元公爵令嬢のTS聖女ちゃんがひたすら犯されたり辱められたり狂気に染め上げられていくだけのお話。 作:東口ゆゆ
その夜、ガレオスは眠れぬ夜を過ごしていた。
新公爵としての重圧もある。だが、それ以上に彼の心を蝕んでいたのは、義姉であるレイラの不在だった。
リリアは言った。「お姉様は重い伝染病にかかったの。誰にも会わせてはいけないわ」と。
すでに二週間。
食事もリリアが運び、世話もリリアが一人で行っている。
(おかしい……。いくら何でも、長すぎる)
ガレオスの中に、不安の種が芽生える。
もしかしたら、レイラはもっと重篤な状態なのではないか? リリアは僕に心配をかけまいと、一人で抱え込んでいるのではないか?
「……様子を見に行こう」
ガレオスはベッドを抜け出した。
リリアには止められている。だが、家族として、当主として、病床の義姉を見舞うのは当然の務めだ。
深夜の廊下を音もなく進む。
レイラの部屋の前。
ドアノブに手をかけようとしたその時、ガレオスは動きを止めた。
――ふぅっ、んんっ……♡ あぁっ、そこぉっ……♡
中から聞こえてきたのは、苦しむうめき声ではなかった。
甘く、濡れた、嬌声だった。
(……え?)
――いい声ですよ、お姉様。もっと、もっと啼いて……♡
――リリアぁっ、だめぇっ、おかしくなるぅっ……♡
リリアの声。そして、レイラの声。
ガレオスの脳裏にあった看病というイメージが、音を立てて崩れ去る。
聞こえてくるのは、水音。肉が打ち付け合う音。そして、獣じみた喘ぎ。
「な、なんだ……これは……?」
ガレオスの手から血の気が引く。
開けてはいけない。見てはいけない。本能がそう警告していた。
だが、真実を知りたいという衝動が勝った。
ガチャリ。
ガレオスは震える手で、禁断の扉を開け放った。
「レイラ、リリ――」
言葉は、喉の奥で凍りついた。
部屋の中は、ムワッとするような雌の匂いと、精油の香りで充満していた。
天蓋付きのベッド。
その上で繰り広げられていたのは、この世の光景とは思えない、背徳の宴だった。
「あ゛ぁっ! イくっ! 指、奥まで入ってるぅっ!!♡」
「イってください! わたくしで、妹の指でイってくださいッ!!」
全裸のレイラが、M字に開脚し、獣のように腰を跳ねさせている。
その股間に顔を埋め、指を根元まで突き入れているのは――リリアだ。
清らかな聖女レイラ。
淑やかな婚約者リリア。
その二人が、髪を振り乱し、涎と愛液にまみれ、貪るように絡み合っている。
そこには「病気」も「看病」もない。あるのは、ただただ濃密で、下品なまでの性愛だけ。
「……う、そだ……」
ガレオスはその場に膝から崩れ落ちた。
ガラガラと音がして、彼の中の世界が崩壊していく。
聖女への憧れも、婚約者への信頼も、すべてが幻だったのだ。
その物音に、ようやくリリアが気づいた。
「んむっ……」
リリアはレイラの秘部からゆっくりと顔を上げた。
その口元は、レイラの愛液でテラテラと光り、顎からは銀の糸が垂れている。
目は虚ろで、頬は紅潮している。
目が合った。
ガレオスは期待した。
リリアが恥じらい、慌てて隠し、言い訳をしてくれることを。
「違うの」「誤解よ」と、縋ってくれることを。
しかし。
「……チッ」
リリアは、舌打ちをした。
慌てる素振りなど微塵もない。
彼女は気だるげに髪をかき上げると、レイラの股間から指を引き抜き、その指についた粘液をペロリと舐め取った。
「……な、なにを……リリア、君は……」
「うるさいですね。ノックくらいしたらどうですか、ガレオス様」
リリアの声は、氷点下のように冷たかった。
いつもの愛らしい猫撫で声ではない。
