※この作品はR-18です。

貞操逆転世界で異能と体質で差別され男性の精液を定期注入されないと動けなくなる ”眠り戦姫” たちを性欲にまかせた婚約セックスで救いまくる話   作:ぽぶきち

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第七十六話 婚約報告

 

 

 

 

 青桐先生のぐりぐり攻撃から逃れて、浴室から出る。

 

 清潔な服に着替えて、二人で食堂へ向かうと、

 

「…………」

 

 ライカとメグがリビングでキスしていた。

 

 なんで?

 

「……」

「…………なるほど」

 

 なぜか得心したのは青桐先生だ。

 

 ライカとメグは、両者とも驚いた様子で僕たちを見ている。

 慌てて唇を離していた。

 

「ち、違うっすこれは!!」

「誤解なんです!! ユウキ様!」

「あああえと、先輩、ごめんなさい! オラッ!」

「痛いっ!」

 

 ライカとメグが殴り合いを始めた。

 猫の喧嘩みたいだ。

 何をしているんだろう。

 

「よくわからないけど、二人が仲良さそうでよかった」

「私はユウキ様一筋です!」

「わ、私もっす!」

 

 話を改めて聞いてみたところ、

 監視カメラが原因らしい。

 

 ライカやメグは、この一週間、僕と青桐先生が裸で睦み合うのを交代制で監視していた。

 ある意味生殺しのようなものだっただろう。

 

 そんな二人の性欲が、通常とは異なる方向に発散されようとした。

 

 慌てながら弁解する二人の話を僕の独断と偏見でまとめるならそういうことになる。

 

「完治したか」

 

 メトリが、どこか神妙な顔をしながらやってきた。

 目元に少し隈がある、心配させてしまっただろうか。

 

「幻覚は完全に消えたようだな、青桐アオイ」

「……いえ、まだ……あります」

 

 メトリが小首をかしげる。

 僕も疑問だった。青桐先生のいまの状態は予後の確認こそ必要なものの大抵の症状はおさまったと思ってたからだ。

 

「ユウキ様の……」

「…………」

「ユウキ様のお顔が、美しすぎます」

「…………それはおそらく幻覚ではない」

 

 メトリの言葉に、

 青桐先生が絶句して、

 何度も僕とメトリと見比べる。

 

 目を見開き、頬を真っ赤にしている。

 その状態でも、言葉は明瞭に紡いだ。

 

「ユウキ様は、このようなお顔だったのですね……」

「幻滅した?」

「そんな。幻覚が見せている欲望の権化だとばかり……」

 

 過剰返済(オーバーフロー)を重ねがけされているから、僕の容姿に嗜好のほうが寄ってしまっているのだろう。

 

「皆様にも、ご迷惑をおかけしました」

「全く難儀な中毒だ。突入しようとする呉井マナを説得するのは骨が折れたぞ」

「ユウキ様に必要であれば、何でもします。教員用の宿舎に寝泊まりしているので、情報はいくらでも……」

「…………」

 

 いつかのメトリのようなことを言う青桐先生をなだめようとするが、

 その前に、メトリが口を開いた。

 

「もしかして、気づいていないのか?」

「…………何がでしょうか」

「手元」

 

 青桐先生が自らの両手を見る。

 そういうことなのだろうか?

 とっくに気づいているものだと思っていた。

 

「ぁ……ぁ……」

「ユウキ様が特注で作成した婚約指輪だ。お前の名前が刻まれているはず」

 

 僕はすでに、青桐先生に指輪をつけていた。

 

 青桐先生が、こちらに涙目で振り向く。

 僕が両手を広げると、すばやく接近して腕のなかにおさまった。

 

「いつから……」

「お風呂に入る前。着替えさせてるとき。

 ごめんね、もう気づいていると思ってて」

「気づくわけないですよぉ……わたし、ユウキ様しか見えてないのに……」

 

 まだ少しだけ濡れている風呂上がりの髪から、僕と同じシャンプーの匂いがする。

 

「結婚するっていったでしょ」

「成人後の話だとばかり……」

「今日から、青桐先生には婚約者としていっしょにいてほしい」

「……はい………」

「校長には、僕から言おうか?」

「いえ、自分で……」

 

 強い人だなとつくづく思う。

 

 僕はしばし青桐先生を抱きしめたあと、

 夕食をともに取った。

 

 胃に急激な負担をかけないように、粥が出された。

 

 食卓では青桐先生をミコが、ズバズバと質問攻めにしていた。

 

 かなり容赦のない質問の嵐だったが、生徒と先生という垣根は案外早々になくなったようなので、むしろ良い影響を与えたといえるかもしれない。

 

 食事が終わったあと、僕は隙を伺っていたクタシに奇襲を受けた。

 クタシの黒のコートに包まれ、彼女の部屋へと連れ去られた。

 

