貞操逆転世界で異能と体質で差別され男性の精液を定期注入されないと動けなくなる ”眠り戦姫” たちを性欲にまかせた婚約セックスで救いまくる話 作:ぽぶきち
国家管理委員会。
特権貴族院よりも下部の組織。
円滑な行政のための補助を務める。
「お元気のようで何よりです、軍将殿」
「ああ。小娘がいつのまにか偉い地位を得たもんだ」
二人の
国家管理委員会会長、
元北軍将軍、現大目付、
「現在、我々は切迫した状況にあります」
「まぁ、お前たちのような内部政府はそうだろうな。国土が広がって、さぞ面倒だろう」
月読ウタゲは、40代となって変わらぬ意思の強さで軍将ツギを睨んだまま、続ける。
「
「そうだな、周辺国がそれを許さないからとかか?」
「もっと根源的です。
軍将は首を傾げる。
比率で言えば
「男性が与えられる源液には絶対的上限があります。そして、
「……」
「実力主義を敷いても強いものほど傾眠性が高いのだから意味がない。
「……」
「
「……そうだな」
軍将は、机の上のボトルを開けて、グラスに酒を注いだ。
お前も飲むか?と言わんばかりに掲げるが、月読ウタゲは首を振って辞した。
「戦場においてはアドレナリンで眠気なんてものは覚めますが、生産職となれば違います。眠気を帯びた業務はホワイトカラーでもブルーカラーでも大いに生産力を落とす」
「首にナイフでも突きつけて作業させればいいのではないかね」
「それでも眠るんですよ。人ってのはそういうものなのです」
月読ウタゲは嘆息した。
そしておもむろにタバコを取り出し、火を付ける。
酒好きとタバコ好きが向かい合う。
「それを解消する異能も存在しましたね。自己制御の異能など。でも一代で終わりでした」
「継承する異能は……」
「ありましたよ。異能を継承する異能、異能を譲渡する異能。ですが、それが譲渡である限り必ず "劣化" するのです」
月読ウタゲが、紫煙をふかして天井を見上げると、ひび割れたシーリングライトが視界に収まる。
「
「ははっ、どうして今更私にそんな話をするのかね」
「お世話になったので、一興のお噺をと」
立ち上がり、月読ウタゲが深々と礼をする。
そして、割れた扉を蹴って退出した。
「ふん」
軍将、
元北軍将軍にして、
現大目付であり、
裏で "革命隊" として
なんと、救いのない話だ。
酒を飲むと、胸にぽっかりと物理的に空いている穴から、だばだばと酒が血とともにこぼれる。
「年代物のはずだったんだが、これじゃ酔えないね」
陣風字ツギは、自らが死にゆくそれまでの間、自らが持ちうる最高級の酒を味わった。
月読ウタゲが、廊下を歩く。
その建物、北軍中央軍舎は、倒壊していた。
陣風字ツギと対談した部屋を残してごっそりと削り取るように、天井がなく、壁が消し飛ばされており、廊下は瓦礫で彩られている。
「嫌な仕事ね」
そうぽつりと呟いた月読ウタゲの背に、何かが着弾した。
いや、正確に言えば、着弾していない。
月読ウタゲの周囲に張り巡らされた不可視のバリアのようなものが、その攻撃を防いだのだ。
「……」
「ッ!!」
振り返ると、少女たちが自分に手のひらを向けていた。
陣風字の肝煎りの
是非自分たちの元へ勧誘したいが、きっと頷くまい。
男でもあてがうのなら違うのだろうが、とも考える。
「あなたたち、強かったわよ」
「……ぅ、このッ!!」
何度も渦巻く電波のような弾丸が放たれ、バリアに直撃する。
月読ウタゲは飽きたように背を向けて歩き出した。
♢
委員会本部にて、月読ウタゲはひとつの動画を見ていた。
それは、兼高ユウキという男子が高柳オキトという男子を殴り飛ばす映像。
高柳オキトは自らの嗜虐心を満たすため、動画撮影も行っていた。
それを委員会が先んじて回収したのだ。このことは本人たちも知らないし、高柳にも丁寧に"説得"したため、情報が漏れる心配はないだろう。
山田アジサが拷問される一部始終を見た月読ウタゲは、その怒りを体現する兼高ユウキという存在に、不本意ながら、見惚れた。
「これでは、助けられた子は、たとえ世界が敵に回ってもこの男子を裏切らないでしょうね」
「はい。聞くところによると、正妻になったのだとか」
液晶のなかで抱き合う二人を見ながら、月読ウタゲは、ため息を付いた。
「人心掌握が巧すぎる」
「ええ」
手元のライターをカチカチと鳴らしながら、月読ウタゲが悩んだ表情をする。
「病院での行為の撮影も断られました。ダメで元々でしたが」
「そうね……」
兼高ユウキは、あまつさえ怪我を承知でこの女子を救っておきながら、その女子が拷問を受ける要因となった妹さえも救った。
そして、婚約を結んだ。
月読ウタゲがこめかみを押さえる。
あまりにも夢物語が過ぎている。
バカなやつが作った恋愛物語でも、もっとまともだ。
もし自分がこの女子であれば、年中発情してこの男のことしか考えられなくなるはずだ。
実際に、山田アジサという女子はそうなっているのだろうと確信している。
たとえ相手がそれを自らを利用するために行ったと知っていても、この男のためならどんな汚物でも啜るし、どんな痛みでも笑って受け入れるだろう。
「兼高ユウキは、潜在敵としてあまりにも脅威ね」
