※この作品はR-18です。

境界線の向こう側 〜配信中の銀色の聖女を、俺だけが穢す〜   作:与次郎

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46:屈辱の逃亡

 

 光莉のマンションの重い鉄のドアを背に、夏川みずきは薄暗い廊下に立ち尽くしていた。

 足元が、鉛でも埋め込まれたかのように重い。胸元にきつく抱きしめた資料の入った鞄を、指先が白くなるほどの力で握りしめながら、彼女は浅い呼吸を繰り返した。

 光莉の完璧すぎる優しい笑顔、耳元で囁かれたあのねっとりとした甘い声、そして――スカートの中に侵入し、ショーツを愛液でビショビショに濡らしたあの指の感触が、今もなお、みずきの肉体に生々しく焼き付いていた。

 みずきは屈辱と恐怖に唇を強く噛み締め、ふらつく足取りで歩き始めた。

 

(私は自分で動いた。資料を作って、直接問い詰めた。なのに……光莉ちゃんの答えは全部はぐらかすだけで、それどころか、あんな……あんなエッチな触り方をして……っ。ありえない……。絶対に、普通じゃないよ……っ!)

 

 エレベーターに乗り込み、冷たい鏡の壁に背中を預ける。映し出された自分の顔は、涙と恥辱の赤みでひどく乱れ、完全に敗北した表情を浮かべていた。

 あの部屋にあった、男の人の匂い。大きめのマグカップ。光莉ちゃんは、あの男の人に……。

 エレベーターが静かに下降していく中、みずきは自分の股間が、親友の指の感触を思い出して未だにトプクンと淫らに脈打っていることに気付き、恐怖と絶望に顔を覆って咽び泣くのだった。

 

(光莉ちゃん……嘘、だよね……? なんであんな風に私を……。私は、どうすればいいの……? 怖い……もう誰も信じられないよ……っ)

 

 人一倍負けず嫌いだった彼女の芯は、親友の直接的な肉体蹂躙と底知れぬ変貌によって、今や完全にへし折られかけていた。湿った下着の冷たい不快感に耐えながら、みずきはただ、夜の街の暗闇に紛れるようにして、孤独な絶望へと沈んでいくしかなかった。

 

 

──星野光莉

 

 みずきが去った直後、星野光莉は静かにソファへと腰を下ろした。

 その衣服は乱れ、スカートの裾からは、みずきを罠にはめた興奮のあまり自らもドロドロに発情した蜜が、じわりと染み出している。

 光莉は、みずきの愛液で濡れた自分の指先をじっと見つめると、それを狂おしげに自らの唇でペロリと舐めとった。そして、脳内へと直接、支配者へ向けた悦びの報告を紡ぎ出した。

 

「……零さん。みずきちゃん、今、帰りました。たくさんの資料を持って、私の変化をかなり具体的に問い詰めてきましたよ……。私は言われた通りに、『新しい表現の演技を試しているだけ』と説明しました」

 

 光莉の脳髄の奥深くに、天峰零の冷酷でサディスティックな低音がドロリと響き渡る。

 

『よくやった、光莉。それで、水希の反応はどうだった?』

 

光莉は潤んだ目を伏せ、下腹部をきゅっと収縮させながら、愛おしげに答えた。

 

「……すっごく、可愛らしく動揺していました。私の触れ方に怯えて、やめてって泣きながらも、必死に資料を突きつけて真相を聞き出そうとして……。でもね、零さん。最後の方は、私の言葉と、私の指が与える快感にぐちゃぐちゃにされて、何が本当かわからなくなって、喘いでいました。最高に絶望した顔をしていましたよ……」

 

 受話口の向こうから、零の氷のように冷たい愉悦の笑い声が聞こえてくる。

 

『完璧だ。お前が優しい親友の顔で包み込みながら、その裏で過激に肉体を落とした効果が文字通り覿面に出ているな。みずきは今、唯一の心の拠り所だったお前を疑い、世界にたった一人で放り出された恐怖に震えている。その精神的孤立こそが、あいつを完全に壊すための最高の土壌だ』

 

「はい……っ、零さん……っ。みずきちゃんの心を、優しく包むフリをして、もっと、もっとぐちゃぐちゃに引き裂いて差し上げます……。私の心も身体も、すべて……零さんの、望むがままに……」

 

 『いい子だ、光莉。お前は本当に、最高に優秀な俺の猟犬になったな。みずきの心の隙間を、明後日までにさらに広げておけ。あいつの心がゆっくりと、壊れていく過程……じっくりと、見させてもらうぞ』

 

 零が、光莉の盲目的な従属に満足し、遠隔から彼女の割れ目をガシガシと掻き回すご褒美の愛撫を与える。光莉は「ひゃぅっ!」と短い悲鳴を上げてベッドに転がり、口元から伝う湿り気をシーツに落として腰を振り始めた。

 すでに蜘蛛の巣は完全に囚人を絡め取っていた。みずきがどれだけ抗おうとも、次なるステージで、彼女の身も心も完璧に零の奴隷へと堕とされる未来は、もう確定しているのだった。

 

(みずきちゃん……ごめんね……。私はもう、あなたを守ってあげる優しい親友には戻れないの。でも、私の指で、あんなにエッチに濡れちゃったみずきちゃんのこと……私、愛しくて、止められなくなっちゃった……。もっと、もっと壊れて、私と一緒に零さんのおもちゃになろうね……ふふ、あははは……!)

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