 メトリと呉井さんが混ざってきたため、脱出することができなかった。

 

 青桐先生はリビングで夜遅くまでみんなと話したようだ。

 

 翌日シャワーを浴びたあとにリビングの机に突っ伏す先生を見たが、あまりにも穏やかな寝顔だったため、起こすことができなかった。

 

 監禁するといった期間は一ヶ月なのだ。

 まったく問題はない。

 

 

 

 ‐‐‐

 

 

 

 青桐アオイが、兼高ユウキに指輪をもらった、翌日。

 

「して、兼高ユウキの婚約者になると?」

 

 校長、

 大和道デンサイは、

 目の前の無表情な青桐アオイを見上げた。

 

 側に控えていた教員が、首をかしげて睨む。

 

「そんな命令は下されていないでしょう? 青桐アオイ。」

「いいんだいいんだ。男子のほうから乞われたのなら仕方がないさ」

 

 校長が、椅子のレバーを引いて、座面を高く調節する。

 低身長な校長が威圧感を出そうとする時にやる動作だった。

 

「それで、連絡手段はどうする。

 男子の婚約者ともなれば知り放題で操り放題だ。毎回この部屋にお前を呼ぶのは面倒だからね、薬を渡すときに同時に報告もしてもらうのが無難かな」

 

 青桐アオイは、一瞬だけ言葉に詰まった。

 だが、意を決して伝えることを決めた。

 

「私は、もう校長の命令は聞けません」

「…………。

 すまない、もう一度だけ言ってもらえるか? 徴兵から帰って以降、耳が遠くてね」

「校長、大和道デンサイ。あなたの命令を聞くことはできません。試験や体技大会の工作も、身辺の警護も、暗殺も、これ以上受けることは出来ません」

 

 校長は自身の危機察知の異能が発動しなかったことから、青桐アオイが盗聴器のたぐいを使用していないことを確認した。

 

 ため息を一つつく。

 

「兼高ユウキと何かの契約を結んだか? 過剰返済(オーバーフロー)は……ないな。有りえない。私の目の前にいるのは、ヤクでねじを巻いて動く機械仕掛けの死体であるはずだ」

 

 いくら兼高ユウキが着床値A+であろうとも、それだけは有りえない。

 あり得てはならない。

 

 校長は内心で独りごつ。

 

 睡眠負債薬の末期中毒者は、たとえ男子がその気になってもどうこうできるものではない。

 

 幻覚、暴走、視覚の喪失。

 この青桐アオイは一級品の戦闘技能を持つ、彼女を抑えることなど、例え眠り戦姫(ソメイユ)の従業員だけで構成された病院であったとしても無理だ。

 死人が出てもおかしくない。

 

 だからこそ、校長は青桐アオイに薬の服用を忘れないように厳命し、他の教師にも監視させていた。

 

「校長、指です」

「指……?」

 

 教員に耳打ちされて、初めて校長は青桐アオイに対する違和感の正体に気づく。

 左手の薬指に、指輪を嵌めていた。

 

「なるほど、精神操作か」

 

 校長は、兼高ユウキが何らかの顕現するタイプの異能を利用してこの青桐アオイを操っているのだと考えた。

 

 1-21には洗脳系はいなかったはずだ。

 

 だから、兼高ユウキが個人的に抱き込んだ勢力のなかに、その能力の持ち主がいる可能性が高い。

 

(それか、山田姉妹が異能を隠匿しているかだな)

 

 校長は、引き出しの二重底から一つの瓶を取り出した。

 

「君がどういう意志であろうと、これが必要ではないのかね」

 

 瓶の中には、錠剤が入っている。

 錠剤は無論、睡眠負債薬だ。

 

 机のうえに置いた瞬間、青桐アオイの表情が変わった。

 恐怖と、そして抗いがたい誘惑の瞳。

 

「さあ、取りたまえ。特別にこれは無料にしておこう」

 

 青桐アオイの体ががくりと震える。

 効いている。校長はほくそ笑んだ。

 

 依存性の高いこの薬に抗えるものはいない。

 

「どうした」

「…………」

「早くとりたまえよ」

 

 だが、おかしかった。

 たとえ何らの方法で睡眠負債や視覚不全を解消していても、依存した記憶は絶対に残る。

 

 そのはずなのに、青桐アオイはいっさい取る素振りを見せない。

 

 校長の額を、冷や汗が伝う。

 

「……必要ありません。むしろ、私のほうからお渡ししたいものが」

「…………ほーぅ?」

 

 青桐アオイが封筒を一つ取り出した。

 

「退職届かな?」

「いえ、私はここでまだ教鞭を振るわせていただくつもりです。

 これは、兼高ユウキ様の警護官の方から、校長へお渡しするように言伝てられたものです」

「ふーん」

 

 封筒を見ても、危機察知は発動しなかった。

 受け取って、中身を見る。

 

