貞操逆転世界で異能と体質で差別され男性の精液を定期注入されないと動けなくなる ”眠り戦姫” たちを性欲にまかせた婚約セックスで救いまくる話 作:ぽぶきち
放課後、未だにしがみついているアジサを抱えて、僕は提供室へ向かっていた。
ミコは気を利かせて僕たちと別れた。
以前のようなことにならないため、警護官たちと共にいるのではないだろうか。
「いつぞやの組み合わせですねぇ」
「……挑発してるの?」
「してないですよ」
メトリがアジサをからかう。
歩いているのは、僕、アジサ、メトリ。
まさにいつぞやの組み合わせだ。
だからアジサはまだ若干だけメトリへの猜疑を拭えていないようでもあった。
「あなたの能力、確か触った相手の思考が読み取れるのよね」
「五感情報もですよ。マーカーをつけた一人の情報をいつでも取得できるのです。いいでしょう? ユウキ様が覇道を進む際には大いに役立ちますよ」
「……それって、いまもマーカーはつけてるの?」
「つけてますね。というより、更新していない、というのが正しいです。削除はできない」
「誰につけてるの?」
「川良メグ」
ああ、と思い出す。
最初にメトリと出会ったときにメトリがメグに触れて記憶を読み取ってから、マーカーをつけたままだったのか。
メトリの能力は、触った
だが、目線を合わせた相手に対したとえ男性であっても記憶を読み取れてしまうように、実際の能力はもっと機能的なようだ。
「それやめなさいよ。私にマーカーつけときなさい」
「確かに、あなたであればほぼ思考は読めないですね」
アジサが差し出した手を、メトリが手袋を脱いだ片手で掴んだ。
「……本当にまったく読めませんね。大したものです」
「そう」
「私は右利きです」
「……何がよ」
アジサが、僕の腕からおりて、向き直る。
「ユウキ。今日、その、提供はいいから、いっしょに帰らない?」
「うん? いつもいっしょに帰ってるよ」
「ええと、そうじゃなくて、二人で、歩いて帰りたい」
少し不思議だった。
いつもだったら、僕の服の裾を掴んで言ってそうな話だ。
だが要望自体はとても嬉しい。
好きな子と同じ帰路を歩いて下校するというのは、やはり男子たるもの一度は憧れるものだ。
「であれば、ご正妻。待機している警護官たちに一言お願いできませんか」
「なんで私なのよ」
「いや、あなたのほうが私より足が速いので。私が端末を使っても良いのですが、国家管理委員会に情報を閲覧されてしまうのです」
ちょっと初耳な話題にぎょっとする。
覗き見されているのか。
確かにそういったやり取りをハッキングで読み取れる状態にしておけば監視する向こうとしては楽かもしれないけど。
「ま、いいわ。すぐ追いつくから先にいってて」
「了解。半径200m以内にあなたが入れば私は早歩きをすることにします」
「図々し過ぎない?」
アジサは僕に手を振ってから、駐車場に向かった。
やはり彼女は押しに弱い気がする。
「では、おじゃま虫が消えたので行きましょうか?」
「意外とアジサと仲がいいんだね」
「おや、叱られると思っていましたが。そうなのですよ。波長が合うのです。からかい甲斐があると言えます」
学園の敷地内にある街路を歩く。
植えられた広葉樹の葉が重たそうで、夏を予感させる。
夏になったら警護官の服装は暑そうだ。
なんとかして制服を変えられるようにしよう。
通気性のいい布地とかゆったりとした袖口などで見た目を大幅に変えずに涼しさを出せたりしないだろうか。
あまりそういった服飾は得意ではないけど、帰ったら色々と調べてみようと思った。
「そういえば、やっぱりメトリみたいに外国語を話せる
「そうですね。
戦争中だとそのような敵性語に対するあたりが強くなるとは聞いたことがある。
でも実際に授業でまったく英語を勉強しないなどとなると、少し違和感があった。
僕としては勉強する教科が減ってやりやすくなったのだが。
前世の知識があるから数学などはこなせるのだが、世界史が少し不安だ。
いまのところ学年内のテストでもそれなりの順位をキープできている。
「ヒノモトは、元は統一国家ですからね」
「そうらしいね。ちょうど教養世界史がそのあたりに入って常識を破壊されたかな」
「ふふ、島国だと思っていましたか?」
ヒノモト、正確には
かつて世界の大半を占めた国家だが、今では島国一つを保有する前世の日本と同規模の国だ。
僕も、
資料集で見たが、ヒノモトの最盛期は、前世のモンゴル帝国や最盛期のイギリスよりも領土が広かった。
どうやら、とある年を境に各地で一挙に反乱が起こり、中心部かつ自然防衛力に富んだヒノモト本州だけが残った形らしい。
「さて」
メトリが足を止める。
なんだろうと僕が振り返ると、メトリはなんでもないように笑った。
「ユウキ様、私を信用してくださいますか」
「もちろん」
「では、少しだけ目を閉じていただけないでしょうか」
言われるがまま、目を閉じる。
数秒。
数十秒。
数分。
「メトリ……?」
返ってくる声はなかった。
だが、目を閉じろと言われたので、そのままでいる。
「捕まえた」
女の子の、
そんな声が聞こえた。
そして、
「ええ、捕まえました」
メトリの声が聞こえた。
「いいですよ。ユウキ様」
目を開く。
そこには、何かを掴んでいるメトリがいた。
虚空にある何か、いや、誰かを掴んでいる?