ゴミを見るような、底冷えする侮蔑の眼差し。
「こ、これはどういうことだ……! レイラは病気じゃなかったのか!? 君たちは、姉妹で、こんな……!」
「見て分かりませんか? セックスですよ」
リリアは鼻で笑った。
「病気なんて嘘に決まってるでしょう? お姉様を誰にも渡したくないから、この部屋に閉じ込めて、毎日こうして可愛がっていたんです」
「と、閉じ込めて……!? じゃあ、レイラは無理やり……ッ!」
ガレオスは希望を見出した。そうだ、レイラは被害者なんだ。
「レイラ! 逃げよう! 僕が助け――」
「あぁ……リリア……♡ もっと……指、抜かないでぇ……♡」
だが、レイラはガレオスの存在になど気づいていなかった。
薬を盛られているのか、快楽に溺れすぎているのか。
虚ろな目でリリアに縋りつき、自分から股を開いて、ぐちゅぐちゅと自分の大事なトコロを慰めながら妹の手を求めている。
「レ、レイラ……?」
「ふふっ。無駄ですよ。お姉様はもう、わたくしナシじゃ生きられない身体なんです」
リリアはレイラの頭を撫でながら、ガレオスを見下ろした。
その表情から、ついに「仮面」が剥がれ落ちた。
「ガレオス様。……本当に邪魔」
「……え?」
「貴方との婚約も、貞淑な婚約者の演技も、あの豚殺しも。……全部、お姉様を手に入れるための『過程』だったんです」
リリアはベッドの上に胡座をかき、全裸のレイラを抱き寄せた。
「貴方はただの『飾り』。この家を乗っ取るための便利な傀儡。せっかくファルバレル公爵を葬ったのに。……それなのに、主人気取りでわたくしたちの愛の巣に踏み込んでくるなんて、無粋にも程があります」
「か、飾り……? 愛の巣……?」
ガレオスは理解が追いつかない。
父の死も、自分の継承も、すべてがこの少女の掌の上だったというのか。
「お姉様は『聖女』なんかじゃない。……見てください、この淫らな姿。わたくしの指と舌だけで、こんなに濡れて、イって……世界一可愛い『雌豚』さんなんです」
リリアはレイラの胸を揉みしだき、わざとらしくガレオスに見せつける。
「貴方が崇めていた聖女様は、最初からいません。……ここにいるのは、妹に抱かれて喜ぶ、変態なお姉様だけ」
「う……うぁぁ……ッ!」
ガレオスは嘔吐した。
あまりのショックと、嫌悪感と、そして理解できない現実への恐怖で、胃の中身を床にぶち撒けた。
「汚い。……出て行ってください」
リリアは冷酷に告げた。
「誰のおかげで公爵になれたと思ってるんですか? ……大人しく飾りとして生きていくなら、今の地位は保証してあげます。でも、これ以上わたくしたちの邪魔をするなら……わかりますよね?」
リリアは、笑顔を浮かべる。
けれど、その笑顔はいつも見る、愛らしいものではなく。
狂気に満ちた、魔女のものだった。
そしてその目には、父を殺した時と同じ、昏い殺意が宿っていた。
「分かったら、扉を閉めて。……続きがしたいんです」
ガレオスは、震える足で後ずさりした。
何も言えなかった。
剣を抜くことも、怒鳴ることもできなかった。
圧倒的な「悪」と「愛欲」の前に、温室育ちの彼は完全に敗北したのだ。
バタン。
扉が閉まる。
廊下に残されたのは、ゲロまみれで泣き崩れる新公爵。
そして扉の向こうからは、再び、リリアの勝ち誇ったような笑い声と、レイラの甘い喘ぎ声が聞こえ始めた。
真実は露見した。
だが、それは救いではなく、ガレオスにとっての地獄の始まりでしかなかった。
★
深夜。
ガレオスは自室の椅子に深く腰掛け、暗い虚空を睨みつけていた。
手元には、父から受け継いだ剣がある。
(許せない……。絶対に許すわけにはいかない……ッ!)
