※この作品はR-18です。

強化人間がSEEDの世界で活躍します   作:ナラティブ

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オリジナル26話

リンの決断は速かった。

νガンダムのフロントスカートに内蔵されたサブアームを瞬時に起動し、二振りのビームサーベルを保持させる。宙に展開した二基のロングレンジフィン・ファンネルと合わせ、リンは圧倒的な手数で近距離戦(インファイト)を挑んだ。

「そこっ!」

絶え間なく胸部ミサイルを放って爆炎で視界を奪い、ジ・オ・クロスの動きを牽制する。その弾幕の隙間を縫うように、ロングレンジフィン・ファンネルの巨大なビーム刃とサブアームのサーベルによる怒涛の斬撃を浴びせ、ついにその一撃がジ・オ・クロスの分厚い肩部装甲を深々と掠め、装甲板を斬り裂いた。

だが、突出したリンのνガンダムの周囲に、ユーリカのウィンダムや105ダガーの部隊が殺到し、包囲網を形成し始める。

「邪魔だッ!」

リンは即座に機体の全火器のセーフティを解除した。

ロングレンジフィン・ファンネルの極太のビーム、胸部ミサイル、肩部誘導ミサイル、頭部バルカン、そしてシールド搭載型の大型2連装ビームキャノン――そのすべてを周囲へ向けてフルバーストで解き放つ。

凄まじい閃光と爆発が円形に広がり、群がっていた敵モビルスーツ部隊を一瞬にして消し炭にし、包囲を一掃した。

しかし、爆炎を強引に引き裂き、シロッコが再び襲いかかってきた。

「小賢しい真似をッ!」

重装甲のジ・オ・クロスとνガンダムが再び激しい斬り合いとなる。凄まじい出力が激突する中、ジ・オ・クロスの剛腕がνガンダムのサブアームの一つを強引に叩き割り、破壊した。

さらに、至近距離からジ・オ・クロスの左腕のアグニ砲が、リンのコックピットではなく頭部を正確に狙って放たれる。

(来るッ!)

リンのニュータイプ能力が鋭く殺気を感知し、咄嗟に機体の首を振るように回避行動を取る。直撃は免れたものの、アグニ砲の凶悪な熱線がνガンダムの頭部を掠め、左側に備え付けられていたバルカンをドロドロに溶かし破壊した。

一方、激戦を繰り広げる前線から離れた後方宙域。

ミレニアムの艦橋、そして自ら出撃し後方で指揮を執っていたカガリは、搭乗する『ストライクルージュ』のコクピットから、戦況の異常に気がついていた。

「ダメよ、リンもキラたちも、前線に出すぎている……! 彼らの周りに、援護のモビルスーツが一機もいないじゃないか!」

カガリはストライクルージュの通信回線を全軍に繋ぎ、焦燥と決意の混じった声を張り上げた。

「各オーブの部隊、それにジェガンとリゼル隊! 何をしている、今すぐ前線に応援を送れ! 孤立している4機を絶対に死なせるな!」

カガリの叫びに応呼するように、後方で待機・防衛にあたっていた連合とオーブの量産機部隊がスラスターを吹かし、激戦の中央へと一斉に雪崩れ込んでいく。その直後、戦局を根底から覆すべく、地球連合軍の特務打撃艦隊が切り札である『核ミサイル』を一斉に発射した。

無数の白煙が宇宙を引き裂き、アクシズへと殺到する。

「これで……!」

ミレニアムのブリッジでマリューたちが息を呑んで見守る中、絶望的な光景が広がった。

アクシズの防衛ラインに陣取っていたユーリカのヤクト・ドーガ部隊が、一斉にドラグーンを射出したのだ。縦横無尽に飛び交うオールレンジ攻撃の光条が、連合の放った核ミサイル群を次々と正確に撃ち抜き、アクシズから遥か遠くの宙域で巨大な閃光と共にすべて無力化してしまった。

