※この作品はR-18です。

貞操逆転世界で異能と体質で差別され男性の精液を定期注入されないと動けなくなる ”眠り戦姫” たちを性欲にまかせた婚約セックスで救いまくる話   作:ぽぶきち

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第二十七話 最強ではないが無敵である

 

 

 あれから寮に戻って少し遅めの食事をとった。

 

 雅楽川君の寮から戻ったとき、玄関ではお風呂に入ってほかほかしたメトリが膝を抱えて待っていた。

 僕の姿を認めて表情が明るくなり、抱きつこうとして半ばで躊躇していた。

 

 僕が自分から抱きついて背を撫でると、泣き出した。

 

 申し訳ないことをしたと思う。

 いくら早急に解決するべきだったとしても、初夜の相手を置き去りにしたのだ。

 

 メトリは僕の学生服をしっかりと握っていた。

 若干汚れているから、これも洗濯しないといけない。

 

「私の見た夢だったのかと、思いました」

 

 食卓で隣に座っているメトリが言う。

 

 疎外感が強いかもしれないと思ったが、案外馴染んでいると言うか、毒気のようなものが抜けている気がする。

 

「夢じゃないよ。僕は今日メトリを抱いたし、結婚も約束したし、メグの真似をしようとして自滅してた」

「言わないでください……」

 

 自分から腹圧をかけて締め付けを強めるのは、メグのような快感を逃がすのがうまいタイプじゃないとできない。

 今日の終盤、それでメトリは自滅していた。

 

 いまも下半身にうまく力が入らないらしい。

 

 まだ起きてからそんなに時間が経っていないだろうから、当たり前だ。

 

 眠り戦姫(ソメイユ)の身体能力でなんとか持ち直しているだけであって、僕が触れてしまえばまた立てなくなるだろう。

 

「ああ、そうだ。聞いているかもしれないけれど、許可得てきたよ」

「何の……?」

「君が、僕の警護官になるってことを。さっき、雅楽川君と話して」

 

 ライカがメトリの肩を叩く。

 

 その手にはバッグが握られている。

 

「ライカ、あんまりそういうのは……」

「ユウキ様、やったことはきちんと相手に伝えないといけないっす。お互いのためにならないっすよ!」

「……確かに、そうかも」

 

 ライカはメトリに事の次第を話した。

 雅楽川君との交渉の経緯。

 警護官になるという話よりも、対価として2000万を払おうとしていたという点にもっとも驚いていた。

 

 メトリは優れた異能をもっているからそれくらいの収入は見慣れているのかも知れないと思ったが、どうやらそうではないらしい。

 得たのは収入よりも自由、だったそうだ。

 

 僕も、それほどの金額を出したことはほとんどない。

 

 前世の小市民的感性が残っているのか、なにかに散財しようという気にはならなかった。

 使い方がわからない、といったほうが正しいかも知れない。

 そもそも男性であると言うだけである程度の生活に必要な諸々は担保されているのだ。そのうえで何かを求めるには娯楽を知らなさすぎた。

 

 中学の頃も、娯楽は呉井さんとのえっちだけだった気がする。

 

 つまるところ、僕の懐は潤っている方なのだ。

 

 最近は少し不安になって提供の数を増やしたりもしているが、呉井さんたちからすると、「やりすぎ」らしい。

 

 よくわからないけど、不動産とか株式とかに替えたほうが良いのかな。

 

「とりあえず、今夜は桐一葉がユウキ様の側にいたほうがいいでしょう」

 

 そういったのは呉井さんだった。

 呉井さんはライカと顔を見合わせて何かを言外に伝え合っていた。

 

「悪い……」

「私は同族嫌悪していただけです。今のあなたはそこまで苦手ではありません」

「そうか……」

 

 今日は本来であれば呉井さんといっしょに寝る予定だったのだが、その呉井さんがメトリに譲った。

 過剰返済(オーバーフロー)はそれを起こした男性に対する性的欲求などを強めるが、それは肌を合わせるだけでも解消できることがある。さすがに本番ほどの即効性はないが、過剰返済(オーバーフロー)の余韻を解消する程度の効果はある。

 

 さすがにあれだけ抱き潰したメトリをこれ以上抱くことはしないが、一緒に抱き合って眠るだけでもメトリはすっきりするだろう。

 

「兼高ユウキ、様」

 

 熱のこもった眼差しをむけてくるメトリを、僕は自分の胸元に迎えた。

 こてんと頭を僕に預け、騎士性によって段々と弛緩するメトリの身体を抱き寄せてずり落ちないようにする。

 

「……代わりにはなりませんが、知りうる限りの情報を提供します。国家管理委員会の情報も、その他の組織の情報も……」

「いらないよ」

「……なぜ?」

「僕が欲しかったのはメトリであって、情報じゃない。それを受け取ってしまうと、メトリをそういう目的で婚約者にしたことになる。それは嫌なんだ」

 

 ぎゅ、っと僕の服の裾を握る。

 

「あなたは、やはり私を見てくれるのですね」

「約束したからね」

「ですが、これは伝えさせてください」

「……どうしたの?」

 

 メトリが僕を見上げる。

 その目を疑問とともに見つめると、さっと反らされた。

 えっちのとき以外だと少し恥ずかしいらしい。

 

