貞操逆転世界で異能と体質で差別され男性の精液を定期注入されないと動けなくなる ”眠り戦姫” たちを性欲にまかせた婚約セックスで救いまくる話 作:ぽぶきち
今日はライカに指輪を渡すと決めていた。
そのうちメグの様子が変わったことに気づくだろうから、メグの次に渡すことにしていたのだ。
メグ、ライカ、アジサ、ミコ、レイア、の順番の予定だ。
そしてあと最後にもう一人予定している。
ライカを部屋に呼ぶと、所在なさげに辺りを見回しながら、僕の顔色を伺った。
「あの、私、なんかしちゃったっすか?」
「そんなんじゃないよ」
僕はライカの手を引いて、自分の膝の上に座らせた。
後ろからライカを抱きしめる形で、存在を確かめる。
「ちょ、ユウキ様、ま、まだ朝っすよ!」
「ライカ」
僕は命令権を発動した。
「『僕にしてほしいこととかあったら、言ってみて』」
発動の方法は、僕が命令したと認識することのようだ。
どうやら、相手がどう受け取るのかというのはあんまり関係がないらしい。
それでも、正常に意味を理解されていたほうが効力は強まるみたいだ。
なんとなくの体感なので、もしかしたら違うかも知れない。
「…………」
ライカの瞳がこちらを見上げていた。
唇が、少し震えた。
「それなら……」
「うん」
「デート、してほしいです」
僕は面食らった。
えっちなことを要求されると思っていたからだ。
「わかった。じゃあ、行こうか」
色々考えている間に、僕の口はいつのまにかそう発言していた。
あまりにも、ライカの願いごとが可愛かったからだ。
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男子が商店などに向かう際には、普通、予約して貸し切りの状態にするらしい。
多くの男子は女性に見られることを好まないし、そもそも市民が使うものよりも高等な施設を利用しようとする。
だけど僕は、正直言ってそういった貸切状態や高級なレストランなどには気後れしてしまう。
まばらな雑踏のなか、僕とライカは並んで歩く。
少し後ろから、呉井さんとクタシがついてきている。
僕含め四人とも私服だ。
警護官の制服だと僕が男子だというのが周りにバレてしまう。
隣を歩くライカは、真新しいワンピースを着ている。
僕は薄手のパーカーの上からスカーフを巻いている。
実際の生地は通気性が良いからさほど苦じゃない。
僕の髪にはクタシによってリボンが一つつけられている。
これがかなり男性っぽさを消しているかも知れない。
もはや日課となっているクタシからのハグと猫吸いのような何かを車のなかで受けながら、いつのまにか付けられていたのだ。
だというのに、なぜか他の一般客からの視線を感じる。
なんというのか、男性を見たと言うよりは、有名人を見たかのようなざわめきを感じる。
呉井さんが有名人だったりするのだろうか?
いやでも、ここは学園の敷地外で、眠り戦姫もそういないはずだ。
見たところ完全に僕に対して注意が向けられているようでもあるし。
「ユウキ様、ちょっと走りましょう」
ライカに手を引かれる。
そのまま、近場のブティックに駆け込んだ。
「この感じ、多分ユウキ様が見られてるっす」
ライカは、呉井さんたちが遅れて入ってくるのを確認しながら言った。
呉井さんはギターケースを背負っている。
あのなかに刀が入っているのだと僕は予測する。
「おそらくこの前の病院でマスメディアが広めた画像が原因かと思われます。見るものが見れば、ユウキ様だとわかる程度には鮮明でしたから。私が気づいていれば……」
呉井さんが申し訳なさそうに言った。
全く知らなかった。そんなことになっていたのか。
呉井さんを慰めながら、僕はこの場所に一目散に向かったライカを見た。
「帽子を買って服も新調すればたぶんなんとかなるっす!」
ライカは店員に事情を説明し、男性でも着られるような服の所在を尋ねた。
店員さんは若干僕のほうをみて謎の涎を垂らしながら、他の店員に客の対応を頼んで僕たちを店の奥へと案内する。
こういうお店はさほどバックステージなどはないイメージだったが、どうやらこのお店は違うらしい。
高級試着室ともいうべき部屋が広がっていた。
「府中学園から男子様がいらっしゃることもあるので、このような男子様専用の設備も用意があるのです。もっとも、お客様が男性客の第一号なのですが……」
どことなくフランクに説明する店員に、ほんの少しの悲哀を垣間見た。
それから、僕は服を試着した。
いや、試着させられたに近い。
気づけば僕は、息を荒くした呉井さんとクタシの着せ替え人形になっていた。
服をとっかえひっかえされ、言われるがままそれを着ると、二人は目元をおさえたあと、啓蒙的な絵画でも眺めるかのように唸ってみつめてくる。
「やはりユウキ様はアバンギャルドでエッジなスタイリングよりもエブリデイルックなシルエットがマッチするパーソナリティですね」
「うん、ごめんね、よくわかんないや」
「世界一かっこいいので何を着てもそれが世界の王道になるほど似合いますが、やはり日常的な衣服のほうが一緒に生活していると実感させられて良い、という意味だと思います」
「……なるほど? ありがとう」
呉井さんの言葉をクタシが翻訳していた。
馬があうのかもしれない。
ちらりとライカの方を見ると、帽子をもってあわあわしていた。
今日はライカとのデートだから、主役は彼女のはずだ。
「ライカ」
「あ……はい、っす!」
「ライカが決めてみてよ。僕の服」
僕がそれらしいものを見繕ってもいいのだが、ライカは多分僕に似合うと思っているものがあるようだ。
「いいん、すか?」
「うん。ライカの色に染めてみて」
「ぅ……。……ふー、よし。それなら……」
迷いのない手つきで、ライカはトップス、ボトムスの順に服を一式揃える。
黒の帽子、白いシャツ、ジャンパー、ジーパン。
それを見て、しばし考える。
カーテンを閉じて、試着した。
「どう?」
「と、とてもお似合いっす!」
普通のデートだったら逆だっただろう。
僕はジャンパーを閉じて、スカーフを巻いた。
さきほどよりは若干暑いかも知れないが、問題ない。
「よし、」
「じゃあ、店員さんが裏口があるって言ってたので──」
「今度はライカの服を、僕が決めていい?」
ライカは、一瞬ぽかんとした表情になった。
そのあと、わたわたと手を振った。
「お時間が無駄になるっすよ!」
「今日はライカのためのデートだよ?」
「それは、そう、かもっすけど」
新品のワンピース。
ライカの服を見て、僕は少しだけ違和感があった。
とても似合っている、似合っているのだが、なんだか違和感があったのだ。
「ライカ、僕のためにおしゃれしてくれたんだよね」
「…………」
「本当は、いつもの服装とは全然違うんじゃない?
