼントを買う為だったんです。自分のお金で買いたかったので。…思ったより高くて一個だけ、ゆかりさんの分しか買えなかったですけど…。本物でもないですし…。それに、誕生日に渡せなかったですし、今もこんな服で格好なんか全然付かなくて、ごめんなさい。…でも」

 

 そう続けて、先程までの誤魔化す様な苦笑から一転真剣な面持ちになったモカは紙袋から取り出した箱を器用に片手で開いた。ベッドの上に置かれたその箱の中央にあったのは、石こそ模造品で流石に本物と比べれば見劣りするものの、それでも学生が用意するにはあまりに上等な指輪であった。それを見て驚きで思わず息を呑むゆかりの掌を包み込んで、もう一方の手に収めた指輪をモカはゆかりの左手薬指に嵌める。

 

「誕生日おめでとうございます、ゆかりさん。貴女が生まれてきてくれて、私のマスターになってくれて、私と一緒に音楽を頑張ってくれて、私と一緒に暮らしてくれて、その全てが私にとって何物にも代えがたい幸福でした。これまでありがとうございます。そして、貴女が許してくれるのなら、どうかこれからも格好付かないこんな私と一緒に過ごしてくれたら嬉しいです。…愛してます」

 

 そこまで言ってモカは指輪を嵌められたゆかりの左手の甲に恭しく口付けを落とした。ちょっとキザっぽ過ぎたかな、と少々不安になって遠慮がちに上げた視線の先で、ゆかりは真っ赤に染まった顔に驚きの表情を浮かべて、少し遅れて見開かれたその瞳から涙を零した。

 

「え、えぇ…っ!?ど、どうしたんですか、ゆかりさん…!そ、そんなに嫌でしたか…?」

「…そんな訳、ないじゃないですか…。これは、びっくりと嬉しさの涙です」

 

 狼狽えるモカをその一言で制しながら、ゆかりは右手で涙を拭って柔らかな微笑みを浮かべるとモカの背中に右腕を回して優しく抱き締めた。

 

「はぁ…。モカちゃんは私の知らない内にどんどんかっこよくなっていきますね…。マスターと、あと、恋人として誇らしいです」

「…!ゆ、ゆかりさん…、じゃあ…!」

「私も、愛してます、モカちゃん。こんな私ですが、私が何時か灰になって消えちゃうそんな時までどうか末永くよろしくお願いします」

「嬉しい、です…、ゆかりさん…。よろしくお願いします…。…でも、こんな、なんて言わないでくださいね?私には、ゆかりさんしかいないんですから」

「ふふ、モカちゃんも言ったのでおあいこです。お互い気を付けましょう?恋人の為に自分のことも大切にするって、今年のモカちゃんの誕生日に教わりましたから」

「あはは…、そうでしたね。気を付けます」

 

 小さく笑い合って抱き締めていたのを緩めると、ゆかりはそれまで繋いでいた手とは反対の手も優しく繋ぎ合わせてモカとベッドの上で向き合う。

 

「じゃあ、指輪も貰いましたし…、誓のキスでもしましょうか?」

「…6月に、ウエディングドレス着せてもらった時に、しましたよね?」

「いいじゃないですか、何回やったって。それとも、私とのキスは嫌ですか?」

「…そんな訳ないです。…けど、」

「けど?」

「…我慢、出来なくなるかもしれないので…」

「…あー」

 

 顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに目を逸らすモカの様子に、自身も頬を染めながらも悪戯っぽい笑みを浮かべて向けられた頬に口付けを落とした。

 

「…けだものさん」

「…っ!も、もう…!」

「ふふ。確かに今は我慢しないと、ですね。…でも、私はしたいなぁ…。来週には沢山お休み貰えますし、その時はいっぱいしていいですから、今はキスだけ、してもらえませんか?」

「…本当ですね?覚悟しててくださいよ?」

「お手柔らかに、お願いします」

 

 相変わらず真っ赤な頬を期待混じりの笑みで緩めたモカがそっと顔を寄せるのを心待ちにしながらゆかりは瞼を閉じる。少しの時間を置いて、触れるだけの誓の口付けがゆかりの唇に落とされた。

 

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