貞操逆転世界で異能と体質で差別され男性の精液を定期注入されないと動けなくなる ”眠り戦姫” たちを性欲にまかせた婚約セックスで救いまくる話 作:ぽぶきち
第五十六話 校長
世間は混乱のなかにある。
『外国人が急にヒノモト語喋れるようになったって本当?』
『真田総理はああ言ってたけど、本当は病院守れなかったんじゃない?』
『言語を分ける異能とか怖すぎる、なんで最初から殺しておかなかったんだ』
『避難警報最近多い。ヤバいかも知れない』
『指名手配中の田中ラグナってなにしたの? 懸賞金すごくない?』
『外患誘致罪らしい。よくわかんないけど、スパイとか?』
『例の男子様の写真、高解像度版が出回り始めたらしい』
『買った!』
『売ってねぇよ』
『正直あんな男子が実在するかね? 普通に男装でしょ。不祥事を隠すために工作されたパンとサーカスだよ』
『↑黙れや』
『嘘でもいい。嘘でもいいんだ』
『手のひらの上で踊らされてるんじゃない。踊ってるんだよ』
『見る阿呆にもシャルウィーダンス?』
『実際のところ男性保護法に抵触するから表立っては誇れない』
『私、外国のネットから繋いでいます。この前、暴動が起こりました』
『暴動とは』
『眠ってたはずの眠り戦姫たちが、目覚めて、暴動を起こしました。
おそらくそちらの国に亡命したと思われます』
『怖すぎる』
『まじ勘弁』
『終わりじゃんこの国』
『最後に男性とえっちしたかった……』
『同じ国の人ですか? 私たちの国はVPNの制限がないのでヒノモトさんたちのサーバーにも干渉できます。亡命したあの姉妹、antalchemist姉妹は、精神系統の異能です。みんな心を支配されました』
『やばいじゃん』
『じゃあ隣の人も信用できなくね?』
『専属警護官試験、受けてきた』
『どうだった?』
『武力試験は無理。筆記と資格でなんとか』
『まだ武道経験者じゃないと難しいからな』
『警護官やめて観察官にしとこーぜ』
『おぬし、ショタ好きか?』
『誇りもって観察官やってるやつもいるからそういうのはやめてほしい。担当になった男性をそういう目で見ないし』
『ごめんて』
『そういう目で見てたら受かってないもんな』
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「校長……相当恨まれてますよ」
「これも計算のうちだよ」
教員の一人から窘められた、校長と呼ばれた女性は、笑いをこらえきれないと言った様子で口元を抑えていた。
「今年は収穫が多いね。徴兵から帰ってこれそうな青田がわんさかわんさか」
一年のリストを見ながら、校長は哄笑する。
府中第一戦姫育成学園の校長。
異能は『危機を察知する異能』。
「でも、さすがに青桐ほどの者はいないのでは?」
「そーなんだよね。蓮顕寺の小娘は交渉に応じなかった。あの体でよくやるものだよ」
「あの娘、生きてて楽しいでしょうか」
「楽しいわけがない。あれだよ?」
「……そうですね」
今年度に青桐アオイほど良い駒になりそうなものはいない。
リストをめくって、息をつく。
だからこの校長は、他国からの亡命者を許した。
「これはあのウタゲと私の戦争。よりチェスの駒を集めたほうが、勝利する」
「勝利して、どうするんです?」
「決まっているじゃないか、コネクションをつないだ男子を部屋によんでくんずほぐれつずぶずぶ酒池肉林の睡眠負債の大返済祭りさ」
教員の一人は、深くため息をついた。
この校長はイメージがちゃんと出来ていない。
だが、権力欲と異能と直感でここまで上ってきた猛者であることは確かなのだ。
「…………一年のユウキ様は、たぶん校長には手が届きませんよ?」
「何を言うのかね。くく、いずれ私に頭を垂れる日が必ず来る」
「ぶっ殺されますよ。普通に。呉井マナに。」
「…………ふふっ。その名前を出すなと言ったのを忘れたのかな?」
「…………」
「………………こわいよぉ」
「…………」
「……なんであいつがここにいるの……?」
校長のコーヒーカップを持つ手が大きな振幅で震えてる。
教員が思うに、
この校長は、小心者である。
戦場を変えた
現状でもっとも有力な駒である青桐アオイでさえ、勝てないだろう。
そもそも呉井マナの異能は氷結による拘束と当人の技量にまかせた対人戦である。青桐アオイでは相性が悪い。
「スパイに出していた里村シズもなんか婚約者になってるし、私の庇護下から外れたしさぁ……。
なんなのもう。インパクトランク目的の誘致じゃないよね。完全に国家レベルの工作員を揃えてるよね。しかもあの糸目……」
「校長、気づいておられたのですか」
「気づかないわけがないだろ!! 絶対『
「じゃあなんで断らなかったんですか」
「いや、だって、雅楽川くん、かわいかったし」
「イカれてんのか」
教員が思うに、
この校長は、意外とアホである。
スパイづくしの雅楽川を入学させ、情報を抜かれている。
呉井マナを恐れて兼高ユウキに強い接触を仕掛けられず、勢力の拡大を許している。初期からぶつけていた調査員の里村シズも娶られてしまった。
「あんまり叫ばないでくださいよ。聞かれたらどうするんですか」
「夏休みだから誰もいないよぉ……」
「教員はいるでしょう。それに部活はあるし、演習場も機能しています」
この策謀が他の何も知らない教員の耳に入ってしまっていたらどうなるかわからない。
「一つ聞きたいのですが」
「……なにかね」
「どうして1‐21クラスが体技大会に出ないようにしたのですか」
校長は、ずりずりと机から顔をあげて応えた。
学園にまだ慣れていない状態、
「パワーバランスを保つためさ」
嘘だろうと、わかる。
体技大会における紅白のパワーバランスを考えるなら、兼高ユウキのもとに転入した
精神系でしかないのなら、武闘技能が必要となる体技大会ではさほど好成績を残せない可能性が高い。
「このままだと、1‐21のスパイに一方的に異能の情報を抜かれますよ」
「それが、なにか問題か?」
「数年後の戦争が不利になるでしょう」
にぃ、と校長が笑う。
わかっていないものを見るときの目をした。
少し教員の癇に障った。
「私は国内の治安など考えてはいない。考えることは一つ、私が台風の目となることだ」
「性格悪いですね」
「仕方ないだろう? ウタゲに勝つためにはこちらも何かを捨てるしか無い。それが、あいつがどこまでも縋っている、国家の安全というものだった、というだけさ」
そんなことを言っているが、本当にウタゲから敵対視されているのか、教員はかねてより疑っていた。
本当は眼中にすらないのではないか、だがそんなことを伝えると、さすがに自分の進退が危ぶまれる。
ぐっと言葉を飲み込んだ。
「始まりの
校長が、机のうえの1枚の写真を眺める。
ゼゼ・アンタルキミスト。
『幻覚を見せる異能』を持つと自己申告した。
相手を多少前後不覚に陥らせる程度というが、それが本質ではないのは明らかだ。
「この子は、元少女兵だ。
向こうでの異名は知らない。だけどヒノモトの
校長は、過去の記憶を掘り起こす。
「『
獏。
覚や氷鬼と同じく、妖怪の名を冠している。
めんどくさ、と教員は心のうちで毒づいた。