僕に選んでくれた、こういった服が好きなんじゃないかなって」
僕は、ラボラトリに入る前のライカを知らない。
学園にいたときのライカも、
だから確証はない。
「ずるいっすよ……」
「今日はおそろいでデートしよう」
少しだけ待って、僕はライカが着替えた姿を見た。
帽子、スカジャン、チューブトップ、デニムスカート。
似合っていた。
惚れ直した。
買った。
‐‐‐
裏口から出てきた僕とライカは、お揃いの服装で、同じ帽子を被っていた。
少しだけ階段を上って、映画館のある階層へとたどり着く。
「……な、何見るっすか……?」
若干しどろもどろなライカが尋ねる。
手はしっかりと繋いでいた。
上映されている映画一覧を確認する。
『
『獅子王2 -繼承する者-』
『愛の花束』
『流浪』
『ドッキリ・デデンデンズ』
見事にジャンルが分かれている。
こういったのは、恋愛物を見るのが定番だろう。
「『愛の花束』にしようか」
「……これ、異性愛っすよ?」
「うん? そうだね」
「男性が見たらご不快になるかも」
「ならないよ」
受付で席を予約する。
僕がやろうとしたが、声で男性とバレるとのことでライカに頼むことになった。
忸怩たる思いだ。
席についてまもなく上映が開始される。
始まったのは、居丈高な男性と、それに振り回されながらも必死に期待に応え続け、最終的に見初められる女性の話。
不快にはならないとは言ったものの、ちょっとこの男性は苦手かもしれない。
そんな男性が、
『俺様の嫁になれ』
と、手を差し出す。
ヒロインは、息を呑んで、しばらくして、その手を取った。
映像がフェードアウトして、
最後に、数十年後、縁側で手を握り合う二人の姿が映る。
僕はこれに合わせて隣りにいるライカの手を握ろうとした、
だけど、
「…………」
ライカは、映画のシーンに見とれていた。
夢中になっていた。
僕はゆっくりと手を元の位置に戻した。
‐‐‐
映画が終わったあと、僕たちは観覧車に乗った。
使用済みの映画チケットを渡すと割引される。
ショッピングモールにもこういったものがあるのだと驚いた。
呉井さんとクタシが、僕たちの次のゴンドラに乗った。
互いに向かいに座った二人がじっと床を眺めている。無言だ。……だめだ、ちょっとおもしろい。
僕とライカも、向かい合わせで座っている。
映画の余韻に浸っているのか、ライカは僕の顔をみつめながらぼーっとしている。
「面白かったね」
「…………あっ、はい、とても」
想像と違い、あの映画は最終的に二人が婚約者になるまでを描いたものだった。
てっきり、ストーリー半ばで婚約者となった二人に巻き起こる災難を乗り越えて真に結ばれるような展開だと思っていた。
息を吐く。
整える。
緊張をしないというよりは、恥ずかしがらないために。
「ライカ」
僕はカバンから婚約指輪を取り出した。
「お、俺様の、嫁になれ……」
ヤバい、めちゃくちゃ恥ずかしい。
でも、効果はあったようだ。
少しの間ぽかんとしてたライカが、みるみる顔を赤に染める。
「……っ、なん、っす、え、なんで、なんでなの」
指輪を取り出して、ライカの薬指に嵌める。
僕たちのゴンドラは、頂上に上っていた。
「成人したら、結婚してくれる?」
「……っ、はい。末永く、一緒にいます。一緒にいて、くれますか?」
「もちろん」
ライカのような人は、世に少ない。
毎日水を汲む作業があったとして、人はそれを嫌がる。
だから、ポンプなどを発明する。
でも世の中にはどこまでいっても人力でしなければならない、少なくともそのときは人力じゃないと立ち行かないことが必ずある。
ライカは、他者のために人力を尽くせるタイプのひとだ。
僕たちは、ゴンドラが傾かないように、
中央に寄って、キスをした。