貞操逆転世界で異能と体質で差別され男性の精液を定期注入されないと動けなくなる ”眠り戦姫” たちを性欲にまかせた婚約セックスで救いまくる話 作:ぽぶきち
1年越しに目覚めた山田ミコ。
そのために奔走し続けた姉の山田アジサ。
積もる話もあるだろうと席を外すつもりだったのだが、現状、それができない。
山田ミコさんが、僕にコアラのように抱きついたまま離れないのだ。
「あの、ミコさん?」
「ミコ。」
「ミコ、そろそろ離れないと、動けないし、帰れないよ?」
「……」
「ちょっとあんた、少しくらい姉と話そうって思わないの?」
「うるさい処女」
「しょっ……」
愕然とするアジサと、どこかドヤ顔のミコ。
近況の共有は済んでおり、ミコはアジサがやってきたことを、大まかながら把握している。
さすがに高柳との一件についてはまだだが。あれは一夕で話すには少し内容が重すぎる。
ミコは母親が会いに来たときですら僕にしがみついていた。
苦笑しながら母親を見たが、彼女は驚きつつもどこか安心した様子だったので、悪い印象は持たれていなさそうだ。
「姉ちゃんは
「なっ」
「スゴイよ? 頭のなか無理やり作り変えられる感覚で、ずっとユウキの声と顔が忘れらんなくってぽわぽわする」
「うっ、ぐぐ」
「
「ぎ、ぎぃ……!」
悪鬼羅刹の表情で実の妹を睨むアジサ。
頼むから仲良くしてほしい。
警護官たちによると、僕の
2回の射精で
呉井さんも最初の頃は
本人はそれだけが理由じゃないとは言っていたけど、大きな要因だったとは思う。
そんな状況がダメだと思ったから、二人で少しずつ健全な関係値になるように相談し、調整していったのだ。
「ユウキ、怪我が治ったら覚えておきなさいよ! 寝かせないから!」
「それはこっちのセリフだよ。我慢してるのはアジサだけじゃない」
「なっ、ん、ふ、ふへ」
「姉ちゃんきもい」
僕を全身でホールドしながら、ミコがアジサに振り返って半眼で睨んでいる。
メグがこの前朝食を手伝おうとして包丁で指を切ってしまっていたが、その日の夕方には治癒していた。
「そろそろ帰ろっか。ミコ、降りる?」
「……やだし」
「じゃあ抱っこしていくね。腰つかむよ?」
「ちょ、わかった、降りる、降りるって」
さすがに病院を男に抱えられたまま出ていくのは羞恥が強いのか、ミコは瞬時に僕から手を離した。
若干名残惜しそうにしてこちらに手を伸ばすが、アジサに病衣の首根っこを掴まれて僕に近づけないようだ。
軽い口論を交わしながら廊下を歩いていく二人に和みながら、その後ろをついていく。
玄関で再度院長からの謝辞を受け、僕たちは病院を出た。
♢
警護官と、山田姉妹。
僕含め六人で夕食を取った。
そのときには若干ミコのテンションが落ちていた。
病院では言えなかった、アジサのこれまでの詳しい経緯を聞いたのだろうなと推測する。
食卓の対面に座っていたので、足でちょんちょんとつついて、こちらをみたミコに笑いかけた。
目をそらされた。
さすがに不謹慎だったかと思ったが、少しして靴を脱いだミコの足先が、僕の足を撫でた。
ちらちらとこちらを見ているミコに、なんだかイケないことをしている気分になってしまう。
姉妹の復帰祝いということもあって、夕食は豪勢だ。
豪勢とはいっても、ミコが目覚めたばかりだから、あまり胃に重たくないものが主だ。
呉井さんの料理に、少しだけ僕も手伝った品目が並んでいる。
前世がそこまで裕福ではなかったから、僕の料理はどちらかというと大味というか、細を穿つような完成度ではない。
だがみんな美味しそうに食べていたから、僕としては満足である。
病み上がり(?)のミコが一番食べていたのには驚いた。
食事を終えて火照った身体を、夜風にあてて冷ます。
十分に広いこの棟は、例え叫んだとしても他の男性の部屋に声が届くことはないだろう。
「本当に全員救っちゃいましたね」
横を見ると、メグがいた。
口元を緩ませて、視線を外に飛ばしている。
学園の敷地を囲う海。
そこから先には都心の町並みがあって、暖色の街頭などに彩られて値千金の夜景だった。
「全員じゃないよ。見えてる部分だけ」
「そうかもしれないです。私は、運がよかった」
二人で欄干によりかかっている。
スーツジャケットを脱いで白いシャツの姿になっているメグが、どこか色っぽい。
時折テンパることがあるが、こういう静かなときのメグは深窓の令嬢のような雰囲気がある。
「僕の身体は一つだからね」
「そうですね……」
「だからあと94人くらい」
「……ふふっ」
ぽん、と音がして、ケータイを見る。
メッセージが届いていた。
《さび》
相手は、『かさやぶね』。笠屋舟クタシだ。
バナーでメッセージを確認し、アプリ画面に飛んだ。
が、すでにメッセージは送信取り消しされていた。
今週末はミコの病院に行ったから、笠屋舟さんに会えていない。
悶々として僕のメッセージ欄に文字を打ち込んでいたが、それを間違えて送信してしまった、そんなところだろうか。
寂しい、と打っていたのかもしれない。
「少し電話してくるよ」
「はい」
外に出てこようとして、少し待って振り返る。
「そうだ、今日はメグだったよね」
「はい。夜伽当番は私です」
「今日は流石に疲れたから、そこまでできないかも」
「……もちろん、わかってます」
「だから、そのぶん長くぎゅってしてられるね」
「っ!…………はい……!」
メグは抱きつくのが好きだ。
若干冷え性なところがあるのか、僕と抱き合ってあったまるのが好みらしい。
体温が同じになっていくのがたまらないのだとか。
通話ボタンを押し、僕は笠屋舟クタシさんにコールをかけた。
1コールもしないうちに繋がった。
「もしもし、笠屋舟さん?」
『えっ、あっ、ちが、これは』
「今週笠屋舟さんの声聞いてなかったから、かけちゃった、迷惑だった?」
『そんなことは……でも、私が送ったのは本当にミスで』
「なんのこと? もしかして送信取り消しってなんか送ってたの?」
『う……』
珍しく戸惑っている彼女の声を聞きながら、僕は微笑んだ。