リリア。
あの可憐な顔をした魔女。
父を殺し、家を乗っ取り、あろうことか実の姉を性奴隷として飼い慣らす狂女。
あいつこそが諸悪の根源だ。あいつさえいなくなれば、この家は、そしてレイラは救われるはずだ。
「……処刑だ。明日、すべての兵を招集して、あの女を断罪する」
ガレオスは決意した。
リリアが眠っている今が好機だ。証拠などなくとも、当主の権限で押し通す。
後で罪に問われたとしても。
婚約者殺しと汚名を被ろうとも、レイラを救うのに躊躇いなどなかった。
それが、父への供養であり、穢されたレイラへの贖罪だと信じて。
しかし。
その殺意に満ちた決意は、静かに開かれた扉の音によって遮られた。
ギィィ……。
「誰だ!?」
ガレオスが剣に手をかける。
そこに立っていたのは、幽霊のように蒼白な顔をした、レイラだった。
彼女は一枚の薄いガウンを羽織っているだけで、足元は裸足だった。
「レイラ……? どうしたんだ、そんな格好で。……そうだ、リリアに何をされた!? 大丈夫か、今すぐ医者を――」
ガレオスが駆け寄ろうとした瞬間。
レイラは無言でガウンの紐を解き、それを床に落とした。
ハラリ、と布が落ちる。
月明かりの下、レイラの豊かな裸体が露わになった。
妹によってつけられた無数のキスマークと、噛み跡、そして情事の跡が残る、生々しい肉体。
「レ、レイラ……ッ!?」
ガレオスが目のやり場に困り、狼狽える。
だが、次の瞬間、レイラはその場に膝をつき、額を床に擦り付けた。
全裸での、土下座。
無抵抗どころか、己の全てを差し出す覚悟の。
「……お願いします、ガレオス様」
床に伏したまま、レイラが震える声で言った。
「どうか……リリアを、殺さないでください」
ガレオスの思考が停止する。
「な……何を言っているんだ? あいつは君を騙し、閉じ込め、あんな酷いことを……! 君は被害者なんだぞ!?」
「違います」
レイラは顔を上げた。
その瞳に、涙は浮かんでいるが、迷いはなかった。
「あの子は……私の、たった一人の妹なんです。狂っていても、魔女と呼ばれてでも……私が守ってあげなきゃいけない、家族なんです」
「正気か!? あいつは父上を殺したんだぞ! この家を破滅させる毒婦だ!」
「知っています。……全部、知っています」
レイラは淡々と告げた。
その言葉に、ガレオスは言葉を失う。知っていて、従っていたのか。
「あの子の罪は、姉である私の罪です。……だから、ガレオス様。処罰なら、私が受けます」
レイラは四つん這いのまま、ガレオスの足元に擦り寄った。
豊かな胸が床に押し付けられ、形を変える。
「私を牢屋に入れてもいい。拷問してもいい。犯してもいい。殺してもいい。……だから、あの子だけは見逃してください。あの子から、この家も、地位も、何も奪わないでください」
「ふざけるなッ! そんな理屈が通るか! 僕はあいつを許せない!」
ガレオスが激昂し、立ち上がろうとした。
その時だ。
ドンッ!