「嘘でしょ……核弾頭がすべて撃ち落とされた!?」

ミレニアムの艦橋に驚愕と絶望のどよめきが走る。

その混乱の中、リンは決断した。

「キラ! アスラン、シン! 周りのデナン・ゾンは任せた!」

『リン!? 待て、一人で突っ込む気か!』

キラたちの制止を振り切り、リンは凄まじい推進力でジ・オ・クロスを強引に牽引するように小惑星アクシズの地表へと突き進んだ。

「お前の相手は私だ、シロッコ!!」

アクシズの荒涼とした岩肌の上空。重力に引かれるように二機が降り立ち、一騎打ちの火蓋が切られた。

リンは先手を取るべく、残された胸部ミサイルを一斉に放つ。しかし、シロッコは重装甲のジ・オ・クロスを信じられないほどの滑らかさで操り、殺到するミサイル群を紙一重ですべて回避し、リンの懐へと一気に接近してきた。

「遅いな!」

ジ・オ・クロスの両腕部に装備されたアグニ砲が連射される。

極太の熱線をリンは必死に回避するが、その一撃がνガンダムの右脚部HWS追加装甲を掠めた。装甲内部の機構が焼け焦げ、危険な誘爆の兆候を示す。

「っ……パージ!」

リンは誘爆する寸前で右脚の重装甲を瞬時に切り離した。爆発の衝撃と煙を隠れ蓑にし、装甲が外れて身軽になった素のνガンダムの右脚を振り抜き、突進してくるジ・オ・クロスの巨体に強烈な蹴りを叩き込んだ。

「ぐぅっ!? 小癪な真似を!」

蹴りの衝撃でたたらを踏むジ・オ・クロス。リンは追撃のために胸部ミサイルのトリガーを引く。

しかし――カチッ、カチッ。

(弾切れ……!?)

あまりの猛烈な弾幕戦に、いつの間にかミサイルが底を突いていた。リンがその事実に驚愕したほんの一瞬の隙を、シロッコは見逃さなかった。

「戦場で気を抜くとは、素人め!」

ジ・オ・クロスの放ったアグニ砲の熱線がνガンダムの胴体側面を掠める。直撃こそ免れたものの、凄まじい熱量によって胸部のHWS追加装甲がドロドロに溶け落ち、νガンダム本来のスマートな胴体が完全に丸見えになってしまった。

「やらせるかぁっ!」

装甲を失いながらも、リンはシールド搭載型の大型2連装ビームキャノンをジ・オ・クロスに突きつけ、ゼロ距離で発射。その凶悪なビームが、アグニ砲を構えていたジ・オ・クロスの右腕を根元から吹き飛ばす。

さらに、宙を舞っていたロングレンジフィン・ファンネルを鋭く突撃させ、ジ・オ・クロスの左脚を完全に切断、破壊した。

「ええいっ、目障りなファンネルが!」

激怒したシロッコは、残った左腕のアグニでロングレンジフィン・ファンネルの一基を正確に狙い撃ち、撃墜。さらに、背部に背負った大型シールドのミサイルポッドを一斉に解放した。

無数のミサイルが、装甲を失い機動力が落ちていたνガンダムへ容赦なく降り注ぐ。

「しまっ……!」

リンは回避しきれず、全弾を正面から浴びてしまった。凄まじい爆発がνガンダムを包み込み、内部モニターが明滅してリンの身体を激しい衝撃が打ち据える。

「リンッ!!」

後方でデナン・ゾン部隊と交戦していたキラが、νガンダムの危機を察知し、マイティーストライクフリーダム弐式の推進器を限界まで吹かして救援に飛び出そうとした。

しかしその瞬間――デナン・ゾンとの乱戦で負っていた機体各部の見えないダメージが限界を迎え、マイティーストライクフリーダム弐式の姿勢が一瞬、ガクンとよろけてしまった。

「……っ!?」

その硬直を見逃すシロッコではない。ジ・オ・クロスの残された左腕から、キラへ向けて必殺のアグニ砲が放たれた。

極太の光の奔流が、一瞬動けなくなったキラへと迫る。

ドクンッ――。

その瞬間、キラの瞳孔が開き、脳裏で弾けるように『種』が割れた(種割れ)。

極限の集中力が引き出されたキラは、操縦桿を力任せに引き倒し、姿勢が崩れたままの機体を強引に捻り上げる。

機体の直撃こそ間一髪で避けたものの、アグニの凶悪な奔流はマイティーストライクフリーダム弐式の背後を掠め――黄金に輝くプラウドディフェンダーの右側の羽根を、跡形もなく消し飛ばした。

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