「未来予知の能力者が、国家管理委員会には存在します」

「そうなんだ」

「認知した人物の可能性を統合してより確度の高い未来を見ることができる異能、と言われていました。それゆえ、干渉系が多い学園などの環境では役に立たないというのも。ですが……」

「……?」

「おそらく、あいつは嘘をついていたと思います」

 

 嘘をついていた。

 桐一葉さんのように、能力を限定的に伝えていたということだろうか。

 

 そういうのは、同じ能力を探る能力でバレたりしないのだろうか。

 

「国家管理委員会が保有する異能でも、異能の詳細まで明らかにするものは難しく、できたとしても本人の異能行使の資質によって左右されます」

「その人の未来予知は、伝えていたものとは違ったの?」

「わかりません。ですがもしかしたら、本質は違うのかも」

 

 なるほど。

 確かにそれなら脅威かもしれない。

 

「お気をつけください」

「ありがとう。でも、みんなと、メトリさんが守ってくれるんでしょ?」

「命に、代えても。」

 

 命には代えてほしくはないな。

 

 最近の授業で、呉井さんたちが並外れた能力を持っていることはわかった。

 だから、本当に自分に命の危機が訪れるのだろうかという疑問もある。

 

 高柳君のときは僕が自分から突っ走った。

 メトリさんのときはそもそもこちらを害する意志はなかった。

 

 気になるのは雅楽川君がいっていた違和感だけど、それも異能使いが満ちるこの学園特有の雰囲気に対してのものかもしれないから、一概に脅威が差し迫っているとは思えない。

 

 部屋に戻る直前、呉井さんが僕の耳元で囁いた。

 

「顧みず手をさしのべるのがユウキ様の美点とは存じております。しかし次の私の担当のときは、覚悟しておいてください」

 

 僕は中学時代の呉井さんとの日々を思い出し、その日の翌日は学校を休まざるを得ないかもしれないと予測した。

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

「ウタゲ様、来ました」

「収穫は?」

 

 国家管理委員会本部。

 日頃の激務の頭痛をタバコをふかして抑えている月読ウタゲにもとに、秘書が資料を胸元に抱えてやってきた。

 その横には護衛らしき人物もいる。

 

「田中ラグナの異能は依然として不明です。ただ、同クラスで山田姉妹を除いて最も強いとされる楠木ハナサトと戦闘訓練で接戦を演じ、1-10の男子からの"お気に入り"となったそうです」

「なるほどね。ワールドゲイザーを跳ね除け、なおかつ物理戦闘力もあるとなると……」

「はい、概念系の異能である可能性が高いと」

 

 楠木ハナサト、確か兼高ユウキとも懇意にしている学級委員長だったはずだと、月読ウタゲは考える。

 異能は『風を操る異能』

 兼高ユウキの周囲には怪物が揃っていると、つくづく思う。

 

 もし兼高ユウキが裏で糸を引いているなら、その目的はなにか。

 田中ラグナがあえて目立つことでどのような利益が兼高ユウキにもたらされるか。

 

 月読ウタゲが思いつくのは陽動くらいだ。

 

 だが、それなら別クラスの手下にさせたほうがいい。

 わざわざ国家管理委員会会長の自分の異能に干渉して喧嘩を売るような真似を、自分のクラスの傘下にさせる必要はない。

 

(まさか、二人は互いに独立している勢力? いや、まさかね)

 

 ニコチンで冴えた頭で考える。

 その思考を、秘書の言葉が打ち切る。

 

「桐一葉からも、連絡がありました」

「折り紙に書かれていた内容は?」

「『獅子の心中に入ることには成功。しかし未だ暗澹』」

 

 兼高ユウキの勢力の内側に潜入することには成功したが、重要な情報を引き抜くことは未だにできていない。そういう意味だろう。

 

 迂遠な言い回しの文章は、別にそう指示したわけではない。

 ただ何らかの思うところがあって桐一葉本人がそのような表現にしているだけだ。

 

 収穫無しか、と月読ウタゲは窓から空を仰いだ。

 

「あと、もう一言」

「何かしら」

 

 秘書は、眉をひそめて読み上げる。

 

「『兼高ユウキには十分注意されたし。

 彼は最強ではない、

 しかし、"無敵"である』」

 

 ふっ、と、月読ウタゲは吹き出すように煙を吐いた。

 

「どういうこと?」

「わかりかねます」

 

 持ちうる戦力を、すべて防衛や諸工作から外して兼高ユウキにあてれば十分に制圧することができる。

 その確信が、月読ウタゲに余裕を持たせていた。

 

「少なくとも、内部に潜入できているのだからこちらのものね。あとは待つだけ」

「おそらく今は下働きなのでしょう。兼高ユウキ本人の思考を覗けるほど接触できていないのでしょうが、それも時間の問題と考えます」

「そうね」

 

 月読ウタゲは、秘書の横にいる眠り戦姫(ソメイユ)に声をかけた。

 

「あなたが実地に赴いて未来予知する手間はかからなさそうだわ」

 

 金髪の眠り戦姫(ソメイユ)が「だといいな」と笑った。

 

 




もうすぐアジサとの本番です。

↓眠り戦姫のスピンオフ短編的な、全然本編と関係ないものを書きました。
https://syosetu.org/novel/406011/
中学生で地方の男子が主人公です。
並行世界の話なので本編にこのキャラは登場しません。
少しだけ本編にも出してない設定があったりします。
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