誰かの腕を、僕に差し向けられた誰かの腕を掴んでいた。
「認識阻害、いや、静音と透明化の併用ですか」
「……ッ!」
風切り音がする。
メトリは距離を取った。
そして、僕と、目の前にいる"誰か"の間に、人影が立つ。
アジサだ。
どこかおかしいとは思っていたけど、駐車場に戻っていなかったのだろうか。
いや、戻ってはいたのだろう。
なぜなら、他の警護官たちも僕の周りにやってきているから。
「ユウキ様、ご無事ですか!」
灼熱をまとって宙を飛んできたメグが、僕の側に移動する。
僕には傷一つない。
多分だけど、おびき出してくれたメトリたちのおかげだと思う。
「お前の負けだ。投降しろ」
「…………」
何かに対してメトリがそう告げる。
「ご正妻、もうこいつにマーカーを移したので、あなたの視界を借りなくても位置は掴めます。異能を全身にまわして問題ありません」
「わかったわ」
「お見事でした」
「まだ勝ってないわよ」
注意すれば、確かにいる。
姿は見えないが、いるというのは、なんとなく伝わってくる。
その"誰か"は、少し身を引いた、と思う。
そして、一気に僕に向かって飛んだ。
アジサの頭上を飛び越えようと、高く飛んだんだと思う。
「上!」
アジサが叫ぶ。
僕は初めてここで、
メグの本気を見た。
「『
頭上すべてが、視界の上部一面が、炎の海に覆われる。
それは、広範囲に灼熱を発したものだ。
見たものに膝を屈させるような、天災の具現。
"誰か"は炎に押し出されて、向こうに吹き飛んで転がった。
ステルスを無意味にする広範囲攻撃。
僕は呉井さんが突出した強さを持っていたと思っていたけど、それはただ、大勢を相手にすることがこれまでなかった、というだけなのかもしれない。
さらにそこから、
「『
呉井さんの声がした。
前方に氷が放たれ、それが"誰か"を拘束する。
胸元あたりまでの高さの氷は、内部に人一人の空洞を残しており、それが襲撃者の所在を明らかにしていた。
メトリが、冷たい瞳でその誰かを見ていた。
「有罪だ。明らかに襲おうとしたな。私たちの主を」
「……」
「お前の五感は既に共有している。どこにも逃げられないし嘘もつけない」
僕は、側に傅くように侍る呉井さんに声をかけた。
「ありがとう、守ってくれて。みんなも」
「当然です。むしろこれまで気づけなかったのが……不甲斐ない限りです……」
「気にすることないよ。……あの子、
「異能の特性上、物的証拠がありません。メトリが記憶を覗いたとしても、信頼性の低い証言にしかならないでしょう。ですが、ユウキ様が命令すれば、斯様な木っ端などいくらでも処理できます」
怖いことをいう呉井さんの頭を撫でながら諭す。
僕はそんなことしてほしくないし、したくもない。
「しないよ。とりあえず、話を聞きたい」
「お戯れを。あれはユウキ様に、我々の何よりも大切で、重要で、貴きあなたに、手を出そうとしたのですよ」
考える。
どうにかして、場を収める方法がないか。
まだ何の事情もわかっていない。
だから知ろうとすることは、間違いでは、下策ではないはずだ。
「メトリ、この子が僕を傷つけないように、しっかりと見ておいてほしい」
「無論です」
「そしてみんなも、メトリが異能で痛覚含め五感を共有している以上、痛みを与えたり、精神を過度に揺さぶるようなことは控えてほしい」
メトリが、言わなければよかったとでも言うような顔をする。
そんなメトリの前方、
氷結した襲撃者の側、
ミコが襲撃者に近寄っていた。
その手が、おそらく顔のある部分に触れる。
何をしているのだろう。
アジサが制止の言葉を吐く前に、それは起こった。
ばっ、と光が弾ける。
空気の流れが変わる。
「やっぱ、そうだったんだ」
ミコがぽつりと呟く。
「私の異能、他人の異能を使えなくさせられるみたい」
ミコの隣の襲撃者の姿が変わる。
襲撃者は、透明人間から、小柄で少し汚れた制服の少女へと変貌していた。
ライカ「みんな足速いっすよぉ~」