「同意します」
「そもそも、着床値A+の時点でまともに生活していれば特権貴族院への招待は確実。だというのに、戦力を集めている」
おかしな話なのだ。
なぜ、あえて貢献値の低い女性を集めるのか。
普通であれば、より貢献値の高い政治家や芸能人に婚約という席のみを与え、連帯貢献値の上昇を行う。
婚約者100名。
男性一人につき1000人の女性がいる世界で選ばれる上位10%は、
「おそらく……」
「国家の簒奪が目的、ですね」
「……そうね」
現在、兼高ユウキが保持している戦闘能力はあまりにも危険だ。
インパクトランクこそ、山田アジサと山田ミコが入ってEランクだが、それでも本質的にはずっと上だ。
警護官三人。
『氷鬼』の呉井マナ。
『放火魔』の川良メグ。
『切り札』の花札ライカ。
「呉井マナは対人特化型、川良メグは範囲制圧型、そして」
「一番厄介なのが、花札ライカね」
花札ライカ。
自己と他者の傷を入れ替える異能。
特筆すべきなのは、その干渉力。
視界に入ったものに影響を及ぼす。
もし本人が本気になれば、自分の心臓を突き刺してその負傷を相手になすりつけ殺すことができる。
「一度、両目を潰したの覚えてる?」
「監査隊を差し向けたときですね」
「ええ。川良メグに邪魔されたけど、目は潰せた」
だが、復活した。
本人が異能の副作用として持つ「高い自然治癒能力」。
時間こそかかるが、四肢の欠損さえ治す。
その効果で、目も治した。
「うまくラボラトリ送りにしたはずなのに」
「特権貴族院への稟議が通っていればグレーアウトになっていたはずでした」
歯噛みする。
まさか助け出されるとは思っていなかった。
男を使って籠絡する方向にシフトすればよかったのか?
いや、「できる」ということは「する」ということだ。花札ライカは依然として扱いきれない異分子だった。
「対人特化に、範囲制圧に、耐性無効の呪い。カードを揃えるのが随分上手いようね」
「ええ……」
「気づかなかったわ。
「そんな、ウタゲ様がいなければヒノモトはどうなっていたか」
異能の効果は、本人の資質によって如何様にでも左右される。
呉井マナの「熱を徴収する異能」は、本当はそこまで強い異能ではないはずだった。
属性型の異能は、扱いが難しいのだ。オンオフができる異能やデフォルトの特性となる異能と異なり、すべてを理解して、把握して、操る必要がある。
突然生えた手足を動かすようなものだった。
かつて、
異能は「ガラスを生成する異能」
弱いはずだった。
生成したガラスは動かせないのだから、脅威にもならず、むしろ本人の身体強化のほうが特筆すべき事項だった。
だが、
戦場に、ガラスを薄く張って"置いた"のだ。
ちょうど、首がくる位置に。
走る敵兵が、見えないなにかによって首をはねられていく。
それをみた他の敵兵が狂乱する。
ガラスがなくなったと思えば、またどこかに張られている。
敵が仮設テントからトイレにいく間に置くなどもしたようだ。
数多の恐怖を与え、恐怖以上の死を与えた。
それは敵に対しても、味方に対しても同じだった。
結局、彼女、
異能の効果は、異能の強さではない。
兼高ユウキは、それさえも見越していたのだろうか。
それとも、自分と違って額面の強さに囚われない、独特の嗅覚を持っているのだろうか。
「さらに、なのですが……」
秘書が、苦しそうにうめいた。
「観察を行っていた未来視持ちが、その、」
「何?」
「兼高ユウキの周囲が、見えなくなったと」
ああ、と頷く。
「山田アジサ?」
「おそらくそうです」
山田アジサの、異能を拒絶する異能。
月読ウタゲが抱えている未来視持ちは、効果と予測できる未来の長さはピカイチだが、干渉力そのものは低いため、山田アジサの異能で周囲の関係者の未来も見えなくなるのは有り得る。
「では、読心持ちを向かわせなさい」
「向かわせる、教員として、ですか?」
「違うわよ。男子を使うわ。高柳はいなくなったんでしょ? 着床値は低くていいから、それなりの男子に警護官として読心持ちをつけてあの学園に転入させなさい」
「なるほど。わかりました」
その後細かな指示を終えて、秘書が退室する。
ため息を一つついて、
唱えた。
「『Gaze』
『on』
『BookMarks』」
月読ウタゲ。
その異能は
『ワールドゲイザーを顕現させる異能』
ワールドゲイザー。
理論上すべての異能を閲覧できる書物。
最初のページと最後のページ以外のページを、任意の対象の異能説明欄に差し替えることができる。
これが、月読ウタゲの異能。
世界で二番目の脅威度を誇るヒノモト最強の
だがもちろん、万能ではない。
存在をしらない
名前と顔を知っておく必要がある。
月読ウタゲは、そのなかでブックマークした
「困ったものね」
呉井マナ
『熱を徴収する異能』
川良メグ
『焼き焦がす異能』※
花札ライカ
『自己と他者の傷を入れ替える異能』※
山田アジサ
『異 る 』
山田ミコ
『異能を封印する異能』※
青桐アオイ
『物体を止める異能』
里村シズ
『人に化ける異能』
蓮顕寺カナウ
『遠雷を掴む異能』※
田中ラグナ
『勝手に見ないでくれません?』