 中には、

 一本のフォークと、

 一枚の紙。

 

 紙をぺらりとめくって、

 校長は目を疑った。

 

「な、な、こ、これは……」

 

 動揺する様子に、教員が紙を覗き込もうとすると、校長から「見るな!!」と怒声が飛ぶ。

 

「では、私はこれで……」

「なっ、待て……!」

 

 一礼して、青桐アオイが去る。

 扉を開けたとき、廊下に、兼高ユウキと呉井マナが立っていた。

 

 兼高ユウキは、目の前で崩れる青桐アオイの体を支え、

 呉井マナは、静かに校長たちに向かって剣気を飛ばしていた。

 

 校長は、呆然とした。

 

 なぜ、呉井マナがあの場にいる。

 

 なぜ、あれほど殺気を向けられているのに、危機察知の異能が発動しなかった。

 

 ふと、手元に握り込んだフォークが目に止まった。

 

 渡された封筒のなかに入っていたそのフォークを、机の上に投げ捨てる。

 

 

 次の瞬間、

 抑えつけるような圧迫感が校長の全身を襲った。

 

 

 ギャリギャリギャリギャリギャリ、と、

 

 危機察知の異能が、全力で警鐘を発していた。

 

 

「青桐アオイ! わかった! お前には手を出さない!」

 

 扉越しに叫ぶ。

 他の耳目など気にしている暇はなかった。

 このままでは呉井マナに殺される。

 

 あの扉の向こうで、最近帯刀し始めた刀を構えているのだろう。

 

 祈るように目をつむると、

 ゆっくりと危機察知が収まり始めた。

 

(異能を、使用不能にされていた……!)

 

 机の上に転がったフォークが、ひどく恐ろしいものに見えた。

 

 心臓をおさえ息をつく。

 

「あの、校長、いったいなにが……」

 

 心配そうに、教員が校長の顔を覗き込んだ。

 

「全部読まれていた。青桐アオイが私の配下であることも、私が欲している情報も……!」

「…………その紙に、何が書かれていたか、聞いても……?」

「っ! 異能だよ! 

 兼高ユウキの警護官と婚約者たちの異能が、全部書いてあった!」

 

 

 

 呉井マナ:熱を徴収する異能。氷を生み出し操作する。

 川良メグ:焼き焦がす異能。熱風と炎を操る。

 花札ライカ:自己と他者の傷を入れ替える異能。

 山田アジサ:異能を拒絶する異能。

 山田ミコ:異能を封印する異能。触れた相手の異能を永久に封印できる。

 桐一葉メトリ:心を読む異能。

 兼高レイア:気配を消す異能。完全透明化と静音。他者および無機物に対しても使用可能。

 楠木ハナサト:風を起こす異能。

 笠屋舟クタシ:眠っている眠り戦姫(ソメイユ)の異能を借りる異能。現在、更科ガルルの異能を借りている。

 里村シズ:人に化ける異能。両手五指の数だけ人に化けることができる。

 皆川ミナミ:花を咲かせる異能。

 青桐アオイ:物体を止める異能。

 

 

 

 頭をかかえた。

 

「封印……、」

 

 もしこれがすべて事実であれば、恐ろしいどころの話ではない。

 校長は泣いた。

 

 ある程度は予測がついていたものや、入学時に自己申告したものも混ざっている。

 その予測や申告と、いまのところ内容は一致している。

 

 しかし、最もほしい『心を読む異能』の詳細が書かれていない。

 

 その上、

 

更科(さらしな)ガルル……。

 『鎌鼬(かまいたち)』の眠り戦姫(ソメイユ)……」

 

 呉井マナよりも少し前の世代における伝説。

 あまりの暴力性から強制的に泥眠状態(アンアライブ)にさせられた眠り戦姫(ソメイユ)

 

 その名前に、校長は震え上がった。

 

 もしこれが事実なら、

 更科ガルルの異能を使用できる笠屋舟クタシは、呉井マナと同等かそれ以上の脅威となる。

 

 青桐アオイが教員を続けるなら、いくらでも圧力がかけられる。

 そう思っていた。

 だが、無理だ。

 

 兼高ユウキは、少なくとも能力を明かすくらいには、青桐アオイを気に入っている可能性がある。

 

 青桐アオイは、兼高ユウキの逆鱗になったかもしれない。

 

「えっと、青桐アオイを脅すのは止めますか……?」

「は、は……、

 や、やめるわけ無いだろう! いったん、中止にするだけだ!!」

「…………はぁ」

 

 教員のどこか冷ややかな視線を受けながら、

 校長は、椅子のレバーを引いた。

 

 がくんと座面が下がり落ちて、校長は「うっ」と低く唸った。

 

 

 




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ノクターンの感想で要望があった、風呂上がりアジサ+バニーとか です。
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