レイラが、ガレオスを椅子ごと押し倒すようにして、その上に乗りかかってきた。
「ッ!? レイラ、なにを……!」
「……黙っててください」
レイラはガレオスの肩を押さえつけ、真剣な眼差しで見下ろした。
その瞳には、かつての「守られるべき聖女」の弱さは微塵もなかった。
あるのは、狂った妹を守るためなら悪魔にでもなるという、母性にも似た凄味。
「リリアに手出しはさせません」
「ど、退け! 僕は当主として――」
「ダメです」
レイラは自ら脚を開き、ガレオスの腰の上に跨った。
濡れた秘部が、ガレオスの下腹部に押し当てられる。
「……あげるから」
「え……?」
「ガレオス様がずっと欲しがっていた、私の身体……あげるから。好きにしていいから。……だから、リリアのこと、忘れて」
それは、懇願であり、取引であり、そして脅迫だった。
レイラの手が、ガレオスのズボンを乱暴に寛げていく。
公爵やリリアに「やらされていた」時とは違う。
自分の意思で。自分の目的のために。
彼女は初めて、能動的に「性」を武器にしたのだ。
「やめろ、こんなこと……僕は望んでない!」
「嘘。……ずっと、いやらしい目で見てました。知ってます」
ズリュッ。
レイラはガレオスの硬直したモノを取り出し、自身の秘部にあてがった。
「分かりますよ。……リリアとのセックスを覗いている時、ガレオス様も興奮してたでしょ? 『聖女』が汚されるのを見て、喜んでたでしょ?」
「ち、違う……ッ!」
「違わない。……入れてあげます。リリアよりも気持ちよくしてあげます。……だから、あの子を許して、ください」
ぬぷっ……。
レイラが腰を沈める。
熱く、吸い付くような肉の洞窟が、ガレオスの理性を飲み込んでいく。
「ぐぅッ……! レイラ……ッ!」
拒絶しなければならない。突き飛ばさなければならない。
だが、長年焦がれ続けた「聖女レイラ」との結合。
それも、彼女の方から求めてきているという事実に、ガレオスの身体は抗えなかった。
ズプンッ、根元まで。
二人は繋がった。
「はぁっ……んっ……」
レイラが苦しげに吐息を漏らし、そして、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「見てください……ガレオス様……。貴方の聖女様、こんなにはしたなく腰を振っています……」
グチュッ、グチュッ……。
レイラはガレオスの胸に手をつき、自ら上下に動く。
豊かな乳房が揺れ、汗ばんだ肌が擦れ合う。
その顔は、快楽に溺れているのではない。悲壮な決意に満ちた、殉教者の顔だった。
「リリアを殺すなら、私を殺してからにしてください。……あの子がいない世界なんて、私には考えられないのです」
レイラの涙が、ガレオスの頬に落ちる。
「あの子が悪いこと、分かってます。狂ってるのも分かってます。……でも、私にはあの子しかいないの。あの子の狂った愛だけが、私の居場所なの……ッ!」
ズパンッ! ズパンッ!
レイラの腰の動きが激しくなる。
ガレオスの意思など関係ない。
彼女は自分の膣肉でガレオスの男根を締め上げ、精液を搾り取ろうとしていた。
この快楽で、ガレオスの殺意を封じ込めるために。
「あぁっ! 出してッ! 私の中に全部出してくださいッ! そうしたら言うこと聞いてくれますよね!?」
「レイラッ、君は……君はどうしてそこまで……ッ!」
「愛してるからですッ! あんな妹でも、私の半身だからですッ!!」
レイラの絶叫。
それは、歪みに歪んだ姉妹愛の証明だった。
ガレオスは悟った。
この姉妹は、二人で一つの怪物なのだと。
リリアの加虐と、レイラの被虐。その二つが噛み合って完成する、閉じた世界。
そこに、自分のような他人が入り込む隙間など最初からなかったのだ。
「くそっ、くそぉぉぉッッ!!」
ガレオスは敗北感と共に、腰を突き上げた。
怒りも、正義も、殺意も、すべてレイラの中の底なし沼に吸い込まれていく。
「イくっ! 出して、汚して、私を共犯者にしてくださいッ!!」
ドピュッ! ドピュルルルッ!!
ガレオスは、レイラの胎内深くに、敗北の白濁を解き放った。
レイラはそれを全身で受け止め、ガレオスを強く抱きしめた。
「……ありがとうございます。ガレオス様」
事後、レイラはガレオスの耳元で囁いた。
その声は、悪魔に魂を売った魔女のように、静かで、冷たかった。
「これで、貴方も『こちらの世界』の住人です。……もう、リリアを責めないでくださいね?」
ガレオスは天井を見上げたまま、動けなかった。
リリアを断罪する剣は、床に転がったまま。
彼は知ってしまったのだ。
諸悪の根源はリリアだが、それを守り、育て、肯定しているのは、他ならぬこの「聖女」なのだと。